ネギ達を乗せたエレベーターは地上へと向かい、地下図書館に残されたのはヴァルゼルドとゴーレムのみ。
『さて、学園長殿。どのような腹づもりでありますか?』
『フォーフォーフォー!』
ネギ達が居なくなったのでゴーレム(学園長)に話し掛けるヴァルゼルドだが、ゴーレムはヴァルゼルドに襲い掛かってきた。
『学園長殿!?』
驚愕のヴァルゼルド。いくら学園長でも先程からイタズラが過ぎると思い始めたが今はそれどころじゃない。
『少し、痛い目を見て貰うであります!』
『フォー?』
ヴァルゼルドは肩に収納されている、折りたたみ式の槍を展開するとゴーレムに切っ先を向けて構える。
『セイヤァァァァァァッ!』
『フォーフォーフォー!?』
ヴァルゼルドは先程のドリルと違い、素早い槍術でゴーレムを削り取っていく。
ドリルがパワーなら槍はスピードとリーチが利点となる。
ドリルの様に間合いを詰めずに戦える槍ならヴァルゼルドよりもデカいゴーレムとも互角に戦えた。
ゴーレムはヴァルゼルドに滅多打ちにされたにも関わらず、未だに迫ってきていた。
『学園長殿!いい加減に……』
『…………今回はここまでにしときますか』
ヴァルゼルドがゴーレム(学園長)に抗議をするがゴーレムからは学園長とは違う人物の声が聞こえる。
『学園長殿と……違う!?』
『フォー……フォー……』
ゴーレムはガラガラと身体が崩れて、ただの土塊となってしまう。
『どうやら学園長殿に聞く事が増えたであります……さて』
ゴーレムが土塊となったのを確認するとヴァルゼルドは空を見上げた。そこには先程、自分が落ちた穴が見える。
『本機も地上へ戻るであります』
ヴァルゼルドは槍を折りたたみ、再び肩に装填する。
◇◆地下図書館から更に下の階層◇◆
「ふむ……どんな人物か気になってましたが真面目で誠実なロボットですね」
ニコニコと笑みを浮かべるのは一人の青年。彼はヴァルゼルドの戦い振りと為人を見ると満足そうにしていた。
「ネギ君と早く会ってみたいですが……ヴァルゼルド君にも会ってみたいですね」
青年『アルビレオ・イマ』は楽しそうにそう呟いた。
◇◆図書館島上部◇◆
ヴァルゼルドは落ちた穴を登り直し、飛び降りた穴から頭を出す。
「ヴァ、ヴァルゼルドさん!」
『お待たせしたであります』
ヴァルゼルドからの連絡待ちとなっていた刹那はヴァルゼルドが戻ってきた事に食い付く。
『木乃香殿はネギ殿達と共に地上へと送ったであります。今頃、高畑殿に案内をされて帰ってる頃であります』
実はヴァルゼルドは図書館島の地下へと行く際に高畑に連絡を入れていた。ネギ達を助ける事は勿論のことだが不測の事態に備えて高畑に応援を頼んでいた。
茶々丸に連絡をしようかとも考えたヴァルゼルドだが生徒の救出に行くのに生徒を呼び出しては本末転倒になる為に高畑を選んだのだ。
『ネギ達の安全は確保したでありますから、刹那殿も……』
「あ、はい……寮に戻ります」
ヴァルゼルドの言いたい事を察した刹那は顔を俯かせる。木乃香の護衛が名目とは言っても刹那も学園の生徒なのだ。本来、この時間に図書館島に来て良いはずがない。
『刹那殿に関しては本機から説明しておくであります。さ、帰るであります』
「は、はい」
この後、ヴァルゼルドは刹那を寮まで送って行き、本日の仕事は終了となる。
エレベーターで地上に出てきたネギ達はヴァルゼルドから連絡を受けて図書館島に来ていた高畑に連れられ、今日の所は寮に帰る事となった。
そして翌日、ヴァルゼルドに呼び出されたネギ達はヴァルゼルドから連絡と説明を受けた新田による二時間に渡る説教を受ける事となった。
勿論、新田には魔法書の事は伏せて『図書館島に特別な参考書があり、忍び込んで勝手に借りようとした生徒がいる』と言う話となった。
そしてヴァルゼルドはネギ達がお説教を受けている間もネギ達の後ろで正座をしながら新田のお説教を共に聞いていた。
ヴァルゼルドは自ら連帯責任に加わり、正座をしていたのだ。
その光景にネギ達はより一層の反省をするのだった。