AKABAKO   作:万年レート1000

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テレパイプ云々はゲームのロード画面をイメージして頂けると分かりやすいかも。



一体誰ーナなんだ……

 自分の体が、フォトンの塊になって宙を飛ぶ。

 

 目の前に広がる白いリング状のフォトンレールを高速で通り抜け、一直線に目的地へ向かっていく。

 フォトンに成ることによって物理的な障害を無視し、超高速での移動を可能にしているのだ。

 

 これがテレパイプの仕組みである。

 

 テレパイプのお陰で広大なアークスシップ内を一瞬で端から端まで移動できるのだ。

 さらに他惑星とキャンプシップの行き来にも利用されていて、まさにアークスという職業を支えている機能の一つと言っても過言ではないだろう。

 

「よっと、いやぁ、何回通っても楽しいなぁテレパイプ」

「私は慣れないわ……自分がフォトンの塊になるって変な感じ」

 

 それぞれ別の感想を言いながら、シズクとリィンはテレパイプから降り立つ。

 

 場所はアークスシップ・ゲートエリア。

 アークスたちはここから様々な惑星に出撃するのだ。

 

「流石に朝は人が(まば)らね。いつも昼から出撃してたから知らなかったわ」

「あたしは見慣れた光景だなー。そう、レアドロ職人の朝は早い……朝から晩までレアを求めて惑星を飛び回るのだ……」

「何故ドキュメンタリー番組風?」

 

 突然の渋い声に律義にツッコミを入れる。

 こんな声出せたのか、この子。

 

(しかし、朝から晩まで、か)

 

 そりゃ差が付くわけだ、とリィンは溜め息を吐いた。

 

 リィンは今まで昼から出撃し、途中休憩を挟んで一日二回クエストをこなすという生活を送っていたのだ。

 

 普通ならそれでも新人にしては多い部類に入る。

 ただ、シズクが異常なだけだ。

 

(最低限。シズクの行くクエストに毎回付いていくのがこれからの最低限……そこから+αしなきゃシズクには追いつけない、か)

「あ! 見てみてリィン! クーナちゃんだ!」

 

 と、決意を新たにしたところでシズクが突然走り出した。

 ゲートエリア内にある大型のモニターに向かったようだ。

 

「あ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

 クーナちゃん? と疑問に思いながら、リィンはシズクを追いかける。

 

 アークスシップの所々に設置してあるモニターでは、ニュースからアニメ、宣伝まで様々な内容の映像を延々と流し続けられている。

 

 シズクが向かって行ったモニターでは、一人の可憐な少女が映し出されていた。

 

 オレンジ色の、前髪が中心で分かれているタイプのツインテール。

 『ミラセリア』という、蛍光黄緑主体の華やかな衣装を身に纏った、それはそれは顔の整った美少女だ。

 

 人で埋もれた巨大なスタジアムの中心で、スポットライトを浴びて歌と踊りを披露するその姿はまるで――。

 

「アイドル?」

「うん、今人気絶好調のアイドル『クーナ』ちゃん! あたしもファンなんだ」

「ふぅん……」

 

 大して興味無さそうに頷くリィン。

 アイドルの類は好きじゃないようだ。

 

(というか……この子よりシズクの方が可愛いと思うんだけど……)

「はぁー、可愛いなぁクーナちゃん」

 

 頬を緩ませ、シズクはクーナの映るモニターに夢中だ。

 それを見て、リィンは眉を顰めてシズクの肩に手を置いた。

 

「……シズク、アムドゥスキア行くんじゃなかったの?」

「ああっと、そうだった」

 

 思い出したかのように言って、シズクは名残惜しそうにモニターの前から離れた。

 クーナの歌う曲はまだ続いており、これからがサビというところだ。

 

(別に急いで無いんだから最後まで視聴させてあげてもいいんだけど……何かヤダ)

 

 何でだろう、とリィンは自分の感情(こと)なのに首を傾げる。

 

(最近こういうこと多いなぁ、病気だったらどうしよ)

 

 自己の中に芽生えていく初めての感情に戸惑いながら、リィンはシズクとクエストカウンターに向かって歩く。

 

