この守銭奴に祝福を!   作:駄文帝

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このろくでもない戦いに決着を

「それにしても暇ですね……」

 

「……トランプ……またする?」

 

アクアのクエストを受けてから二日目、特にやる事もない私達は、真昼間から酒場でたむろしてました。一応はジャイアローチの依頼はあるのですが、あれは行こうとするとアクアやめぐみんが全力で反対するので皆で行ける依頼ではありません。

私もまだカズマに暗示を掛けてもらわないといけないですし……その肝心のカズマは先日のクエストでやる気を失っています。

 

私は暇を潰すためにルリの案に乗ろうとした時でした。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、至急街の門に武装して集合してください!』

 

またですか……

これでこの街に着てからもう三回目ですよ……そんに何回も緊急をやっていたら緊急ではなくなってしまうと思います。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、至急街の門に武装して集合してください!……特に冒険者のサトウカズマさんと、その一行は大至急でお願いします!』

 

「へ?」

 

なぜ指名されてのですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は慌てて武装して門に向かうとそこには先日のデュラハンが立っていました。しかも先日と違って後ろに大勢のモンスターを連れています。

 

「またあいつかよ……」

 

「カズマは一応後ろに下がっていてくだい。あなたを見た瞬間に襲い掛かる可能性があります」

 

なにせカズマはあのデュラハンから死の呪いを受けています。あのデュラハンが死んでいるはずのカズマを見れば、自分の手で殺そうするか、それとも見逃そうとするのか見当がつきません。

それを聞いたカズマは、私の意見に賛成しくれたみたいで一人後ろに下がります。

 

カズマがデュラハンから見えないであろう位置まで行ったことを確認した私達は、意を決して前に出いきます。

するとデュラハンの方が私達を見つけたみたいで声を上げました。

 

「なぜ城にこないのだ!この人でなし共があああああ!!」

 

城に来ない事にご立腹のようですね。でも素直にカズマの呪いを解けた言う訳には行きませんし……どうしましょう?

とりあえず話しの話題を逸らすことにしますか。

 

「仲間をどうするかは私達の決める事だと思います。……それに、爆裂魔法を撃ち込んでいないのにどうしてそんなに怒っているのですか?」

 

するとデュラハンは左足で地面を思いっきり蹴り付けました。

私の言葉に反応してもの凄く怒っているみたいですが……一体なぜでしょう?

私は何か怒らせるようなことを言いましたかね……

 

私がデュラハンが腹を立てている理由が分からず首を傾げていると、デュラハンが声を張り上げて答えてくれました。

 

「撃ってないだと!?そんな白々しい事をよくも平然とした顔でいえるな!あれからも毎日のように爆裂魔法が撃ち込まれてるわ!人が注意したにも関わらず撃ち込むなど頭がおかしいんじゃないのか!!」

 

毎日爆裂魔法って……

 

デュラハンを叫び声を聞いた私はめぐみんの方を見ると彼女は冷や汗を流していました。

まさか……あれほどカズマが撃ち込むなと言っていたのにも関わらず撃つ込んだのですか。

 

「めぐみん!あれほど撃つなってカズマが言っていたじゃないですか!爆裂魔法が撃ちたいのなら他にいくらでも撃つ場所があるでしょう!!」

 

「前まではただの荒野に魔法を撃つだけで満足できたのですが、城への攻撃の魅力に目覚めて以来、最低でも大きくて硬いものに魔法を撃たないと満足できない身体に……い、痛いです!頭を叩くのやめてください!」

 

「だったら、城以外の大きな岩とかを探してください!あれ?そういえばめぐみんは魔法を放つと動けなくなりましたよね……って事は共犯者が……」

 

私が後ろを振り向くとアクアがそろりそろりとこの場から抜け出そうとして……あ、その前にルリに捕まりました。

 

「ルリ放してよ!い、痛いわよ!私を抑えてる手に力を入れすぎよ!なんかミシミシ音が聞こえ始めてるんですけど!このままだと腕が曲がってはいけない方向に曲がりそうなんですけど!!……ねえ返事をしてよ!どうして無言のままにさらに力をこめてくるの!?わ、悪かったわ!私が悪かったのを認めるから!!」

 

とりあえずアクアの事はルリに任せましょう。

めぐみんはアクアの事を見て彼女に矛先がずれたとホッとしているようですが貴方にも罰は受けてもらいますよ。

 

「すいません。こちらの指導不足でした……とりあえず後で二人には、公衆の前でリーダーの『スティール』で全裸にさせた後、ジャイアローチの住処に一日ほど放置しようと思うので、それで許してもらえませんか?」

 

罰の内容を聞いたアクアとめぐみんが涙目で冗談だよねっと私に目で訴えていますが、もちろん実行するに決まっているでしょう。私ではこの程度の事しか考えつきませんがカズマが参加すればもっと手酷い内容になると思います。

あれほどするなと言っていたにも関わらずにしたのです。一切の容赦はありません。

 

「い、いや、そこまでしろとは誰も……ってそうじゃない!俺が怒っているのはそれだけではない!貴様等には仲間を助けようとする気持ちはないのか!?まさか本当に保険に掛けて……」

 

そこでデュラハンは言葉を止めてある一点を見つめ始めました。私の視力では視線の先になにも気になるようなものは見えないのですが……話の流れからするとカズマが見つかってしまったのでしょうか?

