ナッツは不機嫌であった。というのも今回の依頼はアナハイムからだったからだ。コロンビア級輸送艦を二隻護衛するのにザンジバル一隻しかも民間にやらせるなど愚策としか思えなかったからである。
「こんなもの襲ってくれと言わんばかりじゃねえか」
そう一人呟いた。彼らテスコはザンジバルそのものが会社であるため、この船にいる95人がすべてであった。そのため増援などは一切ない。小さな会社である。そんな時、哨戒中のアイザックより緊急入電がはいる8時の方向より高熱源体接近とのことだ。すぐさま指示を飛ばす。
「第一種戦闘配置!仰角15°取り舵30をとれ!MS隊に発進させるように通達せよ!全砲門開け対空監視を密にするんだ。見落とすな!それと僚艦に空域を離脱するよう連絡するんだ!」
MSデッキでは続々と発進していくMSがあった。
「帰還したアイザックなど奥に置いとけばいいだろうっ!ジムをだすぞ!」
緊迫した様子である。そんな中発進一つのMSとMAがあった。
「ナヤン ヨーク、ジェガン改行くぞ!」
「ルードヴィッヒ デュバル、ヴァル・ヴァロでるぞ」
彼らはテスコMS隊隊長とエースである。発進するがはやいか三機ハイザックと一機のバーザムが出迎えとばかりビームライフルを放つ。それらはすぐ横を通り過ぎ宇宙の闇へ消えていった。
「ティターンズとはいえ残党がビーム持ってるとは!」
そうナヤンが言い放つと
「ナヤンはバーザムを叩け!ジョンとリーは俺とハイザックだ。」
というルードの的確な指示がでる。それに従ったバーニアが動く。アーバンからはネモ三機が増援として出ていた。
「こっちも仕事の前金でしこたま貰ったんでね。ビームライフル補充できてんの」
そう言いながらドンッ、ドンッとライフルを放つとバーザムの右腕と左脚に命中し、バーザムはクルクル回り後ろへとぶ。やっとのことで体勢を立て直したバーザムの見たのは眼前に迫るビームであった。そして最後の記憶となった。その直後爆散した。
一仕事終え、ナヤンらMS隊が帰還しハッチを開けると、一人の女性がナヤンに飛び込むように出迎えた。蜂蜜色の腰までかかる長い髪、南国の海より透き通った碧眼、潤いのある桜色の唇、通った鼻筋に出るところはでてへこむところはへこむアイドルのようなボディラインはここが軍艦ということを忘れさせる。彼女はフウカ クルム
社長のナッツの一人娘にしてアーバンの整備主任兼通信士である。
「お帰りなさい。ナヤン。」
とても優しいその声は、例え自分に言われたものでなくとも皆の癒やしであった。しかし騙されてはいけない。彼女は元々ネオ・ジオンの士官でしかもMSパイロットというから驚きだ。大破して宇宙を漂流していたところをナヤンに助けられた過去がある。
「ありがとう。フウ。」
ナヤンが言うと、とても嬉しそうな顔でフウカは微笑んだ。これがアーバンの年中行事である。
ミーティングルームでは社長のナッツ以下主要な社員らによる会議が行われていた。その題目は「大規模襲撃時の我が社の対応方針」である。今回の残党は明らかに装備が良すぎた。そこで、裏に何かあると思われたので会議を開いたのだ。
「恐らく連邦軍の内部の組織対立じゃない?ロンド・ベルやエコーズも弱体化しちゃってるしね。」
そう言うのはテスコの参謀長クリス コーナラーだ。実際、連邦では地球派と宇宙派で割れてるのであった。宇宙派はロンド・ベルやエコーズを含めているが相当勢力を弱めている。
「しかも地球派は旧ティターンズ系を集めているそうだ。退役した奴にも誘いをかけてるぞ。実際俺にも来た。」
ルードは言う。これが決定的になり、ほどなく会議は終了した。しかし彼らは気づかない。亡霊の影に。
どうも、はじめまして田前義親です。めちゃくちゃ本文短いのですが、今の僕の全身全霊を込めています。これからなんとかしていきたいなーとか考えています。どうぞ完結までお付き合いください