この守銭奴に祝福を!   作:駄文帝

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今日は二話連続投稿したいと思います。


この紅魔族の娘に友人を

「カズマ……ダクネスはまだ帰ってこないのですか」

 

「まだだ……あの変態、一体どこをほっつき歩いてんだ」

 

そう呟きながら、カズマは黙々と作業を続けています。

なんの作業をやっているのかと言うと、先日ウィズの店に置く事となった商品の開発です。

本当は私が何か手伝えれば良いのですが……残念ながら私には物を作った経験なんてありませんし、その手のスキルも持っていません。

なのでこうやってカズマの邪魔にならないところで見守っているのですが……今のカズマは機嫌が悪いですね。

 

まあ、それを無理もありません。昨日の晩にダクネスはあのクソ領主との約束を果たすために出て行ったのですが……それっきり連絡の一つもなく、帰ってる気配も一向にありません。

あのゲスな視線を踏まえれば、ダクネスは手酷い要求をして……ダクネスの性癖を考えるとそれを喜んで受け入れてしまいそうです。

っと言うか、その光景が実際にあった出来事のように思い浮かんでしまいました。

別に性癖は個人の自由なので文句はあまりつけたくないですが……私のためにそうなったと思うと少しだけ罪悪感を感じてしまいますよ……

やるなら私の関係のないところでやってください。

ともかく、今のカズマにはあまり触れない方がよさそうですね。

 

「ん?めぐみん?その猫はどうしたのですか?」

 

「えっと、その……」

 

ふと、カズマから目を放すと、めぐみんが黒猫を両腕で抱えていたので声を掛けたのですが……

気まずそうですね……もしかして飼うのを反対されると思っているのですか?

私はちゃんと面倒を見るのなら良いと思いますけどね……アクアは分かりませんがカズマとルリは反対しないと思いますよ。

いやだって、日頃から動物より厄介な存在を四人も面倒を見ていますし……

 

「その猫を屋敷で飼いたいってのか……」

 

「はい、おとなしい子なので迷惑なんて掛けない思いますが……ダメでしょうか?」

 

「俺は別に良いぞ。猫アレルギーの奴なんていなかったと思うし、身近に猫以上に厄介な奴がいるし……」

 

「ちょっと、カズマ!なんで私を見つめながら言うのよ!!」

 

それはアクアが猫以上に迷惑をかける存在だからだと思いますよ。

最も、城の修復費と言う莫大な借金を作った私が言える事ではないと思いますが……

 

でも、アクアはカズマに少し感謝した方が良いと思います。

後になって聞いた話なのですが、デュラハン襲撃の際に膨大な借金を作った際に、アクアに借金を全て押し付ける代わりにアクアをパーティから外すか、それともアクアをパーティに残して借金を負担するかと受付の人に問われた事があったそうなんですよね。

それでカズマ、悩んだらしいですが後者を選択したらしいです……カズマの事を鬼畜とか多くの人が言ってますが、菩薩のように優しいところもありますからね。

っと言うかそうでなければ、私なんかとっく昔に見捨てられています。

 

「ちょっと!設計に逃げるんじゃないわよ!!私を見つめた理由を言いなさい、理由を!!もし私の事を猫以下だなんて思ってるのなら、お風呂のシャワーが水になる天罰を……」

 

「まぁまぁ、アクア。きっとアクアが美しかったので、目を奪われてしまったのですよ」

 

「そうだったの?もう、それならそうと言えばいいのに、カズマたっら……」

 

チョロイですね……

私の嘘に簡単に乗せられましたよ。それを見ていためぐみんもアクアを残念なものを見る目で見つめていますし……

なんと言うか悪い男に引っかからないか心配ですよ……下手すると、ダクネス以上に目を光らせておかなければならないのかもしれません。

まあ、それは今度カズマやルリと一緒に話し合うとして……

 

「めぐみん、その猫はなんて名前なんですか?」

 

「ちょむすけです」

 

「……今、なんて言ったんだ?」

 

「だから、この子の名前はちょむすけです」

 

何と言えば良いのか……さすが紅魔族、独特のネーミングセンスをしてますね。

キャルの名前の時と言い……彼女達に名前を付けられる人物が可哀想になってきますよ。

 

「ねぇ……この子ってメスよね……流石にその名前はどうかと思うんですけど……」

 

珍しくアクアの意見に賛同しました。

しかしめぐみんの意志は固いらしくアクアの意見を耳に貸そうともしません。

ほんとにこの種族の頭はどうなっているのですかね?カズマとは別な意味で気になってきましたよ。

出来れば他の紅魔族も見たいです。

 

「そういえば、ルリを見かけないのですが、誰かどこに居るか知ってますか?」

 

「言われて見れば今日は見かけてないわね。めぐみんは何処に居るかを知らないの?」

 

「すいません……私も何も……」

 

アクアもめぐみんの何も知らないのですか……

少なくとも今は屋敷に居ないみたいなのですが……ルリの事なので変な事をしでかさないと思いますが、少し心配ですね。

何処かに行くなら一言ぐらい……っと私が思っているとカズマが口を開きました。

 

「ルリなら今日は用事があるって、朝早くから出かけて行ったぞ」

 

そうなのですか?