 

「なんで……生きてるんだ?」

 

「プークスクス!なになに、カズマが死んだと思ってたの?残念でした、あの程度のへんちょこな呪いなんて私の手に掛かれば、解呪なんて簡単よ!もしかしてずっと私達が呪いを解きに城に来るのを待っていたの?うけるんですけ……いたたたた!ルリ!?どうしてまた力を入れ始めるの!?」

 

アクアの言葉を聞いたデュラハンは身体をぷるぷると震わせています。

これは相当怒っていますね……こちらの話を聞いてくれるでしょうか?

 

「貴様等……俺が何時までも手を出さないと舐めているのか?俺が本気なればこんな街の住民など皆殺しに出来るのだぞ……さすがの俺にも堪忍袋の尾と言うものがあるのだぞ……」

 

あ……これは駄目ですね。もうこちらの話は聞く気はないようです。これもアクアのせいですよ。彼女が挑発をしなければここまで怒ったりはしなかったのだろうに……

 

私が頭を抱えたくなっていると、その原因であるアクアがルリから開放されたようで、デュラハンの前に立つと右手を突き出しました。

 

「舐めているかですって!?当たり前じゃない!私の前にノコノコと出てきた事を後で後悔するといいわ!『ターンアンデット』!」

 

そういえば、アクアは女神でしたね。

ウィズの様な高位のアンデットも一方的に浄化する事ができるほどの魔法を使えるのでした。だからあんなに調子に乗っていたですね。

 

これで、魔王軍の幹部は大丈夫でしょう。

しかし視界に入ってきた光景に私は驚きました。デュラハンはアクアから放たれた光をはずす素振りすら見せず堂々と立っています。まさか、女神であるアクアの魔法が効かないとでもいうのでしょうか……

 

「魔王軍の幹部がプリースト対策なしに戦場に立つとでも思っているのか!?残念だが俺は当たり前の上に俺の率いるアンデットの軍団も魔王様の加護によって神聖魔法にはぎゃああああああああ!!」

 

自信たっぷりに言っていた割にはかなり効いているじゃないですか。心配して損をしましたよ。

身体から真っ黒な煙を上げ膝を地面に付くデュラハン……勝負は決まったも同然ですね。私がデュラハン眺めていると、ばれたため、すでに隠れる必要のなくなったカズマが近づいてきました。

 

「終わったのか?」

 

「ええ、アクアの魔法で蹴りがついたようです。あとは後ろの軍団をどうにかすれば……」

 

「勝手に終わらせるな!!」

 

大きな叫び声が聞こえた方向を振り向くとそこにはデュラハンが立っていました。

まかさ、女神であるアクアの浄化が効かない……あ、結構効いてるみたいです。その証拠に足元ふらついています。

 

「最後まで人の話は聞くものだ……俺は魔王様からの特別な加護を受けたこの鎧と、そして俺の力により、そこら辺のプリーストのターンアンデットなど「『セイクリッド・ターンアンデット』!」ひやああああああああ!!」

 

うん……結構効いているように見えるのですがね……

でもアクアのターンアンデットを受けたウィズが耐えることなく消えかかった事を踏まえると、本来のターンアンデットと言うのは恐らく消滅させるものなのでしょう。

 

「どうしようカズマ!まったく効いてないわ!私の魔法が効かないなんておかしいわ!」

 

消滅はさせていませんが……ダメージにはなっていると思いますよ……今も黒い煙を撒き散らしながらゴロゴロと地面を転がっていますし。

でもアクアの魔法で一撃で倒せないとなると厄介ですね。さすがに何度もアクアの魔法をまともに喰らうほど馬鹿ではないでしょうし、アクアを倒そうとこちらに襲い掛かってくるでしょう。

ここは駆け出し冒険者の街……魔王軍の幹部相手にアクアが魔法を放つまで時間稼ぎできるような存在なんていないだろうし……どうしましょう?

もしかしてこれ詰みましたか?

 

「だ、だから……効かないと言っているだろ……まあ、そんな事はどうでもいい。本来はここの調査で終わらせるつもりだったのだが……もいい、この街ごと消してしまえばその必要もなくなるか……」

 

ジャイ○ンなみの理不尽な事を言い出したデュラハンは右手を高く掲げだしました。

こうなったらしょうがありません……ジャイ○ンに対抗できるのはたった一人しかいません。今こそこの実力を見せる時です。

 

「カズえもん……アク太が困っています。早く何とかしてください」

 

「お前は俺を未来の万能猫型ロボットだとでも思ってるのか!?俺にそんな事ができるとわけ……おい!どうしてアクアは俺に泣きつくんだ!なになに、カズえもん、デュラアンが虐めるんだ、どうにかしてよ~だと、俺が出来ると思ってるのか!!マナこそ早く麦わ○海賊団をつれてこい!」

 

「私は○NE PIECEのナ○ではありません!そんな事なんか出来ませんよ!」

 

