AKABAKO   作:万年レート1000

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イベント見ながらそれを文章に起こす作業が一番辛いっつーかめんどい。
どうせ原作やったことない人は見てないだろうから(中略)で済ましたい葛藤に駆られる。


再誕の日⑧

 黒いカマイタチを屈むことでかわし、口に咥えたカタナでリューダソーサラーのコアを突き刺す。

 

 そしてそのまま、顎の力と首の力を利用した力技で回転。

 ダーカーコアからカタナを引き抜くと、その反動を利用した蹴りでリューダソーサラーを吹き飛ばした。

 

 あら、何だか手を使わなくても意外と戦えてるわ、とライトフロウが自分でも意外そうにしながらもさあ次の相手は誰だとばかり視線をダーカーの群れに向ける。

 

 その視界に、妹が入った。

 

「あっ」

 

 動揺して、思わず口からカタナが零れる。

 ダーカーの群れの向こう側にいる青髪は見間違うことなくリィンであり、そしてその隣に居るのは相棒であるシズクちゃんだろう。

 

「お姉ちゃん! これを……!」

 

 リィンが、ダーカーの隙間を縫って何かを投げつけた。

 

 それはよく見ると、タリスのようだった。

 そういえば我が妹はテクニックが使えるんだっけかとライトフロウは、

 

「レスタ!」

 

 零れたカタナを、手に取った。

 

「――カンランキキョウ」

 

 遠慮なくフォトンアーツを振るい、ダーカーの群れを一掃する。

 

 両手さえ自由なら、数十のダーカー程度物の数ではない。

 これでもアークス内ではトップクラスの実力者なのだ。

 

「お姉ちゃん! どうしてここに……」

「リィン……」

 

 姉と妹が、向かい合う。

 が、姉は即座に踵を返した。

 

 絶対令(アビス)による指令は、まだ有効なのだ。

 

 両手が回復し、『リン』と同列に並ぶ討伐対象のダーカーが居ない今、ライトフロウの身体は『リン』を殺そうと動き出す。

 

「ちょ、ちょっとお姉ちゃん何処行くのよ!」

「うっば……! リィン! アナタのお姉ちゃんは絶対令に操られてる! きっと『リン』さんを倒しに行くつもりだよ! 止めなくちゃ!」

「…………」

 

 ともすれば。

 

 ライトフロウ・アークライトはこのとき再び両手を自傷し、自ら戦闘不能になれば絶対令から逃れられることができただろう。

 

 でも。

 それどころじゃないと分かっていて尚。

 

 姉は、妹に無言でカタナを向けた。

 

「リィン――私を止められる?」

「え?」

「これから『リン』を殺しに行く私を、止められるか訊いているの」

 

 リィンは――こんな状況なのに。

 一分一秒が惜しいこんな状況なのに、笑った。

 

 本当に嬉しそうに、笑った――!

 

「勿論、止めてみせるわ」

 

 それを聞いて、ライトフロウも嬉しそうに微笑む。

 

 分かっている。

 理解している。

 

 こんなことしている場合じゃないと。

 

 でも、一度火が点いた闘争心を抑えられる気がしなかった。

 

「シズク、私が何を言いたいかわかる?」

「……『ここは私に任せて先に行け』?」

「ええ、その通り」

「…………」

 

 この先の通路に、ダーカーの気配は無い。

 

 『リン』たちが殲滅した直後なのだろう。

 ここから先は戦闘の心配が無さそうだ。

 

「大丈夫? 連携特化じゃないと勝てる相手じゃないでしょう」

「『リン』さんが全てを解決するまで私が耐えれば勝ち、でしょ? それなら勝機はあるわよ

 私はマリアさん相手に一時間粘った女よ?」

「うば……確かに、そうだね……」

 

 言いながら、リィンはもう待ちきれないとばかりにソワソワしている。

 ふと見るとライトフロウも同じ感じでソワソワしているようだ。

 

 血は争えない。

 実は似たもの姉妹なんじゃないか、とシズクは呆れながらリィンを置いて駆け出した。

 

「負けたら承知しないからねー!」

 

 言いながら、シズクはライトフロウの横をすり抜けて奥地へと向かっていく。

 

 姉はそれを素通りさせて、でもリィンは通さないとばかりに通路を塞いだ。

 

「……ねえお姉ちゃん、もしかして絶対令効いてるフリしているだけじゃないの?」

「いやねぇ変なこと言わないでよ。『リン』は殺す。……殺すけど邪魔が入るならしょうがないしまずは邪魔者を排除しなくちゃいけない……ただそれだけでしょ?」

「……そーいうことにしといてやるわ」

「ねぇリィン」

 

 リィンに差し向けたカタナを鞘に一度戻しながら、ライトフロウは言う。

 

「ありがとうね、私を助けてくれて」

「…………」

「……私が死んだとき、どう思った?」

「ふざけんなって思ったわ。それと色々面倒なことになって面倒だなって」

「……悲しくは、なかった?」

 

 深く腰を落として、ライトフロウはカタナに手を添えた。

 それに対抗するようにリィンもソードを構える。

 

 息を吸い込んで、右足に重心を乗せて、駆けながら、

 

 

 リィンは叫んだ。

 

 

「――悲しかったに、決まってるじゃない!」

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。

 

 マザーシップ中心部にて、『リン』たち五人を待ち構える者がいた。

 