っと言うかなんでカズマだけに話しているのですか……まるで私達が信頼されていない……

うん、当たり前の話でしたね。私達は問題を起こしすぎています。このパーティで誰を信頼するのかっと問われたらルリかカズマの二択しかありませんでした。

 

それにしても、ルリは用事があるってちょくちょく何処かに行ってるんですよね。

個人の自由なのであまり干渉する気はないのですが……何処に行っているか少し気になってしまいますよ。本人に聞いても答えてくれないですし……

何度も言いますがルリなので変な事はしていない思いますが……

ともかくこれでルリの行方は分かったので……後はダクネスだけですね。

 

「マナ?そんな不安そうな顔をしてどうしたのですか?もしかして……ダクネスの事ですか?そんなに心配しなくとも子供じゃないんですから、そのうちに帰って来ますよ」

 

私を安心させるためかめぐみんがそう言ってくれますが……

なんで、めぐみんはそんな事を言えるんですか?もしかして……ダクネスの性格の事を忘れてるんじゃないでしょうか?

 

「めぐみん……一応聞きますが、ダクネスの趣味は知ってますよね」

 

「何を言ってるのですか?当たり前です。ダクネスはモンスターに集団で襲わせたり、敵に拷問に掛けられたりと、辱められるのがだいす……」

 

ああ……

やっぱりめぐみんは気づいてなかったのですね。

私の指摘によってようやく今の状況を把握しためぐみんは、顔を真っ青にして言葉を失ってしまいました。

そしてゆっくりとっカズマの方を向きます。

 

「お前気づいてなかったのか?あのダクネスだぞ、今頃は『私の身体は好きに出来ても、心まで好きに出来ると思うなよ!!』っと言いながら、領主に口では言えない事を……」

 

「どどど、どうすれば良いのですか!?ダクネスが……!ダクネスが……!!」

 

「昨日出てったんだから、今頃何をやっても手遅れだ。俺達に出来る事なんか、領主に好き放題されたダクネスに何時も通りに接してやるくらいだ」

 

「わ、わかったわ。ダクネスが帰って来たら、何も聞かずに迎え入れれば良いのね」

 

アクアはそう言いながら大きく頷いたのですが……

その彼女がとんでもない自体を引き起こしそうで怖いのですが……これは私の考えすぎなのでしょうか?

非常に不安です。

 

「ともかく、今出来る事はない以上、黙って此処で待ってるしかないだろ。間違っても騒ぎは起こすんじゃねぇぞ。それをやったらダクネスが身をささげた事が無駄になるんだからな」

 

そんなんですよね……

これが普通に敵に捕まったとかになれば今すぐにでも助けに行きたいのですが、今回ダクネスが行ったのは約束によるもの……

ここで私達が助けに行ったりすれば、私の死刑はすぐさま決行される事となり、ダクネスの苦労が無駄となっていまします。

なんでこんなことになってしまったのでしょう?

そんな事を思いながら、私がしょぼくれていた時でした……

 

「カトウマナ!カトウマナはいるかぁぁぁ!!」

 

突如聞こえてきた怒声と、荒く扉が開けられた音に驚いてしまった私は、肩をぴっくと揺らします。

そしてゆっくりと玄関の方に振り向けばそこには、荒く息を吐いて顔を怒りで真っ赤に染めたセナが立っていました?

なんでこの女が此処にいるのですか?用事はないと思いましたけど……

それに来るなら来るで礼儀ってものがあるんじゃないですか?大声を上げながら扉を開けるなんて失礼にもほどがあります。

 

「一体どうしたのですか?身の潔白を示すための期間はまだまだありましたよね?それに用があるとしても今の開け方はないと……」

 

「どうしたんですか、だと!白々しい!!やはり貴様は魔王軍の関係者だろ!!またやらかしてくれたな!!」

 

「やらかしたって、マナが何をやらかしたんだよ。詐欺まがいの金稼ぎをするにも、裁判が終わってからこいつは一回しか外に出てないんだぞ」

 

