ダクネスのお見合いから四日後、私は屋敷のリビングで一人たたずんでいました。
なぜ一人でこんな場所に居るかと言うと……正直やる事がないんですよね。
カズマは引き続き試作品の作成。めぐみんはゆんゆんと一緒に私の疑いを晴らすために二日前に出かけたきり帰ってきてません。ルリも同様の理由でお出かけですし、アクアは先程までは一緒にいたのですが、そろそろお昼なので昼食を作るためにキッチンへ、ダクネスは暫く屋敷に籠っていたとのことで、勘を取り戻すために外で運動をしています。
まぁ、ダクネスはどちみち当たらないのでそんな事をする必要ないと思いますが……
ともかく、今私は暇を持て余してるんですよね……
私が原因となってカズマ達が働いているのにこれで良いのかっと思うものの、めぐみんやルリには自分達だけで大丈夫だっと同行を断られましたし、カズマの作業に至っては手伝いようがありません。
つまり大人しく待っているしかないわけで……
早く、アクアが帰って来ませんかね……
取りあえず、テーブルに置かれたお茶へ手を伸ばして……
「たたた、大変なことになりましたよ!!」
「ふぇ……あちぃッ!!」
急に蹴り飛ばされた扉……
それ驚いた私は思わず手に熱いお茶を落としてしまいました。物凄く熱いです。
もう……一体誰ですか?いきなり扉を蹴り飛ばさないでくださいよ。おかげで痛い思いをする事となったじゃないですか。
未だに少し痛む右手を押さえながら扉を向けばそこには慌てた様子のめぐみんが……
「どうしたのですか?もしかして爆裂魔法で大変な物を壊してしまったのですか?だったら私ではなくカズマに……」
「ち、違いますよ!今日はまだ爆裂魔法を放ってません!!それよりもあの検察官が何か企んでいるらしいんですよ!!」
あの検察官ってセナの事でしょうか?
何か企むって……証明するための期限はまだまだでしたよね?
それに最近はそれほど外出はしてないですし……私を追及する新たな証拠なんてないと思いますが……
はっ!?もしかしてあのカエルの事の仕返しですか!?あれを根に持っていたのですか!?
確かに私が銭湯に駆け付けた時ですら泣いて……
「……めぐみんの言う通り……少し不味い事になった……」
「ひぃ!?ってまたルリですか?お願いですから驚かさないでくださいよ」
突如ルリに声を掛けられた事で再び驚いてしまいました。
相変わらず気配がないですよね……ってめぐみんは今回は驚いてませんね。
えっと、もしかして今回はめぐみんと一緒に入って来たのですか?そして慌ててためぐみんの方に目がいって気づかなかっただけですか?
なんか少しだけルリの視線が非難めいているような気がしますし……
ちらりとめぐみんの方を見ます。
「今回、ルリは普通に私と一緒に入ってきましたよ」
……………………………………
「…………その大変な事って言うのは何なんですか?」
「なかった事にしましたね、この女!?」
だって普通に気づかなかったって本人に言いにくいじゃないですか。
ルリが若干顔をうつむけて悲しそうな顔をしていますし……私にはこれ以上彼女を傷つける事は出来ません。たとえそれが真実だとしても……
すると、ルリは一息ついた後、口を開きました。
「……あの検察官がここに向かってる……捕まえるって……息巻いてた……」
え?
私……最近捕まるような事ってやりましたっけ?
「カトウマナ!!カトウマナはいるかぁぁぁぁぁああっ!!」
「本当に来ましたね……それでなんの用ですか?」
私がソファー座って待っていると、再び蹴り飛ばされた扉。
そしてその奥に血相を変えたセナが立っていました。前のカエルの時みたい……いや、その時よりも怒っているように見えますし……本当に何があったのでしょう?
「なんの用だと!?とぼけるのも大概にしろ!!ダンジョンだ!街の近くにあるキールのダンジョン!!そこで謎のモンスターが大量に湧き出してるそうじゃないか!!貴様、一体何をやったのだ!!」
「キールのダンジョン?……ああ、確か先日行ったダンジョンですね。ですがそれがどうしたのですか?私達は普通に探索しただけですよ?大体、起こった事全てを私の所為にされたんじゃたまったもんじゃありませんよ。こんなふうに言うのであれば証拠があるんですよね」
最も、ダンジョンの主を発見したりダンジョンもどきに二度も飲み込まれたりなど珍しい経験はしたと思いますが、通常のダンジョン探索の域を超えてはいないと思います。
大体、私達のパーティにはモンスターを作ったり出来る人はいませんからね……アンデッドを引き寄せる人とモンスターに突っ込む人はいますが……
ともかく、もし証拠なしに言っているのであれば本気で怒りますよ。
「で、ですかあのダンジョンに入ったのは貴方達が最後だと……」
「そんなの知りませんよ。自然発生でもしたんじゃないですか?第一ギルドに話を通してない人達がやった可能性があるじゃないですか」
「……普通はそっちを考える……どうしてマナなの……」
「そ、それは……」
口ごもってしまうセナ……
ルリの言う通り普通はそちらを考えると思うんですがね……だってギルドに報告して行ったんじゃ簡単に足が付いてしまうじゃないですか。別に門番とか居るわけではないので、ギルドを通さずに入るのなんか簡単なんですよね。
そんな事すら反論できないとは……ロクに考えずに私と決めつけて突撃を掛けてきたってことですね。……私怨が籠っていませんか?
