AKABAKO   作:万年レート1000

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今回見直しが甘いから誤字とかあるかも。

え? なんで見直しが甘いって? やたら長くなっちゃったからめんどく(ry


採掘基地防衛戦・襲来、閉幕

 勿論。

 今更フォトンアーツ一発であの化け物を倒せると思っていない。

 

 即座にバレットボウからカタナに持ち替え、駆ける。

 首を刈り、とどめを刺すために。

 

「…………」

 

 ゆっくりと、【百合(リリィ)】は振り向いた。

 

 その表情は、笑顔。

 心底嬉しそうな、笑顔。

 

「凄い」

 

 もう既に回復した喉で、彼女は言葉を紡ぐ。

 

「うっばぁ、こんなにダメージ与えられたの初めて……しかも好みのおねーさんからとか興奮するぅ……」

「…………気持ちは分かるわ」

 

 私も、最近妹に冷たくされるの愉しくなってきた、と。

 心の中で呟きながらライトフロウはカタナに手をかける。

 

「サクラ……!」

「でもごめんね?」

 

 抜刀しかけた瞬間、【百合】は空高く跳んだ。

 

 急いで空を見上げると、

 そこには手を振り上げるダークファルス【百合】の姿があった。

 

「そろそろ本格的に塔破壊しなきゃ、アプちゃんに怒られちゃう」

 

 遊び(・・)は程ほどにしないとね、と。

 

 そう言って、【百合】は今思いついた技名を口ずさむ。

 

「"千咲(ハチブザキ)"」

 

 瞬間。

 数千本の刃が、【百合】の上空に出現した。

 

 その内半分がライトフロウに狙いを定め、半分は残った紫と青の塔を狙う。

 

 30やそこらの本数でひいひい言ってた彼女にとって、まさに絶体絶命だ。

 ライトフロウ・アークライトの命も、塔の耐久値も。

 

「…………メリッサさん」

『は、はい……?』

「今何分経った?」

『ご、五分です……六芒均衡の方々は、まだ、その……』

「そっか」

 

 五分か。

 まあたった一人でダークファルスを相手取ったわりには持った方だろう。

 

「一人で倒せなかったのは残念だけど、まあ本来六芒均衡が束になって戦うような相手だし、一応面子は守れたかな……」

「? 何をぶつぶつ言ってるの? 遺言なら聞いて上げるよ? ていうか聞かせて」

「そう? なら一つだけ言わせて貰うわ」

 

 『好みのおねーさんの遺言』というワードに何故か興奮気味の【百合】に、ライトフロウは笑顔を見せた。

 

 ちょっと残念そうに、しかしてちょっと誇らしげに。

 彼女は声を大にして言った。

 

「アークスをあまり舐めないでね、ダークファルス」

「……ん? それってゆいご――」

 

 突如、【百合】の背後に爆発音が響いた。

 

 否、爆発音だけじゃない。

 銃弾が、衝撃波が、テクニックが、あらゆるものが飛び交い、宙に浮かぶ数多の剣を叩き落していく!

 

「うば……!?」

「撃てー! とにかく何でもいいから撃てー!」

 

 イケメンの号令と共に、地上からライトフロウを除いた11人のアークスが一斉に武器を振るう。

 

 銃弾と衝撃波とテクニックは、狙いを【百合】本体ではなく【百合】の生み出す剣に絞って飛んで行った。

 

 【百合】の剣は、実のところ【百合】が"盾"として使おうと生み出したもの以外耐久性があまり無い。

 

 アサルトライフルの通常攻撃ですら、剣を撃ち落せる程だ。

 故に、【百合】の展開した数千の剣は瞬く間に撃ち落され、叩き落され、

 

 数秒で、その全てが地面に突き刺さった。

 

「なん……!? 他のダーカーたちは!?」

「周辺のダーカーは全滅させたわよ。五分もあれば充分充分」

 

 ダークビブラスの死骸を踏みつけながら、イヴはバレットボウの弦を引く。

 

 全ての剣を叩き落した今、狙いは当然【百合】本体。

 

「ペネトレイトアロウ!」

「くっ、これまた好みなおねーさん……! じゃなくて!」

 

 じゃなくて、と【百合】は剣を盾として展開し、その一撃を凌いだ。

 

 だが勿論それだけで全ての攻撃が防げるわけじゃない。

 銃座やテクニックを中心火力として、次々と攻撃が【百合】に撃ち込まれていく!