 クエストカウンター。

 その名の通りアークス達がクエストを受注するカウンターである。

 

 ゲートエリアの西と東に一つずつあるが、今回二人はあえて東側に向かった。

 

 理由は一つ、東側のクエストカウンターの隣には管理官のコフィーという人がいるのだ。

 

「コフィーさん、おはよー」

「おはようございますコフィーさん」

「はい、おはようございます」

 

 コフィー。

 前髪が捻じれた、短めの白髪が目印の物腰丁寧な女性だ。

 

 アークスの職員であり、その役職は管理官。

 全アークスの実力や実績を把握し、それに応じて惑星探索の許可や新しいクエストの解放等を担当するオペレーター以上に多忙極まるお仕事である。

 

「何か用ですか? シズクさん、リィン・アークライトさん」

「惑星アムドゥスキアの探索許可を貰いに来ました」

「惑星アムドゥスキアですね、少々お待ちください」

 

 言って、コフィーは手元の端末を操作する。

 データベースにアクセスして、シズクとリィンの実績を調べているのだ。

 

 いかにコフィーが有能であれど、流石に全アークスの細かいデータを記憶しているわけではない。

 

「成る程、ロックベアは討伐済み……それも戦闘ログを見た限りでは圧倒……はい、いいでしょう。アナタ方二人に惑星アムドゥスキア・火山洞窟の探索許可を授けます」

「やった! ありがとうコフィーさん」

「仕事ですので、お礼を言われるようなことじゃありません」

 

 素っ気なく答えて、コフィーは再び端末の操作を始めた。

 二人にアムドゥスキアの探索許可が降りたことを記録しているのだろう。

 

「……これでクエストカウンターから火山洞窟のクエストが受けられます……が、くれぐれも慢心しないように、アムドゥスキアの龍族はナベリウスの原生生物とは比べ物になりません」

「分かってるよ、心配してくれてありがとねコフィーさん!」

「許可ありがとうございました、またお願いしますね」

「はい、さようなら」

 

 シズクは大きく手を振って、リィンは軽く会釈してコフィーの元を離れた。

 すると順番を待っていたであろうアークスがコフィーと話を始める。

 

「……凄いよね、コフィーさん」

「うん、全アークスの管理を一人でやってるって本当に凄い。何千何万人のアークスと顔を合わせてるのに私たちのこと覚えてたし」

「実は十二人くらいクローンがいて毎日ローテーションしてるとか」

「あはは、そんなわけないじゃない」

 

 そんな会話をしつつ、隣のクエストカウンターへ。

 東側のクエストカウンターを担当する職員は、レベッカという黒髪ロングの女性だ。

 厳しそうな顔つきからは想像のできない柔らかな声色と豊満なバストが人気の職員である。

 

「レベッカさん! おはよー!」

「おはようございますレベッカさん」

「おはよう二人とも、話は聞いていたわよ。火山洞窟に挑戦するのね?」

 

 にっこりと微笑みながら、レベッカはクエスト一覧を提示した。

 

 当然だが、今まで森林しか無かった項目に火山洞窟が追加されている。

 

「龍族生態調査……龍族を一定数以上倒すクエストね、火山洞窟で今アナタ達が受けられるのはこれだけよ」

「じゃあそれでお願いします」

「はいね。左側のスペースゲートからキャンプシップへ乗ってね」

「分かってますよー」

 

 ゲートエリアの北にある、巨大な門。

 そここそがアークスが冒険に向かうためのスペースゲートだ。

 

 スペースゲートを越えた先には、キャンプシップと呼ばれる小型の宇宙船が格納されており、アークスはそれに乗って銀河を渡り歩くのだ。

 

「よーし、キャンプシップまで競争ね!」

「ええ!? ちょっと待ちなさいよー!」

 

 忙しなくはしゃぐシズク。

 追いかけながら、リィンは無自覚に微笑んだ自分に気が付いた。

 

 新しい武器に、新しい惑星、そして一緒に戦う友。

 

 リィンは思った以上にワクワクしている自分に、より笑みを深くするのであった。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 惑星アムドゥスキア・火山洞窟。

 その名に違わず、超高温のマグマや溶岩で構成された巨大な洞窟である。

 