そうなんですよね。

裁判が終わってから、私が外に出たのはウィズのお店に行った時の一回きりです。それでは何もやる事、ましてや魔王軍の関係者だと疑われるような事は出来ません。

って言うかカズマ、詐欺まがいのってそんな事は……すいません。時が時でなければしてしまいそうです。でもさすがにこんな時にはやりませんよ。

 

ともかく、今回の事はセナの思い過ごし……私の中でそう結論づけたところで、息を整えたセナが口を開きました。

 

「実は、街の周辺で冬眠中だったカエルが一斉に飛び出してきましてね。そのカエルなんですが、何かに怯えるように飛び出した来たそうなんですよ。それで、何に怯えたのか思ったら……先日の夜中、住民を怯えさせた爆裂魔法の件を思い出しましてね」

 

それって私を助けるためにと陽動で放った爆裂魔法では……

そんな事を思いながらめぐみんの方を見つめると、顔を青くして顔から汗を流している姿が……

そして、制裁をしようと『スティール』の構えを取るカズマの姿もありました。

 

「ちょ、ちょっと、待ってください!確かに爆裂魔法を放ったのは私です!ですが、それを指示したのはアクアなんです!!私はただ命令を聞いただけなんです!!だから制裁はアクアに……」

 

「ちょっと、それはずるいわよ!確かに言ったのは私だけど、賛同してたじゃない!!カズマを後ろからいきなり襲うって言いだしたのはめぐみんじゃない!!私だけ制裁を受けるのは、納得いかないんですけど!!」

 

「醜い責任のなすりつけ合いをしてんじゃねぇよ!ほら、さっさとお前らが馬鹿やった尻ぬぐいに行くぞ!!」

 

そう言って二人を引連れて屋敷を出ていくカズマ……

小声で「罰として、あの屋敷(おそらくですが、ジャイアローチのいる屋敷と思われます)に放置してやろうか」っと言っていたのですが……きっと二人なら大丈夫だと心に言い聞かせることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず、その白いマントは持ってきているのですね」

 

「今は冬だから雪景色なんて、これを被るだけで潜伏スキルが使えるからな。なにかあった時のために用心くらいは誰でもするだろ?」

 

まあ、そう言われて見ればそうなのですが……

それにしても、白いマントを使うなんてよく考え付きましたよね……タカイタ貝の時にも見ましたが、確かにそれは一面が真っ白な雪に覆われた今であれば、とても有効の手段ですからね。

っと言うか、スキルを使わなくてもかなりの隠密性があると思います。

相変わらず変なところに頭が回ると言えば良いのか……

 

「ちょっと、二人で和んでないで私を助けなさいよ!!もう嫌なのよ!またカエルの胃袋になんて入りたくないの!お願いよ!助けてぇぇぇええ!!」

 

私が声をした方に目を向ければ、そこには叫び声を上げながら雪原を疾走するアクアの姿。

その後ろには巨大カエル、ジャイアントトードがぴょんぴょんと跳ね回って、アクアを追いかけていました。

アクアは前回カエルの餌にされたせいで重度のトラウマとなっていますからね……私も似たような経験がありますが、あれはこりごりですよ。

 

あっ……そういえば、もう一人のカエルの餌にされた人は……

私はその人物がいる方に目を向ければ……

 

「それにしてもこの寒さでよくあんなに動けるよな。動き回る野菜と言い、冬眠しない巨大熊と言い、この辺りの生き物はたくましすぎないか?」

 

「過酷な世界だからこそ、生き物は必死に生き残ろうと輝くのです。私達も負けてはいられませんよ。強い敵を倒してレベルを上げて、彼らに負けないくらいの強くなるのです」

 

「俺としては、そんな波乱万丈な日々よりも平穏な日常が欲しいしよ。一日で良いから出来ないかな……」

 

などとほのぼのとした会話をカズマとしているめぐみんの姿が映りました。

それは別に普通のなのですが、おかしい部分が一つだけあるとすれば……めぐみんの肩から下がカエルに食われています。

アクアが餌にされてトラウマとなったに対して、彼女は耐久を獲得したようで全く抵抗をせずされるがままになっています。ある意味彼女は大物なのかもしれませんね。

 

「それで、助けた方が良いのか?」

 

「いえ、私は大丈夫ですので、アクアの方を優先してください。外は寒いので、温かいカエルの中にもう少し居たいです」

 

「暖房代わりですか?女性としてそれはどうかと……」

 

「マナに一番言われたくないセリフですね」

 

そ、それはどういった意味なのですか!?って言うかカズマは頷かないでください!!