まあ、彼女の考え方には共感できる所はありますが……

でも考え方少し似ているだけの私よりも、泣いて頼むアクアを最終的にはどうにかしてしまうカズマこそ、ドラ○もんの役にぴったりだと思います。

 

「貴様等!!なにを訳の分からない事を呟いているのだ!!……ええい、もういい!お前らこの街の連中を皆殺しにせよ!!」

 

デュラアンがそんな事を言いながら高く振り上げたその手を振り下ろしました。

 

 

 

 

 

 

 

「ああっ!何でス○夫がこんなに強いのですか!?こういった取り巻きは弱いの普通でしょ!!」

 

「そのネタから離れて、真面目にやれ!!」

 

私達が対峙しているモンスターはアンデットナイトと呼ぶらしく、簡単に表せば骨に鎧を着せたモンスターです。その鎧はかなり痛んでいてボロボロに成っていますが、駆け出しの冒険者しか居ないこの街の人たちにはかなりの脅威にようで、すでにかなりのケガ人が出ています。

 

こんな事を考えている私も、ステータスの優遇のせいもあってか二~三体くらいなら同時に相手取れるのですがそれ以上は無理で、今はカズマと協力しながら五体となんとか戦っている状態です。

 

「カズマ!!しゃがんでください!」

 

私はそう叫んだ後に剣を身体を軸に一回転させ、周りに居たアンデットナイトを一掃します。

私の剣はアンデットナイト達を見事に切り裂き、上半身と下半身とで離れ離れになったアンデットナイトは砂で出来ていたかの様ににボロボロに形を崩していきます。

 

「危なっ!……今お前の剣が背中を掠めたぞ」

 

「すこし剣が低かったみたいですね……すいません」

 

ともかくこれで、私達に襲ってきたアンデットは倒せましたが他はどうなっているでしょう……ざっと見で百体くらいアンデットがいたと思いますが……下手をすればすでに街になだれこんでいる可能性も十分にありえますね。

 

私が当たりを見渡すとそこには大勢のアンデットに追いかけ回されているアクアの姿……

 

「うわわわわあっ!!なんでよ!何で私ばかり狙われるのよ!私は神様なのよ!日頃の行いだっていいはずなのに!!」

 

「ずるい!!何でアクアばかり狙われるのだ!私だって日頃の行いは良い筈なのに、どうしてアクアだけに付いて行くのだ!!」

 

……突っ込みたいところが沢山ありますが、一つだけ言わせて貰うと、アクアの日頃の行いは良いとは思いませんよ。常にトラブルを起しますし、人の事をすぐに馬鹿にしますし。

 

でもアクアが大量のアンデットを引き連れているおかげで、冒険者が相手取るアンデットが少なく、もう少しすればアクアが引きつけている奴以外は倒せるのではないでしょうか。

 

「なぜアクアにあんなに引き寄せられているのでしょう?」

 

「あれ?めぐみん……何処に行っていたのですか?」

 

「先ほどから近くにいましたよ……まあ、二人の戦闘に参加はしていませんが」

 

そうなのですか……まあ、彼女は魔法使いなのでしょうがないと言われればそうなのでしょう。そういえばルリは何処に行ったのでしょう?

私が見渡す限りは見えませんが……隠密スキルを使ってどこかに隠れているのでしょうか?

 

私がそんな事を考えながら辺りに目を凝らして居るとアクアの叫び声が聞こえてきました。

 

「カズマさん!カズマさん!このアンデット私のターンアンデットが効かないですけど!お願いだから助けて!」

 

アクアのターンアンデットが効かないとは、先ほどデュラハンが言っていた魔王の加護というやつなのでしょう。。

それだとしたらかなりヤバイですね。もうアクアの引き連れているアンデット以外は倒し終わったみたいなのですが、アクアの引き連れている数は尋常な数ではありません。この数のアンデットを相手にすることは不可能に近いでしょう。

 

「あ!?あの馬鹿!おい止めろ!こっちに来るな!向こうに行け!!」

 

「無理よ!もう走り回って疲れたの!お願い助けて!!助けてくれたら何でも言う事聞くから!!」

 

カズマの叫び声を聞いて慌ててアクアの方を見ると、アクアは叫び声をあげながらこちらに一直線に近づいてきました……

とりあえずカズマから離れる事にしましょう。めぐみんも同意見のようで私の同じくカズマから距離を取り始めています。

 

「めぐみん!街の外で爆裂魔法の準備をして待機してろ!」

 

「ええっ?……りょ、了解です!」

 

カズマはそう言うとアクアやアンデットたちに背を向けて走り始めました。

 

「一体なんのつもりなのでしょうか?」

 

「たぶん街の外にアンデットを引き連れてめぐみんの爆裂魔法で一掃するつもりなのではないでしょうか」

 

めぐみんの爆裂魔法は威力が強大すぎて街の中ではとてもではないが撃てない魔法ですが、街の外なら多少の問題は出るかもしれませんが、相手を考えれば問題ない範囲でしょう。

 

それを聞いためぐみん、上機嫌になって街の外に向かおうとします。爆裂魔法を撃つのが楽しみで仕方ないみたいですね。今のめぐみんを表す例えとしては、始めての遠足に行く児童と言えばいいのでしょうか……とても待ち遠しそうにしていますね。

 