「それで、どうするのですか?変な言い掛かりを付けた責任は取って貰えるのですよね?」
「そ、その……すいませんでした」
めぐみんの追及によってセナはついに頭を下げて謝りました。
今回は流石に関係ないと思いますし……これでお終いでしょうね。一時はどうなる事かと思いましたが無事に終わって良かったですよ。
その後セナは自分は調査があると、護衛として冒険者を雇うためにギルドの方へと向かっていきました。検察官ってこういった事の調査も仕事の内なんですね……大変そうな仕事です。
まあ、セナが忙しくても私には関係ありませんし、どうでも良いのですが……
ともかく、セナが無事に去った後、私達はソファーに座ってアクアが昼食の準備を終えるのを待っていました。
「それにしても、一時はどうなる事かと焦りましたよ」
「めぐみんは焦り過ぎなんですよ。なんでそんなに……もしかして何かやらかしましたか?」
「そ、そんな事あるはず……」
「……二日前に爆裂魔法で破壊……遺産の登録を審査されてた石……」
「ちょ、ルリ!?それは内緒の約束でしたよね!?どうして言っちゃうのですか!?マナ経由でカズマにバレでもしたら……」
ルリの暴露によってあたあたと慌て始めるめぐみん……
って言うか、どうして二日前から帰ってこないのかと思ったら、そんなとんでもないことをしでかしたんですね。遺産って何なのか良く分かりませんが、たぶん世界遺産的なものですよね。
それを破壊なんて……相当やばい事のような気が……
でも、めぐみん。少なくとも私がカズマにバラすかどうかを気にする必要はないと思いますよ。
だって、なんの理由もなくルリが約束を破るとは思えません。つまり今ここで暴露したと言う事は約束を守る必要がなくなったと言う事。それにそんな事をめぐみんが隠蔽など出来るとは思えませんし……
丁度、めぐみんの後ろに居るので話を聞いてみましょう。
「そうだったのか……やっぱりお前だったのか、めぐみん」
「か、カズマ……えっと、何時から此処にいたのですか?」
「いや……そろそろ昼食が出来るかと思ってこっちまで来たら面白い事を話してるじゃないか。お前のおかげで昨日は大変だったんだぞ。ギルドに呼び出されたと思ったら、急に遺産に立候補された大岩の破壊事件の話をされるし、その破壊跡から使われた魔法は一つしかないって断言されるし、この近隣でそれを使える冒険者は二人しかいないって言われるし、そのうちの一人は金欠で餓死しかけてて事件どころじゃないって話だし……」
カズマが言葉を発していく度にめぐみんはその顔に浮かべる汗を増やし、顔色も徐々に青くなっていきます。
まあ、普通に考えればそうなりますよね。直ぐにめぐみんの仕業とこの街の人は判断します。
だってめぐみん、デュラハンの時に大きくて硬いものを破壊したいと言ってたじゃないですか。大岩が破壊されたとなれば、誰もがめぐみんを思い浮かべますよ。それに爆裂魔法の破壊跡はその威力からかなり独特的ですからね。
一応爆裂魔法を使える人はもう一人近くにいますが……あの人とめぐみんを比べたら十人中十人がめぐみんの所為だというと思いますよ。
その他にもめぐみんだと断定させる要件はありそうですが……ともかく、私が言いたいのは、そんな事をしでかせば直ぐにカズマの耳に入ると言う事です。
「カズマ、落ち着いてください!まずは私の話を聞いてください!そう、人間とは言葉を使える生き物です……だからこそ話し合いは重要な事だと思います!!」
「その後が大変だったよ。色々なお偉いさんに頭を下げなくちゃいけなかったし、今回の事件はマナと無関係だと証明する必要もあった。そして慰謝料として六百万エリスと言う新たな借金も出来ることになったしな……………………めぐみん、覚悟は良いよな?」
昨日ギルドに行ったきり帰ってこないと思ったらそんな事をしていたのですね。
帰って来た時には疲れ果てていたので空気を読んで質問はしなかったのですが……それはご愁傷さまです。なんていうか少しだけカズマがかわいそうになってきました。
まあ、私もその原因の一人なので言う資格はないのでしょうが……
ともかく、カズマに最終通告を受けためぐみんは今までにないくらいに顔を真っ青に……いや、どちらかと言うとこれは真っ白ですね。
「すいません!謝ります!!二度とこのような馬鹿な真似はしないと誓います!なので今回の件は許してください!!お願いします!!」
必死に謝り続けるめぐみんを引きずっていくカズマ。
事情を知らない人からすれば、少女を誘拐しようとする現場にしか見えないのですが……今回はめぐみんが全面的に悪いと思います。
知らなかったとは言え、やらかした事実が重大過ぎます。少しは反省をしてください。
ルリも私と同じ意見なのか特に口出しする事なく見つめていると……
「あっ、めぐみんもルリも帰ってきてたのね。丁度良かったわ。今昼食が出来たとこ……ねぇ、マナ?カズマはどうして泣きじゃくるめぐみんを引きずっているの?」
「あれはめぐみんが悪いので気にしなくて良いですよ。それよりもアクア、聞きたいことがあるのですが、キールのダンジョンで余計な事はしてないですよね」
「そこがどうしたのよ?あそこで私がした事なんて、アンデッドを浄化しただけよ」
そうですよね……一応聞いてみたのですが、そもそも変な事なんてしていませんでしたからね。
アクアだから何かをやらかしたのではないかと疑ってしまいましたよ。だって私達のパーティで問題を起こす筆頭的な存在ですからね。
でも起こる事件の全てがアクアの所為ではないのも事実……異様にまでアクアを疑ってしまう癖はなんとかした方が良いですね。アクアに悪いです。
私がアクアに謝ろうとした矢先の事でした……
「あっ!?でも、あのダンジョンには私がリッチーを浄化した時の魔法陣が残ってるんじゃないかしら。あれは私の本気中の本気ですものね。今もダンジョンの奥で邪な存在が入り込まないように働いてるはずよ」
「別にそれくらいなら……」
「おい!?今の言った事は本当か!?」
ふぇ!?
