東方畢竟訖 〜in Other Worlds.   作:LOORUME

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何か分からない設定がありましたら感想へお寄せください。
物語を阻害しない程度に返信もしくはこの前書きや後書きにて答えさせていただきます。


二話目 幻想郷へよおこそ

 スキマ旅行は数秒で終わった。空中から零れ落ちるが、着地する。

 1メートルやそのくらいだから痛くない。足グギッってなったけど痛くない。そうじゃないったら。

 痛む足を庇いながらも立ち上がり、辺りを見回す。周囲は森に囲まれていて、だが向いてる方向には山が臨んでいる。いまはちょうど山の麓で、石階段で登れるようになっている。

 そして前と全然違うのが、空気だ。澄んでいて、どこか懐かしいような。鼻から吸い込んで、ここは幻想郷だと確信する。

 

「幻想郷が気に入ったようね」

「はい」

「でも、ここはただの入り口よ。いえ、まだ入り口でさえないわ。楽しいのはまだまだこれから」

 

 そう言って、私を導くように前を歩き始めた。

 

「色々説明してあげる。階段を登りながら話すわ」

「登るって、ここをですか?」

 

 ざっと見て数百段はあった。てっきり、スキマで頂上に移動させてくれるものだとばかり。

 

「甘い考えを持たないの。言う程幻想郷も甘くないわよ?これくらい普通だと思わなきゃ」

「はぁい」

 

 私は階段の一段目を踏みしめ、遥か上にあるようにも見える鳥居を、目指した。

 

 

 じゃあ、まず話しておきたいことが二つほどあるわ。よく聞いててね、大切な事だから。

 

 あともう一つに関係する事なんだけど、ここはあなたの知る幻想郷では、無い。

 スペルカードルールとか、ある程度の所までのあらすじ(歴史)は同じだと考えていいわ。だけど、ある所を分岐点にして違う世界になった。

 そうね、あなたのところで言う『ダブルブロイラー』ならあったわよ。え?スポイラー?まぁいいわ。

 けどそれ以降の、『神霊廟』だとか、『紺珠伝』は起こってないのよねぇ。

 ただし、その代わりとも言える異変が起きた。それは、『無鏡異変』。

 実はその異変、私がプロデュースしたものなのよ。

 

 あ、ここからが言いたい事の二つ目。貴女の知る幻想郷との違いよ。

 さっき言った異変で、幻想郷は他の世界と繋がった。出入りできるようになった。その世界が「鏡源郷」といって、時間の流れがなんと24倍なのよ。もし行くことがあったら、気を付けてね。

 違う所が、もうひとつだけ。

 地霊殿が、地上にあるのよ。

 

 

「地上に、ですか」

「ええ、貴女の言う『地底』をそのまま地上に持ってきた感じよ」

「へぇ…」

「興味が湧いてきたかしら?」

 

 興味なんて、ここにくる前から腐る程湧いてたけど。それより。

 

「地底は嫌われ妖怪が封印されるためにあるっていう設定だったんですが、ここの地霊殿にいる妖怪は嫌われてるんですか?」

「んーまあ、ソリが合わないって人もたまには居るけど、嫌われてる、っていう妖怪はそこに居ないわよ」

「へぇ…」

 

 ということは、原作キャラがそこに居るのかはわからないが、もしいたら性格が違うということだ。たぶん。

 

「さ、そろそろ着くわよ」

 

 赤い鳥居。山の斜面との間から覗く建物の一部。ここが、博麗神社か。

 そして建物の見える部分は段々と大きくなって行く。一段一段と階段を登って行く。

 そして、鳥居をくぐった。

 

「幻想郷へ、ようこそ」

 

 改めて幻想郷に来たんだな、と実感する。

 早く幻想郷の全体像を見るために、神社の裏へ回り込んだ。

 

「おお…」

「綺麗でしょう?幻想郷の夕陽は」

「…はい」

 

 私の視界には、夢にまで見た『幻想郷』がいっぱいに映っていた。その中心には眩しく、橙色で沈みかけの太陽があった。

 博麗神社からは色々なものが見渡せた。

 あそこには紅魔館と思わしき建物が。じゃああそこにあるのは人里かな。あの山はでかいから妖怪の山だろう。あっちにはかなりの規模の竹林がある、迷いの竹林かな?