 

「いたっ……くはないけど……!」

 

 うざったい。

 攻撃しようとすれば銃座に剣が弾かれて、盾として展開しても隙間や背後から撃たれる。

 

 そこらのアークスの攻撃でダメージを受けるわけではないが、それでも、これはマズイ。

 

 今のこの場には、自分にダメージを与えられる存在が一人だけ居る。

 

「本当は、一人で倒したかったのだけれど」

「っ……!」

 

 カタナを抜刀しながら、【百合】を残念そうに睨むライトフロウを見て、【百合】は両手に剣を出現させた。

 

 もう剣を展開しての遠距離攻撃は使えない。

 

 なら、近接攻撃をするまでだ、と。

 【百合】は地上に降り立った。

 

 そう、この場に自分へダメージを与えられる存在が一人なら……!

 

「おねーさんさえ倒せば、こんな状況ピンチでも何でもなくなるよね」

「そうでもないわよ?」

「……え?」

 

「フォトン粒子砲、チャージ完了! 撃てー!」

 

 イケメンの号令が響き渡った瞬間、白熱の光線が【百合】の身体を貫いた。

 

 フォトン粒子砲。

 少し長いチャージを必要とする代わりに、長大射程の高威力ビームが撃てる支援兵装である。

 

 並大抵の大型エネミー程度なら一撃で沈める威力を持つそのビームに、流石の【百合】も身体を大きく仰け反らせ、叫んだ。

 

「あ゛、あづいいいいいいいいいいいいいい! にゃに、何これあっつい! 痛い痛い! あついたい!」

「効いてるぞー! どんどん撃てー!」

「この……!」

 

 次々とチャージが完了していくフォトン粒子砲の照準が、【百合】に向く。

 

 流石に真正面から今のを何発も受けたくないと感じたのか、【百合】は自身の周囲に剣を展開して――。

 

「"変形(ヴァルシオン)"!」

 

 盾の形に変形させた。

 今度は隙間無く、四方八方を固めるように。

 

「っ……!」

 

 粒子砲が、盾を貫かんとばかりに四方から襲い掛かる。

 盾として生み出した場合の耐久値は高い、が――。

 

「やだ……マジで……!?」

 

 びしり、と嫌な音がした。

 

 自身の手で生み出した剣が、盾が。

 罅割れる、音。

 

「うばー……壊されるのは、始めてかぁ」

 

 食べられたりはしたけどさぁ、と。

 

 崩れ行く盾を見ながら、【百合】は呟いた。

 

「…………」

 

 丁度盾が壊れたタイミングでビームの照射時間が切れたのか、追撃は無かった。

 

 だがしかし、流石に【百合】も今置かれているこの状況――すなわち『敵の中心にたった一人でいる』というやばさを認識したようで、

 

 その表情から笑顔が消えた。

 

「……何? ビームは今ので打ち止め?」

「…………」

「…………」

 

 【百合】の問いに答えるものは居ない。

 そりゃそうだ。こちらの戦力状況をわざわざ晒す馬鹿などいやしないだろう。

 

「何よ、皆して黙り込んじゃってよー……ていうか12対1とか恥ずかしくないの? それでも正義の味方?」

 

 言いながら、【百合】は周囲を見渡す。

 自身を囲んでいる12人のアークスの男女比と、銃座の数、遠距離職近距離職の割合、その他諸々を確認。

 

 急所の首と心臓の背後を守るように剣を盾として展開し、駆け出した。

 

「まずは、その鬱陶しい銃座!」

「いいや、させないわ」

 

 【百合】の目の前に、突如ライトフロウが現れた。

 

 カタナが、目に見えぬ速度で首目掛けて振られたのを両手の剣で受け止める。

 

「……! おねーさん……!」

「第2ラウンドよ、ダークファルス。今度は後方支援付きだけど勘弁してね?」

 

 鍔迫り合いをしながら、ライトフロウは申し訳無さそうに笑みを見せた。

 

 一人の方が戦いやすいけれど、一人の方が強いとは言っていない。

 

 相手が格上なら尚更だ。

 

「うっばっば、あたしタイマンがいいなぁ」

「私も同意見なんだけどね。立場的にそうそう我侭言うわけにもいかないのよね」

 