どうしてカズマは焦ったような声を聞いてくるのですか?
例え魔法陣が残っていたとしても問題はないと思いますが……今回はあの墓地での一件とは違います。あそこに魔法陣があったくらいでモンスターが発生する要因とはなりません。
でも今のカズマを見ると相当やばい自体みたいです。カズマのその面持ちに皆ごくりと唾をのみます。
………………結果的にお仕置きから逃れられそうなめぐみんは安堵の息を吐いていますけどね。
「皆、ここにいたのか。今丁度鍛練が終わったから探していたのだが……もう昼食の時間か」
そんな中、部屋に入って来たダクネスはアクアの持ってきた料理に目がいってますが、今の私達はそれどころではないんですよ。
ともかく、カズマの言葉を聞かなくてはなにも出来ません。
「ダクネス、鍛練が終わった所で悪いが、服装はそのままで大丈夫だ。後は皆で外に行く準備を始めてくれ。今すぐダンジョンの方に行く」
えっとよく理由は分からないのですが……取りあえず私達は準備を始め、すぐさまにダンジョンへといく事となりました。
取りあえずカズマ、理由は行く途中にでも説明してもらいますからね。
「うぅぅぅ……今回に限っては私は悪くないと思うの。だってあれは浄化の為の魔法陣で、モンスターなんて作らないのよ」
「うるせぇ!!相手は言い掛かりのような理由でマナを魔王軍の関係者に仕立て上げた奴らだぞ!ダンジョンにマナが関係する魔法陣なんか残ってたら、絶対に今回の事件の犯人扱いするぞ!!」
そんなカズマとアクアの会話を聞きながら、私達はダンジョンへと続く雪道を歩んでいました。
それにしても、あの時カズマがまだリビングに居て助かりましたよ。
もしカズマがめぐみんにお仕置きするためにリビングから出ていたら、私はアクアの言った事を見逃して大変な事態に陥りかねませんでしたからね。まさか浄化の魔法陣がそんな風に解釈される可能性があるとは思いもしませんでしたよ。
流石普段からあくどい事を考えているだけはあります。カズマだからこそあくどい人間がどんな解釈をするのかを理解出来たのです。
まあ、それよりも気になる事が一つだけ……
「アクア?その手に持っている風呂敷包みは何ですか?何時もはそんなもの持っていませんよね?」
「これ?これはね、皆昼食も食べずにダンジョンに向かう事になったでしょう?だから、昼食の一部を弁当箱に入れて持ってきたのよ」
「妙に時間が掛かると思ったら、そんな事をしていたのかお前は……」
「……でも、食は大事……」
まあ、ルリの言いたいことは分かりますよ。
食べ物の恨みは恐ろしいなんて言われてますしね。私はお金が第一なので食事にはそれほどこだわらないのですが……でも、昼食を抜いて長時間歩かされてるせいでお腹は空いてますね。
特にめぐみんとダクネスなんてアクアの持つ弁当に熱い視線を向けていますよ。
ちなみにカズマはそんな今の事態に焦っているのか弁当にわき目もふらずに前進、ルリは何時も通り何事もなさそうに前進していますね。
っと言うか私自身の問題なのに、カズマが一番焦っているように見えるのは気のせいでしょうか?
