この守銭奴に祝福を!   作:駄文帝

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今日は二期の放送日なので二話連続で投稿したいと思います。


三章
プロローグ


先日、機動要塞デストロイヤーの討伐に成功した私達は、その報酬が支払われると知って冒険者ギルドに来ていました。

討伐には相当な数の冒険者が関わりましたが、デストロイヤーは天災の一つして扱われるモンスター……それでも相当な額の報酬が支払われると見込んで、私は浮かれていたのですが……

 

「冒険者、カトウマナだな!貴様には現在、国家転覆罪の容疑が掛かっている!自分と共に来てもらおうか!」

 

へぇ?

私、なにかしましたか?国家転覆罪って、クーデターとかそんな感じの事をやった人に掛けられる罪ですよね?

私、そんな事をした覚えはありませんよ。この国と事は良く知らないし、そんな事をしてもお金にはなりませんからね。そんなのに時間を使うくらいなら、せっせと金稼ぎをしますよ。

でも、目の前に居る、二人の騎士を従えた女性は私を親の仇を見るかのような、敵意に満ちた目で私を睨んでいますし……一体何があったのでしょう。

 

「その……国家転覆罪ってなんですか?覚えがないのですが……人違いじゃありませんか?」

 

同姓同名の人と間違えた。

そう思いたいのですが……此処は異世界、日本人らしい名前なんて私とカズマあとミサ……思い出すのが面倒くさいので魔剣の人にしますが、それ以外に聞いた事がないんですよね。

でも国家転覆罪なんて本当に覚えがありません。

私が戸惑いながらも質問をすると、目の前の女性は冷たい眼差しで私を睨みながら答えてくれました。

 

「自分は、王国検察官のセナと言う者だ。国家転覆罪とは、その名の通り、国家を揺るがすような犯罪をしでかした者が問われる罪、貴様は現在、国の最重要指名手配犯とされている。貴様が犯人である事は調査によって裏付けされている。人違いなどと、とぼけても無駄だ」

 

へぇ!?

最重要……本当に覚えがないのですが、私は一体何をしたのですか!?

この世界に来てからやった事なんて、鎧を剥いだ状態のダクネスをロープで縛ってカエル釣りに出かけたり、金銭面でのトラブルを起こしたくらいですよ。

前者は本人の同意の下、っと言うか頼まれてやりましたし。後者は被害を受けた人は居ますが、カズマが頭を下げて許しを得ています。

それ以前にその程度の事で国家転覆罪になんてなりませんし、ましてや最重要指名手配なんて……

 

「おい、守銭奴!!今度は一体何をやったんだ!まさか、国の宝物庫にある財宝を盗んだとかじゃないよな!?そこまでやったら庇いきれねぇぞ!!」

 

「はぁ!!お金を手に入れるのにはそんな方法が……ってしませんよ!!流石の私でも、そこまでの事は仕出かしません!リスクが大きすぎます!!…………でもルリに協力してもらえば……」

 

「今、実行に移すかどうか考えただろ…………」

 

いや、だって、国の宝物庫って財宝が山のようにありそうじゃないですか。

リルの隠密スキルを使えば見つかること無く忍び込めそうですし、大量にあるのなら少しぐらい取ったてバレはしませんよ。

うん、すごく魅力的な考えですね……でも、ルリはそんな事に協力してくれないでしょうし、大量の財宝を目にしたらバレない程度に盗むなど不可能だと思います。

絶対に欲を出して大量に盗んでバレてしまいます。

 

なんか、カズマの視線が冷たくなってきたので、この考えは放棄しましょう。実行に移せないお金稼ぎを考えるなんて時間の無駄ですからね。

ともかく、私は国家転覆罪なんてだいそれた事はしていません。目の前のセナと言う女性に早く弁解を……

 

「ちょっと待ってください。確かにマナはお金の事になると、とんでもない暴走する守銭奴ですが、そんな事を仕出かすほど常識のない人間…………では……ないと…………でも、お金を積まれれば、するかも……?」

 

「めぐみん、言っている途中で自身をなくしてどうするんだ。マナはお金の事になれば悪魔の所業をも平然とするかもしれない…………めぐみん、すまない。私もフォロー出来なかった…………」

 

「お前らは何も悪くないさ。悪いのは常識を逸した行動をする守銭奴だ」

 

「カズマにめぐみんにダクネス?それは私に殴って欲しいって意味で良いですよね?」

 

私の一言に仲間達は一斉に私から目を露骨にそらしました。

 

まったく、カズマ達は私を一体なんだと思っているのですか?