確かにお金の為なら多少くらいなら……なんかちょっと考えたら反論する事が出来ない気がしてきました。

 

ともかく、カエルは残り数体と言ったところでしょうか。

集団で纏まってる際に爆裂魔法を決められたのが功を奏したのか、結構なスピードを片付いていますね。まあその結果、今現在めぐみんはカエルに食べられているのですけど……

でも予想よりも早く片付きそうで良かったです。

 

って私がこんな事を思っているうちにカズマは弓を取り出しましたね。そういえばカズマ、先日に弓と狙撃のスキルを教えてもらったそうです。

弓は文字通り弓を一通り使えるようになるスキルで、狙撃は遠距離での命中率を上げることが出来るスキルだそうです。しかも狙撃の命中率は運のステータスに左右されるという、運の値が高いカズマにはお似合いのスキルです。

 

「えっと、貴方は何も手を出さないのですか?一応、仲間に危険が迫ってますよ」

 

「しょうがないじゃないですか。先日のデストロイヤー戦でゴーレムを切りまくったせいで剣が刃こぼれてしまって、今は研ぎに出してるので剣が手元にないのですよ。どうやって戦えというのですか?」

 

私はそうセナに言い返しました。

彼女は私を監視するっと言って付いてきたのですが……正直やめた方が良いと思いますよ。

このパーティは毎回のように危ない橋を渡るので、彼女を守ってやるほどの余裕がないんですよね。何かあったら真っ先に見捨てられると思いますよ。

ただでさえ、今は常識人のルリが欠けていますからね……問題児のダクネスもいないのですが、それを差し引いてもルリの損失は大きいです。

 

「ちょっと、今私がカエルに食べられるのを待ってなかった!?私を見ながら、いつ力尽きるかってほくそ笑んでたわよね!このクズマ!!」

 

「そんな事思ってないって……ちっ……さて、めぐみん、今助けるからな」

 

「舌打ちをした!今舌打ちをしたわよね!!」

 

騒ぎ声が聞こえてきたのでそちらを向くと、そこにはカズマに食って掛かっているアクアの姿が……

その隣に脳天に弓が突き刺さったカエルがあるのを見るに、カズマは無事に倒したようですが、その倒し方に問題があったみたいですね。

まあ、何時もの事なので放っておくことにしましょう。

 

ともかくこれで、残りのカエルはめぐみんを食べている一匹のみ、これならどうにかなり……

ボコッ…………なんか今、凄く嫌な音が聞こえて来ませんでしか?

嫌な予感を感じつつ、私は音をした方向を向くとそこにはカエルが四匹も……しかもかなりの至近距離に居ました。

これって、やばい奴ですよね……本当にどうしましょう?

 

「カズマ……ってどこに消えましたか!?」

 

「マナ、何を言ってるのよ。カズマは私の隣に……って本当にいないわ!?ま、まさかあの男、私達を置いて……」

 

逃げましたね。

いや、先ほどまで持っていた白マントの事を考えると、近くで潜伏スキルを使って隠れているのでしょう。簡単に仲間を見捨てるとは相変わらずの人でなしっぷりです。

 

……いや、確かにカズマは鬼畜ですが、一度仲間と思った相手には結構義理堅いところあります。簡単に見捨てたりはしません。

たぶんですが……隠れて移動して安全に攻撃できる距離まで離れるつもりなんでしょうね。

って事は少なくとも命の危険はないのでしょうが……今のじりじりとこちらに迫ってきているカエルが問題となります。

なんか少しずつですが包囲されているような気がしますし……アクアはすでに一匹に追いかけまわされてます。

 

「マナ、すいませんが早く助けてもらえませんか?少しずつですが、飲み込まれ始めてます」

 

「えっと、私は今日は剣がないので残念ながら……って、危ない!!」

 

「へ?」

 

徐々に身体がカエルの胃袋の中に消えて行っているめぐみんと会話をしていると、視界の端にセナの後ろから忍び寄っているカエルの姿が映りました。

私は叫び声を上げながらセナの方へと飛んで、彼女を突き飛ばしました。

すると、丁度私の身体が通り抜けたところで、カエル大きな口を広げて飛び出してきました。

危なかった……そんな事を思っていると、地面にヘッドスライディングをした時のように私は地面へと顔から衝突しました。

痛い……着地の事まで考えていませんでした。でもこれで……

 

「危機一髪で奴ですね……大丈夫で……」

 

私は顔を上げながら、セナの姿を見て固まってしましました。

だって、そこには……………頭からカエルに飲み込まれたセナの姿が……

 

どうやら私が突き飛ばした拍子に別のカエルの所に行っしまったみたいですけど……えっと、私は悪くないですよね。カエルの立ち位置が悪かっただけですよね。

取りあえず、逃げ回りながら器用に私を見るアクアの視線が痛いので一言。

 

「か、カエルの小癪な罠にセナがやられました!」

 