「ともかく、魔法陣を消せる魔道具はウィズの店で買ったから、あとはセナよりも早く魔法陣の場所に行ってこれを使って消すだけだ」
そう言ってカズマが取り出したのはモップのような道具です。
これを使えば魔法陣が消せるそうなのですが……腐っても女神であるアクアの本気の魔法陣にどれほど効果があるのか心配なんですよね。消せると良いのですが……今までの事例を判断すると消すのに苦労しそうです。
更に今回はセナが来る前に消さないといけませんし……難易度が高いですね。
まあ、私の命に関わる事なので出来る限り努力はしますが。
って、そんな事を思っている内に無事にダンジョンの前までたどり着くことが出来たのですが……
「……なるほど、あれの事か。確かに謎のモンスターだな」
カズマの言葉を耳に入れながら、ダンジョンの入り口へと目を移すとそこには仮面をかぶった小さな人形が歩いていました。
……なんか嫌な予感がするので近寄りたくないですね。
「こんなモンスター見たこともないですね。ダクネスは知ってますか?」
「めぐみん、悪いが私も初めて見るモンスターだ。ルリはなにか知っていないか?」
「……初めて見る……力は……それほど強くない……」
ルリの敵判別スキルですね。
でも弱いモンスターならそれほど危険はないような……いや、でも調査に乗り出すと言う事は何か危険を持っている可能性も……
「なによ、皆こんなちっこいモンスターに恐れてるの?全くだらしないわね。ちょっと見ておきなさい、私がこいつらを退治してみせるわ。それになんか見てるだけで妙にイライラしてくるしね」
「おい、アクア!!不用意に近づくんじゃねぇ!!」
どんな相手か一切分からないのに近づくのは危険、そう判断したカズマがアクアの事を止めようとするのですが、アクアそれを無視してモンスターの元に近づいていきます。
そして、蹴り飛ばそうと思いっきり足を振り下ろしたのですが……そのモンスターは器用にアクアの振り下ろされた足にしがみついて回避しました。
うん、中々面倒そうなモンスターですね。
「カズマさん!!なんだかこのモンスター、徐々に熱くなってきてるんですけど!なんだかこのままだと不味い事になりそうなんですけど!私を助けてぇぇぇぇぇぇええ!!」
「たっく、仕方ねぇな!『バインド』ッ!!」
そう言いながらカズマの投げたロープは絡みつきました。
………………アクアの持った弁当に。
そして一本釣りの要領で弁当を手元に持ってきたカズマはそれを受け止めると、アクアの事を放って逃げ出しました。
ちなみ私達はアクアが熱くっと言った辺りで逃げ出しているので、すでにアクアとは遠く離れた位置にいます。
そしてカズマが無事にこちらに辿り着いたと同時に響き渡る轟音、アクアに張り付いたモンスターが爆発した音でした。
そして爆発した後には小さなクレーターとそのそばに煤だらけで突っ伏すアクアの姿が……
「カズマ、なんでアクアを助けなかったのですか?」
「しょうがねぇだろ。あんな風に張り付かれたんじゃ助けようがねぇよ。元はと言えば俺の指示を無視したあいつが悪いんだろ」
「確かにそうなのかもしれませんが……あのモンスター敵に張り付いて爆発する習性があるようですね。最も爆発は私の爆裂魔法には及びませんがね」
「それは比較するものがおかしいだろ。まあ、アクアの身を挺した実験の結果、あのモンスターの習性が分かっただけでも良しとしよう」
「……物は言いよう……」
「それにしても、張り付いて爆発か……んっ!!……良い習性だな」
遂に言い切りましたね、この変態。
もう、このモンスターはダクネスに処理させた方が良いんじゃないですか?本人にとっても本望だと思いますよ。でも私は今回は巻き込まれないように注意しないといけませんね。前回のカエル釣りの一件で懲りました。
とにかく、こんなモンスターの居るダンジョンにどうやって入るか、それとも最初の想定通り爆裂魔法を使って入り口を閉じてしまった方が良いか話し合おうとすると……
「ちょっと、あんた達!少しくらいは私の心配をしなさいよ!!」
「起きてたのか……アクア、見ての通り弁当は無事だぞ。良かったな」
「弁当じゃなくて、私を助けろって言ったのよ!このクソニート!!」
そんなに騒げるなんて結構ピンピンしているじゃないですか。
まあ、最もその理由はアクアが高ステータスなのと、神具と呼ばれる高性能なチート装備を身に着けてるからだと思いますけどね。実際、あの爆発を私が喰らったら、死にはしないと思いますが行動不能にはなると思います。
もうこれは奥に進んで魔法陣を消すのは無理ですかね……やはり爆裂魔法で……
カズマもそう判断したのはめぐみんに指示を出そうとした時でした。
「サトウさん……?こんな所にどうしたのですか?」
声が聞こえて方向を向けばそこには冒険者たちを引きつれたセナの姿が……
どうやら、追いつかれたみたいですね。街を出た時はまだギルドで人を集めていたので、思ったよりも早かったですね。馬車でも使ったんですかね?
ともかく、今はセナに話を合わせた方がよさそうです。
「いや……よくよく考えてみたんだが、王城修理の借金の金の宛がなくてな。それで協力すればお金を貰えるかと思って……」
「はぁ……も、勿論協力していただけるのであれば、お金はある程度は出しますが……それでもあなた方の借金と比較すると雀の涙だと思いますよ」
「それでも、冬将軍みたいな強大なモンスターと比べればましだよ」
「それもそうですね……ではこちらの札をどうぞ。これは強力な封印の魔法が込められています。モンスター発見の原因は未だに分かっていませんが、召喚によるものならば魔法陣に貼るだけで効果があります」
そう言ってセナが取り出した札の一つを受け取りました。
この流れで行くと、中に入る必要があるのですが……やはり爆裂魔法で入り口をふさぐという作戦はダメなのでしょうかね?一応聞いてみましょう。
「あの……爆裂魔法で入り口をふさぐのはダメなのですか?」
「それはいけません!原因の解明をお願いします!!これだけのモンスターを呼び出せる相手です。封鎖してもテレポートで逃げられる可能性があります。原因を発見して討伐をお願いします」
厄介なことになりましたね……
セナの来る前であれば、そんな事を知らずにやってしまいましたっで済んだのですが……
勿論そんな事をすれば証拠隠滅と疑われる可能性もありますが、奥の魔法陣が見つかるよりはましなはずです。
しかしこうなってしまった以上は、セナよりも早くダンジョンを進んで奥の魔法陣を消すしかないのですが……このダンジョンをどうやって進むか……
本当に厄介なことになりました。
どうしたものか……
皆が首を傾げ悩んでいる時でした。
ダクネスが平然とモンスターの前へ出るとモンスターを殴って倒しました。
「ちょ、何をやってるんだ!!」
それを見た冒険者の一人が慌てたダクネスに注意をしますが……もしかして彼はダクネスの戦いを見たことがないのでしょうか?