ともかく、めぐみん一人ではもしもの可能性もありますし、私もついていこうとした時でした……

 

「……『バインド』……」

 

『へ?』

 

小さな声が聞こえたと思った瞬間、私とめぐみんの手にロープが巻き付きました。

一体だれの縄でしょう、というか何の目的でこんな事をしたのでしょう……私がそう思って首を傾げた瞬間……

 

「へえええええええ!?」

 

「ひゃああああああ!?」

 

腕に物凄い力を感じると同時に宙に浮かび上がりました。

例えをあげるなら釣り糸に引き上げられ魚といえばいいのでしょうか。縄に引っ張れるがままの私達はついには街の城壁を越えたところまで吊り上げられました。

 

……とても良い眺めですね……街の方は方角的に見えませんが何処までの終わりがないかのように広がる平原に、私達は先日浄化した湖も見えてきましたよ。この世界に来てから高い場所からの光景は見ていなかったので軽く感動を覚えます。

めぐみんも涙目になって感動……あれ?彼女は周りではなくて下を向いてますね……あ……そういえばどうやって着地するのでしょう……この高さまずくないですか……

 

「「きゃあああああああ!!」

 

私とめぐみんが重力に引かれて、もの凄いスピードで城壁の上に落下している時でした。城壁の上に急に人影が現れたかと思うと、空気抵抗の関係で先に落下した、めぐみんをその人物が両手を使って受け止めました。そして彼女をすばやく地面に降ろすと次に私を受け止めました。

 

「ル……ルリですか!?」

 

その人物をよく見ると、先ほどから見あたらなかた私のパーティメンバーの一人のルリでした。

 

「な、何をするんですか!?死ぬかと思いましたよ!!」

 

めぐみんがルリの事を責め立てているようですが、気持ちは私も同感です。

地球にいた頃に乗ったどの絶叫マシーンより怖かったですよ。あれは安全が保障されていますが、今回のは安全かどうか知らずに、それもいきなりやられた訳でしたから、恐れを抱かない人などいないと思います。冗談ではなく心臓が飛び出るかと思いました。

 

「ここなら……安全に街の外が見える……」

 

なるほど、確かにここなら敵の攻撃される心配もないですし、街の外も見渡す事が出来ます。

カズマが連れてくるであろうアンデットと大群を待ち伏せするのにはぴったりの場所かもしれません。ですが……

 

「ルリ……連れてくるなら一言くらい言ってください……物凄く怖かったんですよ……」

 

「……ごめんなさい……」

 

私が注意するとルリは素直に頭を下げて謝りました……やっぱりこの子、いい子です。

失敗したら素直に耳を傾けて直そうとするなんて他のパーティーメンバーでは考えられません。彼女の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいです。

 

「マナ?どうして私を残念なもの見るかの様な目で見るのですか!?なにか私がしたと言うのですか!?答えてください!!」

 

とりあえず、今回の騒動の一番の原因は黙っていてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

私達が城門の上に待機してから二~三分程たったくらいでしょうか?

街中のアンデットを引き連れたカズマとアクアが門の目掛けて一直線に走りこんできました。

 

「めぐみん!魔法の準備は大丈夫ですか?」

 

「ええ、なにも問題ありませんよ!むしろ今までにないくらい調子がいいです。これなら、モンスターの大群どころか、街の一区画ごと破壊出来そうです」

 

なにやら物騒の言葉が聞こえましたが今はそれを無視するとしましょう。正直突っ込んでいる時間が惜しいですし。彼女は多少の常識を弁えて……いますよね?

 

私がめぐみんが街ごとぶっ飛ばさないか不安に駆られていると、カズマが門を通り過ぎ、そしてその後をアクアやアンデットの大群が続きます。そしてアンデットがすべて門から出たその時でした。

 

「めぐみん、やれ!!」

 

カズマからの合図です。

それが聞こえためぐみんは杖を掲げ声を上げます。

 

「最高のシチュエーションありがとうございます!感謝しますよカズマ!……我が名はめぐみん!紅魔族一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者!魔王の幹部、デュラハンよ!我が魔法の威力をその目に焼き付けるがいい!『エクスプロージョン』ッッッッッ!!」

 

めぐみんの魔法がアンデットの大群を吹き飛ばしました。……モンスターに追われていたアクアもろとも……

本当に絶好調だったみたいだったようですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクア!?大丈夫ですか!?」

 

その後私は、ルリが城壁から垂らしたロープを使って下におりて、めぐみんの爆裂魔法の巻き添えになったアクアを探していました。

巻き込まれたといっても、それないの距離があって、爆発自体ではなく爆風に巻き込まれただけなので大丈夫だろうと思いますが。

 

「ううう、口の中がじゃりじゃりする……世界が回って見える……もういや……なんで私ばかりこんな目に会うのよ……」

 

するとすぐに、地面にうつぶせになって倒れているアクアの姿が目に入りました。

特に目立った外傷はない見ないなので大丈夫そうですね。

 

「ふふふ……どうですか?私の爆裂魔法の威力は……」

 

「とりあえず、アクアには新たなトラウマを植えつけたみたいだな」

 

まぐみんとカズマの声が聞こえて来たので、そちら向くと、ルリにおぶられためぐみんと爆裂魔法の粉塵を身に受けたのか、所々に砂を被ったカズマがいました。

 

「配下のアンデットはこれでおしまいですね……これで終わりだといいのですけど……」

 

私がそんな事を言いながら皆で街の中に戻ろうとすると、街の入り口に立ったデュラハンが見えてきました。彼は肩をぷるぷると震わせていますが……もしかして怒っていうのでしょうか?

