「この、数はまずいですね。中佐は近づいているみたいですが、間に合うかな?」
グレネードランチャーから二発放つ。それは二つの火玉をつくるもMSには何も当たらなかった。ミリウスは内心危険を感じ始めた。しかし、ミリウスは信じていた。コウ・ウラキ中佐を。
「私は、自分の信じた道を行くのみ!」
インコムを射出する。それをあるルートをとるように操作する。
「今!」
量産型νガンダムのビーム・ライフルを三発撃つ。
「凄い技量だが、そんなんで我等を倒せると思うなよ!」
シールドを構え一発を防いだジェガンはビーム・サーベルを引き抜き斬りつける。
「いや、お前はもう終わりですよ」
キイン、キインと金属音が二つした。ビームがインコムに跳ね返った音だ。そしてジェガンのバックパックを直撃した。核融合爆発を引き起こし、ジェガンは木っ端微塵になった。しかし、依然として不利なことは変わりない。
「もはやこれまでか」
その時だった。二条の光が敵MSを貫いた。
「これはメガ粒子砲。戦艦か?」
ーーーーーーーーーー
「MS隊は主砲の二回の斉射の十秒後、全機発進。キース、頼んだよ」
新ロンド・ベル艦隊の司令、コウ・ウラキ中佐は命令する。
「まったくコウは堅物だなぁ。それに付き合うニナさんに同情するよ。」
MS隊長のチャック・キース少佐は片目を瞑り、おどけたように言う。
「ほっとけ」
「はいはい」
キースは通信をオペレーターのみにする。
「チャック・キース少佐ジェスタ・キャノン行くよ!」
ロンド・ベルから発進したMSは30機ジェガンが9機、スターク・ジェガン6機にジェスタか9機、ジェスタ・キャノンが3機そしてリゼル6機となっている。キースから全機に通信をとばす。
「全軍に通達。敵はネオ・エゥーゴ艦隊とMS隊。なお、敵にはNTが二人いると思われるので気をつけるように。では後で酒でも飲もうぜ」
「応!」
ロンド・ベル兵は勢いよく応える。
「全軍突撃!」
ーーーーーーーー
「ちっ!ロンド・ベルかよ!ロンド・ベルは鈴をならしてりゃいいんだ。」
ファティマーは毒づく。
「マスター、あの人達も、敵?」
前の座席に座る人が聞く。
「そうだ」
ファティマーは短く応える。
「そう!じゃあ全員殺しちゃうね!」
パアとその顔を輝かせた。
「じゃあ行くよっ!ファンネル!」
ーーーーーーーーー
「撃てぇ」
スターク・ジェガンは両肩に搭載してある3連装ミサイル・ポッドからミサイルを発射する。それらは撃墜されていくが爆発による光は宇宙でとても輝いていた。その爆発光をくぐり抜け、リゼルのMA形態がビームライフルを撃ち、二機のジムⅡの肩と胸にそれぞれに命中、胸に当たった方は爆発、撃墜した。肩に当たった方はクルクルと回り、後ろへ後退した。
「流石はロンド・ベル。腕が違うね。」
「月下の流星殿にそう言っていただけると光栄ですな」
ナヤンのつぶやきにリゼルのパイロットから返事があった。
「あんたは?」
ナヤンは問う。
「私はロンド・ベル所属、アングリフ・ジューダス。階級は少尉。あなたにこれを渡すように言われております。」
そう言ってジューダスの渡したのはひとつのビームライフルであった。
「これはZガンダムに使われていたやつではないか?」
「そうです。もっとも、オリジナルではなく、複製品ですがね。」
ナヤンのデルタプラスは射撃武器をなにひとつ持っていなかった。
「隊長殿はよくわかっておられる。いつまで経っても頭が上がらぬよ」
ーーーーーーーーーー
「さて、そろそろ僕も出ますかね。」
コウはそう言うと、
「「御武運をお祈りしております」」
ブリッジクルーの返事がある。コウはそれに片手を上げ、ヒラヒラと振るとMS格納庫に向かう。
「コウ!」
声と共に一人の女性がコウへ飛び込んだ。
「ニナ、あぶないよ」
そう言われたのは、整備主任ニナ・ウラキ。旧姓をパープルトンといいコウ、キースと共に0083のデラーズ紛争に深く関わった人物である。
「だって心配なんですもの。自分の整備したものといえどもね」
そう片目を閉じウインクして言う。
「君の整備し、僕の動かす機体なら、負けはしないよ」
「まあ、中佐になって口がお上手になったのね」
「そうでもないさ。ところで《あれ》は使えるよね?」
コウは《あの機体》を指差し言う。
「もちろんよ。いってらっしゃい、あなた。」
ーーーーーーーーー
コウは《その機体》の前に立つ。型式番号MSZ-008。機体名ZⅡ(ゼッツー)
嘗てZZガンダムとの開発競争に敗れ、作られなかった機体がそこにあった。