AKABAKO   作:万年レート1000

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エピソード5……異世界ファンタジーかぁ。
新クラス「ヒーロー」が二次創作の主人公向けでいい感じですね。
ちなみに私は射撃クラスを育ててないので使えません。残念。


比翼連理

「はぁ? 自分より才能も努力も経験も勝っている相手に勝つ方法ぅ?」

 

 惑星リリーパ・採掘基地場跡。

 そのオアシスに腰掛けて休憩していたマリアは、目の前の弟子に向かって「何言ってんだコイツ」というニュアンスを含んだ口調で言い放った。

 

「うぇ? だって、マリアがリィンに出した宿題の問題ってようするにそういうことでしょ?」

 

 弟子――サラは、眉を顰めながら問う。

 自身の推論が間違っていたとは思えないようだ。

 

「馬鹿弟子。……いやあながち間違いではないんだが……多分それ余計に混乱させちまったなぁ」

「えぇ……じゃあ答えって何なのよ」

「『リィン・アークライトが』ってとこが重要だ。リィンにしか無いもの……リィンにしか出来ないことをしろってことだよ」

「………………ああ」

 

 合点がいったように、サラは呟いた。

 

 リィンしか持っていなくて、リィンにしか出来ないこと。

 

 そんなの、現時点では一つしかない。

 

「もしかして、シズク?」

「珍しく鋭いじゃないか。そう……『シズクと二人で戦う』っていうのが正解だよ」

 

 どうやらリィンが出した答えはほぼ正解だったようだ。

 

 だが、サラの表情は優れない。

 正解を出したというのに、困惑した表情だ。

 

「でもマリア……シズクの能力は確かに強力だけど、あの子はあれを使いたがらないわよ?」

「んなの知ってるよ。あたしが言ってるのは、シズクとリィンの『相性』だ」

「相性……」

「あいつらの目指すべき強さはそれだとあたしは思う。相性の良さを活かした――『連携特化』」

 

 連携特化。

 個々の才能では劣るものの、一人ひとりの力を掛け合わせることによって強者と並び立つ新たなる道。

 

 比翼連理の如きシズクとリィンの相性の良さを活かすには、確かにそれしかない。

 

 だが、サラは苦い顔をした。

 『マジかよこいつ』とでも言いたげな表情で、マリアを見つめる。

 

 何故なら、アークスにとって『連携』というのは全然重視されない項目なのだ。

 

 意外に感じるかもしれないが、アークスの戦闘において連携攻撃というのは殆ど行われない。

 精々が数の暴力による袋叩きか、慣れたチーム同士の即席連携程度である。

 

 理由としては、アークスとは一騎当千であることが当たり前だからだ。

 

 二人組めば三人分の力を発揮できる程度の連携ならば、

 二人別れて別行動し、より広範囲に殲滅範囲を広げるのを選ぶ種族なのだ。

 

 二人組を作って、『二人だから強い』なんてことをするために修行するくらいなら、一人でも二人分くらい働けるように修行する方がマシというのはアークスの共通認識である。

 

 ダーカーが無尽蔵に、無限に湧いて出てくるという性質もこの風潮の一端を担っているだろう。

 数を覆す火力で、ローラーのように隅からぶちぶち潰していく戦法こそ王道。

 

 故に、ブロッカーとかサポーターなしの全員アタッカー構成こそが、アークスにとっての最善である。

 

 だけど。

 実のところ、リィンとシズクの二人に関しては、話が異なってくるのだ。

 

「……サラ、お前あたしと戦ってる時のあいつらを見て、どう思った?」

「え? ど、どうって……そうね、やっぱり連携攻撃だけは大したものだと思ったわ。相当反復練習を繰り返さなきゃ、あんな動きは絶対できないわね」

「ああその通りだ。あいつらは連携という一点においてはあたしの知る限りで……いや、おそらく歴代のアークスにあいつら程の連携が取れるコンビはいなかっただろうな」

 

 二人で一つのダークファルス。

 ダークファルス【双子(ダブル)】と同等かそれ以上の連携だ、と。

 

