東方零元録   作:その心笑ってるね?

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ep.2 名前と会話と良心とスキマ

 

「あー美味かったぜ。ありがとな、マスター」

茶菓子とコーヒーを約30秒弱で平らげた輩に美味かったと言われてもピンと来ないが、まあそれほどだったと受け取ろう。

「私もご馳走様。とても美味しかったわ」

それに引き換えいくらか食いっぷりがマシだった魔理沙の友人。俺が食後皿をどかそうとすると魔理沙が

「そういや紹介してなかったな。こいつは私の親友。博麗霊夢だ。神社で巫女をしている。」

聞いてもいないのに友人に関してペラペラ喋ってきた。しかし、魔理沙の説明の限り別に変人でもなく罪人でもなかったので魔理沙にしては普通の友人...

「そしていつもやっていることが、神社で昼寝したり悪さをした妖怪をぶっ飛ばしているんだ」

...なわけなかった。神社で昼寝!?仕事しろよ!

百歩譲ってそれはまだマシとして妖怪をぶっ飛ばすってなんだ!?変人や罪人よりひどいじゃねーか!

...心の中でツッコミの荒らしを走らせる一方、自己紹介を返さないと失礼という常識心が湧き上がってきたので、簡単に霊夢とやらに話した。

「ふーん。結鍵零って名前なの。変な名前ね。」

と霊夢がクスクス笑うと同時に、魔理沙も大爆笑をしていた。霊夢はともかく、キラキラネームみたいな名前してるお前に笑われたくねーよと俺は呆れた。

 

それから談笑は続いた。これまで幾つもの異変を解決してきた事。霊夢達が妖怪と仲良しだということ、霊夢が金に意地汚い事等々。

そんな話をしている間に日が落ち..

「あ、もうこんな時間ね。魔理沙、そろそろ帰るわよ」

霊夢は立ち上がって勘定を払おうとする。

「い、いや、霊夢さんは今回が初めての御来店なので、お金は...」

俺は業務上断ろうとしたが、霊夢は首を横に振り

「いえ、久しぶりに愉快な一時を過ごせたからむしろ感謝してるのよ。だからせめて受け取って頂戴?」

霊夢はニコやかに笑い、財布を開けてお金を取り出した。

さっきの金に意地汚い設定はいずこに...

「...有り難うございます」

情を断りきれず、俺はお金を受け取った。

「その代わりに、また来るからその時は宜しくお願いね?」

これが妖怪をぶっ飛ばすだとかしてるハチャメチャ巫女には到底思えなかった。

俺が感激していると、魔理沙が

「なんだ?結局駄賃払ったのか?」

横から口を出してきた。しかもしれっと出口の方にいる。

「お前はまず金を払えよ!!」と叫びたかったがいい雰囲気を台無しにするわけにはいかないという、しょーもない良心が働いた。

「うっさいわね!いざタダって言われると気まづいでしょ!」

「え~金にガメつい霊夢がらしくないぜぇ〜?明日幻想郷が崩壊するんじゃないか??」

しょーもない会話をしながら2人は出口へ歩いてく。

 

やっぱり客が満足して出ていくのは見ていると気持ちがいいな。これが店主を辞められない要因の一つだろうか。

「さて、掃除でもするか」

俺は布巾で使用後のテーブルを拭くため厨房に行こうとした。

 

その時だった。

 

「すいません。私にも1杯紅茶を頂けますかしら?」

 

なんだ、また客か...

掃除しようとした俺は厨房に行くのをやめ声の主に返事をしようとした。

「はい、カウンターにしま...」

席を決めてもらおうと振り返った俺は、信じられない光景を見た。

 

女性が1人いた。

 

別に女性に対し驚愕しているのではない。

 

女性が「狭間から出てきた」のだ。

 

捻じ曲がった空間の切れ目にはリボンが縫い付けてあり、狭間の中は黒く、無数の目玉があった。

店を出ようとした霊夢や魔理沙も見ていたらしく、少し驚いた表情を見せている。

それに気づいたのか、女性はクスリと笑いながら

「あら、霊夢と魔理沙もいたのね」

と呟いた。知り合いなのだろうか?

霊夢は表情を変え、隙間から出てきた女性に問いた。

 

 

「何の用?紫」

 

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