良く見ればあまり見ない顔……少なくともデュラハン戦には居なかったと思います。
そんな冒険者の反応に対して私達と言えばダクネスの姿を平然と見つめています。それは冒険者の一部も同じで……
まあ、この方法が一番良いんですよね。
だたそれを命令させたとなればまた問題になるのが怖かったので誰も言わず、本人が自発的に動いてくれるのを待っていただけでした。
だって……
「ふむ、こんなものか……」
私がそんな事を思っている内に聞こえてきた爆発音……
しかし、それを受けたと思われるダクネスは殆ど無傷で立っていました。
まあ、予想通りの光景ですね。
「カズマ、今回は私は行っても足手まといだと思うので洞窟の前で待機していますね。でも魔法は何時でも放てるように準備しておきますので、強敵にあったら此処まで逃げてください」
確かにめぐみんの爆裂魔法をダンジョンで使うわけにはいきませんからね。
敵は倒せると思いますが、私達はほぼ確実に生き埋めになります。カズマも同じことを思っているのか頷いて許可を出しました。
「じゃあ私も、めぐみんと一緒に地上で待ってるわね。支援魔法は掛けてあげるから四人で頑張ってきてね」
「ちょっと待て!そもそもの元凶はお前だろうが!俺達と一緒にダンジョンに入るんだよ!!」
「いやよ、入ったら私をまたおとりに使うんでしょう!?もうモンスターに追い回されるのは嫌なのよ!!私はもう二度とこのダンジョンには入らないって誓ったのよ!!」
前回の件が相当なトラウマになってるみたいですね……
涙目でしゃがみ込んでますし……これはアクアは諦めた方が良さげですね。
結局、あの後の話し合いの結果、私とカズマ、そしてルリとダクネスを連れてダンジョンの中に入る事となりました。無事に魔法陣を消せると良いのですが……大丈夫ですよね?
「フフフ、ハハハハハッ!!見ろ、皆!私の剣が敵に当たっているぞ!私が次々と敵を倒しているぞ!!もうノーコンとは言わせない!!」
そう言いながら迫りくる敵を切っては進むダクネス。
時折、剣を逃れたモンスターがダクネスに張り付いて爆発しているのですが……ものともしていませんね。やはりダクネスの硬さは異様だと思いますよ。アクアだって痛がっていたのに、こちらはあまり痛み……いや、感じているのにそれを快楽に変換しているだけですかね。ダクネスならやりかねません。
それにしても……
「モンスターに攻撃が当たらないの、結構気にしてたんですね」
「素直に両手剣のスキルを取れば良いのに……なんであいつは取らないんだ」
「……己の欲望の方が大事……」
なるほど、不満はあっても性癖の為に取りたくはないと言った感じですか。
私の場合はお金に当てはめれば理解できなくはありませんね。
まあ、なににしてもダクネスのおかげで早く進むことが出来ているのは事実なのでよしとしましょう。
セナが雇った冒険者たちも一緒に入ったのですが、すでに彼らが見えないところにまで進んでいます。この調子で上手く行けばいいのですが……私達は上手く行ったためしがないので、順調にはいかないのではっと疑ってしまいますよ。
っとそんな事を思った矢先……
「なぁ……ルリ?これって……」
「間違いない……魔王軍幹部クラス……」
カズマとルリが顔色を悪くしてそんな事を呟き始めました。
ま、魔王軍の幹部って超大物じゃないですか!?なんでそんなのがここに……
って、ウィズといい、あのデュラハンといい、それにデストロイヤーといい、この街に現れた大物を考えればそれほどおかしな事ではありませんね。でも居て欲しくなんてなかったですよ。
しかしここで一つ問題が……私達は足を止めたのですが、ダクネスはそれに気にせずにどんどんと進んでいきます。私達は何度も呼びかけますが……止まる気配は一切ありません。
不味いです!完全に興奮して我を見失っています!ブレーキの壊れた暴走機関車ですか、あのお嬢様は!?
「……皆、私に近寄って……」
そう言うルリの指示に従って、私とカズマは彼女に近づきます。
すると、徐々にこちらに迫っていたモンスターが急に標的を見失ったかの様にどこかに行ってしまいましたね。
だぶんですが……ルリが隠密スキルを使ってくれたおかげだと思います。
アクアを連れて来なくて助かったですよ。このスキル、自分以外の二人にしか使えませんからね。
「助かったよ、ルリ」
「…………もう少し遅れていたら、あの数が爆発したと思うとぞっとしますね」
本当に危機一髪でした。
後であの暴走機関車をとっちめてやります。
そう新たに決意をしていると……
「貴様が謎のモンスターの元凶だな!覚悟しろ!!」
聞こえてきたダクネスの声……
これちょっと不味くないですか?相手は魔王軍幹部クラスなんですよね?