 

 さて、ここまではいいのだが、見慣れない──想像の中に無い──かなり大きな鏡がチラホラとあるのだ。

 

「あの鏡はなんですか?」

 

 と、指をさす。が、如何せん他の建物に比べると鏡はやはり小さく、しかも沢山あるのでどれを指しているのか、どれを指せばいいのかが分からなくなった。

 

 空中でぐるぐると人さし指を迷わせていると、ゆかりんはうふふ、と笑って答えてくれた。

 

「あれは、さっき言った鏡源郷への入り口よ。覚えておいたらいいわよ」

「はい」

 

 そうやって話しているうちに、夕陽は沈んでいった。そろそろ、暗くなる頃だろうか。

 

「紫さん、ところで寝る場所は──」

 

 定番コースの人里ですか。もしそうならけーね先生かあっきゅんの所で。それともちょっぴり刺激でピリ辛コースのマヨヒガですか。もしそうなら藍さまの尻尾の中で。

 そう聞こうとした。

 

「此処よ」

「ていば...え?」

「だから、博麗神社ですわ」

「あー」

 

 確かに、ここも定番かもしれない。むしろ、ここスタートが一番多いのではなかろうか。

 

「霊夢さんはどこですか?挨拶しないと…」

「あの娘なら夕飯の買い出しにでも行ってるんじゃないかしら」

 

 あの娘、ねえ。内心ニヤニヤしながらそう呟いた。実際にニヤニヤしてたかもしれない。

 ユカレイは私の頂門紫針。

 

「貴女、失礼な事考えてるわね…」

「あ、分かります?」

「……」

 

 流石に呆れてる。少し、自重しようか。

 

「まあそんなお顔なさらずに…あっ、霊夢さん帰ってきましたよ」

「あらほんと」

 

 向こうからやってきたのは我らが主人公、博麗霊夢だ。脇出し紅白巫女装束に、大きな赤いリボン。そして、近づくにつれ分かるのが、その顔の麗しさだ。美人、その単語を聞いて誰もが納得する顔だ。

 顔だけ吟味しててもいやらしいので、他にも。

 

「ただいまっと。あれ、この子はだれ?」

 

 なんだが、想像していたよりも膨らむ場所が膨らんでる。くびれがくびれている。出る場所が出てる。

 ついでにヘソ出しだから、セクシーさがさらにアップだ。

 

「この子は、外から来たのよ。逸材だわ。立見田華といって、そうねえ。デカとでも呼んであげて」

 

 彼女は、私と同じ或いは年下だと思っていたのだが、どうも違うらしい。よく見ると三十路行ってるかもしれない。

 

「そう。デカ、よろしく?」

 

 だがしかしやはり顔は美しく、オバさんというより頼れる長女と言った感じだ。

 

「デカ?」

「えっ、あ、はい。どうもよろしくお願いします」

「ふふふ」

 

 霊夢は華やかでにこやかな表情に。

 わあ、オトナの女性って感じで、憧れる。

 

「紫さん、後で話があります」

「わかったわ、待ってる」

 

 霊夢を語り尽くしましょう。

 

「?」

 

 霊夢姐さんだけは何のことかわからないらしく、首を傾げた。

 

 

 神社の一室。ちゃぶ台にはお茶がみっつ、渋いの。

 

「なるほどねえ、特にアテも無いから泊めてほしい、と」

「ええ、そうよ」

「そうなんです」

 

 ふむ、と霊夢は一つ唸り、こんなことを言う。

 

「わかった、泊めてあげるわ」

 

ただし、が付く。

 

「わたしのなぞなぞが解けたら───いえ、解けなくても泊めてあげるわ」

 

 なんとも、優しいお姐さんだ。むしろお義姉さんと呼びたい。

 

「はい!なんでしょう」

 

 その決闘、受けて立とう!

 

 

「縁の下の人が食べるうどんは?」

 

「はあ、つまり?」

 

「力うどんよ…ってあら、答え言っちゃった」

 

 これが、私がデカと呼ばれる由縁のもうひとつである。答えを尋ねたら相手が答えてくれる。そういう性格というか、性質だ。勿論相手が答えを知ってなきゃ意味が無い。

 つまりこれが、幻想郷で言う程度の能力っていうやつなのかもしれない。

 

「縁の下の力餅ですか。なるほど」

「まあ、そういうことね」

 

 答えを言わされて少し不貞腐れてるお顔も、可愛らしい。

 すると、一連の会話を見ていた紫が妙に納得した様子で言った。

 

「ふむ、そう。あなたの能力はそれだったのね。通りで」

「っぽいですね」

「なら、名前を付けないといけないわね」

「なんでですか?」

「名前は、そのものを強化する。妖怪もだけど、名前が付くことで存在をより確固たるものにする。────そうね、『結論を求める程度の能力』、とでも名付けようかしら。それで良い?」

「おお、良いです良いです」

 

 結論を求める!なんだか格好いい。でも、なんだろう。原作キャラと比べてかなり見劣りするような…。

 咲夜さんは時を操るし、魔理沙は魔力を使う。霊夢は主に霊力を操り、空を…。

 そういえば、私は空を飛べるのだろうか。明日にでも、試してみよう。

 その後は夕食に力うどんを食べ、お風呂をお借りし、布団の上でごろごろしていた。

 寝る前に紫さんと熱い談義を交わしていたのだけれど、それはまた別のお話。

 外はもうすっかり暗く、虫の鳴き声もする。それをBGMに、眠りに落ち───

 

あ、友人にお茶を奢らないと。

いや、もう幻想入りしたしどうでもいいや。

 

───眠りに落ちていった。

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