「カエルにそんな頭があるわけないじゃない!責任転換をしてるんじゃないわよ!!」

 

う、うるさいです。とにかく私は悪くありません。突き飛ばした先に居たカエルが悪いのです。そうに決まっています。

それよりも今はカエルです。めぐみんとセナと言う尊い犠牲によって二匹は食い止められていますが、残りの三匹のカエルは未だに健在です。

そのうちの一匹は先ほどからアクアを追い掛け回しているので良いのですが……残りの二匹はじりじりと私との距離を詰めてきています。

こうなるんでしたら、剣を研ぎに出さなければよかったですよ。

 

ともかくこの状況をどうにかしないと……

冷静に落ち着いて考えるのです。きっとカズマは今もカエルを狙撃するために潜伏スキルで身を隠しながら移動しているはずです。

っと言うことは移動さえ終わればこのカエルは倒されるはずです。

そうならば私に出来る行動とは……

 

「アクア!どうやら私には出来ることがないみたいなので、一足早く街に帰ってますね!!」

 

「ここにカズマ並みの人でなしがいるんですけど!お願いだから、私を見捨てないでぇぇぇぇええ!!」

 

ちょ、カズマ並みとは失礼な……

私はそこまで鬼畜では……ありませんよね?

うん、少し、ほんの少しだけでしたが、自信がなくなってきました。

確かに考えてるのはカズマですが、実行に移しているのはほとんど私ですからね……

もしかしたら似た者同士……

これ以上は考えても心が傷つくだけなので、この考えはやめましょう。無駄に傷つく必要はありませんからね。

 

ともかく、私に出来ることなんて何もないので、この場から離脱、街に帰ろうとしたところでした。

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッッッッ!!」

 

雪原に突如響き渡った声……

その声と同時に、めぐみんとセナを飲み込んでいてカエルが光の線によって一刀両断されました。

えっと……何かの魔法ですか?

ともかく、両断されたカエルの体からめぐみんとセナが這い出てきたのを見て一先ず安心しました。一緒に切断されたんじゃないかって心配しましたからね。

でも誰が何の目的で……私がそう思っていると再び何者かの声が響き渡りました。

 

「『エナジー・イグニッション』!」

 

すると今度は残りの三匹のカエルが突如燃え上がりました。

多分のも魔法だと思うのですが……聞いたことも見たこともない魔法ですね。

魔法はデュラハン戦やデストロイヤー戦で何度か見たことがあるのですが……それでも見たことがないとなると、もしかして上級魔法でしょうか?

でもこの街に上級魔法が使える冒険者なんていないでしょうし……

 

ともかく魔法を放った人物を探そうとして……いました。

雪原のど真ん中を黒いローブに身に包んだ少女がいました。

えっと、こちらを攻撃する意思はないみたいですが……一応声を掛けた方がいいでしょうか?

 

「えっと、助かりました。ありがとうございます」

 

「た、助けた訳じゃないですから。ライバルがカエルなんかにやられたら、私の立つ瀬がなくなるから……」

 

「ライバル?この場に居る誰かと知り合いなの?」

 

アクア……それは聞くまでもない事だと思いますよ。

此処にいるメンバーは私とアクアとめぐみんとセナ。

私とアクアはこの世界に来たばかりでライバルと言える人物などいません。そしてセナですが、彼女の職業は検察官、目の前の冒険者らしき人とライバルっと言うのは考えにくいです。

だとすれば残りはたった一人……めぐみんだけです。

彼女の知り合だという証拠に、助けてくれた少女の目はめぐみんと同じで紅く輝いています。

 

私はめぐみんの方に目を移すと、いつの間にかに隣に居たカズマがめぐみんに『ドレインタッチ』で魔力を分け与えていました。

すると、少しだけ魔力を取り戻しためぐみんは立ち上がると、少女と向き合います。

そして……

 

「久しぶりね、めぐみん!約束通り修行を終えて帰ってきたわ!今の私は見ての通り上級魔法を使える……今こそ約束を果たす時よ!長きに渡った決着を付けましょう!!」

 

ライバル……文字通りの意味だったのですか?

