東方畢竟訖 〜in Other Worlds.   作:LOORUME

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短め&今話初登場の拙作『霊無鏡』のオリキャラが出てきます。我ながらかなり地雷っぽい…。


第4章 後日談
一話目 鏡刻塔のこの頃


 

 ここは鏡源郷でも幻想郷でもない。言うなれば、両世界のスキマ。()()と紫以外はアクセスする事が出来ない空間だ。

 今は、ウチと紫と、デカだけがここに居る。

 

「ここで二の足を踏んでいても、何も出来ないわ。さあ、帰りましょう」

「はい!」

 

 紫はスキマを開いた。

 

「ああ、ウチは鏡源郷に行くよ」

「鏡映さんは何か用事で?」

「うん、ちょっと、やんなきゃいけない事がね」

 

 そう、まだウチにはまだ仕事が残っている。

 

 印を結び、人差し指で空間を縦に斬ると、その線が光った。そして、紫で言うところのスキマが、開いた。

 

「じゃあ、幻想郷の方は頑張ってね」

「はい!」

「そっちもね」

 

 デカと紫に見送られて、光のトビラをくぐり抜けた。

 

 

 その先は、地底湖。鏡源郷にトンボ帰りしてきたのだった。

 

 

 

 

 

 異変解決から数日。事態の収拾も大方終わり、博麗神社では宴会が行われていた。

 霊夢たちが準備をしていたのも数時間前。手つきは手慣れたもので、友人たちと手を合わせながら着々と進めていた。

 口では面倒くさいとは言いながらも、手をちゃんと動かしていたあたり、彼女も宴会が楽しみなんだとは思う。準備と後片付けが面倒なだけで。

 

 とまあ、宴会の準備の様子を覗き見してたわけだけど、退屈な上に趣味が悪い。もう二度とはやらないだろう。

 長年友人はやっているけど、紫の趣味のことはきっと理解できまい、と思った。

 

 閑散としていたいつもの境内は、今日だけは賑やかなものになっている。

 

 飲み食らう妖怪、そこに混ざる人間、負けじと胃に物を詰め込む神、食べ物を一瞬で食べ尽くす幽霊、同じ勢いで酒を消費していく鬼、それに憚りながら取材をする天狗、境内を盛り上げる騒霊、飛び回る妖精、独酒には目もくれず、本を読み耽る魔法使い、高飛車な天人、自慢し合う吸血鬼。

 本当に、色んな奴が来ている。

 

 ところでこの異変について、ウチは何か功績を挙げたということはない。そういうのは全部デカが(ほしいまま)にしている。

 

 なので今回の主役は主に三人。異変の犯人、ティラ・カンカルと真砂(みぎわ)。それと立見田華、つまりデカだ。

 三人及び不押火のれん、水胤由菜、重合叶喜が境内の中心で色んな人から酌を受けている。

 

 さて、それは別にいいのだ。ウチはあそこに紛れられるほど、何もやっていないのだから。

 

 それよりも、ウチは一人の友人の居場所へ向かった。

 

 主役の円からは外れ、独り縁側に座り、目前の光景を眺めているスキマ妖怪。八雲紫のところにだ。

 

「やあ、紫」

「あら、あの日以来ね。何かしてたの?」

 

 あの日、つまり両世界のスキマで別れた日だ。もっとも、ウチにとってはまだ数時間前しか経過してないわけだが。

 

「……聞きたい?」

「聞かせたいようね」

「聞きたい?」

「はいはい、聞いてあげるわよ」

 

 ゆかりんが()()()()()話してくれと煩いので、()()()()()()()()聞かせてあげようかな。

 

 

 ▼-▼-▼

 

 

 トンボ帰りした先の鏡源郷。そこは、つい先ほどまで居た地底湖、船の上の甲板だった。

 

 到着するとすぐに、不意に声をかけられた。

 

「あれ、帰ってきたんだ」

 

 不押火のれんだ。振り返ると、三角座りの彼女がいた。

 

「うん、ちょっと話があってね」

「お姉ちゃんに、よね? わっち、面倒なのは嫌いなの」

 

 それは、紫と汀が話している時の事を思い出せば、何と無く理解できる。

 しかし、だ。

 

「悪いけど、全員収集だよ。真砂汀、不押火のれん、水胤由菜、重合叶喜を集合させてくれないかな」

 

 最高の笑顔で言ってあげた。

 ウチの威圧に一瞬仰け反ったかと思えば、ひっ、と返事をしながら洞窟を出て行った。

 

 たぶん、彼女は約束を反故にする事も無いだろう。例え彼女が逃走したとしても、ウチは鏡源郷の管理者だ。必ずひっ捕まえる。

 

 

 実際、彼女は約束通り、四人を甲板に集めてくれた。

 一人だけ船内で気絶していた汀には、のれんが水をかけて起こした。だから一人だけびしょ濡れだ。

 

「こんなに集めて、何か用かしら」

 

 濡れ汀が、長い髪から水を滴らせながら尋ねてきた。

 ちなみに、四人はウチの前で一列になって、正座している。

 

「用というのは他でもない。あんた達、ウチの鏡源郷をあんだけ荒らしたよね? 向こう数百年、責任取ってもらうよ」

 

 ウチはにっこり笑顔だ。だからこそ、それには裏がある。

 四人は今から何をされるのかを悟ったようだ。絶望的な表情へと変化し、そして。

 

 地底湖内に、断末魔の叫びが反響した。

 

 ▽-▽-▽

 

「っていうことがさあってさ」

 

 鏡源郷で数時間前の出来事である。つまり自動的に、彼女らは不眠で宴会に参加している。まあ、そのくらい頑張ってもらわなきゃ困る。

 

「え、で?」

「うん?」

 

 紫が話の先を急かしてきた。

 

「いや、あのね、結局どういうことを罰にしたわけ?」

「ああ、それね。向こう数百年、鏡刻塔で働いてもらうことにした」

「うわぁ……」

「うわぁって何さ。ゆかりんも同じようなもんでしょ?」

「藍のこと? あれは根本的に違う、式よ」

「ふぅん、そんなもんかねぇ」

 

 

 

 

 

 

 斯くして、鏡刻塔の仲間に四人加わることになった。

 ウチ、つまり八岐鏡映、ハニエル、ピサース・ミラルは元より、真砂汀、不押火のれん、水胤由菜、重合叶喜が。

 

 なにせ、鏡刻塔には空き部屋が沢山有り余っている。丁度、たった三人で持て余していたところだ。

 

 彼女らには色々仕事を手伝ってもらうつもりでいる。まあ、たった数百年の間だから辛抱してもらおう。

 

 

 

 

 

 

 ……本音は、仕事量を減らして、楽をしたいだけなんだけど。

 




次回も、一週間くらい後の更新になると思います。ご了承ください。
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