 一歩下がって、鍔迫り合いを解く。

 瞬間、フォトン粒子砲が【百合】の身体を貫いた。

 

「あ゛っづぅ!? この……!」

「シュンカシュンラン」

「あぐっ!?」

 

 高速で放たれた突きが、【百合】の肩口に突き刺さる。

 

 心臓を狙ったつもりだったが、避けられたようだ。

 

「まだまだ……!」

「う、うううう!」

 

 シュンカシュンランは、初動の突きから派生して怒涛の連続攻撃を繰り出すフォトンアーツ。

 

 横切り、縦切り、そして切り上げ。

 見た目苦痛の表情を浮かべている少女だろうと、加減無く放ったつもりだったのだが、

 

 【百合】は、その連撃全てを受け止めた。

 

「この……、やっぱ硬いわね……!」

「ライトフロウ! 少し下がれ!」

 

 アサルトライフルを持った【銀楼の翼】のイケメンが叫ぶ。

 

 それに従い、ライトフロウは大きく一歩後ずさった。

 

「ウィークバレット!」

「?」

 

 弾丸を、【百合】は右手の剣で叩き落とす。

 

 しかしそれこそアークスの思う壺。

 【百合】の剣に、ウィークバレットのマーキングが付与された。

 

「何これ?」

「ナイスっ!」

 

 再び接近し、マーキングされた剣に向けてカタナを振るう。

 

 ウィークバレットは、当たった箇所を弱くする弱体弾。

 それによって、いとも容易く【百合】の剣は砕け散った。

 

「うば……!? あ、あれ? 何で……っ」

 

 突然武器を壊されて、焦ったのか【百合】は後退しようとして――できなかった。

 

 足が、動かない。

 何故、と足元を見る。

 

 そこには、投擲されたタリスの羽根と、凍りついた自分の足があった。

 

「つめたっ!? 何これ、氷!?」

「――ラ・バータ」

 

 イヴが、にやりと笑う。

 

 これで終わりだ。

 敵集団に囲まれている状態で、足が止まるというのは、つまり。

 

 死、あるのみである。

 

「あ――」

 

 ウィークバレットが、【百合】の頭に付着した瞬間。

 

 フォトン粒子砲に加えて、

 サテライトカノン、バニネメ、カザンナデシコ等々の高火力フォトンアーツが次々と降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

「目標……沈黙……?」

 

 地面に大量に突き刺さっていた、【百合】の剣が塵となって消えていく。

 

 巻き上がった砂塵で【百合】本体の姿は見えないが、剣が消えていっているのなら撃破……は出来ていなくとも意識を奪うくらいはできただろうか……?

 

「イヴ、油断しちゃ駄目よ。相手はダークファルス……これで終わるとはとても思えないわ」

「分かってるわよ……」

「間違っても『やったか!?』とか言っちゃ駄目よ」

「……当たり前じゃない」

 

 ちょっと残念そうに、イヴは呟いた。

 もしかしたら言ってみたかったのかもしれない。

 

「! 砂塵が晴れるわよ……」

「…………」

 

 こちらの攻撃によって巻き上がっていた砂塵が、薄れてきた。

 

 もうあまり、余力は残っていない。

 フォトン粒子砲の数も少ないから、ここで決まって欲しいのだが……。

 

「………………ひどい」

 

 ゆらり、と。

 砂塵の中で影がわずかに揺れた。

 

「……ちっ」

 

 戦闘継続だ。

 こうなると、もうすぐ来るはずの六芒均衡が頼りだろう。

 

 時間的にもう到着してもおかしくない筈だが、ダークビブラスに手こずっているのか……?

 

「ひどいひどいひどいひどい、12人であたしみたいな女の子1人をリンチするなんて、ひどい」

「…………」

「いじめだ、リンチだ、PTAに抗議してやる……あれ? PTAって何だっけ? ええっと……まあいいや」

 

 砂塵が、晴れた。

 

 砂塵が晴れて、そこに居たのは勿論ダークファルス【百合】。

 

 しかしてその姿は若干変わっていて――。

 

 血に塗れて、赤と白のまだら模様になった髪と、

 金色の模様が描かれた、真っ黒(・・・)なドレスを身に包んだ少女が立っていた。

 

「貴方たちにも、味あわせてやる。12人にいじめられるのがどういう気分なのか」

「マズイ……! 何かする気だ! 総員止め……!」

「"変形(ヴァリアシオン)"――」

 

 12×12=144。

 144本の剣を展開し、そして。

 

 その全てが、歪な音を出しながらその形を変えていく――!

