- 「これが鍵の在り処だ」-
暗闇から人の声が聞こえた
寂れた老人のような声だった
-「感謝する。あとは行程か..」-
また声が聞こえた
今度は年若い青年の声だった
-「まあいい・・・時間はある。」-
そう吐き捨てると青年は立ち上がり、光の方へと歩き出した。
何時もの様に太陽が照らす幻想郷の朝、人気の無い神社でぐーたらしている巫女の元、1人の古風な魔法使いが降り立った。
「よー霊夢!なんだよ寝てるのか?」
よく魔女が被る様な黒いブカブカな帽子、アンティークな箒を携え少女は巫女に話かけた。
彼女の名は「霧雨 魔理沙」
絵本でよく見るよな古風な魔女で、森の奥で雑貨屋を営んでいる。魔法使いとい名の泥棒である。
「何よ、別にいーじゃないの人なんて全然こないんだから。」
と、巫女は縁側で寝そべりながら言葉を返す。
彼女こそが幻想郷に置ける博麗神社の巫女、「博麗 霊夢」である。
寂れた神社を住まいとし、賽銭を頼りに生計を立てている。
が、そもそも参拝者が来ないので、賽銭に金が入らず、万事金欠状態なのだ。
「ところでさぁ霊夢。麓の町に面白い店が出来たんだよ」
靴を脱ぎヅカヅカと歩いてくる魔理沙。
それを知り目に霊夢はシミッたれたお茶をだそうとしながら言葉を返した
「店??私あんまりお金無いしそもそも滅多に麓に降りないわよ?」
「いや、それがさ...「喫茶店」って名前のお店なんだ。」
霊夢は無意識に反応する
「喫茶...店?なにそれ。山道によくある茶屋みたいな?」
幻想郷では喫茶店という言葉に馴染みは無かった。
そもそも外界で言う西洋式の建物ですら、湖の畔にある紅魔館ぐらいしか無かったのだ。
「茶や菓子を嗜む店らしいんだ。」
「それまんま茶屋じゃないの」
と、霊夢はお茶の葉を急須に煎れながらツッこんだ。
「確かにそれだけ聞けば茶屋と同じ様なもんだが、造りが紅魔館みたいな感じなんだよ。私は何回も行ったからわかるんだぜ」
へへん、とドヤ顔で教えた魔理沙を眺めながら湯呑みを啜った霊夢は呟いた
「・・・で?」
「でって...いやだから霊夢も行こうぜって話だよ」
「アホくさ、なんでわざわざ茶を飲む為に麓まで降りなきゃいけないのよ。」
霊夢は鼻で笑いながらお茶を飲み干しまた寝っ転がった。
それを見た魔理沙は寂しそうに
「そうかぁ...その店開店祝に初めての客には料金はタダって言ってたから、霊夢の腹の足しになればなぁと思ったんだがな」
と呟いた。
次の瞬間ピクりと霊夢の地獄耳はその言葉を捉えた。
タダ、無料、払わなくていい...そのセリフの意味を瞬時に脳内解析した霊夢は立ち上がり、帰ろうとしていた魔理沙の肩を掴んだ。
「タダ!?本当に!?」
霊夢は魔理沙の肩を掴み揺らしながら絶叫した。その様はまるで飢えた獣の様だった。
「あ、あぁ...ほ、本当だ...」
「よしっ!!!さっさと行くわよォォ!」
霊夢は靴を履き、まるで隼の如く境内から飛び出した
「やれやれ...相変わらずブレないな...」
朝日が眩しい、何時もと変わらない日曜日の午後の事だった...