 ダーカーや龍族、そしてアークスでもなければ降り立った瞬間燃え尽きて死んでしまうだろう。

 

「う、暑いわね」

「フォトンで守られているのにこの温度かー……うばー……」

 

 そんな惑星に、シズクとリィンは降り立った。

 

 辺り一面、黒い溶岩石で構成された壁と床と天井。

 そして暗い洞窟内の唯一の光源となっている紅く輝くマグマ。

 

 見ているだけで、汗が出てくるようだ。

 しかし感じる暑さとしては、真夏の猛暑日程度。

 

 そこまで体感温度を下げることができるフォトンの利便性の高さは流石の一言だ。

 

「こんな環境に住める龍族って凄いね……」

「うん……そして、早速お出ましね」

 

 灼熱の洞窟内を、ひょこひょこと可愛らしく歩く生物が一匹。

 

 『ディッグ』。

 そう呼ばれる龍族だ。

 

 身体は小さく、見た目は頭の黄色いワニのような外見だ。

 強さも龍族の中では一番弱く、体当たりくらいしかしてこない生き物である。

 

「ディッグ……それも一匹か」

「何だか可愛いわね、どうする? 私は見逃しても構わないけど……」

「いや、レアドロの確率はあるから倒すよ」

 

 腕を振るい、ブラオレットを銃モードへと変更する。

 片目を瞑り、フォトンを銃弾に変えてチャージ。

 

「エイミング……ショット!」

 

 もう見慣れたフォトンの光弾が、ディッグに向かって放たれた。

 ――が、しかし。

 

 弾はディッグの頭を僅かに掠る形で飛んでいき、そのままディッグの後方の地面に着弾した。

 

「むぅ……小さくて狙いにくい」

「じゃあ近づいて仕留めようか」

 

 言って、リィンはアルバギガッシュに手を掛ける。

 

 地を蹴って走り、一瞬でディッグとの距離を詰めた。

 

 近づいて、ようやくディッグは二人の存在に気付いたようだ。

 しかし時すでに遅し、もうリィンはソードを振りかぶっている。

 

「ツイスターフォール!」

 

 フォトンの刃が、青い剣閃を描いてディッグに叩きつけられた。

 小さな悲鳴をあげて、ディッグは後方に飛び退き態勢を整える。

 

「くっ……!」

 

 一撃では倒せなかった。

 ならば、ともう一度ソードを振るおうとしたリィンの傍を、フォトンの弾が通り過ぎた。

 

 シズクの放った弾丸だ。

 今度は無事着弾し、ディッグの脳天を貫いた。

 

「ふぅ、今度は当たった」

「ナイスショット」

 

 倒れたディッグは、ナベリウスの原生生物と同じように解けて消えた。

 跡に残るのは、ドロップアイテムだけだ。

 

「あ」

 

 と、そこでリィンはディッグの落としたアイテムを見て声をあげた。

 

 しゃがみ込んで、『それ』を手に取る。

 

「やった、PAディスクだ」

「おお、やったね!」

 

 PAディスク。

 使用することで、フォトンアーツを習得できる強化アイテムだ。

 

 フォトンアーツというのは、使用者のフォトンを消費して発動する技のこと。

 

 シズクがよく使用するエイミングショットや、リィンが先程使用したツイスターフォールもフォトンアーツの一種である。

 

 使用できる技が増えるというのは、単純に自身の強化に繋がる。

 リィンは迷わずそのPAディスクを使用するのであった。

 

「PAディスク……使用っと」

 

 落ちているディスクを拾い上げ、握り潰す。

 割れたことによって漏れでたフォトンがリィンを包み込み、吸収されていく。

 

 フォトンアーツ、習得完了である。

 

「何てフォトンアーツ?」

「『スタンコンサイド』ってやつ。試してみたいから使うけどいい?」

「いーよー」

 

 会話をしながら、歩き出す。

 

 陣形はリィンが前、シズクが後ろだ。

 二人のクラスを考えれば当然の形だろう。

 

「ぐるる……」

「がぁ!」

 

 歩みを進めると、今度は複数の龍族が威嚇しながら姿を現した。

 

