AKABAKO   作:万年レート1000

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先週月曜日に投稿したから週一投稿達成です!!!!

今回原作知ってないとマジで分かりにくいっていうか分からない話かも。
分からなかったら原作をやろう、今はイベントクロニクルでEP1からEP3まで全部見れるからマタボやらなくていいぞ!


ゼノとマリアとサラと

 ゼノは有名人である。

 

 その理由としては、単純にアークスとしての技量も高い――というよりも、その性格。

 

 困っている人を見捨てられない。

 

 生来のお人よし体質。

 

 その辺り、『リン』も同様のことがいえよう。

 

 実力が高く、クライアントオーダーも精力的にこなしていれば、自然と有名になっていくものなのだ。

 

 ……まあ、ゼノの場合はゲッテムハルトとアークスシップで喧嘩してたこともその知名度に影響を与えているのだろうが……。

 

 兎も角、今シズクとリィンの目の前に倒れている男、ゼノは。

 

 二人とも面識が無いにも関わらず、知っているほどのアークスなのだ。

 

 当然、ゼノがここ最近行方不明になっていたことも――。

 

「あ、あれ……?」

 

 だから、リィンがその疑問を口にしたのも当然だろう。

 

 首を傾げて、呟く。

 

「ゼノさんって、今行方不明になってなかったっけ。ねえシズク」

「う、うん。間違いなく。確か【巨躯(エルダー)】との闘いで……」

「…………あー。結界の外まで飛んじまったのか……」

 

 ゼノは、困ったように頭を掻いた。

 

 『見つかると困る何か』をしていたのだろう。

 でなければ、行方不明扱いされたまま、こんな認識阻害の結界まで張るわけがない。

 

「え、えーっと……シズク、とりあえず行方不明者発見の報告をするべきかしら」

「や、それはちょっと勘弁してくれねえかな……」

 

 しかしそこは察しの悪さならアークス一のリィン・アークライト。

 空気を読まずにそんなことを言うリィンに、ゼノは頼み込むように手を合わせて懇願した。

 

「頼むよ。俺がここに居た事は誰にも言わずに忘れて欲しいんだが……」

「うばー……いいですよ」

「シズク?」

 

 シズクは、即答した。

 その表情から読み取れる感情は、切実。

 

「明らかに厄介ごとみたいですし……『見た』かん――ゼノさんが評判どおりの人なら悪巧みでもないでしょうし」

 

 流石に、シズクは自分の実力を弁えているのだ。

 ベリーハードに上がったといえど、その力は頂点から数えたらまだまだ中の下。

 

 そして目の前にいるのは、アークス全体から見ても上位に位置する実力派アークスだ。

 

 そんな人が、行方不明として姿を晦まさなければいけないような何かが起きている、なんて。

 

 シズクとリィン程度の実力者が関わっていいような案件ではないだろう。

 

「……ん?」

 

 という、

 シズクの考えは。

 

「あーいたいた、おーいゼノ坊! あんた何回吹き飛ばされれば気が済むんだいまったく」

 

 次の瞬間、崩れ去った。

 

 ゼノの背後から、歩み寄ってくるキャストの足音が一つ。

 

「ん? 何だいその娘たち」

「あ、姐さん! 力加減ってもんを憶えてくれよ! 飛びすぎて結界の外に出ちまったぞ! おかげで一般人に見られて……」

「結界の外……? 何言ってんだいアンタ」

 

 そこはまだ、結界の中だよ、と。

 

 『姐さん』と呼ばれたキャストの女性――『マリア』がそう言った瞬間、跳んだ。

 

 踏みしめた地面が、陥没する程の勢いでの跳躍。

 そしてマリアは、退路を塞ぐようにシズクとリィンの背後に回った。

 

「っ……!?」

「うば!?」

「まさかゼノ坊、このお嬢ちゃんたちをこのまま帰すつもりじゃあなかったよな?」

 

 ポン、とシズクの肩にマリアの手が乗った。

 

 その気になれば、このまま肩を握りつぶすこともできるだろう。

 何せ、このヒトは――。

 

「ろ、六芒均衡の二、マリア、さん」

「おや、アタシのことを知っているのかい?」

「当然でしょうよ……貴方まで関わってるような案件とか、いよいよ持って無関係でいたいのですが……」

 

 小さく、「え、このヒトが六芒均衡?」と呟いたリィンのことは放っておいて、シズクは考える。

 

 どうすれば、この状況から無傷で無関係のまま帰還するのかを。

 

「そうはいかないねぇ、アタシの張った結界を見抜いて侵入できる存在を放っておけるわけがないだろ」

「こ、これは偶然で……」

「偶然かどうかはアタシが決める。さ、ちょっと向こうで話そうか……もしスパイだったら……分かるだろ?」

 

 リィンの肩も掴んで、押す。

 結界の外へ逃げないように、中心部へ追いやるように。

 