 

「ハハハ!面白い!まさかこんな駆け出し冒険者の街で配下が全滅させられるとわ思っても見なかったぞ!さて、配下がやられた事だし……次は俺が直々に相手をしてやろう!」

 

そう叫んだデュラハンが大剣を構えて、こちらに駆け出して着ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

デュラハンが私達の元に到着するよりも早く、冒険者達が私達を守るかの様にデュラハンを取り囲み始めました。

 

「ほーう?俺の一番の狙いはそこにいる連中なのだが……まあ、かかって来たいならかかってくるがいい。俺には多額の賞金が掛かっている、仮に打ち倒せたのなら一生遊んで暮らせるお金が貰えるかもしれないな……さあ、一攫千金を夢見る冒険者共よどうするのだ!?」

 

「……一生遊んで暮らせる……」

 

「行くなよ……」

 

「い、行きませんよ……たぶん」

 

さすがの私も命は惜しいですよ。魔王の幹部相手にそんな軽率な行動はしません。そんな事をすれば殺されるのくれい目に見えてますからね。

 

世の中には命よりもお金が大事と言う人々がいますが、私から見ればまだ甘いといわざるおえません。命があればこそ、お金を貯めることが出来るのです。死んでしまったらお金を貯めれなくなってしまうではないですか。可能な限り長生きをしてお金を貯める……それが重要な事だと思います。

 

「おい、どんなに強くても後ろに目なんかついちゃいねえ!一斉に襲い掛かれば誰かは当てられるはずだ!」

 

私がお金の事に思いふけっていると、取り囲んでいた冒険者のうちの誰かの声に反応してじりじりと数人の冒険者がデュラハンににじり寄りはじめました。

するとデュラハンは自らの首を真上に投げ飛ばし、剣を構えます。そして……

 

「え?」

 

それは今まさに襲いかかろうとした冒険者の声でした。

取り囲む何人の冒険者がそういったは分かりませんが、そんな声と共に何人もの冒険者達が血を噴出しながら地面に倒れました。

デュラハンは襲い掛かろうとした冒険者たちを目にも止まらぬ速さで切り捨てたのです。

 

それを見た私は思わず、胃の中のものがこみ上げてきましたが、口を手で押さえ何とか堪えます。そういえば、この世界で人が死ぬのを見たのは初めてでしたね……命が軽い世界、それはわかっていたんですが今初めてそれを実感できましたよ。

 

「おい?マナ……大丈夫か?」

 

「な、何とか……あまり見たいものじゃありませんね……」

 

私の状態に気づいたのかカズマが気遣ってくらました。

正直このまま逃げ出しのですが、そんな事を言っていられる状況ではないでしすしね。

 

しかし今の攻撃で冒険者達の足が竦んでいます。今足がデュラハンが襲い掛かりでもしたら大混乱は避けられないでしょう。

 

「次は誰だ?」

 

その言葉に答えるものは誰もいません……この場にいる全員がデュラハンに襲い掛かれば死ぬという事実がわかっているからです。

しかし、そんな中、人混みを掻き分け一人のクルセイダー……ダクネスが出てきました。

 

「カズマ。私はダクネスの援護をしに行こうと思います。さすがに一人で立ち向かわせるわけにはいきません」

 

「分かった。俺は魔法使いの人達に二人の援護を頼むから、ルリはめぐみんを背負って安全な場所に置いて来てくれ。アクアは……なにやってんだ?あいつ……」

 

カズマがアクアに指示を出そうとしますが、彼女は冒険者の死体のそばでなにわら、ぶつぶつと呟いています。

まあ、アクアは仮にも女神なのです。死んだ冒険者の魂の手向けみたいな事をやっているのでしょう。

 

とりあえずアクアの事は放って置くことにして、私はダクネスの元まで駆け寄りました。

 

「ダクネス、私も手伝いますよ。でも……防御については自信がないので……」

 

「構わないさ。私を盾として使ってくれ。私は攻撃スキルにまったくポイントを使っていない分、それを防御スキルに費やしている。あの程度の斬撃など、私が完全に防いでやろう」

 

なんでしょう……今日のダクネスはとてもかっこよく見えます。

もし彼女が男性だったら、私は惚れてしまったんではないでしょうか。何時もこのままだと嬉しいのに……

 

「俺の斬撃をあの程度とは……随分大層なことをいってくれるじゃないか。その口に見合っただけの実力があるんだろうな!!」

 

私達がデュラハンに駆け寄って、攻撃しますが、それをいとも簡単にかわしたデュラハンはダクネスに剣を一閃させます。

 

「口ほどにもないな……次はお前の……は?」

 

確実にダクネスを討ち取った自信があったのでしょう。しかしデュラハンの剣はダクネスの鎧を耳障りな音と共に引っかくだけで、ダクネス自体には一切のキズを負わせられていません。

