ベルディアside
ここは一体どこなのだろう?
辺り一面が白く光り輝く部屋にいるが……俺は確か、アクセルの街の冒険者と戦っていて……
そこまで考えが至った瞬間、俺は身体を跳び起した。
そうだ。俺はあそこの冒険者達と戦って負けたのだ。魔王軍の幹部ともあろう者があんな駆け出しの冒険者に負けるとは、恥ずかしい限りだ。これでは、魔王様に会わせる顔がない。
それにしても、ここは何処なのだろう?
少なくともこんな場所は俺の記憶にある限り来たことはないが……
俺は自分の身体に異常がないか調べるために身体を見ようとした時にある事に気づいた……
身体があるのだ……俺はアンデットになった時に前の身体は捨てたはずなのに人間と時の身体になっている。首も触ってみるがしっかりとくっついてるではないか。一体どういうことなのだ?
「驚いてるな……アンデットになっても、魂まで変わる事はそうそうはねぇんだよ」
いきなり聞こえて来た声に驚いて俺が声がする方を見るとそこには、真っ黒ロープを着込み、身長以上い大きい大鎌を持ち、骸骨の仮面を被った小柄な人間のような者……一言で言えば死神のような奴が椅子に胡坐をかいて座っていた。
恐らく声からするに女性のようだが……一体彼女は何者なんだ?
それに俺の今の状態を魂と言っていたよな……つまり俺は死んでつまりここは……
「言っておくが天国じゃねぇぞ。ここは死んだ奴の処遇を決める場所だ……なんで分かるんだって顔してるな。簡単だよ。大体の奴はそんな事を言うからな。もう慣れたんだ」
そうか……つまりここで俺が今後どのような境遇になるのか決まるのか。
「まずは自己紹介からするか、魔王軍の幹部のデュラハンのベルディアさんよ。俺はこの世界で地獄行きになる者を担当するメイって名前の女神だ。司る力は破壊だ。短い間だがよろしく頼むよ」
いまこいつ、私が名前を名乗っていないにも関わらず私の名前どころか就いていた地位までも正確に……いや、それよりも地獄行きとはどういうことだ。
「いろいろ尋ねたそうな顔をしてるな。まあ、聞く事なんて皆大体同じだから、テンプレにしたがって答えてやるよ。まずお前の名前を知ってる件はだな、この部屋に入ってきた者がどんな奴のなのかすぐに分かるようになってるんだよ。詳しい仕組みを説明すんのは面倒だからそんな仕組みなってるって事にしてくれ。次は何で地獄行きのここに来てるかだろ?簡単な話だ……寿命と言う神が定めた理を逃げ出した奴を地獄以外に送ったりする奴がいるか?俺以外にそんな奴居たらそいつは真の意味で天使って言えるな」
俺の思っていた疑問を次々と目の前の女神は答えてくれた。
それにしても一つだけ気になった事があった。今目の前の女神はアンデットを自分以外に地獄以外に送ったら天使だといった。つまりはこの女神は地獄送りにしないのだろうか?
「すまないが……俺以外とはどう言うことだ?」
「ああ、それか。俺は人の悪感情を好む悪魔でもねぇし、頭がダイヤモンドより硬い天使でもなければ、アクアやエリスのようなアンデット嫌いでもねぇ。本当はこの場所に着た奴は問答無用で地獄行きが決まってるが、事情によってはさすがに天国までは無理だが、記憶を消して転生くらいはさせてやってるのさ」
「そ、そんな事をして怒られないのか?」
「どいつもこいつも玉なしの腑抜けばかりでな。誰も俺を叱りに来ないんだよ。ほんのたまに叱り来る奴も決まってて、創造神のロリババイか、同じ世界を担当してるエリスくらいだ」
こんな素行の悪い女神を注意しに行こう思う者はいないのだろうか……きっと彼女の事が怖いのだろう……
なんというか、人付き合いは人間もアンデットも神も同じものなのだな……死んでからこんなくだらない事を知るはめになるとは……
だが良い話も聞けた。こいつは今、事情しだいでは地獄に送らないと言ったのだ。記憶を失うのは正直いやだが地獄に送られるよりもマシだろ……うまくこの女神をちょろまかして……
「行っておくが、お前は地獄送り確定だぞ……なんでって顔するなよ。さっき言っただろ、お前の事はわかってるんだよ。確かにアンデットに成った経緯は同情できるがよ……魔王軍に入ってからの事を考えろよ。お前は何人、罪のない人々を殺してきたんだ?自分でも数え切れねぇだろ?それに、ここにくる少し前には街の住民を皆殺しにしようしたじゃないか……俺はそんな奴を見逃すほど優しくはねぇんだよ」
女神はそう言って椅子から立ち上がると鎌を一回転。そこから生まれた光の扉からは身の毛もよだつような悲鳴が聞こえてきた。きっとあれが地獄へと繋がっている扉なのだろう……そして俺はあんな悲鳴を出す場所に送られる……
冗談じゃない!!そんなところに行ってたまるか!