 その数実に四匹。

 ディッグが二匹、ソル・ディーニアンが二匹の構成だ。

 

 いわばここは龍族の巣窟。

 敵の方が数が多くなることは当然だろう。

 

「囲まれたら不味いね、ディッグは足が遅いからソル・ディーニアンを先に片付けよう」

「うんっ」

 

 頷いて、シズクはソル・ディーニアンに視線を向けた。

 

 溶岩のような色の鱗を纏った、二足歩行のエネミーだ。

 リザードマンという表現が一番しっくりくるだろうか。

 

「ディッグと違ってヘッドショットが狙いやすくていいね……エイミングショット!」

「[舐めるな][アークス]!」

 

 放たれた弾を、ソル・ディーニアンは頭を傾けることでかわした。

 

「うば!?」

「喋った……? いえ、テレパシーね。そういえば龍族とは昔交流があって、その時の名残で龍族とは対話が可能だとか……話が通じる相手だと微妙に戦い辛いわね」

「いや、レアドロップのために彼らには死んで貰おう」

「言うと思ったわ……」

「[今度は][こちらの][番だ]」

 

 ソル・ディーニアンが、手に持った銃をシズクに向けた。

 

「銃……武器も使うって相当知識高いわね」

「リィン、お願い」

「任せて!」

 

 銃から、音もなく青白い弾が放たれる。

 それを見て、リィンはシズクの前に躍り出て剣を盾のように構えた。

 

 弾が剣に当たる瞬間、フォトンの盾が精製されそれを防ぐ。

 ジャストガード成功である。

 

「[何!?]」

「はぁあああああ!」

 

 ガードを解き、リィンは流れるように走り出した。

 狙いはまだ弾を撃っていない方のソル・ディーニアンだ。

 

 何故ならもう、弾を撃った方のソル・ディーニアンはシズクのエイミングショットで頭を貫かれているのである。

 リィンが庇ってくれると確信していたシズクは回避も防御もせずにカウンターのように弾を放ったのだ。

 

「スタンコンサイド!」

「[ぐがっ!?]」

 

 ここぞとばかりに、リィンは新しいフォトンアーツを放った。

 アルバギガッシュの腹で、敵を殴打し目眩を起こさせるという技だ。

 

「シズク!」

「任せて!」

 

 目眩を起こした相手は、当然しばらく動けない。

 つまりヘッドショット狙い放題である。

 

 ここは自分がとどめを刺すよりシズクに任せた方が良いと判断し、残りのディッグを狙いにいく。

 

「スタンコンサイド! スタンコンサイド!」

「ぐぎゃう!」「くぎゅう!」

「……便利ね、スタンコンサイド」

 

 二発、つまりディッグ二匹を一発ずつ剣で殴打して、悠々と呟く。

 

 あとはもう急所を狙うだけである。

 出来るだけ苦しまないように、一撃で葬ってあげようと剣を振り上げた。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「うばーレア無しかぁ」

「まあそんな日もあるわよ」

「いやレアドロップしたことないんだけど」

「ごめん」

 

 一時間後。

 規定の討伐数まであと数匹というところで、二人はマグマから距離がある比較的熱くない岩に座って休憩中だ。

 

 『あと数匹ならちゃちゃっと片付けよう』。

 そういう考えは危険だ。敵しかいないこの場で無茶をするのは得策ではない。

 

 もし、ロックベアのようなボスエネミーと疲労状態で戦うことになったら不味いだろう。

 

 そう判断しての休憩だった。

 

「しかし龍族強いねー、頭も良いし、見た目格好良いし」

「今日戦ったやつは全部雑魚枠だったわね、あれで雑魚とかボスエネミーはどんななのかしら」

「キャタドランとヴォル・ドラゴンね、名前と見た目とレアドロップくらいしか知らないんだよね」

「アークスの研修って実技の評価点高過ぎで筆記が疎かっていうかテキトーだったわよね」

「あたしたちの代であの教官首になったらしいよ、なんでも筆記で研修生のうちに教えることの半分も教えてなかったって……ん?」

 

 会話の流れを断ち切って、シズクは首を傾げた。

 

 眼を擦って、パチパチとまばたき。

 その後また「んー?」と首を傾げた。

 