紅魔族だと思ったので知り合いくらいだと考えてきたのですが……なんだか因縁深い相手のようです。約束ってめぐみんは一体何を……

っと考え込みながらめぐみんに目を移すと彼女は……

 

「…………どちら様でしょうか?」

 

「ええっ!?」

 

あっけらかんとしためぐみんの返事に声を上げる少女……

なんだか、目の前の少女とめぐみんの因縁が見えてきたような……

 

「私よ私!!忘れたの!?紅魔の里の学園の同期で、何時もめぐみんが一番で、私が二番で!だから私は上級魔法を使えるようになるまで、修行してくるって……」

 

「おい、今お前が一番って言ってなかったか?耳がおかしくなったわけじゃねぇよな」

 

「自己紹介の時に紅魔族随一の魔法使いと名乗ったはずです。それを信じなかったカズマが愚かなのです」

 

だって、あの時は冷やかしかと思いましたし……

でも、よくよく考えると、爆裂魔法を低レベルで使えるって結構すごい事なんですよね。だって、爆裂魔法ってかなりのスキルポイントが必要らしいじゃないですか。

つまり、目の前に居る少女はその才能を爆裂魔法と言うネタ魔法に捨てたわけで……

カズマも私と同じ結論に至ったのか、二人でめぐみんをかわいそうな者を見る目で見つめます。

って、そんなことをしている内に目の前の少女は慌てた様子でめぐみんに問いかけていますね。

 

「ほら、よく学園で昼食の弁当を掛けて勝負をしたじゃない!それでいっつも私が負けて弁当を取り上げられて……」

 

めぐみん、貴方なんてことをしているのですか……

流石の私でもそんなことはしませんでしたよ。

まあ、白米だけ持って行って、カズマや友達からおかずを恵んで貰うってことはしましたが……全て取り上げてことはありません。

だから、カズマは私を白い目で見るのをやめてください。それをやれって言ったのは母親なんですよ。私がやろうと思ったんじゃないんですよ。

まあ、素晴らしい考えだとは思いましたが……

 

「ねぇねぇ、長引きそうなら私だけ街に帰っても良い?早くギルドに報告しないと肉が傷んじゃうんですけど。それに、そこで泣いている人を早く銭湯に連れて行った方がいいと思うの」

 

そう言いながらアクアの指をさした先には体中が粘液だらけで泣きじゃくっているセナの姿が……

うん、すっかり忘れていました。カエルを倒した少女の方に皆目がいってましかたらね。

どうしましょう……これって私がやったことになりませんよね?

 

取りあえず、話しかけはしたんですが……カエルに食われたのがよほどショックなのか私の言葉には反応を示してもらえませんでした。

仕方がないので、アクアには泣きじゃくっているセナを連れて先に帰ってもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、この子はお前の知り合いだって言ってるんだが、実際はどうなんだ?忘れてるんなら早く思い出してやれよ」

 

「知り合いじゃありませんよ。だって名前を名乗ってないじゃないですか。この前カズマがマナがやらないか、目を光らせておけって言ってたオレオレ詐欺ってやつですよ」

 

絶対めぐみんは知ってますよね……

だって、目の前の少女から顔が見えない向きで意地の悪い笑みを受けべていますし……

って、カズマは皆になんてことを言ってるんですか!?さすがの私でもそんな犯罪はしませんよ!!

第一この世界には電話がないじゃないですか。オレオレ詐欺だなんて不可能……でも、子供が都会に出稼ぎに行っている家を狙えば可能性がありますよね。数年帰ってないなら顔なんてわから……

 

って、駄目です。今そんな馬鹿な事をすれば洒落にならない事態になってしまいます。せめて魔王軍の関係者だって疑惑を晴らしてから出ないと……

私がそんな事を考えてるうちにめぐみんはカズマを連れて街に帰ろうとしています。そして、それを見た目の前の少女は焦ったような声をあげました。

 

「待ってめぐみん!名乗るから、恥ずかしいけど名乗るから待ってよ!!……我が名はゆんゆん、上級魔法を操る者にして、やがては紅魔族の長となる者……」

 

顔を真っ赤にしてそう宣言するゆんゆん……

最初にめぐみんがした名乗りと似ているのですが……紅魔族の人は皆そんな名乗り方をするのでしょうか?もしそうなのであれば、紅魔族と言うのは変人の集まりですね。

まあ、ゆんゆんと名乗った少女は非常に恥ずかしそうにしているので、まだましな部類なのでしょう……たぶん……

 

「って事で、紅魔族の族長の娘で、学園時代の同期で自称ライバルのゆんゆんです」

 

カズマの隣でそうつけ加えているめぐみん……

やっぱり覚えていたのですね……今も顔を真っ赤に染めているゆんゆんを見るに、ゆんゆんを恥ずかしめる為にわざとやったのでしょうね……

カズマの人の悪さが少し移ったんじゃないですか?