いくら私でもそんな事は…………うん。なんか自信が無くなってきました。多額のお金を積まれれば本当に実行してしまいそうです。具体的には億ほど積まれれば……っていけません!!

こんな事を考えていたら本当に反論できなくなってしまいます。

 

私は、本当に身の覚えが無い事を伝えるべく、セナを真っ直ぐと見据えます。

すると、私達の会話が終わるのを律儀にも待ってくれた彼女は口を開きました。

 

「この女の指示で転移された、機動要塞デストロイヤーの動力源であるコロナタイトが、首都にある王城に転移されました」

 

セナの言った一言で、ギルドはまるでお葬式のように静まり帰りました。

その場に居る誰もが一言もじゃベらないどころか息もせず、ただ私をじっと見つめています。

一方の私はセナの言った言葉を理解出来ずにいました。

 

しゅっとって、日本の東京みたいな一番栄えている街の事ですよね?おうじょうって、日本の国会議事堂みたいな偉い人が集まる場所ですよね?

いやいや、そんな場所に行くはずまりませんよ。もし本当だとしたら私はどれだけ運が……運?

そういえば、あの場には厄病神ことアクアが居たような…………って事は本当に首都の王城に飛ばされた可能性がありますよね……

 

これって不味くないですか?

冷や汗が流れて止まらないのですが……どうしましょう?

 

「あの……それで、王様が死んだりしたのですか?」

 

「いや、幸いな事にその時は首都では祭りあって、その式典に王族は出ていたので、城はにはあまり人は居なかったために死者は出ていない。しかし、城の宝物庫の辺りは爆発で吹き飛ばされ、なぜかその近くに居た、この地を治める領主殿が瓦礫の下敷きになって両腕を骨折する重傷を負った」

 

はぁ…………

死人は出ていなかったのですね。少し安心しましたよ。

この土地の領主は怪我をしたみたいですが、そんな場所に転移してその程度で済んだのなら不幸中の幸いと言えるでしょう。

 

私が指示した所為でそうなってしまいましたが、あの場ではああするしか方法はありませんでした。ちゃんと事情を説明すればそこまでの罰は食らわないと思います。

ギルドに居る冒険者達もそれを知っているためか、それはおかしいとざわめき始めています。

しかし……

 

「ちなみに、国家転覆罪は、犯行を行なった主犯以外の者にも適用される場合がある。この女と一緒に牢屋に入りたいのなら止めはしないが、発言は気をつけた方がいいぞ」

 

その言葉に静まり返る、冒険者達……

まさか、罰せられる可能性があるので怖気づいたのですか?こんな時に、苦難を共有するのが仲間と言うものではないのですか?

まさか、私を売ったりは…………

 

「そう言えば、マナはあの時『ウィズ!人が住んでいる場所に飛ばしても、誰がやったかなんてバレやしません!魔王軍の所為だって事になりますよ!!もし、バレた際には私がその罪を全て被ります!だいたい、世界なんて広いんですから、そうそう人の住んでいる場所に飛ばされたりしませんよ』って言ってたわよね」

 

アクア!?

なんで、こんな時にそんな言わなくても良い余計な事を言っているのですか!?私を売るの気なのですか!?

とりあえず、あの駄女神は後で本当に売りに出してやります。こんな裏切りともいえる行為は許しませんよ。

 

ともかく、アクアは私を売りましたが、これは駄女神を信頼して私が馬鹿なだけなのでしょう。きっと、ここに居る冒険者や他の仲間達は弁護こそしなくても私を売ったりは……

 

「まさか、マナがそんな事を仕出かすとは……デストロイヤーに乗り込んでいれば止められたのでしょうが、私は乗り込んでいませんでしたからね。これは仕方がありませんね」

 

め、めぐみん!?

