東方零元録   作:その心笑ってるね?

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ep.1 零元堂

 

 

「はぁ・・・、疲れたな」

まだ使い始めて日も浅い厨房で俺は溜息をついていた。

開店4日目。いつも通り客が大勢来店したのに対し、

店員0厨房係0俺1の状態で接客した俺は疲労困憊だった。

しかし時間は許してくれない。すぐに明日の準備に取り掛かるとした。

俺の名前は「結鍵 零(ゆいかぎ れい)」

喫茶店「零元堂」の店主を務めている。といっても立ち上げたばかりなので店員は皆無、気軽にやろうと初めた所、予想以上に客が来た為、絶賛困惑中なのである。

しかし午後下がりの今は珍しく一段落ついた。

「カウンターでも清掃するかな....あとそれから...」

このチャンスを逃すわけには行かない。直ぐに作業に取り掛かろうとした..ハズだった。

 

「よーマスター!今日も美味しいお茶頼むぜ!」

布巾を持ってカウンターへと踏み出そうとした瞬間声を掛けられた。俺が振り返ると、いつの間にか2人の少女がテーブルに腰掛けていた。

(せ、せっかくのチャンスタイムが・・・)

零は拳を強く握り苛立ちを感じたが、この少女が来た事に比べればまだ些細な事だった。

「ま、また君か・・・魔理沙君」

それもその筈、男口調の声の主はこの店の常連客兼無賃飲食の常習犯。霧雨魔理沙その人だった。

・・・無賃飲食なのになぜ常連客かって?

この少女の決まり文句は大体「今度払うからツケといてもらえるか?」である。どう考えても払う気はないのは分かっているが、俺はタダの人間に過ぎないので、強気に出ると彼女の自慢のマスパで店ごと消されかねない。だからそれをただ受け入れるしかないのだ。

「マスター、私はいつものコーヒーとブッシュドノエル。で、霊夢は?」

「んー茶はさっき呑んだしなにか他のがいいわねー・・・あ、カステラある?」

不貞腐れ顔の俺を尻目に、2人は淡々と注文してきた。

一緒に座っているのは魔理沙の友人だろうか。

まあ魔理沙の友達なんてどうせろくでもないやつだと思いったが、口には出さず

「で、ではカフェオレなんていかがでしょう?苦くもないので飲みやすいと思いますよ。」

と適当にメニューを促した。

「いいわね。じゃそれでお願い。」

メモに注文を書き、厨房に戻ろうとしたら魔理沙が

「マスター!こいつは初めての客だからタダだよな?」

魔理沙が満面の笑顔で話しかけてきたのでこちらも満面の笑顔で「ああ、勿論だ。」と言葉を返した。

(ただしオマエはタダじゃないけどな!!)

俺の心の叫びが、天まで届いた気がした。・・・届くといいなぁ。

 

 

 

--その僅か10分前の事ー-

 

 

「あなたがこの騒動の首謀者ですね?」

 

黄泉の桜が咲き乱れる白玉楼。それに到達するべきして連

なる石階段。その入口へと向かおうとする男の前に、銀髪ボブカットの少女が立ち塞がった。

見れば容姿は十代半ば、腰と背中には刀を携えており、そのまわりに一つの白い物体が浮かんでいた

「・・・何の話だい?私はここの主に用があるんだ。そこを退いてくれるかい?」

紙巻の煙草を吸いながら、黒い革ジャンを着ている青年はとぼけたように少女へ返答した。

「いいえ、私があなたを切り捨てるまでどくわけには行きません。」

そう言うと少女は、腰に納刀していた刀を握り、居合切りの姿勢を見せた。

(この小娘、見覚えがあるぞ...確か白玉楼の庭師だったか...?)

男が首をかしげていると少女は告げた

 

「私は白玉楼の半人半霊の庭師兼剣士。魂魄妖夢と申します。わが主の命により、貴方を断ち切ります!」

 

「やれやれ...あまり疲れたくないのだがな...」

 

男はそう呟くと左手を革ジャンのポケットから出した。

その瞬間左手に亀裂が走り、手中に「ヒビ」が広がった。

その光景はまさに、

それを見た妖夢は、数m先に立っていた男からただならぬ妖気を感じとった。どす黒く、ギラギラした雰囲気だった。

(こ、この殺気は一体...)

半人前の妖夢ですら察知できるほどの殺気。全身全霊から、危険信号が鳴り響く気がした。

この男と関わってはいけない。と・・・

「...まあいい」

男は左手をゆっくりと上げ、妖夢へ突き出しこう切り出した。

 

 

「私の原点を目視できるか?小娘」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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