 それは、アークス最強の三人。

 三英雄と呼ばれるマザーシップの守護神。

 

 レギアス、カスラ、クラリスクレイス。

 

 その三人と『リン』一行が、現在戦闘中である。

 

「……衰えてはいないようだな」

「それはこっちのセリフだよ。事務仕事ばかりしてたんならちょっとは鈍ってろ」

 

 レギアスvsマリア。

 

 アークス最強の男と、アークス最強の女。

 その二人が、互いに手を抜きながらの剣戟を交わしていた。

 

 手を抜くのは当然だ。

 この二人が本気でぶつかり合えば――少なくとも此処、マザーシップ中心部は消し飛ぶだろう。

 

「……ヒューイ。お前はどうして、そっちにいるんだ。私は、こっちにいるのに……!」

「クラリスクレイス……まだ、クラリッサの声を聞いているのか……?」

 

 クラリスクレイスvsヒューイ。

 

 ヒューイを慕う女の子と、クラリスクレイスの教育係。

 仲良し――である。故に、互いに手を出さず睨みあいが続いていた。

 

「……誰も彼も攻めあぐねていますね。本気でぶつかるわけにもいかずといった感じですか。

 まあ、レギアスとマリアさんが本気でぶつかったら、ここが消える。そんな事、するわけがない」

 

 そして。

 

 カスラvs『リン』&マトイ&エコー。

 

 三人からの攻撃を――カスラは華麗にいなしていた。

 

 防戦一方だが、リィンみたいな防御特化とは全然違う。

 

 いなし、すかし、誤魔化し、誘い、避ける。

 

 ただし攻撃はまるで児戯のようなもので、三人に決定的な攻撃を加えたりはしない。

 

 まるで時間を稼いでいるようだ。

 

 しかし。

 たった一人、エコーだけはその時間稼ぎの戦闘ですら苦戦し、地に膝を崩していた。

 

「クラリスクレイスも、アークスとの戦闘なんて考えていなかったでしょうし。ま、仕方がないでしょうね……そういう意味では、一番効率よく戦えそうなのは私なのですが……いやはや、そう上手くはいきませんね」

 

 カスラは言いながら、ちらりと目線を『リン』とマトイに移す。

 

「『リン』さん。そちらのお嬢さんも見事なお手前です。皆が一目置くのも頷ける」

 

 言って、今度は視線をエコーに戻した。

 

「ですが、そちらのかたは正直、期待はずれと言いましょうか……分不相応と言いましょうか……」

「うるっ……さいっ……!」

「才を見れば、補助役が適性なのに接近戦闘を試みるとは……ゼノさんの真似でもしているんですか?

 彼だって、本来の適性を伸ばしていれば【巨躯】との戦闘にあっても遅れは取らなかったでしょうに……『リン』さんの傍にいる方々は、こぞってそのように足を引っ張ってしまうんですね?」

 

 小馬鹿にするような、カスラの言葉。

 しかし、的は得ている。今のエコーは、『リン』の邪魔にしかなっていない。

 

 志は立派だろうと、そこに力が無くては何の意味も無いのだ。

 

「……でも、それじゃあ誰も守ることができなかった」

 

 エコーは苦しそうにしながらも、ゆっくりと顔を上げる。

 

「ゼノは生き残れたかもしれない。けど、他の人を守ることができない。それじゃ、意味がないの」

「なんだよ、よく分かってんじゃねえかエコー」

「当たり前でしょ、ゼノ。あたしが何年ゼノと一緒にいると……――え?」

 

 目を見開いて、振り返る。

 

 それと同時に、ぽん、と頭に手を置かれた。

 大きくて頼もしい、何よりも安心する手。

 

 ゼノの手が。

 ゼノが、そこに居た。

 

 六芒均衡の紋章を入れた赤と白の戦闘服に身を包んで、

 腰に見たことも無いほど鮮やかな闇色のガンスラッシュを携えて。

 

「よう、久しぶりエコー。それに、『リン』もな」

「…………! ぅ、あ……!」

 

 驚きすぎて、声が出ない。

 理解が後から追いついて、じわりじわりと涙が目尻に溜まっていく。

 

「悪いな、来るのが遅れちまって。この武器、なかなか言うこと聞かなくてギリギリになっちまった……」

「…………」

「……おい、エコー? エコー? エコーさーん?」

「ゼノ……」

 

 おちゃらけた様子で声をかけてくる彼に、ようやく一言搾り出せた。

 次いで、手に持っていたソードを地面に落として、目尻に涙を浮かべたまま手を振りかぶった。

 

「おっ、やっと反応した。なんだよ、その……」

「っ!」

 

 そして、ビンタ。

 ゼノの頬目掛けてエコーのビンタがクリティカルヒットした。

 

「ってえ! なにしやがる!」

「バカ! バカバカ! バカッ! 生きてたんなら連絡しなさいよ! すぐに帰ってきなさいよ!」

 

 あたしがどれだけ待ったと思ってるのよ! と。

 

 ひとしきり叫んで、エコーは倒れこむようにゼノの胸へと飛び込んだ。

 

 もう、色々と限界だったのだろう。

 意地と勇気だけで立っているような、状況だったのだろう。

 

 涙をボロボロと流すエコーの頭をゼノは優しく撫で、愚痴も気持ちも全てを受け止めて。

 

 エコーは戦線離脱し、ゼノが参戦した。

 

 新たな六芒の四の、初めての表舞台(おひろめ)である。

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