AKABAKO   作:万年レート1000

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グワナーダ「あれ?」
スノウ夫「俺達の」
スノウ妻「出番は?」
マイザー「ウィーンガシャンウィーンガシャン」

キャタドラン「あ? んなもんねぇよ」


Episode1 第2章:大日霊貴
数カ月後


 地下坑道エリア。

 

 岩と砂で構成された、惑星リリーパの地下に存在する広大な空洞を利用した坑道だ。

 

 なんのために作られたのか、なんのために存在しているのか一切不明。

 そこにはもう人の気配はなく、ただ機甲種と呼ばれる数多の防衛ロボが闊歩する機械の国に成り果てているのであった。

 

 そんな坑道エリアの一角。

 坑道という名の通り、蟻の巣のように張り巡らされた幅の狭い通路を抜けた先に、そいつはいた。

 

 巨大戦艦ビッグヴァーダー。

 約ヴォル・ドラゴン十六匹分に比肩する超弩級の機甲種だ。

 

 正面にはあらゆるものを塵に還すレーザー砲が四門。

 その死角をカバーするように左右二門ずつ、合計四門の機銃が配置されている。

 

 側面には左右それぞれ三門ずつ、機銃と地上から艦上までカバーできる可変式のロケット砲が睨みを利かせているようだ。

 

 さらに、武装は艦上にまで配置されている……と、いうより艦上のほうが多い。

 

 合計十二門のミサイルハッチに火炎放射機四門、

 さらにエネミーの核にして本体のクレーンロボには肩にミサイル二門、腰に機銃四門、腹部にはレーザー等々を放てる大砲……。

 

 まさに、巨大戦艦。

 

 そう言わざるをえない超兵器だ。

 

 ヴォル・ドラゴンのような、自然に生まれた強者とは違う人殺しの兵器。

 

 知的生命体が、知的生命体を殺すためだけに産み出した心無き強者。

 

 そんな。

 

 そんな超弩級戦艦の、さらに上空。

 地下坑道の天井スレスレの高さで、ポニーテールの少女ーーメイ・コートは舞うように両手のツインマシンガンを構えた。

 

「バレットスコール!」

 

 銃弾の雨が、ビッグヴァーダーに降り注ぐ。

 

 常識では考えられないほど堅牢なビッグヴァーダーの装甲は、そんな豆鉄砲など通しはしない。

 

 だが、ミサイル発射口や機銃などは別だ。

 稼働部である以上、壊す方法はいくらでもある。

 

 肩口にある二門のミサイル発射口は、銃弾の雨に降られ爆発。

 粉々に砕け散った。

 

「うわー、メイ先輩居ないと思ったらあんな高いところまで……」

「馬鹿だから高いところが好きなのよあの子」

 

 黒髪姫カットの麗人ーーアヤ・サイジョウが呆れたように溜め息を吐く。

 壊し辛い箇所である肩口ミサイルを破壊したというのに、酷い言い草だ。

 

「ラ・グランツ」

 

 冷静な口調のまま、アヤは手に持ったトワイライトムーンというロッドを振るう。

 

 放たれた光のビームは、クレーンロボの腰部分に着いている機銃を正確に射抜き、破壊した。

 

 戦闘開始から数十分。

 四十五あるビッグヴァーダーの武装は、アヤとメイ二人だけで半分まで減らされていた。

 

 そしてーー

 

「アディションバレット!」

「ノヴァストライク!」

 

 ブラオレットから放たれた散弾と、横方向に回転しながら放たれた斬撃が、左右それぞれのミサイルハッチを薙ぎ倒した。

 

 これで残りの武装は三つ。

 クレーンロボのアームと主砲を残すのみ。

 

 如何に強力な武装を持とうとも、

 如何に大量の武装を持とうとも、

 

 ビッグヴァーダーは、対人兵器ではない。

 巨大戦艦という括りは、人の形をしながらも人為らざるアークス相手には相性が悪すぎるのだ。

 

 射角外から主砲を壊され、機銃の死角を衝かれ艦上への浸入を許し、

 ホーミング性能を持たないミサイルは見てから回避されリロードの隙を衝かれ壊された。

 

 そんな絶望的な状況でも、愚直なAIは尚も攻撃行動を続ける。

 

 撤退を命じる司令官も、奇策を弄する艦長もいない。

 

 何より可哀想なのは、そんな状態を嘆く感情すらないことだろう。

 

「『チェイントリガー』! からのバレットスコール!」

「『フォトンフレア』……! 喰らいなさい、イル・グランツ!」

 

 銃弾と光弾の嵐が、威力上昇系スキルを纏って放たれる。

 

 クレーンロボのアーム部分は結合部をあっけなく破壊され、音をたてながら地面へと転がり落ちた。

 

 せめて一矢報いようと(そんな感情もないのだが)、ビッグヴァーダーは腹部に隠した最後の武装である大砲を剥き出しにした。

 

 少しのチャージの後、蒼白い極太レーザーが盤面を凪ぎ払うように放たれる。

 