 マリアは断言しながら、立ち上がった。

 身体の汚れを払って、サラの方に向き直る。

 

けどシズクとリィンは連携の(・・・・・・・・・・・・・)練習なんて一欠けらもしていない(・・・・・・・・・・・・・・・)

「…………は?」

「こればっかりは実際に戦ってみないと分からないだろうな……あいつらはな、勝手に動いているリィンに合わせてシズクが適当に連携を取っているだけだ」

 

 そうなのだ。

 シズクの察する能力の影響もあるだろうが……シズクとリィンは二人で戦う時、打ち合わせなんてしていない。

 

 練習も訓練も必要とせず、ただ当たり前のように最高のコンビネーションを発揮する。

 

 二人で三人分の力を発揮する程度の連携は不要だとしても――。

 二人で十人分の力を発揮するレベルの連携ならば、それは他のアークスには無い唯一無二の『強さ』になる。

 

「それって……」

「なあ、ワクワクしないかサラ。生まれるかもしれないんだ、アークスにとっての新たなる『強さ』――連携に特化した、最初にして唯一のコンビが」

 

 足音がして、サラは振り返る。

 マリアはとうにその存在を知覚していたようで、ふっと笑った。

 

 砂塵の向こうから、サラとマリアに近づいてくる少女が二人。

 

 シズクとリィンが、その手を振りながら二人に近づいて来る様子が、見て取れた。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 ――アークスシップ・メディカルセンター。

 その一室。

 

「や、メーコ」

「あ、久しぶりアーヤ」

 

 アヤが、メイの病室の扉を開けた。

 

 その会話の様子から察するに、夫婦久しぶりの再開であるようだ。

 

「何日ぶりだっけ? オペレーターの試験はもう終わったん?」

「一週間と七日ぶりよ。勉強が一段落したからお見舞いに来たの、試験はまだ」

「ふーん、大変だねぇ」

 

 話しながら、アヤは手荷物を降ろし椅子に腰掛けた。

 

 もう、メイの腕の包帯はほぼ取れている。

 切断されたことすら見た目では分からない程綺麗にくっついているのは、流石アークスの科学力とでも言おうか。

 

「って、それもう二週間ぶりじゃねえか」

「ツッコミが遅いわよ……もう大分包帯取れてるわね。思ったより早く治りそう?」

「まあね、でもやっぱり上手く動かないや。完治には程遠い……」

 

 ぐっぐっと両腕で伸びをしながら、メイは笑った。

 

 苦笑いのようなものだったが、それでも元気そうで何よりだ。

 最近お見舞いに来れてなかったから、落ち込んでいるかと思ったが。

 

「あの子達はお見舞いに来てる?」

「うん、まあ流石に毎日じゃないけど……時々」

「そういえばあの子達のチーム名は貴方が考えたんだったっけ」

 

 チーム【ARK×Drops】。

 メイにしてはネタに走っていない、いい名前だ。

 

「メーコのことだから、もっとふざけた名前にすると思ったわ」

「そんなウチをネタキャラみたいに……」

「自覚無かったの?」

 

 アヤの言葉に、メイは「え? マジで?」とでも言いたげな表情で首をかしげた。

 本気で自覚が無かったようである。

 

「……まあいいわ、メーコ、これを見て」

「ん?」

 

 アヤは端末を開き、テキストデータを一つメイの前に映し出した。

 ネタキャラ云々はとりあえず脇においておくことにしたようだ。

 

「……これは?」

「まだ結構先のことだけど……」

 

 映し出されたテキストデータの、見出しには。

 でかでかとした文字で、こう書かれていた。

 

 『クラス:バウンサー(仮)新設案』。

 

「『バウンサー』。……まだ仮称だけど、そう呼ばれるクラスが新設されるらしいわ」

「……それが、どうかしたの? ウチにはもう関係ない話だけど……」

「話を最後まで聞きなさい。バウンサーの固有武器のうち一つ……」

 

 アヤは、資料内の武器の項目を指差す。

 そこには、『ツインブレード(仮)』という二刀流用の新武器と、

 