「…………っ」

「う、うばー……」

「お、おい姐さん……あんまし脅すのは……」

「黙ってな甘ちゃん坊主。それより油断するなよ、仮にアイツのスパイだったら自爆くらいしても不思議じゃな――む?」

 

 ふと、何かに気づいたようにマリアはシズクの顔を覗き込んだ。

 

「う、うば? 何か……?」

「んー……その口癖……その髪の色、瞳……何処かで……」

「?」

 

 顎に手を当てながら、空を見上げて記憶を探る。

 今のうちに逃げられないかとちょっとだけ考えるシズクであったが、すぐに無理だと察して思考を取りやめた。

 

「あっ、思い出した。アンタもしかしてシズクかい?」

「……え?」

「やっぱり、てことはそっちの美人さんはリィン・アークライトか」

「……私たちを、知っているんですか?」

 

 リィンの疑問の言葉に、マリアは頷いた。

 

 戦技大会の記事を見たのだろうか――いや、その場合でもシズクのことを知っているのは珍しい。

 

「さて、この場合はどうしたもんかね……シャオに訊くか」

「……シャオ?」

「おっと、口が滑った」

 

 言って、マリアは再びシズクとリィンの背を押し始めた。

 

 さっきより力の込め方がやんわりだ。

 一体全体何がどうなっているのか分からないまま展開が進んでいく。

 

 結界はそこそこ広いようだった。

 数分歩き続けて、辿りついた先には――。

 

「もしもーし、シャオー?」

 

 灰色の髪を持つ少女が、一人。

 遺跡エリア特有のオブジェの上で、通信機片手に座っていた。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 歴史改変。

 

 それは、全知存在たる『シオン』が創り出した『マターボード』と時間遡行能力の才能を持つ『リン』が居て初めて実現する超越的な事象。

 

 過去へ飛び、過去を書き換え、未来を――歴史を変える。

 

 確定した『未来(うんめい)』を改変する、唯一無二の方法だ。

 

『歴史を改変したことによって、ゼノを救うことは出来た。次はウォパルの海底調査……かな』

「ウォパルの海底? そんなところ行けるの?」

 

 惑星ナベリウス・遺跡エリア。

 認識阻害の結界内で、交差した前髪とポニーテールが特徴な少女――サラは耳に手を当てシャオと通信をしているようだった。

 

 尤もサラとシャオは二心同体みたいなものなので、通信していると言うと少し語弊があるかもしれないが。

 

『ああ、あの星はそもそもルーサーの実験場みたいなもので……ん?』

「……? どうしたのよ、急に」

『…………』

「もしもーし、シャオー?」

 

 返事がない。

 いつもは返事どころか話しかけてきて欲しくないタイミングだろうとおかまいなしに人の脳内に語りかけてくる癖に。

 

「んん?」

 

 何かあったのかな、と顔を上げる。

 

 すると視線の先に、数人のアークスが見えた。

 

 マリアと、ゼノと、見知らぬアークスが二人。

 その二人のアークスを見た瞬間、サラは察した。

 

 シャオは、シズクから隠れた(・・・・・・・・)のだ。

 

「うば!?」

 

 サラを視界に入れた途端、シズクは素っ頓狂な叫びをあげた。

 

 目を見開いて、口を大きく開けて、がたがたと怯えながら言葉を紡ぐ。

 

「ろ、六芒均衡の六クラリスクレイスまで……六芒均衡が二人出勤する事態だなんて……一体何が起きてるの……?」

「…………」

「……ふぅん」

 

 成る程、噂に違わぬ能力だ、と。

 

 サラとマリアは、感心するように頷いた。

 

「……クラリスクレイス? シズク、何言ってるのよ。この前会ったときと全然違うじゃない」

「え? でもフォトンの感じが同じだし、顔も同じじゃん」

「顔……まあ確かに似てるけど、流石に別人でしょう」

 

 リィンに言われて、改めてシズクはサラを見る。

 

 海色の瞳が微かに光り、やがてシズクは「ああ」と納得したように呟いた。

 

「クラリスクレイスのクローン――いや、オリジナル?」

「……うわ」

 

 思わずサラは引き気味に声を漏らす。

 

 正解も正解、大正解である。

 

 三代目クラリスクレイスは――今ここにいる少女、サラのクローンなのだ。

 まあそこについて言及すると長くなるので、今は置いておくとして……。

 

「…………あれ? もしかしてまたアタシ知らない方がいいことを知ってしまったのでは……」

 

 その通りである。

 

 色々言いたいことがありすぎて何から言えばいいのかと少し悩んだ後、サラはとりあえずマリアに向けて叫んだ。

 

「ちょっと馬鹿マリア! 何でシズク連れてきてんのよ!」

「あん? 仕方ないだろ結界越えて向こうから来たんだから」

「この子の能力は前に教えたでしょう!?」

「えっ」

 

 シズクが、小さく声をあげた。

 

 今のセリフは、今の言葉は。

 

 シズクにとって、決して逃せない発言で、

 サラにとって、完全に失言だったのだ。

 

