AKABAKO   作:万年レート1000

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暴走龍編の途中ですが、デパート編突入です。

エピソード1最後の日常パート(予定)です。
貼りたい伏線や、やりたいネタを全部やるつもりなのでファルスアーム戦並みに長くなるかも。

尚導入部なので今回は短めです。


SGNMデパート

 アークスシップ・市街地エリア。

 

 そこには一軒のデパートが存在する。

 文字通り、一軒のみだ。アークスシップにデパートという存在はそこにしか無い。

 

 何故チェーン店を出さないのか? ――出す資金が無いからだ。

 では儲かってないのか? ――否、単純に、この店をもう一つ建てる金が莫大すぎるだけだ。

 他にデパートが無いのは何故なのか? ――勝ち目など、無いからだ。

 

 『SGNMデパート』。

 正式名称スペシャルグレイテストネオスフィアミラクルデパート。

 

 買い物? ネットショップで済ませればいいじゃん、という意見に真っ向から喧嘩を売っている古くからの手売り形態をとっている店舗であり、『買い物する楽しさ』に重点を置いていることが特徴的だ。

 

 商品を手にとって、見て、眺めているだけでも楽しい。

 

 そんなコンセプトの赴くままに増築や新企画をどんどん採用していった結果。

 

 何故かカラオケやボーリング、遊園地などの娯楽施設を詰め込んだ超巨大娯楽集合施設になったという伝説を持つデパートである。

 

 いやもう、ホントどうしてこうなった。

 とは現経営者の口からつい漏れ出た言葉である。

 

 

「おーい、こっちこっちー!」

「うばー、いたいた」

 

 とまあ、そんな化物デパート(最早デパートと言っていいのか定かではないが)の前に少女が七人。

 【コートハイム】の四人と【アナザースリー】の三人である。

 

 既に入口前で待っていたマコトたちに、シズクは手を振りながら駆け寄る。

 

「待った?」

「いや、今来たとこだよ」

 

 そんなテンプレなやり取りをしながら、両チームは向き合う。

 

 各チームリーダーであるメイもマコトが前に出て、握手を交わした。

 

「今日はよろしくね」

「はい、こちらこそ」

「じゃあ早速だけど入ろっか、立ち話もなんだし……なにより――」

 

 くるっ、とメイは後ろを振り向く。

 

 目線の先には、目を輝かせながらデパートを見上げるリィンの姿があった。

 

「一人、待ちきれない様子の子がいるし」

「あはは……」

 

 かつてあった、リィン・アークライトへの無表情で素っ気ない怖そうな子という印象。

 その印象と今の姿のギャップに、マコトは苦笑するしかなかった。

 

「リィン!」

「は、はいっ!? 何ですか?」

「いや、入場口こっちだから、おいで」

「わ、分かりました!」

 

 嬉しそうにぱぁっと笑顔を見せるリィン。

 

 余程楽しみにしてたのだろう、目の下には若干隈が見える。

 

(遠足前の小学生かよ、萌えるわ)

「ま、まず何処に行きますか? ボーリング? カラオケ?」

「そう急くな急くな、まずは……」

「SGMNデパートへ、ようこそニャウ!」

 

 入口の自動ドアを潜り、デパート内に入った瞬間何かが一行の前に飛び出した。

 

 明らかに胴体と比べてでかい頭。

 その頭と同じかそれ以上の高さを持つ耳。

 毛むくじゃらの全体。それともさもさの尻尾。

 

 極めつけに貼りつけたような笑顔の表情。

 

 ニャウ、という猫の様な生物を模したきぐるみだ。

 一部からは好評を、大部分からは不評を貰っているSGNMデパートのマスコットキャラクターである。

 

「え、エネミー!?」

「にゃ、ニャウ!?」

 

 思わず武器を構えるリィン。

 突如来場客に武器を向けられても口調がそのままなのは流石のプロ根性といえよう。

 

「違うニャウ! ボクはエネミーじゃないニャウ!」

「リィン、良く見てみて、ただのきぐるみだから」

 

 いつの間にかニャウの後ろに回りこんでいたシズクが、ニャウの背中を指差す。

 そこには小さくて分かり辛いが、確かにチャックが見えた。

 

「そ、そこは見ちゃ駄目ニャウ!」

「き、きぐるみ……これが……」

 

 武器を仕舞い、ニャウにリィンは近づいた。

 モフモフの手を取り、にぎにぎとその感触を確かめる。

 

「おお……」

「そ、そんな手を握られたら照れちゃうニャウ~」

「あ、ごめんなさい」

 

 言われて、パッと手を離す。

 

 ニャウは仕切り直しとばかりにごほん、と聞こえないように一息吐くと、肩からかけたポーチからテキストデータを七つ取り出した。

 

「それじゃあ改めて、SGNMデパートへようこそニャウ! 当店は広いので、迷子にならないよう地図を兼ねたパンフレットをここでお渡ししているニャウ!」

「デパートなのにパンフレットがいるのか……」

 

 困惑しながらも、一行はパンフレットを受け取った。

 

 詳細な店の地図から、各区域の特徴、購買欲を煽る商品説明文。

 

 あらゆる顧客要求を満たした完璧なパンフレットである。

 ただ一つ問題なのは、店が巨大すぎてデータ量が膨大なことと、そのインパクトが強すぎて内容が頭に入ってきづらいことだろうか。

 

「ありがとねー」

「楽しんでほしいニャウ!」

 

 お礼を言いながら、ニャウと別れる。

 

「さて、ここまで広大だと何処から回るか迷いますね」

「とりあえずアダルトコー「行かないからね」」

 

 ぺしん、とマコトのチョップがラヴの頭部を殴打した。

 

 ラヴはキャストなので叩いた側が痛い筈なのだが、何故かラヴは「あうあー」と奇声をあげて頭を抑えた。

 

「わ、私は下着見に行きたいなって……」

「うばー、あたしは服買いたいなぁ」

 

 リナとシズクが、それぞれ目的は違うものの衣服系の店に行きたいと手を挙げた。

 

「食事前に身体を動かしたいし、ボール球技……サッカーとかどうかな?」

「お、いーねマコちん。ウチもそれにさんせー」

「マコちん!?」

 

 マコトがボール球技場へ行くことを提案し、メイはそれに賛同した。

 

「あら、ここスパもあるじゃない。行ってみたいわ」

「スパ! いいですねぇ! わたしもスパに一票入れます!」

「アナタキャストなのに入れるの?」

「スパなら裸見放題じゃないですか!」

「成程」

「成程じゃねーわよ」

 

 ラヴとアヤが、スパに行くことを提案した。

 ちなみに成程じゃねーよとツッコミを入れたのはメイである。

 

「割れたわねー、どうしましょう?」

「多数決とか?」

「そういえばリィンは? どうしたい?」

 

 パンフレットに目をくぎ付けにしていたリィンに、シズクが話を振る。

 

 リィンは、目をキラキラさせながら見ていたパンフレットから目だけ上げる。

 

 自然と上目遣いになった美少女に、全員の視線が集まった。

 

「ぼ……ボーリングやってみたいです」

「よし、ボーリングで決定ね」

「「「「「異論なーし」」」」」

 

 勝てない。

 これには、勝てない。

 

 リィン以外の全員がそう思いながら、足並み揃えてボーリング場へ向かうのだった。

 




ニャウがマスコットキャラクターなのは現経営者の完全な趣味です。

今後の日常パートでもこのデパートは便利に使われる予定です。
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