 

「『モデル』・【人面花(ヒューマノイ――)】」

「【百合】」

 

 ぴたり、と【百合】と剣の動きが止まった。

 

 今の声は、今の聞きなれた冷たいボイスは……!

 

「さっきから撤退命令の信号出してるのに無視してんじゃないわよ」

「あ……あ……」

 

 地響きと共に、空から黒い影が降ってきた。

 

 ダーク・ラグネが2体と、ダークビブラスが1体。

 そして、ダークビブラスの上には――。

 

 ダークファルス【若人(アプレンティス)】が、腕を組んで乗っていた。

 

「アプちゃーん!」

「ん? 何よあんた、黒くなってるじゃない」

「え? う、うばー!? 何これ黒い!」

 

 今気づいたといわんばかりに、【百合】は自分の身体を見渡した。

 

 何だか高級感溢れる黒いドレスに身を包まれている自分を見て、【百合】は不思議そうにしながらもにんまりを微笑んだ。

 

「なんか大人っぽい! どう!? どう!? アプちゃん! なんだか良く分からないけど似合う!?」

「えー、まあ」

「むふー……よし、この形態は【黒百合】モードと名付けよう……! ……で、えーっと、撤退だっけ」

 

 言いながら、ダークビブラスの上に乗る。

 

 ここにいれば、ダークビブラスがやられない限り余程のことがなければ攻撃は受けないだろう。

 

「でもあれ? 撤退命令の信号なんて決めてたっけ?」

「…………な、何言ってるのよ、確かに撤退命令の信号はあたしの眷属にしか通じないけど、心の中であんたの名前を何度も呼んだじゃない。もしかして届いていなかった?」

「うばっ!? ご、ごめん戦闘中だったから気づかなかったわ……」

「全く……次から気をつけなさいよ」

 

 やれやれ、と冷や汗を掻きながら【若人】は肩を竦めた。

 

 しかし本気で頭を下げている【百合】を見て、

 流石にちょっとだけ罪悪感を感じているようだ。

 

「ま、まあいいわ。帰るわよ、【百合】」

「うばーい。いやー疲れた疲れた……」

 

 すぅ、と色素が抜け落ちるように、【百合】のドレスが黒から白へ戻っていく。

 

 戦闘形態みたいなものなのだろうか?

 と推測する【若人】の視界の端に、アークス相手に大暴れするダーク・ラグネの姿と、

 

 そのラグネを踏み台にこちらへ乗り移ってくる、青髪の美女が映った。

 

「このままただで返して……たまるものですか!」

 

 ライトフロウ・アークライトが、【若人】目掛けて突貫をしかけたのだ。

 

 ラグネの雷撃を掻い潜って、ビブラスの装甲を踏みつけて、

 

 カタナを振るう――!

 

「何してんだコラ」

「……うぐ!?」

 

 【百合】の蹴りが、ライトフロウの腹部にめり込んだ。

 

 お腹が突き破られたんじゃないかと錯覚するような、衝撃。

 威力だけで言えば、間違いなく今日一番の攻撃だ。

 

「がはっ……!」

 

 弾丸のような速度で吹き飛び、紫の塔へ激突した。

 

 なんて、威力だ。

 実は蹴りが一番得意なのか? という思考が一瞬過ぎったが、それは違うだろう。

 

(【若人】を、守るためか)

(愛のために強くなるとか……まるで物語の主人公……ね……)

 

 ライトフロウが意識を手放し、戦闘不能になったところで紫の塔は崩れ落ちた。

 

 これで、【百合】が倒した塔は2本。

 そう、2本である。

 

「大丈夫? アプちゃん、怪我はない?」

「ええ、流石ね」

「うば! アプちゃんに褒めてもらえたヤッター!」

 

 心底嬉しそうに笑う【百合】は、まだ気づいていない。

 

 なんだかんだ2本しか塔を倒せなかったから、ご褒美は何も無しということに、気づいていない。

 

「じゃあ今度こそ、退くわよ」

「あいあいさー」

 