俺は急いで立ち上がり目の前の女神を倒そうと……あれ?動かしてないのに身体が勝手に動いてる?それに女神は何処に行った?先ほどまでは椅子に座っていたはずなのだが……
「言い忘れてたが、俺は神々の中でも戦闘能力なら最強っていわれててね。今みたいに、お前の見えない速さで身体を切り裂くことなんて造作もないんだ。まぁ、相手が悪かったな」
後ろから指摘されて慌てて自分の身体を見てみると上半身と下半身がきれいに真っ二つに別れていた。
魂だけの存在だからなのだろうか?切られているはずなのにも関わらず不思議と痛みなく、だからこそ指摘されるまで自分が切られた事実に気づく事はなかった。
いや、そんな事はどうでもいい、もし切ったのが女神だとすれば、こいつはこの俺が気づかないうちに切ったと言うのか……とてもではないが信じられない。
俺がその事実に驚愕していると女神は俺の髪を無造作に掴み上げ地獄へと通じているのであろう光の扉の前にきた。
「待って!話し合おうじゃないか!きっといい妥協点をみつけられるはずだ!!」
「お前、みっともねぇな。ここまできたら諦めろよ。地獄っていても永遠にそこにいるわけじゃねえ。地獄で自らの罪い対する罰を受けたらそれでおしまいだ……つっても魔王軍の幹部なんかやってたお前は何百年も罰を受け続けるだろうがな」
「い、いやだ!み、見逃してくれ!!」
「いやだよ、めんどくせぇ。次が待ってんだ。とっとと送るぞ」
女神はどうでもよさそうにそう言い放つと俺の身体を光の扉に投げ込んだ。
そして俺が地獄に行く前に最後に目に入ったのは、同じく彼女に放り込まれた自らの下半身だった。
マナside
魔王軍の幹部、デュラハンの襲撃の翌日、私はギルドに魔王軍の幹部討伐の報奨金を受付の人から貰おうと、カウンターで待っていました。
私の他にも、あの戦いに参加した冒険者達も受け取っていて、そのお金を使って昼間にも関わらず宴会を開き、酒を飲んだくれていました。そういえば、この世界では飲酒は何歳からいいのでしょう?こんど誰かに聞いておきますかね。
一応、私達は未だに来ていないカズマを待つことにしたのですが、アクアだけはすでにお金を貰って冒険者達と一緒にお酒を飲んでいます。
「カズマはまだ来ませんかね?」
「もう少し待ったらどうだ?」
仲間としてアクアみたいに一人だけ先に貰うのはどうかと思いますが、やはりお金は早く手に入れたいです。
私がカズマが早く来るように祈っていると、その祈りが通じたのかギルドに入口にカズマの姿が見えてきました。彼は酔っ払いを押し退けて、私たちのいるカウンターに来ました。
「ようやく来ましたか……待ちくたびれましたよ」
「待ってましたよカズマ!聞いてください。マナとダクネスが私には酒を飲むなとケチなことを言ってくるのです」
「いや、それはケチとかそういう問題ではなくてな……」
この世界の飲酒制限が日本より下げられているとしてもめぐみんは絶対に引っかかりそうですからね。ケチとは違うと思いますよ。
私たちが、めぐみんの飲酒について騒いでいるのを、尻目にカズマがカウンターに行って報酬を受け取ろうとします。
「ああ、サトウカズマさん、ですね?お待ちしておりました」
?
なんでしょう、受付の人がいつもの表情と違うというか……可哀そうなものを見る目をこちらに向けてきます。何か向けられるようなことをしなのでしょうか?
「あの……、まずはそちらの方々の報酬です」
受付の人はそう言うと、カウンターの下からお金が入っているであろう小包を私たちに手渡しました。うむ……この感触だと入っているのは四十万エリスほどでしょうか。いい稼ぎといえますが……
どうして受付の人は私たちだけにこれを渡してカズマには一切金を渡さないのでしょう?
「あの……カズマさんのパーティーには特別報酬が出ています」
その一言にギルド内がざわめき出しますが、私にはどうしても腑に落ちないことがありました。
それは先ほど受付の人がした残念そうな目、それだけが気がかりでしょうがないのです。だって普通は特別報酬を貰う人にそんな目を向ける人などいないじゃないですか……
その後、特別報酬は三億と聞こえて来ましたが、そのことが気になって私は素直に喜べません。絶対に何か裏があるはずです。
すると受付の人が申し訳なさそうに一枚の紙をカズマに手渡しました。
「ええと、ですね。今回のカズマさん一行……、アクアさんの召喚した水の洪水被害や、ルリさんやめぐみんさんのクレータなど多額の被害が出ましてね……その魔王軍幹部を打ち取ったのだから、全額弁償とは言わないが一部を払ってくれと……」
そういった受付の人はそそくさと奥に行ってしまいました……
うん、私は悪くないですよね?
だれも悪いといわない思うので逃げ出そうとしたとき、私より先に逃げ出そうとしたアクアがルリに捕まりました。うん……逃げ出さないほうが良さそうですね。
彼女に捕まれたら振り切れる気がしません。めぐみんも同じことを考えていたのかホッと息を吐いていますが、あなたは借金の原因に入ってますよ。まあ、アクアの違って非はないと思いますが。
「ル、ルリ!?放しなさい!あなたも借金を作ったんでしょ?だったらカズマに借金を押し付けて私たちはとんずら……やめて!?どうして私のお金を奪おうとするの!?」
「……私とアクアの全財産……借金の足しにする……」
「ルリ!!それはやめましょう!そんなことをしたら、私まで払わないといけない空気になるじゃないですか!」
アクア達が騒いでいるのを横目に私はカズマが持つ紙を眺めた後、彼の肩に手を置きました。
「その……ご愁傷様です。なんというか……運がなかったって事で諦めましょう……お金はあげませんが……その、手伝ったりはするので……」
「そうだ、諦めも肝心だぞ。弁償金額の三億五千万から報酬の三億を引いて、五千万……カズマ。金になる強いモンスターのクエストを受けに行こう」
その後、カズマは現実から逃避するためか、やけ食いを始めました。
さすがに哀れに思ったので、そのお金は私が全部支払いました。利子とかを考えずにお金を他人のために使ったのはこれが初めてでしたよ。
これで一巻の内容は終わりですが、オリジナルの話が一話ありますので、それを金曜日くらいに投稿しようと思っています。
それと、何か言いたいことがあれば、感想に書いてもらえれば返信は必ずするので、よろしくお願いします。