ともかく、相手は自己紹介したのに私だけしないのは失礼ですよね。

カズマと一緒にとっとと済ませてしまう事にしましょう。

 

「私は、めぐみんとは同じパーティに居る仲間のマナです。それでこっちは……」

 

「俺はカズマって言って、こいつらのパーティのリーダーをやってる。よろしくな」

 

「あ、はい。よろしくお願い……えっ!?そ、その……二人とも、私の名前を聞いて笑ったりしないんですか?」

 

ゆんゆんが不思議そうな顔をしていますね。

まあ、確かにおかしな名前だとは思いますが……その程度の事で、驚いたり笑ったりはしませんね。

めぐみんの名前やネーミングセンスで少しは慣れてますし……

何よりこの世界で起こる非常識……動き回る野菜や恐怖の大王っと言ったもののせいでこの手の事には耐久が付きました。今更名前ぐらい何とも思いません。

 

「少し名前が変わってるくらいどうでも良いだろ?俺は最近気づいたんだよ……名前とか外見以上に中身が重要だって事にな。世の中には名前は普通でキレイな見た目をしていても恐ろしい性格ゆえに金の亡者と冒険者から恐れられている輩や、頭のおかしいだけで誰だか分かってしまうほどの冒険者に恐れられてる輩が居るんだぞ」

 

「カズマ!?その金の亡者って私の事ですか!?いつからそんな話が……」

 

「そうですよ!そんな不名誉なあだ名、いつから出来たんですか!?」

 

私の知らない間に冒険者達のあだ名が凄いことに……でも間違ってないので否定しにくいんですよね。実際に中高では金って単語だけで私って通じてましたし……

ちなみに、カズマはクズや鬼畜て通じていました。

まあ、目の前で行った奴らには二人で痛い目にあわせてましたが……ってこんな昔の話は今はどうでも良いですね。

ともかく、それを聞いたゆんゆんは「良い仲間を持ったわね」っと一人納得しています。

 

「それで、ゆんゆんは一体どうしたのですか?めぐみんと決闘をするために現れたんですよね?」

 

「はっ!……そ、そうだったわ。めぐみんが私の事を忘れたなんて変な嘘をつくから話が変な方向のこじれたじゃない」

 

そういったゆんゆんは私達から距離を取ると、めぐみんはビシッと指をさしました。

一方の指を指された本人と言えば……非常に面倒くさそうな顔をしています。なんだか二人に温度差がありますね。

 

「貴方との約束通り上級魔法を手に入れたわ。これで後は貴方を倒して紅魔族一の名を手に入れるのみ……さあ、めぐみん、私と決闘よ」

 

「嫌ですよ。冷えてきましたし……」

 

真剣な眼差しで宣言したゆんゆんにめぐみんは素っ気ない態度でそう返すと、身をひるがえして街の方へと歩み始めました。

そして完全い肩透かしを食らった形となったゆんゆんは、えっと信じられない目でめぐみんを見つめ、私とカズマはどうしたものかと頭を悩ませます。

こうなるのは正直予想出来ていましたが……このまま彼女を無視して街に帰るべきなのでしょうか?

でもそうなると少し可愛そうですし……

でも私やカズマがこの場に残っても出来る事なんてないでしょうし……

どうしたものでしょう?誰か教えてもらえませんかね?

 

「ちょっと待って!久しぶりに会えたのに、どうしてそんなに冷たくするのよ!!お願い、お願いだから勝負してよ!!」

 

そう叫びながら街へと行くめぐみんに縋りつくゆんゆん。

なんか、少しではなくて非常に彼女の事が可愛そうになって来たのですが……

ちょっとくらいは相手をしてあげた方が良いじゃないですか?

私がそんな事を思っているめぐみんは非常に面倒くさそうな顔をしながら返事を返しました。

 

「仕方ないですね……でも勝負と言っても、なにで勝負をするのですか?私はすでに魔力を使い果たしていますし……」

 

「そ、それは……」

 

そこで素直に魔法って言わないところから、ゆんゆんはかなり善良な人間のようですね。

カズマだったらそれがどうしたって平然と勝負を挑みますよ。本当にあの鬼畜は性格がひねくれてますからね。

まあ、こういってる私も金絡みなら平然とそのような行動をしてしまうでしょうが……

 

「わかりました。では、体術で勝負をしましょう。体術はゆんゆんの方が得意ですし、文句はないですね。方法は……武器なしの相手が降参、もしくは気を失うまでって事で良いですか?」

 

「ほ、本当にその条件でいいの?何時も体術の授業になるとどこかに消えていた貴方が……私に花を持たせようってつもりじゃないわよね」

 

「なにを言ってるのですか?私は何時も本気ですよ?それよりもゆんゆん……」

 

「言いたい事は分かってるわ。いつもの様に勝負をするには対価が必要だって言うんでしょ。もちろん準備してあるわ。見なさい、このマナタイトの結晶を……かなりの純度の一級品よ!」

 

「分かりました。それで充分です。ではゆんゆん決闘を始めましょうか」

 

