聖杯が問う『お前の願いはなんだ?』
女は答えた『戦士ではない人生を生きてみる』
聖杯は彼女の願いを叶える事にした。
願望をそのまま聞き入れ、日本で普通の女の子として転生する話。
これはアルテラが戦士ではない生活を実際にする物語になる。
「ほら~~、有照(アルテラ)朝よ起きなさい。今日は大切な入社試験の日じゃない」
今は12月で暖房器具が設置されてない部屋は寒く、アルテラと思わしき人間は布団の中で丸まっていた。
「ああそうか」
どこか他人事の様な雰囲気を出し返事をする。
「私の起床を邪魔する暖かい布団は悪い文明だ」
そう小さな声で呟くと、急に布団から飛び出てきた。その時の彼女は下半身に下着を着用してるだけで、あとは何も着ていない裸同然の格好をしている。
引き締まった身体で更に白い肌は、どこか神々しさまで感じさせる様だ。
しかし、彼女が軍神として破壊をしてきた際にはあった模様はなく、それどころか傷一つない綺麗な身体をみる限り、一切戦闘をしてきてない事を思わせる。
「今日の朝食はなんだ?」
食卓に向かう前に確認していた。
「カツサンドとオニオンスープね。しかし美人にはスーツが似合うわね」
部屋から出る前にアルテラは、リクルートスーツに着替えていた。
「試験にカツようにか……ありがとう。別に美人ではない」
お礼を言うのに照れていたのか、はたまた美人と褒められ照れていたのかどちらか分からないが、アルテラは少しほっぺたを赤くしていた。
「そんなことないわよ。テレビに映るモデルよりも素敵」
「そうか……。それは育ててくれた母上のおかげだ」
実の親子と感じさせない会話には理由がある。
単純な話で彼女達に血縁関係がない。
見た目といった点では明らかに違うので、流石に物心がつく頃には気付いてしまう。
母親の方は橙色の髪に、特徴がないのが特徴みたいな感じに対し、白銀で綺麗な髪に宝石の様な瞳に無駄のないすらっとした肉体。
アルテラが五歳の時に養子として迎えられた。
「変なことを言うのね。今日この家から出ていく台詞みたいで母さん寂しいわよ」
作った様な笑顔を向けて来る母親に少し困るアルテラである。
「しばらくは出ていかない。感謝してるのはほんとだから言ったまでだ」
「そうなの。ありがとうね」
少し心地のよい沈黙が続いた。
「ごちそうさまだ。そろそろ出発する」
朝食を全て食べきり、食卓から離れる。
「ちゃんと鏡で確認して行きなさいよ」
「子供扱いは流石に恥ずかしい」
そう言い残し、食器を台所まで持っていった。
「ふむ…………私は美人なのか?」
洗面台の鏡に映る自分を見て、そう小さく呟いた声は、どこか嬉々としている様にも聞こえる。
歯磨きを済ませ、寝癖がないか等を確認してから玄関に向かう。
「母上、それでは行ってくる。必ずや勝利してくる」
「ええ、有照なら大丈夫よ」