本当は今すぐにでも逃げ出したいのですが……行かないとダメですよね。はぁ……なんでこうも私達は運がないのでしょうか?
やっぱり疫病神が付いてるせいなんですかね。今度祓ってもらいましょう。
まあ、無理だと思いますが……
「大丈夫か、ダクネス!!」
ルリの隠密スキルを使って追いかけた私達がリッチーのいた部屋に入ると、そこには剣を構えたダクネスの姿がありました。
そしてダクネスの視線の先には、タキシードを着た先程までの敵と同じ仮面をかぶった男が居ましたが……彼が元凶なのでしょうか?
ともかく、ダクネスが無事で安心しましたよ。
「皆、一体何処に行っていたのだ?ま、まさかこいつの卑劣な罠に掛かって……」
「フハハハハハ!!一体何を言ってるのだ、最近割れてきた腹筋を気にし始めている娘よ。そやつらは貴様が置き去りにしたのではないか!!」
「ば、馬鹿な事を言うな!私がそのようなことを……」
「すいませんが、そこの居る男の言った通りですよ」
「……私達を無視して……ダクネスが一人で進んでいった……」
「何度も大声で呼びかけたからな」
私達の指摘によって真っ赤になった顔をうつむかせるダクネス。
本意ではない事は分かってますが……貴方の所為で危険な目にあった事実にはかわりないので少しは反省してください。
それとダクネス、腹筋が割れかけているのですか、そしてそれを気にしているのですか……まあ、私も同じ女性として気持ちは分からなくもありませんが……
腹筋を割らなくするなんて結構簡単な事だと思うんですけどね……そこに激しい動きを加えないようにすれば良いだけですから。
「えっと……それであんたは一体誰なんだ?」
「おっと、これは失礼。吾輩としたことが、自己紹介を忘れておったな。吾輩の名はバニル!地獄に住まう悪魔の公爵にして、魔王軍の幹部!!全てを見通す大悪魔、バニルである!!」
うわ……魔王軍幹部クラスの実力とは知ってましたが、本人でしたか。
でも今の状況は結構不味いですよね……人数こそ四人と揃っていますが、爆裂魔法を使えるめぐみんや、アンデッドなどに対してはほぼ無敵と言えるアクアが居ないのがかなり痛いです。
まあ、めぐみんの方は仮に居たとしてもこんな場所では爆裂魔法を使うわけにはいかないので、実質アクア一択になりますけどね。
ともかく、こうなってしまったら一旦外に逃げて……
「ダクネス、あいつを正面から相手をするのは不味い。一旦、外に逃げるぞ」
「何を言う!女神エリスに使える者として、魔王軍の幹部を見逃すことは出来ない!ここで刺し違える事になっても倒してやる!!」
「こんな時に変なプライドを見せないでください!」
なんでこのお嬢様は変なところで頑固なんですか?
相手は魔王軍の幹部なんですよ。今の私達が戦っても勝てるわけなんてありません。むしろこれを口実に上にまで逃げて、追っかけてきたところを爆裂魔法で洞窟の入り口諸共破壊してしまった方が良いに決まっています。それなのに……
まあ、カズマがルリにバインドで身動きを封じた後に引きずれみたいな話をしているで、直ぐに逃げ出せるとは思いますが……
「まあ、少し落ち着くがいい。吾輩は、魔王にこの地の調査を頼まれたのと、働けば働くだけ貧乏になるという奇妙な特技を持ったポンコツ店主に用があっただけだ。お前たちと争うつもりはない」
私達を落ち着かせるようなその一言に、私達は顔を見合わせます。
えっとどうやら話が通じる相手のようですが……この場合はどうした方が良いのでしょうか?