そういって両手を広げるめぐみん、対するゆんゆんは両手を握りしめ拳を構えます。

姿勢や体格、その他諸々を考慮するとゆんゆんが圧倒的に有利に見えるのですが……一つだけその全てを逆転させることが出来るものをめぐみんは持っていました。

っと言うかゆんゆんはどうしてそれに気づかないのですか?めぐみんが体術っと言いだした時に、それは気付くべきことです。

だって、今のめぐみんは……

 

「め、めぐみん?その身体中を覆ってる粘液みたいなのって、もしかして……」

 

「カエルの粘液ですよ。先ほどまでカエルの腹の中に居たので当たり前です。そんな事よりも勝負を続けましょう。さあ、どこからかかってきても良いですよ。ゆんゆんが近づいた瞬間に抱きついてねちょねちょにしてやります」

 

めぐみんの作戦を聞いたゆんゆんはさぁっと頭の血が失せ、顔を真っ青にしています。

まあ、あんな粘液だらけの人の触るだなんて嫌ですよね……私だって嫌です。お金が絡まなければ触れたくもないですしね。

ともかく、めぐみんの考えを聞いたゆんゆんは一歩下がりますが、めぐみんはそれに合わせせて一歩進み二人の距離は一向に離れる気配がありません。

 

「め、めぐみん?冗談でしょ!私の戦意を挫くための冗談なんでしょ!!も、もう私は騙されないわ!学園での時みたい何度も騙せると思わないことね!!」

 

「冗談なんかじゃありませんよ。私は本気ですし……ほら、それによく言うじゃないですか。真の仲間とは苦痛を分ちあうものだと……」

 

その言葉を最後にゆんゆんは背を向けて逃げ出し始め、めぐみんはそれを追いかけ始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局あの後、めぐみんに抱きつかれてヌメヌメにされたゆんゆんは泣いて街へ帰る事となりました。

何と言うか……手酷い扱いですね。

まあ、めぐみんは満足げな笑みを浮かべていたので、ああいった付き合いなんでしょうね……

私が言うのもあれですが友人は選んだ方が良いですよ。

 

ともかく、無事に?カエルを倒し終えた私達は家への帰路についていました。

 

「あ、そういえばマナ、このマナタイト結晶はあげます。良い値になるので質屋で売ってくると良いですよ」

 

「本当ですか!?でも……この結晶ってめぐみんは使わないのですか?ゆんゆんの話だと一級品のようですし……」

 

「マナ……すでに私の手から取っておいて、それを言いますか?」

 

ふぇ!?

めぐみんの指摘を聞いた私は、自分の手にゆっくりと目を移しました……するとそこには先ほどまでめぐみんが持っていたマナタイト結晶が……

い、いつの間に!?私はいつめぐみんから奪ったのですか!?

自分ですら分かりませんでした……手か勝手に動いたと言えば良いのか、脊髄反射の要領で手が動いてましたよ。

カズマとめぐみんの私を見る目がとても痛いです……

 

「そ、そんな事よりも、めぐみんはこれを使わないのですか?」

 

「話を逸らしましたね……まあ良いでしょう。このマナタイト結晶なんですが、魔法を使う際の消費魔力を肩代わりしてくれる物なのですが、私ほど優秀な魔導士になると、その程度の魔力では肩代わりなど出来ないのですよ。だからそれは必要ありません」

 

「上手く誤魔化してるけど、単純に爆裂魔法の消費魔力が膨大なだけだろ」

 

カズマの指摘に目を逸らすめぐみん……

少しは他の魔法を覚えようとは思わないのですかね?

カズマは何度も中級魔法くらいは覚えるようにと言っているのですが、めぐみんは一切聞き入れてくれないんですよね。

本当にこのパーティは問題だらけですよね……まあ、私もその一人なんでしょうがね。

 

「それと、マナはセナの所のいった方が良いんじゃないのか?時間もそれほど立ってないから銭湯の所にまだいるだろうし……」

 

「えっ?どうして……」

 

「あれ、完全にお前がやったと思われてるぞ。言い訳くらいはしてきた方が良いだろ?」

 

あ……ああっ!!

そういえばセナは私が突き飛ばしたせいでカエルの腹の中に入ったのでしたね。

確かに言い訳ぐらいはした方が良いですよね……下手をすると事故に見せかけて監視役を消そうとしたなんて言われかねません。

最悪な場合は留保にされていた死刑が……

 

「カズマ、私は銭湯に行ってセナにわけを話してきますね!!」

 

私はそういって、銭湯に方に向かうことにしたのですが……途中でカズマと思われる悲鳴が聞こえてきたのですが、気のせいですよね。

まあ、あのカズマの事です。きっと大丈夫でしょう……たぶん……

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