 

「いや、動力炉に俺は行っていないからな……まさかそんな事を企んでいと知っていれば止めたんだが……」

 

「いや、この守銭奴の噂は聞いていただろ……それなのに任せてしまった俺達の失敗だよ……もう少しこの守銭奴の事を考えていれば……」

 

「お前だけの責任じゃないさ。俺も守銭奴の噂は聞いていたんだが、本当だと信じ切れなかった。この外見に惑わされたんだ。あの時に疑っていれば……」

 

めぐみんの発言を発端に次々と冒険者達が私に罪があるかの様な発言を始めます。

 

こいつ等、手の平をあっさりと返しましたね……もういいです。こいつ等の事は仲間だとは思いません。これからは金づるだと思います。

これまでは手加減して来ましたが、もう一切の容赦はしません。返ってきたら生きてるのが苦しくなるような地獄を見せてやります。絶対です。

 

私が目の前に居る、金づる達への復讐を決意していると、ダクネスが私とセナの間に立ち塞がりました。

まさか、私を庇ってくれるのですか?もしそうなのだとしたら、ダクネスの事をもう二度と変態などと言えなくなってしまうかも知れません。

 

「待て、主犯は私だ。私がやれと指示した。だからぜひとも、私も牢屋に連れて行って監獄プレイを……ではなく。私に激しい、身悶えるような拷問……では無くて尋問をするが良い」

 

ダクネス!!

なんで、そこで性癖を押えられないのですか!?途中までかっこよかったのに台無しですよ!!

まあ、私を売り飛ばそうとした二人よりは遥かにマシなのですが……

 

なんで、このパーティにはこうも問題児しか……ってよくよく考えてみたら私も問題児の一人ですよね。問題児ではないのはルリとカズマがギリギリと言ったところでしょうか。

カズマは始めに会った頃は普通の子供だったのですが……最近は鬼畜なニートになってますから、本当にギリギリのところで問題児ではないっと言ったところなんですよね。

 

私が昔も思いふけって居ると、セナが声が響きました。

 

「あなた、先程の話では何も役に立たなかったそうじゃないですか」

 

「!?」

 

や、やめてあげてください。

ダクネスは身体は硬いのですが、心は以外と繊細なんですよ。先日のデュラハンの件の事をカズマに耳元で囁かれて、その度に顔を真っ赤にするほどそういった事には弱いのですよ。

だから、言わないであげてください……

役に立たなかったのは事実なので、どうしようもないですが……

 

ともかく、これで私を庇う人は居なくなって……あっ!

まだ、カズマが居ました!何時も私を庇ってくれた彼ならきっと今回も庇ってくれるはずです。

私は期待をこめてカズマの居た方に振り向き………………誰もいない事が確認出来ました……

 

あの男!!私を置いて逃げましたね!!

 

「さあ、私と一緒に署まで来てもらうぞ。詳しい話はそこで聞かせて貰う」

 

「ちょっと待ってください!!カズマが!あの男はデストロイヤー討伐の指揮を取っていました!あの男に私はやれと言われたんですよ!!」

 

「裏付けはしたと言っただろう。その男は指揮をしたのはデストロイヤーの両足を破壊するまでだ。その後は先日のモンスター討伐で負った怪我を理由に下で待っていたのは調査済みだ。見苦しい、言い訳なんてするな」

 

必死に抵抗する私の両腕を騎士の二人が掴むと、容易に私を引きずっていきます。

たぶんですが、最重要氏名手配犯を確実に捕まえるために騎士の中でもかなりレベルの高い騎士の連れてきたのでしょう。

……このまま処刑されるしかないんですかね……諦めた私がうなだれると、床に書かれた『待ってろ』と言う字が目に入りました。

 

カズマ……信じてますよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマside

 

デストロイヤー討伐の指揮をしていた俺も捕まるのでは危惧していたんだが……セナと名乗った女性の発言を踏まえるといらん心配だったようだ。

もし、俺も捕まればマナを弁護する人が居なくなってしまう……

ルリに聞いた話では、この世界で行われる裁判の弁護は、被告人の友人か知人が行わなければいけないらしいからな。

一応俺以外にも仲間は居るのだが…………正直、ルリ以外は居ないほうがマシだと思う。

特にアクアなんかにやらせたら無罪を勝ち取るのは絶対に不可能だろうからな。

 