 踵を返して、【若人】と【百合】は戦線から離脱。

 追いかけることも出来ず、残されたビブラスとラグネもこれ以上の戦闘は無意味だと指示されたのか、間も無く撤退していった。

 

 

 

 

 

「終わった……?」

「終わった……ね」

 

 採掘基地防衛戦・襲来の初回は、こうして幕を閉じることになる。

 

 戦死者3名。倒された塔の数158本。

 倒したダーカーの数、数億。

 

 ダーカーの数が、実質無限であることを考えると決して勝利とはいえぬ結果だったが、

 それでも10年前の大規模侵攻に比べれば、比較的こちらの被害は少なく済んだといえるだろう。

 

 しかしまだ全てが終わったわけではない。

 【若人】が諦めない限り、防衛戦はこれからも幾度と無く起こるだろう。

 

 だがまあ、とりあえず今は。

 

「お疲れ様、皆」

 

 ムーンアトマイザーの光を浴びながら、ライトフロウは静かに微笑んだ。

 

 勝てなかったけど、決して無駄な戦いでは無かった。

 まだまだ実力不足なのは分かったし、塔を守りながらの戦いのコツも少しは掴めたし、

 

 何より今まで謎の存在だった、ダークファルス【百合】の生態が知れたのは大きい。

 

(愛のために戦うダークファルス、か)

(………………厄介ねぇ……)

 

 ため息を吐いて、空を見上げる。

 

 戦闘前の汚い空はもう何処にもなく、晴れ渡る青い空が視界一杯に広がっていた。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「はー……っ! はー……っ!」

 

 採掘基地防衛戦は、終わりを告げた。

 

 既に全てのダーカーは殲滅及び撤退し、ダークファルスたちも周辺から反応を消している。

 

 クエスト終了である。

 そしてそうなると気になるのは、クエストリザルトランク。

 

 今回の場合、塔の残り耐久値によって判断されるのだ。

 

 三本の耐久値の合計が八割くらい残っていればSランク。

 一本しか残ってないとか、耐久値がぎりぎりならCランク。

 

 ライトフロウ・アークライトたちのパーティは、残念ながらCランクだったがまあ仕方ないだろう。

 

 ダークファルス【百合】を相手取って一本でも塔が残っていただけ大したものだ。

 

「はー……ふぅ、げほ……!」

 

 他のパーティの平均ランクは、大体Bランクくらいだ。

 やはり初回というだけあって難易度が高かったのか、Sランクを取れたパーティは非常に少なかった。

 

 しかしそれでもCランクを取ってしまう程追い込まれたパーティもまた少なく、大体のパーティがBまたはAランクを取る中――。

 

「くそ……!」

 

 彼女――キリン・アークダーティは、額から血を流しながら呟いた。

 

 塵となって消えていくダークビブラスから視界を外し、背後の塔を見る。

 

 ソロだから、妥当といえば妥当なのだが、意外にも。

 紫の塔の耐久値がほんの少しだけ残っているだけで、青と緑の塔は木っ端微塵に破壊されていた。

 

 クエストはクリアだ。

 とは言っても、Cランククリア、だが。

 

「こんなんじゃ……駄目だ……もっと、もっと強くならなくちゃ……」

 

 満身創痍になりながらも、杖を支えに倒れることなく呟く。

 

「守りたい人たちを、守れない……!」

 

 その瞳に宿っているのは、決意。

 

 元々正義感の強い彼女が、より強く何かを守ると決めた意志。

 

 けれど。

 その願い――『シズクとシオンを(・・・・・・・・)両方とも救いたい(・・・・・・・・)』という願いは。

 

 少女の双肩に乗せるには、あまりにも重いものだった。




採掘基地防衛戦しゅーりょー。

【百合】さん強くしすぎた感あるけどこいつの正体考えるとまだ全然本気出してないから震える。(どうやって倒すかは考えているけど)

『リン』に関してはまあ初見採掘基地防衛戦でソロなんてやったらまあこうなるよねとしか。
むしろ一本残ってるのが凄いと思うんだ。

まあ忘れがちだけどまだこの子16歳だから、精神的未熟さもEP3に入っちゃう前に書きたかったんでもうちょっとだけこんな感じの『リン』ちゃんが続くのであしからず。

あ、あと戦死者3名とか出てるけどオーザ、マールー、クロトのことじゃありません。
【百合】にぼこされてたけど、ムンアトで無事復活してます。
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