「リィン!」

「ええ!」

 

 が、それすらも阻まれた。

 

 斧のようなソード――ザックスを前に掲げ、ジャストガード。

 それによって、リィンの後ろに咄嗟に隠れたシズクも無傷に終わる。

 

 アヤはフォースの武器のみ使えるミラージュエスケープと呼ばれる技術でレーザーを回避し、

 メイはそもそもビッグヴァーダーの背丈以上の高度にいるので当たらない。

 

 どんなに発展した科学だろうと、フォトンのような超お手軽永久機関エネルギーでも使わない限り、弾を放った後は隙ができる。

 

 ビッグヴァーダーが、大砲を装甲の中に再び隠すまで約五秒。

 

 チーム【コートハイム】は、その隙を逃すような、素人アークスの集まりではない。

 

 瞬時に大砲へとシズクの放ったウィークバレットが着弾した。

 

 その瞬間、メイは急降下しながら武器をツインダガーと呼ばれる逆手持ち二刀流の武器に持ち変える。

 『クロススケア』という、十字型の刃が特徴的な武器だ。

 

「フォールノクターン!」

 

 急降下の勢いを利用した斬撃は、ウィークバレットの効果もあって容易く大砲を根本から切り落とした。

 

「ラ・グランツ!」

 

 一拍遅れて、アヤのテクニックが突き刺さる。

 

 それによって、クレーンロボが部品を幾つか飛ばしながら小さく爆発した。

 どうやら、腹部を出し隠しする装甲の稼働部が壊れたようだ。

 

 装甲内の弱点(コア)が、丸見えだ。

 シズクは容赦なくそこにもウィークバレットを撃ち込む。

 

 武装を全て奪われたビッグヴァーダーに、出来ることはもう一つもない。

 とどめとばかりに、リィンはビッグヴァーダーの身体を駆け上がり、武器にフォトンを込める。

 

 リィンの髪と同じ色をした、青い光刃がザックスから立ち上った。

 

「オーバー……エンドォオオオオオオオ!」

 

 降り下ろされたフォトンの刃が、コアを貫き破壊する。

 

「――――」

 

 一瞬の静寂の後、クレーンロボの頭が爆発して吹き飛んだ。

 

 それを機に、ビッグヴァーダーの身体が、歯車が、ネジが、

 ありとあらゆるビッグヴァーダーを構成していた部品がはぜて飛んでいく。

 

 チーム【コートハイム】の、勝利だ。

 

「いぃやっほぉーい!」

「うばっ」

「きゃっ」

 

 歓喜の声をあげながら、メイは後輩二人に飛び込んだ。

 

 がしり、と肩を寄せて抱き締める。

 

「シズク! ウィークバレット上達してきたな! リィンもとどめのタイミングいい感じだったぞ!」

「あ、ありがとうございます」

「ありがとうございま……あっ」

 

 先輩に褒められて、照れるリィンとシズク。

 が、しかし何かを察したようにシズクがサッと顔を青くした。

 

「ちょ、せんぱ」

「いやー! 今日は祝勝会だね! シズクのご馳走楽しみにしてるよ!」

「や、やめ……離し……」

「おっと」

 

 メイの腕を押し退け、逃げようとしたシズクだったがそれは拒まれた。

 シズクを抱き締める腕の力は、最早攻撃行為と言えるほど力が籠っているようだ。

 

「? どうしたのシズク?」

 

 と、リィンが疑問符を浮かべた瞬間、リィンの足元が小さく爆発した。

 そこでようやく周囲を見渡し、リィンも何かに気付いたように声をあげた。

 

「ば、爆発する?」

 

 そう、ビッグヴァーダーは機械である。

 それも、火薬を大量に積んだ巨大兵器である。

 

 そんなものが壊れたら、どうなるかなんて自明の理。

 

 大 爆 発

 

 である。

 

「うばー! 離せー!」

「ちょ、やだ、先輩離して!」

「うわっはっは、いやいやビッグヴァーダー初見と言ったらこれでしょう。体験しとかないと損だよ? 天井スレスレまでフライハイすることなんてそうそうないよ?」

「そんな体験で喜ぶのなんて先輩だけでーー」

 

 す。と最後までセリフを紡げなかった。

 

 足元からの大爆発が、全ての声を掻き消した。

 シズクとリィンの悲鳴も、メイの歓声も。

 

「やれやれ……」

 

 天井スレスレまでフライハイした三人を見上げながら、一人こっそりと大爆発から逃れていたアヤは苦笑しつつも、フォトンを溜め始める。

 

「レスタ、チャージしときましょうか……」

 

 爆発音が止んで、二人分の悲鳴と一人の歓声が段々と近づいてくることを感じながら、アヤは少し楽しそうに呟くのであった。

 

 




グワ・スノ夫・スノ妻・マイザー・キャタ「かませさんチィーッスwwww」

ビッグヴァーダー「うぅ……SH帯なら……! SH帯なら……!」
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