AKABAKO   作:万年レート1000

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いつか活用したかったチームルームの温泉拠点。

これからもちょくちょく出していきたいです。



湯船で髪や身体を洗っていますが、海外だと普通らしいです。


所謂温泉回

「シャワーが浴びたいわ」

 

 昨夜から引き続き、リィンのマイルーム。

 【コートハイム】の四人で、ソファに座りながら遅めの朝ごはん中である。

 

 そんな中、寝起きで半目のアヤが一日お風呂に入らなかったことでベタベタの黒髪を撫でながら呟いた。

 

「ああ、ウチもウチも」

 

 同じく昨日お風呂に入らなかったが故に髪がベトベトな……ていうかそれ以前に寝起きの所為で髪がボサボサなメイが同意するように頷いた。

 

 彼女らの手には、シズクが買ってきてくれたハンバーガー。

 メイがチーズバーガー、アヤがてりやき、リィンはダブルバーガーである。

 

「リィン、悪いんだけどシャワー貸してくれない?」

「勿論構わないですよ」

「よっしゃ! リィン一緒に入ろうぜ!」

 

 お風呂イベントお風呂イベント! と叫びながらメイはリィンの肩を抱いた。

 その行動に、シズクの眉がぴくりと動く。

 

「め、メイ先輩。恋人同士なんだからアヤ先輩と入った方がいいのでは?」

「え? いやだってアーヤとお風呂一緒に入るとエッチなイベントが始まっちゃうし……」

「後輩の部屋のシャワールームで盛るほど見境なくないわよ」

「メイ先輩、確かにアヤ先輩は清純派AV女優みたいな顔してますけどそんなこと言ったら失礼ですよ!」

「その喧嘩買ったわ」

 

 魔法職(フォース)とは思えぬ俊敏な動きでシズクを捕らえ、チョークスリーパーを決めるアヤ。

 何故あたしにぃぃぃいい、とシズクが悲鳴をあげたが全面的にシズクが悪いと止めるそぶりすら見せないメイであった。

 

「……あの」

「ん?」

 

 おずおずと、リィンは手をあげた。

 あ、これはいつものやつだな、とメイは上手い誤魔化しを考え始める。

 

「AVって何の略ですか?」

「……アニマルビデオ、つまり可愛い動物を見て癒される動画さ」

「成程……」

 

 清純さをイメージさせる、白いワンピースを着て動物たちに囲まれるアヤを想像する。

 

 少し、見てみたいかもしれないと思った。

 

「……っと、シャワーでしたね。今ルインに用意させます。ルインー」

「話は聞いていました」

 

 ひょこっとシャワールームがある部屋からルインは顔を出した。

 どうやら風呂場の準備をしていたらしい。ほんと口が悪いことを除けば優秀なサポパだ。

 

「ですが、少し問題が発生しました」

「? 問題?」

「はい……」

 

 ちらり、とルインはメイの方を見る。

 と、いうよりも、メイが持つその長い長いオレンジ色の髪を。

 

「シャンプーが残り少なかったので、足りるかどうか……」

「あー、メーコホント髪長いのよねぇ」

 

 メイの髪は降ろすと立っていても地面に着いてしまうほど長いのだ。

 当然、シャンプーの消費量もそれ相応になろう。

 

「今から買ってきましょうか?」

「そうねぇ、日用品はマイショップで買えないのよねぇ……」

「あ、そうだ」

 

 と、そこでメイが良いことを思いついた、と言わんばかりに電球を頭上に浮かべた。

 

「アーヤ。『あれ』使ってみない?」

「『あれ』?」

「ほら、チームルームの……」

「……ああ、成程」

 

 メーコにしては良い提案ね、とアヤは頷いた。

 

 そのやりとりに、リィンはハテナを浮かべる。

 

「? あの、何の話かは分かりませんが……」

「ん?」

「シズクが白目で泡吹いてるので離してあげてください……」

「あっ」

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 チームルーム、について今更ながら解説しよう。

 

 チームルームというのは、どんな小規模チームにでも一チームにつき一つ与えられる小型船のことだ。

 【コートハイム】は小規模かつ、リィンの部屋が集まりやすかったからあまり使っていないが、本来ならチームの集会などはこのチームルームで行われるのが一般的なのである。

 

 普段はアークスシップの周りを漂っているのだが、『チームポイント』と呼ばれるポイントを消費することによって『拠点』と呼ばれるアークスシップ船内に作られた様々なエリアに停泊することができるのだ。

 

 『拠点』の種類はわりと豊富であり、ナベリウスの森林エリアを模した『森林拠点』、凍土エリアを模した『凍土拠点』、リリーパの砂漠を模した『砂漠拠点』など、アークスシップに足りない『自然』を楽しめるものが多い。

 

 そう。

 

 もうお察しの方もいるだろう。

 

