「以上が君に依頼したい今回の内容です。」
「…わかりました。」
ここは東京武偵高校の応接室。
普段から武偵高の三大危険地帯といわれる教務科にあるためか生徒は殆ど来ないし、呼ばれる事も少ない。
普段は東京都教育委員会の重鎮がたまに様子を見に来る時の応接で使う部屋だ。
その部屋で依頼の取引が行われるのは本当に珍しい事なのだ。
東京武偵高校付属中学校ーー金を払えばなんでもやる所謂「何でも屋」である武装探偵、通称「武偵」を育成するこの学校に遠山鋼太は通っている。今年の春に中学三年生に成ったばかりだ。
彼の父である遠山キンジと母である遠山・H・アリアーー旧姓神崎・H・アリアはこの学校の卒業生であり世界的に名前の知られている武偵だ。そのため息子である鋼太にも幼いころから戦闘の教育が行われてきた。お陰でなのか本気になれば同世代では並ぶものがおらず孤立しがちである。
しかし、優秀であるという事実は変わらない。
そのため彼は今回とてつもない任務がいきなり訪れたのだ。
「依頼内容を整理させて頂きます。簡単にまとめますと月を破壊したこの写真の黄色いタコのような生物を殺してほしい。それでこのタコは来年の3月に地球を破壊しようとしていてそれまで私立椚ヶ丘中学の3年E組の先生をしている。このE組の生徒たちに暗殺をさせ世界崩壊の危機を救おうとしている。幸いにも先生をしている間はその場所から離れな。期間以内に殺すために俺に転校して暗殺の手伝いをしてもらいたい。こんな感じですか?」
「まぁ、概ねその通りだ。」
依頼人である防衛省の烏間さんは表向きこの三年E組の担任だということらしい。まぁ、そんな話普通の人は信じないもんなぁ。
「今回の依頼は他言無用だ。国家機密を簡単にもらされては困る。普通なら親にも話すなと言う所だが、君の両親はこの事についても公安経由で情報を持っている。転校の話は君の父親から防衛省に進められた。あの彼と彼女の息子だ。防衛省としても私個人としても期待している。」
「そうですか。あの親父から…。どうなるか分かりませんが殺す気で頑張ります。」
こうして俺の転校は決まった。
そしてこの事が切っ掛けで俺の人生も転機に迎えることになったのだ。
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俺は転校することが決まったその日、普段は家にいない親父がその日たまたま家にいたこともあってほんとうに久しぶりに会話をする事になった。
「親父。あんたの進めた通りに俺の転校が決まったよ。」
「そうか。」
親父は言葉少なめに酒を煽る。
余談だが俺の家は築何十年だがわからない木造平屋で巣鴨にある。
親父は次男だが長男がエジプトに暮らしているため歴史ある遠山家に住んでいる。
「親父…俺は、」
「お前の言いたい事は何となくわかる。」
すっぱりと親父が俺の発言をぶったぎる。
「俺もこの力のせいで学生時代大変な経験をした。将来は一般的なサラリーマンになるとか、そんなことを高校2年の時に思ったりしていた。」
…初めて聞かされる話だ。親父は自分の仕事に誇りを持っている。それは母さんも一緒だ。そんな親父の予想外な話を聞いて唖然とした。だってい今までそんな話は一度として話してもらった事がないのだ。
「以外だな。親父がそんなこと考えてた時期があったなんて。」
「以外だろ?」
苦笑しながら親父話を続ける。
「まぁ、人生なるようになる。というか、なるようにかならないんだ。人間は最終的に収まるところに収まる。その前に外の世界ーー普通の世界を見て、お前自身の世界を広げてこい。そのなかで自分の進む道を決めたら良い。お前の力の使い道もな。」
…本当にこの人には敵わない
「お前には俺の血の力だけじゃなく、母さんの血の力もあるんだ。力の使い方、考え、方法、いろんなものを学んでこい。」
「ああ。そうするよ。」
遠山鋼太の暗殺教室が始まる。