月下の流星   作:田前義親

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第6話

投降したナヤン達はネオ・エゥーゴ旗艦ラー・カイラム級「ウェストミンスター」に処分保留として独房に入れられていた。

 

 

「ナヤン、 本気なのか?あいつを信じてここを脱出するって事」

 

 

ルードは疑問に思う。ミリウスはとても信用できる男に思えなかった。

 

 

「あの男はかなり強い。ウラキ中佐に鍛えられたのなら合点がいく。そしてわざわざ積み荷の中身を教えてくれたからな」

 

 

ナヤンには確信がある。

 

 

「ブラフじゃないのか?」

 

 

しごくもっともらしい。

 

 

「まあ、ここまできたんだ。最後まで頼むぜ、相棒。」

 

ーーーーー

 

「ファティマー様、よろしかったのでしょうか?奴らは従順に従うとは思えませんぞ」

 

 

ナッツの疑念も当然だ。暴れ馬のようなナヤンらを自軍に引き込むのはリスクが大きいと考えたからだ。そもそもはあの戦闘で始末するつもりだったのもその為だ。

 

 

「あれは俺の子だ。未だに過去から逃れられぬ哀れな奴よ」

 

 

ーーーーーー

 

これは何の因果か。そうミリウスは思った。ナヤンもルードもフウカもすべてはあのファティマーを起点とする繋がりがある。そして数々の血塗られた歴史の集合体とも言うべき惨状だった。ウラキ中佐に連絡すべき事をまとめ秘匿回線を用いてミリウスは報告書を提出し、パソコンを閉じた。そして、次の作戦へと動きだした。まずは、ナヤンらに連絡する為に。

 

ーーーーーーー

 

 

 

困ったな。ナヤンは悩む。ミリウスの情報では、積み荷はMS。しかも試作機のようである。すでにナヤンのジェガンやルードのヴァル・ヴァロは解体され部品にされているという。選択肢はないのだが、自分たちにその試作機が扱えるかどうかということが問題であった。

 

 

 

「やるしかない…か」

 

 

そう呟く。

 

 

「お前が俺達に道を示した。だから今こうして生きている。たかだか試作機の一機くらい乗りこなしてみせろよ。月下の流星は無敵の仲間想いじゃあなかったか?」

 

 

「ルード、お前は俺に足りないピースをはめてくれる気がするよ」

 

 

フッと笑う。

 

 

「そういうのはフウカに言ってやんなって。きっとお前を待ってみるぜ。」

 

 

「ああ、そうだな!」

 

ーーーーーー

 

「独房にて爆発発生。警備兵が死亡し、捕虜が脱走しました」

 

 

伝令兵が扉を蹴破らんとする勢いで入ってきた。そしてそう伝えた。

 

 

「ふふふ、あはは」

 

 

ファティマーは右手をでこにあて椅子でのけぞるように体をそらせて笑う。

 

 

「連邦の犬にそそのかされたか。総員、第一種戦闘配置!全力で脱走を阻止せよ」

 

 

艦内に放送が流される。

 

 

「まさかスパイがいるのを知って放置していたとは、笑えませんぞ」

 

 

ナッツは詰問調で問い詰めた。

 

 

「ナッツ。俺はみたいのだよ。運命がどう導いているのかを。まあ、俺達がよくなるようになってるだろうがな」

 

 

「そうですかい」

 

 

ナッツは投げやりに応える。その次の瞬間、ファティマーは氷のように冷たく冷酷な顔でこういった。

 

 

「俺もデンドロビウムを出す。《あれ》は使えるんだろうな」

 

 

「はい。すでに再調整は済んでおります。」

 

 

ナッツは応える。

 

 

「ったく、罪な男よ」

 

ーーーーーー

 

ダムダムとマシンガンの発砲音がする

 

 

「いたぞー、奴らだ」

 

 

ネオ・エゥーゴの小隊とナヤン、ルードの2人は交戦していた。

 

 

「ったくヤバいんじゃないか」

 

 

ルードは毒づいた。人数の圧倒的に少ないナヤンらにとって時間の経過は死に直結していた。そして、今いるのはMS格納庫前の廊下。バリケードをつくられた前にいる。ルードは向かいの壁にいるナヤンに問いかける。

 

 

「一か八か突撃するか?」

 

 

ルードは優れた指揮官でもあったが、このような状況に作戦もあってないようなものだった。故にその作戦を考えたのだった。

 

 

「まだだ、俺はお前らとやりたいこと、あの人に伝えないといけないことがあるんだ」

 

 

ピンっコロコロという何か転がる音がする。

 

 

「手榴弾だ。しかしタイミングが早いんだよ!」

 

 

ナヤンは手榴弾を蹴り飛ばし敵小隊の方へぶつけた。ボンッという音のあと銃声は止まった。

 

 

「流石だな」

 

 

ルードは感心したように言う。バリケードはおろか扉すら吹き飛んでいた。硝煙の臭いのなかナヤンらは進む。各々の目的を達する為に。

 

 

「嘘…だろ」

 

 

中に入ったルードは絶句した。二の句が継げずただ呆然としていた。

 

 

「バカやろう!」

 

 

鋭い怒声の後、ルードは蹴り飛ばされた。

 

 

「敵の真ん前でボサッとする奴がいるかよ。相手はMSなんだ。あの足に踏まれただけでお陀仏なんだぞ」

 

 

「すまない、ナヤン」

 

 

「礼はあとだ。今はこの状況をなんとかしようぜ」

 

 

ジムIIIがナヤンらに銃口を向け今まさに撃たんとしていた。

 

 

「パイロットにはパイロットの戦い方がある」

 

 

そうナヤンは言うと傍らに落ちていた携帯用ビームバズーカを手に取り

 

 

「食らえっ」

 

 

片膝をついてコックピットめがけ撃つ。かなりの反動にナヤンは上体をのけぞらせるが、狙いは正しかった。

ジムIIIのコックピットは爆発、機体は仰向けに倒れた。

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