 チームルームに設定できる様々な『拠点』。

 その中には『温泉拠点』、というものが存在するのだ。

 

「おー、こりゃ立派なもんだな」

「うばー! 温泉、だー!」

「うっわ、凄いわねこれ」

「こ、これが温泉……」

 

 【コートハイム】の四人は、口々に賞賛の声をあげた。

 

 まず目につくのは、拠点の中央に鎮座する温泉山。

 シャンパンタワーのようにその山頂からお湯が沸き出ており、そのお湯が麓にあるいくつもの岩でできた湯船の湯を満たしていた。

 

 さらに、左右両脇には滝まで備わっており、砂風呂すら置いてある。

 無作法に、それでいて理論的に置かれた岩や草木等の自然物は、人工物に囲まれて育ったアークスらに風情を感じさせるに十分な仕事をしていた。

 

「うばー! あたしが一番乗りだー!」

「いや待てウチが一番乗りだ!」

 

 予想通りというか何と言うか、メイとシズクは服を脱いで飛び出した。

 

 バスタオルすら巻いていない、完全な裸である。

 

「ちょっとメーコー! シズクー! 更衣室くらい使いなさいよー!」

「他に誰もおらんしいいじゃーん!」

「いーじゃーん!」

 

 早速温泉山の頂上目がけて走るメイとシズクの後姿を見ながら、アヤは溜め息を吐いた。

 

「全く……リィン、私たちはちゃんと更衣室で着替えてから行きましょう」

「ひゃいっ!?」

「何その反応…………まさかリィン、アナタもああやって飛び込みたいとか言うんじゃ……」

「い、いえ、違いますよ! ただ、その……」

「?」

 

 顔を赤くし、口ごもるリィン。

 そんな赤い顔を隠すように両手で顔を覆い、リィンは小さく呟いた。

 

「…………シズクの裸にばかり目が行ってしまって……」

「……あー」

 

 気持ちは分からなくもない、と頷くアヤ。

 見慣れている筈なのに、ついついメイの裸を目で追ってしまっている。

 

「私は変態なのでしょうか……」

「大丈夫よ、全然普通のことよ。女性同士の特権ってことで好きなだけガン見しときなさい」

「いやそれもどうかと……」

 

 言いながら、二人は更衣室に向かった。

 まあ更衣室と言っても、脱いだ服はアイテムパックに入れておけるのでほぼ形だけなのだが。

 

「おーい! リィンも早くおいでよー!」

「アーヤも早くー!」

「はいはい今行くわよ!」

 

 急かす声に引っ張られるように、アヤとリィンは更衣室を出る。

 

 バスタオルを、身体に巻いて。

 

「…………」

「…………」

「何よ、二人とも固まっちゃって」

「うぉおおおおおお! バスタオルなんて巻いてんじゃねぇー!」

「うばー! そうだそうだはぎ取れー!」

 

 拳骨音が二つ、響いた。

 

 誰が誰を殴った音かなんて言うまでもないだろう。

 

「……ったく」

 

 頭にタンコブを作ったメイとシズクが、水死体のように温泉に浮かぶのを横目で見ながら、アヤとリィンはゆっくりと肩までお湯に浸かる。

 

 身体を包む温泉が、心地よい。

 思わず頬が緩むほどに。

 

「温泉ぐらいではしゃぎすぎなのよアナタ達……ていうか温泉ははしゃぐものじゃないでしょ」

「だって山とかあるとは思わなくてテンションあがっちゃって……」

「温泉とか久しぶりだからテンションあがってしまいまして……」

「はいはい、とりあえずシズクもバスタオル巻きなさいな」

「? どうしてですか?」

「リィンがガン見してるわよ」

「「!?」」

 

 バッと瞬時に胸を隠しながら、シズクはリィンの方を向いた。

 

 それと同時に、リィンも視線を大きく逸らす。

 

 ……が、直前まで見ていたことはバレバレである。

 シズクの頬が、カァっと赤く染まる。

 

「り、リィン……」

「あ、アヤさん! 変なこと言わないでくれます!?」

「えー?」

 

 にやにやと、顔を歪ませるアヤ。

 非常に楽しそうである。実はこの人もテンションあがっているんじゃないのか。

 

「と、とりあえずバスタオル巻くことにします……」

「…………」

「リィン、そんな残念そうな顔しないの」

「してません!」

 

 アヤの言葉を、即座に否定しリィンは立ち上がった。

 ざぶざぶと音を立てて温泉内を歩きだす。

 

「何処行くの?」

「髪の毛洗ってきます!」

 

 言って、キョロキョロと山の頂上から拠点を見渡す。

 髪を洗うための、シャワーを探しているのだ。

 

 が、シャワーが見当たらない。

 リィンは首を傾げた。

 

「……? あれ? ここシャワーって無いんですか?」

「あ。配るの忘れてたわ、はいこれ」

 