恐らく顔があったなら驚愕しているのでしょう。デュラハンの動きが止まりました。

 

「隙ありです!」

 

私が剣を振りかぶると、こちらも耳障りな音と共に、デュラハンの鎧の一部を削りとりました。

 

「な!?私の攻撃に耐えて、私の鎧にキズをつける奴がいるだと……先ほどのアークプリーストといい、爆裂魔法を使うアークウィザードといい……この街の連中はおかしいだろ……」

 

デュラハンがそう声をあげているうちに私はダクネスに近寄って再び攻撃の準備します。

 

「ダクネス……貴方がまず、あいつの攻撃を耐えてください。そしたら、相手の攻撃の隙を突いて私が攻撃します」

 

「了解した……では、行くぞ!」

 

私とダクネスは再びデュラハンに駆け出し攻撃を始めます。

私はダクネスの影に隠れて、デュラハンが攻撃した隙を突いて攻撃する……そんな単調な作業の繰り返しですが、効果は覿面で私の剣は次々にデュラハンの鎧を傷つけていきます。

その途中でカズマの指示を受けた魔法使いの皆さんが、魔法による攻撃を加えようとしたのですが、デュラハンが途中で呪いを振りまく動作をしてしまったために失敗してしましまた。

 

魔法の援護がないのは厳しかったですが、何とかダクネスと一緒に奮闘して、あともう少しでデュラハンの身体に刃を通せるのではないか……そんなところまで来た時でした。

私の頬に何かしらの液体が付いた感触がしました。私は頬を拭って、それを確認すると……

 

「ダクネス!血が出てるじゃないですか!一旦下がりましょう!もう冒険者達も戦う気力を取り戻しているはずです!」

 

「馬鹿なことを言うな!そんな事をすれば、多少は攻撃の入るマナが真っ先に狙われるに決まっているだろ!」

 

それもそうですが、このままだとダクネスが……

 

「『クリエイト・ウォーター』ッ!」

 

私がどうするか悩んでいると、誰かが魔法を唱えたようで、私達の真上に現れた水がその場から飛び退いたデュラハン以外を水浸しにしました。誰がこんな事をやったのでしょうか?

まだ冬になっていないとはいえ、風邪を引いたらどうしてくれるのでしょうか?とりあえず慰謝料は請求しますが……

 

私達が後ろを振り返るとそこには手を突き出したカズマの姿が……

 

「カズマ……冷たいですよ。女の衣服を水浸しにて、下着を覗こうとしたのでしょうが、私達は鎧を着てるから意味はありませんよ」

 

「そうだカズマ。別にこういった事をされるのが嫌いなわけではないが、時と場所を考えてくれ」

 

「ちちち、違う!そんな事考えてねぇよ!おい!本当だから周りの奴は俺に蔑んだ目を向けるのは止めろ!これはこう使うんだよ!『フリーズ』ッ!」

 

カズマの唱えた魔法は確か、水を凍らせるだけの初級魔法だと思いましたが……一体何に使うんでしょう?私とダクネスが首をかしげていると、デュラハンがいきなり声を上げました。

 

「ほう!?足元の氷で俺の身動きを止めるつもりか……なかなかやるではないか」

 

振り返ってデュラハンの足元を見るとそこには、カズマの『フリーズ』で出来た氷が張っており、身動きが出来ないようになっていました。

これはチャンスですね。私とダクネスは顔を見合わせた後、デュラハンに駆け出して剣を振り落とします。

 

「甘いわ!!そんな見え見えの攻撃にが当たるとでも思っているのか!!」

 

私とダクネスが繰り出した攻撃はデュラハンに容易に受け止められ、凄まじい力で私とダクネスの剣を押し戻そうとします。勿論私もダクネスも力を込めたのですが、相手は魔王の幹部……剣を押し戻され体勢を崩されてしまいました。

 

マズイです。私は言うに及ばず、デュラハンの攻撃に耐えることなど出来ませんし、ダクネスも鎧に覆われていない顔が無防備になっています。デュラハンもその部分を攻撃するように剣を振りかぶっていますし、その延長線上には私もいますし……焦りすぎましたね……

 

私は来るであろう痛みに耐えるため目を瞑ろうとしたその時……

 

「……『バインド』……」

 

剣を振り下ろそうとするデュラハンに無数のロープが巻き付きその動きを止めました。

 

た、助かったのでしょうか……私が縄の先に目をやるとそこには建物に上に上がっているルリがいました。めぐみんを安全な場所に置いて来た後にこちらに来たのでしょうが……ナイスタイミングと言うか、助かりました。

 

「ええい!小賢しい!この程度の縄など俺が……なにいいいいい!?」

 

『へ?』

 

その気の抜けたような声は私だけでわなく、隣に居るダクネスも少し離れた場所に居るカズマも、そしてこの場に居た冒険者達全員がそういったと思います……

だって……デュラハンが点にしか見えなくなるくらい空高く打ち上げられたのですから……

 

いきなりなんででしょう?