取りあえず私には判断できないので、カズマに一任することにします。
私達のリーダーですからね。
「まず、魔王軍の幹部と言っても魔王の奴に頼まれて結界の維持のみをやっている、言わばなんちゃって幹部であってな。吾輩たち悪魔は汝ら人間の悪感情を餌としているため、むしろ魔王軍の活動によって人間の数が減る事は死活問題になっているのだ」
「ルリ……あいつの言ってることは間違ってないか?」
「……悪魔が人間の悪感情を食べる……それは本当の話……」
あの後、話し合いで終わるのならそれが一番と判断したカズマによってバニルの話を聞いてみることになりました。
そのため現在カズマはルリと一緒にバニルの正面に座り話を聞いていました。ちなみに私とダクネスはその近くでバニルが変な事をしようとした際に、すぐに動けるように剣を抜いて構えています。
流石に魔王軍の幹部なんて大物、私達で倒せるとは思いませんが、逃げる時間ぐらいは稼いで見せます。
「それで、その悪魔ってのはどんな感情を食べるんだ?」
「ふむ、それはその者によって様々。なにせ悪魔によってその味覚は違うからな。例えば恐怖や絶望と言った感情を好む悪魔もいれば、吾輩のように女に化けて誘惑し、堕ちる直前に『残念、吾輩でした!』っと言って血の涙を流させるのが好きな悪魔もいる」
「この悪魔、退治された方が良いんじゃないか?」
「…………悪魔は、ほとんど……そんな感じ……」
嫌な生き物ですね、悪魔って……
特に今バニルの言った事、女性をお金に置きかえればやられた人がどんな辛い思いをするのか、自分の身に起こった事のように分かりますよ。
だって大金を目にしたと思ったら、それが全て偽札って事ですよね。
あの幼い頃、私が子供銀行によってどれだけ深い傷を負ったか……
カズマには心底呆れられていましたがね。
「実は魔王の奴の手下をからかって遊んでいたところ『勝手に城に居座ってないで、たまには働いてくれないか……』っと頼まれてな。古い友人に会うついでに調査をしようと思ってこの地の来たのだが、主の居ないダンジョンを見つけ、これは良いと思い住み着いたのだ」
そうなのですか……
でもそれって、当初の目的である調査と友人に会うって事を完全に忘れていますよね。
そしてバニルの言った調査……確実に魔王軍の幹部が倒された事だと思います。だってこんな初心者しかいない街に来るなんて、それぐらいしかありませんからね。
って、言うかあのデュラハンはどうしてこの街に来たのでしょうか?それが、未だに謎のままなんですよね……まあ、本人がすでに倒されてしまったので知りようのない事なんですけどね。
「って、言うかあんた、さっきから作っているこの人形は何なんだ?ダンジョンからあふれて大迷惑になっていたぞ。悪感情を食らうって目的にしても、あんたの好みとは違うみたいだが……」
「そうであったか……っと言う事は当初の目的であるダンジョン内のモンスターの駆除は終わったようだな。それならば、バニル人形の製造は中止して次の段階に取り掛かる事にしよう」
それで、ダンジョン内はこのバニル人形だかと言うモンスターしか居なかったのですね。
ダンジョンもどきすらもいなくなっていたので私としてはありがたかったのですが……あったらまた食われかねませんでしたからね。
「それで、あんたはこのダンジョンを使って何を企んでいるんだ?」
「企むとは失敬な。最近そこの守銭奴や鎧娘が数日居なくなったことで、内心非常に動揺していた男よ。吾輩には悪魔として大きな夢があるのだ。そして、それをこの地で叶えたいと思う」
「おい辞めろ。見てもいないのに知った風に言わないでくれ。……お前らも顔を赤くして真に受けるな」
えっ……いや、だって純粋に私の心配をしてくれたのは嬉しいですし……
ダクネスもそれは同じ様で、少しだけ顔を真っ赤に染めています。
うん……ちょっと心情的にまずいですね。
話を切り替えなければ……
「と、ともかく、その大きな夢とは一体何なんだ?悪魔の抱く夢など、ろくでもなさそうだが……」
「永久に近い時を過ごした吾輩は、至高の悪感情を食しながら滅びたいという野望があった。しかしそのためにはどうすれば良いのか、それを必死に考えた末に、一つの案に思い至ったのだ」
なんかロクでもない案の予感が……
「まず、ダンジョンを手に入れるのだ。そしてそこには我が部下を配置し、苛烈な罠を仕掛ける。そこに挑む冒険者は何度も失敗を繰り返しながら一歩ずつ進んでいくだろう!そして遂には最深部に到達し、そこにそびえるは吾輩!!吾輩と冒険者達はそれは英雄譚に語られるような激闘を繰り広げるだろう!そして僅差で負けてしまった吾輩はこういうのだ!!『よくやった冒険者達よ!我が秘宝、その全てを貴様たちにくれてやろう!!』っと、そしてその奥には厳重に保管された宝箱が……冒険者達はこれまでの苦難の道のりを噛みしめながら、その宝箱を開けると……」
ここまでは、ゲームとかでありふれた流れなのですが……
「…………その中にはスカと書かれた紙切れが。吾輩はそれを見て呆然とする冒険者を眺めながら滅びたい」
「やめてやれよ……それだけは、やめてやれ」
「…………惨い……」
二人の言う通りです。
それだけはやめてあげてください。その冒険者達の心情を考えるといたたまれなくなりますよ。
でもそんな事をやれば、確かに至高の悪感情は手に入れられるかもしれませんね。計画が壮大すぎる気がしますが……この場合は壮大だからこそ、手に入れられる悪感情が大きいのですかね。
「ともかく、これ以上人形を生み出さないなら俺達は言う事はないよ。それじゃあ、その後ろにある魔法陣だけは消させてもらうな」
「なっ……!!カズマ、魔王軍の幹部が目の前に居るんだぞ!それを見逃せと言いたいのか!!」