「色々知られちゃ不味いものだらけだから……きゃっ!?」

 

 サラが、突然驚きの声をあげた。

 

 胸倉を掴まれたのだ。

 シズクに、必死の形相で。

 

「あっ……しまった……!」

「…………『この子の能力は前に教えたでしょう』?」

 

 シズクの海色の瞳が、光り輝く。

 まるで、サラの思考を全て見抜こうとしているのかのごとく。

 

「アタシが『何』か、知っているような口ぶりですね?」

「……っあーもう、これじゃあたしも同罪じゃない……!」

「ぐっ……!?」

 

 胸倉を掴んでいた手を、サラの手によって引き離される。

 

 力では敵わない。

 シズクは頭を掴まれて、そのままうつむせに地面に押し倒された。

 

 "視界に入らない"。

 それは、シズクの能力に対する一つの対抗手段である。

 

「ごめんなさいね、それは言えないわ」

「……う、うば、なんっ……!」

「シズク!」

 

 即座に、リィンは動き出した。

 

 背負ったアリスティンを掴み、サラに切りかかる……!

 

「おっと」

「あがっ……!?」

 

 が、届かない。

 

 マリアの手刀が鮮やかにリィンの首を突き、意識を刈り取った。

 

「り、リィン!? リィン! どうしたの!?」

「…………」

 

 シズクが叫ぶが、返事は無い。

 意識を失ったので、当然だ。

 

「この、この……! リィンに、何を……!」

「……!」

「リィンに、何をしたぁああああああああああ!」

 

 シズクの身体から、海色の光りが漏れ始めた。

 

 今までとは、比べ物にならない光量だ。

 周囲のフォトンが活性化し、PSEのような光が立ち昇る!

 

「……何を……!?」

「退きな、サラ」

 

 光を放つシズクの身体を、マリアは首根っこを掴むことで引っ張り上げ――

 

 腹に、重たいパンチを放った。

 

「ごふっ……!」

 

 肺が押しつぶされ、呼吸が止まる。

 

 痛みと、苦しさで、意識が薄れていく。

 

「――――」

 

 声がでない。

 膝を付いて、顔から地面に崩れ落ちる。

 

 そして、シズクの意識は、闇の中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

「今、シズクは何をしようとした?」

 

 倒れたリィンとシズクを介抱しながら、マリアはサラに問いかけた。

 

 否――サラに、というよりも、サラの中にいる少年。

 

 シャオに、話しかけた。

 

「……『アークスシップの管制を奪って、船員の命を人質にしようとした』ってさ」

「そんなことができるのかい?」

「『できない。けどやっていたらルーサーに彼女のことがばれてたかもしれないから止めてくれてありがとう』だってさ」

「そうかい。そりゃよかった……おーい、ゼノ坊、アンタはシズクを運びな」

 

 ひょい、とシズクを持ち上げ、投げる。

 かなり雑な扱いだが、ゼノはしっかりとシズクをキャッチした。

 

「おいおい……何だかよくわからねーがやりすぎじゃないのか?」

「そうでもないさ、今ああして止めなかったら宇宙が終わっていた(・・・・・・・・・)

「……は?」

 

 言葉の意味が上手く飲み込めず、ゼノは首をかしげた。

 

 当然だろう、さっきの意味不明なやり取りの選択肢を間違えていたら、比喩じゃなく宇宙が終わっていたなんて、それこそ意味が分からない。

 

「よしっと」

 

 シズクとリィンを木陰に寝かす。

 一応スターアトマイザーを撒いて、傷を癒しておいた。

 

「さてゼノ坊。休憩ついでにちょっとこの子たちを見張っててくれ」

「姐さんたちはどうすんだ?」

「どうするかを向こうでシャオと相談してくる」

「? それくらいここですればいいだろ?」

「用心だよ、用心。なんせ――シズクがシャオを視認した瞬間、宇宙が終わるかもしれない」

「……はぁ?」

 

 そんなことを言われても、実感がわかないのかゼノは眉を歪めた。

 しかし、マリアがウソを言っている様子でもないので、とりあえず頷いておく。

 

「それじゃあ、頼むよゼノ坊」

「二人に変なことしちゃ駄目よ?」

「……? 変なこと?」

 

 変なことって何だろうと首を傾げるゼノ。

 

 しかし、その問いを投げかける間も無くサラとマリアはシズクの視界外まで逃げるように行ってしまった。

 

「…………」

 

 少女二人の寝顔を見つめ、一つため息を吐くとゼノはその場に座り込んだ。

 

 なんにせよ、休憩はありがたい。

 さっきまで修行としてマリアにボコボコにされてたのだ。

 

「何か……妙なことになってきちまったなぁ」

 

 呟いて、空を見上げる。

 

 今まさに世界が終わりかけたところだというのに、何処までも広がるような晴天だった。

 




読者増やしたいならツイッターとかやったほうがいいのかなぁ。
……でもフォロワー募集しても増えなかったら凹むしやめとこうかなぁ。

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