私は再びルリを見ると彼女はロープを持った手を高く振り上げてました……もしかして彼女がロープを使って一本釣りの要領で吊り上げたのですか……

すごい腕力だとは理解していましたが、これは想像以上です。

 

「……私の仲間を」

 

ルリはそう言いながらロープを思いっきり振り下ろそうとします……ここに居ると危険がありそうですね。

私とダクネスは身の危険を感じてその場からすばやく離脱します。

 

私達がちょうど離れ終わった頃です。点を通り越してすでに見えなくなっていたデュラハンが繋がっているであろうロープをルリは思いっきり振り下ろしましいた。

 

「傷つけるなぁぁぁぁああああッッッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

物凄い速さで地面に戻って来たデュラハンは何もする事ができず、地面に物凄い速さで叩き付けられたました。

その様子は小さな隕石が衝突したといえばいいのでしょうか……めぐみんの爆裂魔法のように、あたり一面に木霊す轟音に巻き起こる大量の粉塵……そしてそれが晴れるとめぐみんの爆裂魔法よりは規模がかなり小さいとはいえ、それなりの大きさのクレーターが出来てしました。

 

めぐみんの爆裂魔法と違って石畳の上と言うことを踏まえても、小さな規模のものですが……これは一人の人間の腕力によって作られたものですよね……とてもではないが信じられません……

 

あまりにも信じられない光景に誰もが固まっていると、ルリはすばやく建物の上から降りてこちらに向かってきました。

 

「……大丈夫……怪我はない……」

 

「ええと……大丈夫ですよ」

 

「ああ、助かったが……ルリは攻撃は出来ないんじゃなかったのか?」

 

「……アンデットは大丈夫……」

 

そ、そうなのですか……出来ればそういった大事な事は早めに言って欲しかったというか……

ルリの引き起こした事が信じられる程まだ頭がうまく回りませんが、ルリは決して怒らせてはいけないと言う事が心の底から理解でしました……あんな事をやられたら、死ぬ死なないの問題ではなく、死体が残るか残らないかの問題になりますしね……

 

「嘘だろ……」

 

カズマが信じられない光景を見たかの様に身体を震わせながらそう言っています……それにつられて私達もカズマの視線の先……ちょうどクレーターの中央に目を向けると、ヒビだらけの鎧を纏ったデュラハンがゆっくりと立ち上がろうとしています。

 

まさか、あの攻撃は効かなかったですか!?

私は思わず驚いてしまいましたが……足元がかなりふらついてます……あの攻撃はかなりのダメージを与えたみたいです。

 

「き、貴様等……よくも俺をここまで傷つけてくれたな……俺がここまで傷付いたのは始めての事だ……それについてはよくやったと誉めてやろう……しかし、俺は魔王の幹部……こんな駆け出し冒険者の街で負けるわけにはいかないのだ……かかってこい、本気で相手をしてやる!!」

 

本気っていままでは本気ではなかったのですか!?

そう叫んだ後にこちらに走ってくるデュラハンは確かに今までよりも早く、その言葉がハッタリではないことを示しています。

正直、今すぐにでも逃げ出したいのですが、逃げる場所もないですし腹を括るしかありませんか……

 

私とダクネスが再びデュラハンと対峙しようとした時でした……

 

「『クリエイト・ウォーター』ッ!」

 

何を思ったのかカズマが魔法でデュラハンの上に水を作り出し、デュラハンは慌てた様子でその水を避けました。

 

「カズマ!どうしたのですか!?水遊びしたいにも時と場所を……」

 

「違う水だ水!!そいつの弱点は水だぁぁあああッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『クリエイト・ウォーター』!『クリエイト・ウォーター』!『クリエイト・ウォーター』ッッッ!!」

 

「『バインド』!」

 

「おおっ!?くっ!危なっ!!」

 

「ちょこまかと動かないでください!!」

 

今現在、カズマを筆頭にした魔法使いが必死に魔法を唱えデュラハンに水を浴びせようとする中、ルリは建物の屋上で『バインド』を使い、私とダクネスは水浸しになるのを気にも留めずデュラハンに剣を振り続けます。

もはやデュラハンへの集団リンチと言ってもいい光景が繰り広げられていますが、もしこの中で一つでも欠けたら均衡はもろくも崩れ去るでしょう。

今は回避に専念しているためか、攻撃はまったくしてきませんが、ダメージを負っているはずなのに先ほどとは比べもものにならない速さで攻撃を回避しています。もし余裕が少しでも出来ればすぐに攻撃に移り、ダクネスはともかく、私は瞬殺されるのが目に見えてます。それを誰もが理解しているからこそ、必死に攻撃しているのですが……当たる気配がありません。

このままだと、ルリやカズマ達の魔力が尽きるの早いかもしれません……

 

そんな時でした。後ろからアクアの声が聞こえてきました。

 

「この世に在る我が眷属よ……水の女神、アクアが命ず……」

 

何なんでしょう……めぐみんは爆裂魔法を使う前のように空気が震えてきた気がします……しかも女神アクアって、アクアが何かヤバイ魔法を使おうとしてんるじゃないですよね。

彼女は一応女神なのですからそういった魔法を持っていてもおかしくはありません……正直この場から一刻も早く逃げ出した気分です。

 

それは敵であるデュラハンも感じたのか、この場から逃げ出そうとしますがその前にダクネスが立ち塞がりました。

 