「どしたの?」

「……いや、あそこ何かない?」

「あそこ?」

 

 シズクが眼を細めながら火山洞窟のある一点を指差す。

 龍族も、ダーカーもいない、ドロップアイテムが落ちているわけでもない。

 

 つまり、何もいない。

 当然リィンの眼には黒々とした岩とマグマが映るだけである。

 

「何も無いけど……」

「うばー……うーん、あ、分かった。”何も無い”が”ある”んだ」

 

 しばらく悩んだ後、納得したかのようにシズクは頷いた。

 嬉しそうな声の割に、真剣な表情で立ち上がる。

 

「要するに、『そこには何も無い』、『そこにあるのは路傍の石だけだ』。ってあたしはそう思っているんだよ」

「はあ? 何ソレ、つまり何も無いってことじゃない」

「気配もない、姿もない、音もない、『何も無い』。ちょぉーっと、した違和感すら感じない完璧すぎる『迷彩』……? いや、『消失』? まあどっちでもいいや」

 

 ちゃきり、とシズクは静かにブラオレットを構えた。

 何もない虚空に向けて、その銃身を突きつける。

 

「姿を表せ、さもないと撃つ」

「…………」

 

 虚空に銃を向ける姿はハタから見ると滑稽で、何か痛々しい病気にかかっているんじゃないかという疑念すら浮かばせるほど愚かだった。

 

 しかし――。

 

「――――お見事、ですね」

 

 スゥーっと、幕を引くように、何も無かったところに何者かが現れた。

 

 リィンより濃い色の蒼いラフツインテール。

 その細身のプロポーションが丸わかりの、『ゼルシウス』という黄色いタイツのような服。

 

 そして一際眼を引く、両腕に装着されている異形のツインダガー。

 

 クールビューティー。

 そんな言葉が似合いそうな美少女が、突如として出現した。

 

「お聞きしてもいいですか? どうしてわたしが此処に居るとお分かりに?」

「うっそ、本当に誰か居た……」

 

 リィンが背に付けたソードに手を添えながら呟いた。

 いつでも、シズクを庇えるように気持ち前へ出る。

 

 一方――シズクは絶句していた。

 一言も、言葉を発せないでいた。

 

 何か喋ろうと、口をパクパクさせるも声が発せない。

 

「……? 何ですか? もしかしてただの勘による推測で、当てずっぽうに言っただけで本当にいるとは思っていなかった、とかですか?」

「そんなことより、アナタは誰? アークス……なの?」

「……見れば分かるでしょう、アークスですよ。訳有って素性は明かせませんがね」

 

 言って、謎の少女はリィンから視線を切ってシズクを見据える。

 値踏みするような目線だ。実際、シズクの実力を目算で計っているのだろう。

 

「……アナタ、言われた通り姿を現したのだからそろそろ銃を降ろしてくれません?」

「…………く――」

「撃とうというのなら、オススメはしませんよ。この距離なら容易く回避することが――」

「――クーナちゃん!?」

「でき――えっ」

「わ、わあああ! やっぱり本物のクーナちゃんだぁああああ! サイン! サインください!」

 

 ようやく硬直から解けたシズクは、武器を仕舞うとアイテムパックを漁りだした。

 サインを書けるようなものを探しているのだろう。

 

「……えっ? いや、その……なん――えっと、違くて」

「うばー! ペンが無い! リィン! 何か書けるモノ持ってない!?」

「えーっと、え?」

 

 さっきまでのクールさが嘘のようにうろたえる謎の少女X。

 サインサインと狂ったように繰り返すシズク。

 そして急展開に付いていけていないリィン。

 

 何だか妙なことになったなぁ、とペンを取り出しながらリィンは思ったのであった。

 




この場を借りてお詫びを致します。
昨日思い出したのですが、サポパが手に入るのレベル20からでした。
今更ゲームの設定に順守することはできないので、AKABAKO世界では
サポパは新米でも一人一つ作成可能ということにします。
誠に申し訳ございませんでした。

他にも設定違い等ございましたら教えていただけると嬉しいです。
どうにかこうにか都合の良い解釈をして上手く誤魔化しますので。
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