ともかく、マナが連れて行かれて一時間程立ったのだが、冒険者達は先ほど会った出来事を忘れさせるためか、デストロイヤー討伐で支払われた報酬を使って酒を浴びるほど飲んでいる。

まあ、こんな時は酒の力を使って物事を忘れるのが一番の解決方法だ。俺の父親も仕事のストレスを解消するためにお酒を飲みまくる事なんて結構あったことだ。

 

それが出来ていない奴なんて、先程のショックから立ち直れず、床にしゃがみ込んでのの字を書いているダクネスと、マナを心配して不安そうな表情で立ち尽くしているめぐみん。

それと、マナの復讐に怯えているアクア(俺が、絶対にあの守銭奴は復讐するぞっと言ってやった)くらいだ。

 

それにしても裁判か……

マナには『待ってろ』と伝えたが、ここは異世界……貴族も居る世界だからな。公平な裁判が行なわれるかどうか……

 

「……報酬は受け取ったの?」

 

「うお!?……ってルリか。もう一人で動けるようになったのか?」

 

「……ある程度は力が入ってくるようになった…………それで、遅いから来た……なにかあった?」

 

俺が一時間前に会った事を話すと、ルリは顔をしかめて「おかしい」と一言だけ言った。

俺はこの世界の事はよく知らないから、これぐらいの事は起こるとものと思っていたんだが……ルリの様子を見るとそれは違うらしい。

彼女がここまで不快そうな顔を浮かべたのは初めてだ。

どうやら、俺の感覚と同じで今回の一件はどこかがおかしいみたいだ。

 

「ルリ、俺もおかしいとは思っていたんだが……具体的に何処がおかしいか教えてくれないか?俺まだ此処に来たばかりでそこら辺の事はさっぱりなんだ」

 

「……分かった……マナがやったて調べたのなら、こちらの事情も知ってるはず……結果論だけど死者は出てない……だったら、国は指名手配まで………………あっ!!」

 

ルリは俺におかしな理由を説明していると、突然なにかに気づいたように声を上げた。

まさか、おかしな事になっている理由に気づいたのか?

俺はさっぱり検討が付かないのだが……まあ、先程も言った通り、この世界に来たばかりだがしかたないのだろうが……

でもこれは、マナを助ける手掛かりになるかも知れない。

 

「ルリ……なにかおかしな事に気がついたのか?」

 

「……怪我をした領主……結構昔から黒い噂が耐えない……それで裁判になるけど全て無罪……司法に強いつながりがあるかも知れない……」

 

まじか……

だとしたら、いくらマナが無罪だという証拠を集めても、もみ消される可能性がある。

真っ当な方法ではなくて、脱獄などの方法を考えておく必要があるな。

異世界に来て冒険に明け暮れる生活を夢見ていたのに、今は仲間の脱獄の方法を考える必要あるなんて……一体どこで間違えたんだろうな。

マナと初めて会った事か、アクアを特典に選んだ事か、それともパーティにポンコツ達を入れた事か…………まあ、しょうがない。その時はその時で覚悟をしておこう。

 

それにしても、冒険者達はよくもお酒なんて飲めるよな。俺なら絶対に飲めないぞ」

 

「……酒を飲んでる事がおかしい?」

 

どうやら、心の中で思っていた事を口に出してしまったようだ。

 

ルリはどうしてそんな事を言うのと、首を傾げている。

どうやら、彼女には俺の言った言葉の意味が理解出来ずにいるようだ。別に難しい事ではなく、マナの性格を考えれば直に答えは出てくるんだがな。

まあ、ルリには被害は出ないだろうし、教えても良いだろう。

 

「ルリ……あの守銭奴を売ってただで済むと思うか?」

 

「あっ」

 

そう、マナは絶対に自分を売った奴等を許しはしないだろう。

魔剣の奴にダスト、この世界に来てからですら、彼女を怒らせた奴は例外なく酷い目にあっている。

しかも今回は裏切ったんだ…………あの守銭奴は手酷い復讐をするはずだ。それが出来るネタもあるしな。

 

俺とルリの二人は、冒険者達の冥福を祈ってそっと目を閉じた。

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