 『ジェットブーツ(仮)』と呼ばれる、靴のような外見をした新武器が図表付きで載っていた。

 

「……ジェットブーツは、『脚だけで戦う空中戦特化』の武器よ」

「…………」

「実戦配備はまだ先だけど……今ベータ版――試作機のテスターを募集しているわ」

「……アーヤ」

「まだ、戦いたいのなら。……あの子達の役に立ちたいのなら、志願してみるのも一つの手だとは思うわ」

 

 募集期間的には、おそらく問題ない。

 リハビリに一年かかるといっても、それは一年入院生活を送るというわけではないのだ。

 

 日常生活に支障が出ないようになったら、退院はできる。

 退院したら、アヤの家で執事として就職するつもりだったのだろうけど……。

 

 こういう道もあるよ、とアヤは示しに来たのだった。

 

 しかし。

 

「いや――いいよ」

「メーコ……」

「ウチは、遠慮しとく」

 

 そう言って、メイは布団に潜り込んだ。

 

 その言葉はアヤにとって意外でもなかったのか、さして驚いた様子は無く、立ち上がって布団の上からアヤの頭を撫でた。

 

「そうよね。一応言っておこうかと思って」

「…………何よ、予想してたの? てっきり未練タラタラなんだからアークスに復帰しろって言われるかと思ったわ」

「だって貴方――」

 

 頭を撫でながら、アヤは言う。

 断言するように、宣告する。

 

「戦うのが、怖くなったのでしょう?」

「…………」

「解散したあの日、色々と理由を捏ねてたようだけど、それが一番の理由なんでしょう?」

「……何、を」

 

 反論しようとして、反論しても無駄なことをメイは悟った。

 アヤは、メイの誰よりも深い理解者だ。

 メイのことに関していえば、シズクよりも察しがいいと言えるほどに。

 

「別に責めようとしてるわけじゃないわよ。あんな化け物相手に真正面から立ち向かって、怖くなかったわけがないんだもの」

 

 ファルス・ヒューナル。

 ダークファルス【巨躯】の人型戦闘形態。

 

 六芒均衡ですら単体で立ち向かうのは難しいといわれるそれに、メイは一人で立ち向かった。

 

 正確にはアヤもそこに居たが――実質メイ一人だったといえよう。

 一人で立ち向かって、そして生還した。

 

 もし両腕を断ち切られなかったら、ルーサーの勧誘を受けていたかもしれないほどの奇跡をメイは起こしたのだ。

 

「…………たまに夢に見るんだ、あの日のことを」

「うん……私もよ」

「あの時は無我夢中だったけど……アークスに戻るってことは、あんなのとまた戦う可能性があるってことで――」

 

 ウチは、それが怖くしてしかたない。

 そう言って、メイはより深く布団の中に潜った。

 

 もし後輩がここに居たら、絶対出てこないような弱音だ。

 

「あー、ウチがクラリーちゃんくらい才能に溢れたアークスだったらなー」

「クラリーちゃん?」

「クラリスクレイスよ。友達になったの……言ってなかったっけ?」

「初耳よ!?」

 

 流石の年下たらしっぷりを発揮しているメイであった。

 ヒューイはもう退院しているが、それでも時々遊びに来てくれる程度には仲良くなってしまったのだ。

 

「昨日もお見舞いに来てくれたんだよ。忙しいみたいだからそう頻繁には来ないんだけど……」

「今日は来てなくてよかったわ……六芒均衡なんて雲の上の存在と一緒にお見舞いとか冗談じゃないわ……」

「そんなに雲の上――なんて感じはしない子だったけどね」

 

 ひょこっと布団から顔を出しながらメイは言う。

 この子のこういうところは、素直に大物だと思うわ……とアヤはため息を吐くのであった。

 

 




連携特化。
実際のゲームでやったら地雷扱いされる戦法も、二次創作なら理屈を捏ね繰り回すことで使用可能になる素晴らしさ。

あ、修行シーンはカットです。
修行シーンを面白く書ける人は本当に尊敬するけど、私は面白く書ける自信が無いので。
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