戦闘不能から即座に回復するアイテム、無敵時間、PP自動回復、故にほぼ無限にレスタ使用可能、PBやAISによる超範囲に向けた超火力などなどチートにも程がある。
そんなアークスでも殲滅しきれないダーカーや倒せないダークファルス、そしてそのダークファルスを無限に量産できる深遠なる闇……。
PSO2ってインフレvsインフレだったんだなと改めて思いました。
さて、そんなチート揃いのアークス内でもぶっちぎりのチート、登場です。
「グレンテッセン!」
「ギ・ゾンデ……!」
「――ワンポイント」
「デッドリーサークル!」
「マスターシュゥゥゥゥゥゥット!」
剣閃が、雷撃が、銃撃が、黒き尖兵たちを葬り去っていく。
崩壊した市街地を十二人のアークスたちが、ダーカーを薙ぎ払いながら突き進んでいた。
無尽蔵に、無制限に沸いて出てくるダーカーは確かに厄介だ。
アークスの総数に掛ける一万をしても、ダーカーの総数には及ばないだろう。
ならば何故アークスが今までダーカーに滅ぼされなかったのか。
圧倒的な数の暴力というものに晒されながら、どうして生き延びてこられたのか。
その答えは、単純に明快。
個の強さ。
「シフト……」
鞭のようなポニーテールを振りまわしながら空を駆け、メイ・コートは愛銃の『Tヤスミノコフ2000H』を上下左右360度隙間なく乱射する。
が、しかしその弾はメイが周囲に貼ったフォトンの膜によって動きを止めた――ただし、運動エネルギーは保ったままだ。
「ピリオドー!」
瞬間、膜は消え無数に撒き散らかされた弾丸は一斉に全方位へと撒き散らされた。
その一発だけで、周囲に居た数匹のダーカーが消滅した。
「ちょっと、危ないわね」
そしてその弾丸の雨を軽く避けながら、黒髪姫カットの美女――アヤ・サイジョウは周囲のフォトンを身に集めて行く。
魔法――テクニックは主に大気中に存在するフォトンを利用して発動する。
そのための
「――ギ・グランツ」
アヤが手に持った月と時計を模した
瞬間、アヤを中心に六枚の光刃が花弁のように開いて周囲を切り刻む。
下半身と上半身が二つに別れたダーカーが、昆虫のような悲鳴をあげて消滅した。
「ふぅ……この辺りは片付いたかな?」
「やー流石にこれだけ人数いると楽だねえ」
余裕の表情で空中に着地し、メイは笑った。
確かに十二人という人数は、多く感じるがダーカーの数は数百である。
それでも余裕――そう、アークスというのは一人一人が一騎当千の猛者なのだ。
ただ一つの、例外を除けば。
「ぜぇ――ぜぇ――」
「うばー! 流石に疲れる……」
そう、新米である。
アークスの死亡率は新米に極端に偏っているのだ。
まだ周りと比べて弱いから仕方が無い話なのだが、新米が死亡しやすい現状は、アークスにとっても今後の課題だろう。
「はっはっは、懐かしいなぁ、ウチもこの前まであんな感じだった」
「いやでも一度も戦闘不能になってないなら優秀な方じゃない?」
「あ、あの……レスタをしてもらってよろしいでしょうか?」
頭から血を流しつつ、リィンはアヤにそう訊ねた。
アヤのクラスであるフォースは、所謂魔法使いであり当然
「はいはい、レスタ」
「おー……傷が治っていく」
緑色の風がアヤを中心に広がり、その範囲に入っていたシズクとリィンを癒していく。
傷は塞がり、体力も回復。
さらにレスタを唱えるためのフォトンは大気中から無限に賄えるのだ。
つまり数の暴力による消耗戦が全く持って通用しない。
――と、いうよりも、ダーカーという数の暴力が大得意の敵に対する技術が進歩した結果といえよう。
「――と、またお客さんだ」
メイが再びツインマシンガンを構える。
先ほど殲滅したエリアから五十メートルも移動していない十字路。
普段大都会の中心部として建設された道路なだけあってかなり広い面積だ。
その十字路に、ぎっちりとダーカーが詰まっていた。
中型のダーカーは、ダガンの母艦である『ブリアーダ』が約三十匹、便器のような形状が特徴の『カルターゴ』が約二十匹、先ほどシズクとリィンを一歩手前まで追い詰めた『プレディカーダ』が十匹その子型版である『ディカーダ』が二十匹。
小型の蜘蛛型ダーカー、『ダガン』に至っては最早数え切れない。
もしゲームだったら確実に処理落ちしているであろう大量のダーカーに、
十二人のアークスは、全く怯むことなく悠々と武器を取り出しながらそれに向かっていった。
「ほんっとう、……ヴォル・ドラゴンに負けるまでは私結構強い方だと思っていたんだけど……」
「うばー……一期上の先輩ってだけでこんなに変わってくるのかーって感じだよね」