 アヤのアイテムパックから、桶が四つ飛び出た。

 

 小型のシャンプーとボディソープ、それとハンドタオルが中に入っている普通の木桶だ。

 

「何です? これ」

「桶よ、それでお湯を掬って髪を洗うの」

「ふーん、シャワーのが楽だと思うんですけど、なんでこんなものがあるんですかね?」

「風情ってやつじゃない? 私もよく分からないけど」

 

 現代っ子な発言をしつつ、リィンはそれを受け取り、温泉山を滑り降りた。

 

 麓に幾つもある湯船の一つに入り、その脇に桶から取り出したシャンプーとボディソープとハンドタオルを置く。

 

「リィンー」

「ん?」

 

 と、そこで上からメイの声が聞こえた。

 

 何かまだ渡すものでもあったのかな? と山頂を見上げた直後。

 

 空から降ってくる全裸のメイが、目に入った。

 

「え、ぇえええええええええ!?」

「ひゃっほーっい!」

 

 ざぶーん! と大きな湯柱をあげながら、着湯。

 

 勿論これくらいでアークスは怪我はしないが、立ち上がった湯柱は近くにいたリィンに容赦なく降り注ぐ。

 

「ちょ、げほっ、危ないじゃないですか! 衝突したらどうなると思ってるんですか!」

「ラッキースケベなイベントが起きる?」

「普通に怪我しますよ! ていうかメイさんも前くらい隠してください! 色々と丸見えなんですよ!」

「大丈夫、謎の光が局部は守ってくれてる筈だから」

「意味わかんないですよ!」

 

「こらこら」

 

 ボケが暴走し始めたメイを嗜めるような声が、近くから聞こえた。

 

 声の方を見れば、桶を持ってリィンと同じように山を滑り降りてきたアヤとシズクの姿が見えた。

 

 どうやら二人も髪を洗いに来たらしい。

 

「さっき、あまりはしゃぎすぎないようにって言ったばっかでしょ」

「メンゴメンゴ」

 

 そんな軽過ぎな謝罪をしながら、メイは髪紐を解いた。

 ばさりと、メイの長いオレンジの髪が湯船に落ちる。

 

 地面に余裕で着くほどの長さだ。

 見るたび思うのだが邪魔じゃないのかこれ。

 

「アーヤー、洗うの手伝ってー」

「仕方ないわねぇ、もう」

「あ、シズク、リィン、シャンプー余ったら貸してくれ、多分このちっさいのだと足りない」

「え? はあ、まあいいですけど……」

 

 拠点に据え置きで付いているシャンプーは普通なら五回分くらいの量が入ったものだ。

 それで足りなくなるとか、どんな分量だと言いたくなる。切ればいいのに。

 

 でもここまで伸ばしていると、なんかこだわりがあるのだろうし下手に口を挟むのもなぁっとリィンが逡巡していると、シズクがあっさりといつもの笑顔で口を開いた。

 

「先輩その髪切らないんですか? 普通に邪魔だと思うんですけど」

「あっはっは、流石シズク、直球だねぇ」

 

 幸い、特に触れられて怒るような話題じゃなかったようだ。

 いや、シズクの場合それを察していたのかもしれないが――兎も角メイは笑顔を浮かべている。

 

「アーヤが髪が長い方が好みらしくてね、伸ばしてるのよ」

「メーコ」

「あだっ、いいじゃん別にこれくらいー」

 

 軽いチョップがメイの後頭部を襲った。

 

 チョップを放ったアヤの頬は、少し赤い。

 

「あ、そうだ」

 

 と、そこでシズクが思い出したように、人差し指を立てた。

 

「前からちょいちょい気になってたんですけど、お二人って幼馴染なんですよね? どういった経緯でお付き合いすることになったんですか? どっちから告白したんですか?」

「おおう、恥ずかしいこと訊くねー」

「うっばっば、まあ乙女ですし色恋沙汰は気になるものですよ」

 

 言いながら、シズクはボディソープを手に取り身体を洗い始めた。

 

 髪よりも身体から先に洗う派らしい。

 

「…………んー」

「…………」

 

 話していいかな? っとメイはアヤに視線で語りかけ、アヤは静かに頷いた。

 

「そうだね、あれは……」

 

 目を閉じ、思い出しながら過去を綴る。

 

「忘れもしない……あれは、七年前…………いや、六年……あれ? 八年前だっけ?」

「曖昧じゃないの」

「兎に角ウチが――

 

 ――アーヤの家の、執事をやってた頃の話だ」

 

 




正直小説だと温泉回言われても肌色が見えないからなー。(チラッ
こう、最初にイがついて最後にトが付く四文字の何かがあればなー。(チラッ


まあチラ芸は一回してみたかっただけなのでそれは置いといて。

次回、メイとアヤの過去回です。
多分。
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