そうですよ……だって今の私達で目の前の悪魔を倒せるわけないじゃないですか。
あのデュラハンがどうにかなったのは、アンデッドであるため、女神であるアクアとの相性が良いだけに過ぎません。今回の幹部は悪魔なのでアクアは有効なのかもしれませんが……
今は彼女が居ないので、このまま戦えば普通に倒されるのがオチでしょう。
それに当初の目的は魔法陣を消す事ですからね。上に行ったら魔王軍幹部が居たので逃げてきたとでも言えば良いだけです。
「……魔法陣?この部屋の奥にある魔法陣のことか?一体どのような風の吹き回しか知らぬが、吾輩の苦労していた魔法陣を消してくれるとは、ご親切な事で。お礼として汝らの未来でも占ってやろうか?」
「さっきの好みを聞いた上だといまいち信用ならないんだがな……ともかく、その魔法陣が残っているとこちらとしても不都合なんだよ」
確かにあの好みを聞いたうえでは……いい未来を言って付け上がらせたうえで、『残念、そんな事になると思ったのか!』とか言われそうですからね。
いまいち信頼できませんよ。
「失敬な。吾輩は占いに関してだけは今までに嘘などついたことはない。それよりも、この魔法陣がなぜ汝らの不都合になるのだ?どれどれ、ちょっと汝の過去を拝見……」
バニルがこちらの目的に興味を示したのかそのような事を言い始め……
これって不味くないですか?確かこの魔法陣を作ったのはアクアで、目の前に居る悪魔はそれの所為で迷惑を……
「………………フハハハッ」
急いでそれを止めようと動き出しましたが……どうやらそれは遅かったようでバニルは乾いた笑い声をあげます。
「フハハハハハ!フハハハハハハハハハハッ!!そうか、そうか。この厄介極まりない魔法陣は貴様の仲間が作ったものであったか!この大悪魔すら通さぬ魔法陣と言う事は………なるほど、そう言う事であったか!!」
不味いですね。目を真っ赤にして怒ってるみたいですよ。
折角話し合いで解決できそうだったのに……本当に私達って運がないですね。
「そこの決闘で勝った際の要求は正当なのかっと悩んでいる男と、本当に要求されたらどうすればと、ここ四日間モジモジしている娘に、男がどのような要求をするのか内容が気になっている娘よ。そこを通して貰おうか……心配いらない、吾輩は人間を殺さぬ悪魔だ。そう”人間”はな。今すぐ地上へと行き、迷惑な魔法陣を作り出したプリーストにキツイ一撃を喰らわせてくれるわ!!」
き、気になってなんかないですよ!カズマとダクネスに何が起きようとそれは両者の問題で……ほ、本当に気にしてんかいませんから!!
この悪魔の勘違いですから!第一そんな事を言ったら私がカズマに気があるみたいじゃないですか!?あんなクズにそんな気などありません!!
カズマが変な勘違いをしたらどうしてくれるのですか!!変な事を言わないでください!!……折角気にしないようにと忘れていたのに……って今断言してしまいました!!
そ、そんな事よりも今の状況は非常に不味いです!ああも人間を強調するって事はアクアの正体に気付いているって事ですよね!?
だとするとここを退けるわけには……ああっ!本当に面倒くさい事態になりました!!
「お前ら、動揺してんじゃねぇよ!それと別に変な要求は考えてねぇからな!!」
そう言う、カズマも顔が真っ赤じゃないですか!!
私、落ち着くんです。相手はあのカズマですよ。確かに私は性格のせいで嫁の貰い手がない女ですが、カズマは非常に鬼畜な考えをしていて、普段から私の面倒を何かと見てくれて、馬鹿な事をする私を最後まで見放さないで、最後の最後には頼りになって……
って良い面を考えてどうするんですか!?余計に顔が熱くなってきたのですが!?
「き、貴様がアクアに危害を加えると言うのなら引くわけにいかない!!それとデタラメを言うな!!私はモジモジなど……」
今、現在進行形でしているのですが!?
顔を真っ赤に染めて、剣先が馬鹿みたいに震えている様子を見て……モジモジ以外の言葉があるのですか!?あったとしても、似た意味を示していると思いますよ!!
「何度も言うが、吾輩は人間を殺さぬし、危害を加えるつもりもない。とっとと屋敷に帰って、自らの望みを言うが良い。さすれば万事上手く行くとこを見通す悪魔が予言してやろう。さらに上手く言い包めばそこの守銭奴も……」
「カズマ!!変な事を起こさないように言っておきますが、違いますからね!この悪魔が嘘とデタラメを言ってるだけですからね!!冷静になってください!!」
「はっ!!そうだ!相手はあのドMクルセイダーと守銭奴だぞ!!見た目は良くても中身が全く伴っていない奴らだぞ!落ち着くんだ、俺!!一時の欲求に惑わされて人生を破綻に追いやって良いのか!!」
自分の中身が残念であるのは多少の自覚はありますが……そこまで言うほどですか?
少し傷つきますよ。
それと、ダクネス。カズマを睨みつけている気持ちはわかりますが、事実なので文句を言う権利はないと思いますよ。気持ちだけはわかりますが……
「ほほう……吾輩の甘言に惑わされぬか。しかし、どうしたものか……吾輩の使う技の数々はチート級の廃威力の物が多い。例えばバニル式殺人光線、これは名の通り当たれば死ぬ光線を出すのだが、当たらば死んでしまうため使う事は出来ない。後はバニル式目ビームなどがあるのだが……」
「ああ、鬱陶しい!何を言っても貴様をアクアの元にはいかせない!!どうしても通るのであれば、この私を倒してからにしろ!!」
そう宣言したダクネスは、先陣を切るが如くバニルに突っ込んでいきました。
昨日は更新出来ずすいません。
更新しようとは思っていたのですが、気がついた時には朝になってました。
三章は書き終えているので、必ず投稿するので安心してください。