その中で、シズクとリィンもそれぞれ武器を構える。
如何にアークスが一騎当千と言っても、これだけ数が居れば殲滅にはそれなりに時間がかかる。
当然新米である自分たちもそれ相応の働きをしなければならな――。
「うおー! お前ら前開けろー! 道開けろー! 『リン』の野郎が来るぞー!」
「「「「「「いいいいいいいいい!?」」」」」」
「え?」
「え?」
ならなくなくなった。
後方から、何か怪物からでも逃げてきたかのような形相の男がそう叫んだ瞬間、その場に居たシズクとリィン以外の全アークスが道を開けるように道路の隅に寄ったのだ。
「二人とも、こっち寄って!」
突然の事態に付いていけない二人も手を引かれ、道路の隅に移動する。
「え、ちょ――何が……」
「皆、ありがと」
静かに――だが凛としていて良く通る声が、響いた。
声の主は、『カースドコート』と呼ばれる黒いコートに身を包んだ一人の女性。
背の高く、美少年にも見える精悍な顔つきのヒューマン。
片目が隠れるように伸びた黒い前髪と、足元まで伸びたツインテール。
髪の隙間から見える赤眼で、大量のダーカーを見据えながら手に持った『サイコウォンド』と呼ばれる最強クラスの青く輝くロッドを構えた。
「フォイエ」
瞬間、直径十メートルは越えるであろう火の玉が十字路に居たダーカーを薙ぎ払った。
唱えたのは、ほぼ全てのアークスが最初に習うであろう初級炎テクニック。
直径一メートル程の火の玉を放ち、敵を攻撃する単純明快なテクニックである。
もっとも、それを大量のフォトンにより極限まで拡大させて十数メートルの火の玉にして放てるアークスなんて、彼女以外いないだろう。
一発のフォイエで半分以上消滅したダーカーを見て、シズクとリィンはあんぐりと口を開けた。
メイやアヤ、そして周りの先輩アークスたちを見て、『いつか自分たちもあの人たちのように』と思った。
そして同時に、『頑張れば達成できそうな目標』として見定めた。
だけど、あれは無理だ。
あれは規格外すぎる。
シズクは生涯を賭けても自分はあのレベルになれないことを察し、
極度の負けず嫌いであるリィンですら彼女に勝つのは諦めた。
「フォイエフォイエフォイエ……っとよし全滅、次行こう」
その後、似たような規模の炎弾を三発放って『リン』は十字路を右に曲がって去っていった。
「おーい! 待ってくれよ相棒!」
……と、その後を金髪の少年が追って行く。
どうやら彼女のパーティメンバーのようだが、彼女に振りまわされているのが見て取れた。。
「あー、行ったか……相変わらず馬鹿みたいな火力ねぇ彼女」
「はっはっは、見て見てアーヤ、この二人空いた口が塞がらないみたいよ」
「まあ当然よね……」
「アノ」
先に口を開いたのは、リィンだった。
シズクはいまだに固まっている……いや、
何かを、考えている。
「イマノハハイッタイ、ナンデスカ?」
「彼女は通称『リン』、ウチらの同期であり次期六芒均衡候補である――まあなんか凄い感じのやつよ」
「説明が雑! ていうか同期!?」
と、いうことはシズクたちの一期上な筈である。
つまりは数カ月先輩なだけである。
「な、な、な」
「深く考えては駄目よリィンちゃん、あれはマジで例外だから」
「そーそー、あれ多分神様から特典能力貰った異世界からの転生者とかそんなのだから」
「何? その設定」
「数年前に流行ったラノベの設定」
言って、メイとアヤは立ちあがった。
まだ任務は終わっていないのだ、十字路の右側は『リン』が行ったから問題ないだろうから左に曲がろうか、真っ直ぐ行こうかとメイとアヤは相談を始めた。
と、そこでリィンはいまだに固まったままのシズクに気付いた。
確かにさっきのにはびっくりしたが、そんな長時間固まる程か? とシズクの肩に手を置いた。
「シズク?」
「うば!? あ、えあ、リィン?」
「どうしたのそんな固まって、まだ任務は終わってないわよ?」
「い、いや何でも無いよ? ちょっとボーっとしちゃって」
「ふぅん? めずら――」
「おーい、そろそろ行動開始だよー」
メイに呼ばれ、二人は会話を打ち切って走りだした。
空はまだ黒ずんでいるものの、あちこちから聞こえていた戦闘音は大分おさまってきている。
市街地殲滅作戦の終わりも、近い。
はい、この作品でも他のPSO2作品の例にもれず『アナタ』さんこと『リン』ちゃん、チートです。
三桁以上のダーカーを薙ぎ払うフォイエとか使ってるけどサイコウォンド持ってるから当然だね、やっぱサイコウォンドは最高だぜ!
……え? サイコウォンドはエルダーからドロップ? まだエルダー出て無いじゃん?
細かいことは、ええやん?(ええやん?)