「『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』!」

 

その声がした方向を振り向くと、そこには巨大な水の壁が迫って来ました……

アクア、ものには限度と言うものがあるのですよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…ルリ……ありがとな……」

 

「た、助かりました……」

 

「私としては……もう少しあの場にいても良かったのだが……」

 

「……どういたしまして……ダクネスは変な事を言わない……」

 

あの後、アクアの出した大量の水が全てを飲み込みました……出したアクア本人も含めて……

いつも馬鹿だとは思っていましたが、まさか自分に来る被害すらも計算できないとは……

 

ともかくその後、私達はルリの『バインド』によって建物の上まで引き上げられたので助かりました。今回は彼女に助けられてばかりですね……何時の日か、この借り返せるようにしないと……

 

「……水が引き始めた……」

 

私が彼女の指をさすほうに目を向けるとそこには、ぐったりと地面に倒れているデュラハンや冒険者達が目に映りました。

それを見た私達は建物から飛び降りて……

 

「カズマ、涙目になってるのですが……痛かったのですか?」

 

「う、うるせえ……」

 

ステータスの低いカズマはダメージを受けたみたいですが、私やダクネスは問題なく地面に降り立つと立ち上がろうとしているデュラハンに近づいていきました。

 

「お、お前ら馬鹿なのか……そうなんだろ……」

 

その意見については前面的に同意したですが、折角のチャンスを不意にするわけに行きません……しかしどうしましょう。

先ほどの水で武器を私もダクネスも流されてしまいましたし……取りあえず私とダクネスはそこらへんに落ちていた剣を拾い上げます。

 

「俺は魔王軍の幹部……この程度でやられてたまるか!!」

 

デュラハンはそう叫び声を上げながら私達に切りかかろうとします。

するとダクネスが前に出て私達の盾になろうとします。私はデュラハンが攻撃した隙をついて攻撃できるように構えを取りますが……

 

「『スティール』ッッッッ!!」

 

カズマが『スティール』を使いました。ミツルギと同じような結果を狙ったのでしょうが、デュラハンは手には剣が握られたままです。

失敗したのか、それとも剣以外のものを盗んだのかは分かりませんが、これではミルツギのような効果は望めません。

 

そして防御体勢に入ったダクネスに斬撃が来る……ことがないですね、どうしたのでしょうか?

 

「あの……すいません……」

 

するとデュラハンの声が聞こえて来ました……

 

「その……首を返してもらえませんかね……」

 

カズマの突き出した右手にあるデュラハンの首から……

 

…………

 

「おいお前ら、サッカーしようぜ!!サッカーてのはなぁぁぁあああ!!手を使わず、足だけでボールを扱う遊びだよぉぉぉおおお!!」

 

カズマはそんな事を叫びながらデュラハンの首を冒険者達の方へ蹴り投げました。

するとデュラハンの首は一瞬でオモチャに早変わり、冒険者達はそれを蹴り上げて遊んでいます。

 

「なんだこれ!すげぇおもしれぇ!!」

 

「ほらそっちに行くぞ!落とすなよ!!」

 

「分かったよ!ほれそっちにパスするぞ!」

 

「いたたたた!ちょ、待て!やめっ!」

 

皆して楽しそうですね……私も参加しましょうか。

でも同じサッカーでは捻りがないですね……あ、そうです。それにしましょう。

これならサッカーと同じで皆が楽しめると思います。まあ、デュラハンだけは例外となりますが、敵なのですし、別にいいでしょう。

 

「すいません!!私にパスをください!!」

 

するとデュラハンの首改め、サッカーボールがこちらに来ました。

私それに狙うように剣を構え、声を上げます。

 

「皆さん今度はバトミントンをしませんか!?ルールは簡単です!剣でボールを空に打ち上げて地面に落ちないようにするだけです!!」

 

私がそう言ってデュラハンの首を剣の平らな部分を使って空高く打ち上げると、他の冒険者達もそこらへんに散乱している剣を持つと私に続き始めました。

 

「うおっ!先のサッカーよりは難しいが……」

 

「これはこれで楽しいじゃねか!!ほれそっちに打つぞ!!」

 

「おい!いたたた!先よりっ!痛いッ!!」

 

そりゃ、鉄の塊で殴りつけていますからね。先ほどより痛いのは当たり前です。中には刃の方を使って打ち上げている上級者もいますしね。

それにしても、皆楽しそうに打ち上げていますね……発案者としてなによりです。

 

「『セイクリッド・ターンアンデット』!」

 

「ちょ、待っ……ぎゃあああああ!!」

 

アクアの魔法の掛け声と共にデュラハンの首が消えていきます。きっとカズマの方でどうにかしてアクアの魔法が効く状態にでもしたのでしょう。もう少し遊んでいたかったので残念ですが、これで魔王の幹部は退治できたのでよしとしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ダクネスがこの戦いで死んだ者達に祈り捧げていたら、アクアの魔法で実は生きていたため一悶着あったのですが……それが原因で二~三日程カズマにからかわれていました。

どうやら精神的な羞恥で責められるのは苦手らしく、顔を真っ赤に染めて可愛らしい状態になっていましたよ。

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