それに、設定もぶちまけているのでより読みにくさに拍車がかかっています。
こんな私の作品を読んでくれている人たちに感謝の念が絶えません。
本当にありがとうございます。
鮮やかな緑の中庭と、大きな校舎。
少し離れた場所に、女子寮と機竜演習場、第四機竜格納庫がある。
その広い学園敷地内の景色を一望できる屋上に見える人影は一つ。
腰には、三つの
年は十代後半か二十代前半か。背は高く、すらりと伸びる体の線は細く見えるが、黒衣の下に隠れた肉体は筋肉と脂肪をバランスよくこれ以上ないくらい整え、貧弱というイメージをかき消していた。
何より目を引くのは髪と顔。髪はくすんだ銀色、色素の薄い白肌にアイスブルーの瞳などの顔に備えられたパーツの一つ一つが絶妙にはめ込まれて整った顔立ちを作り上げている。
そんな彼が見ているのは広がる光景ではなく、一冊の手帳。
尻をつけ、柵を背もたれにし一冊の本に筆を走らせていた。
五日前にうけた脇腹の負傷もだいぶ癒えてきたので日記を書くことにする。ついさっき書店で購入した新品で二冊目になる。
まめな人間に聞こえるかもしれないが、そういうわけでもない。二冊目といっても一冊目には二十回ぐらいしか書いていないし、先ほど書いた負傷による血がべったりとついた手でうっかり触れてしまい使い物にならなくしてまったからだ。そんなわけで一冊目の記録を思い出しながら、記憶と記録をまとめていく。
こうやって記録を残すことは僕にとって大切なことだ。何せ記憶喪失一回、記憶改変一回、現在記憶欠落中といった類稀に見る経験をしているのだ。だから、こうして日記を書くことで自分の記憶を記録していく。そうでもしないと自分自身の記憶に自信が持てなくなりそうになる。
まず最初に僕の目的について早速書くとしよう。名前などを忘れてもこの目的は絶対に成し遂げなくてはならないために。
僕、ライの成さなければならないこと。全ての『
『
五年前のアーカディア帝国、現アティスマータ王国で起きた『血濡れの革命』で初めて確認された正体不明の機動兵器。
仮面をつけた者たちに操縦されるソレの性能は圧倒的で、
彼らは率先として
正体は未だ謎のままであり世間では
まぁ、『
あれは僕の世界、つまり『この世界』から言えば異世界に存在する
『
マッスルフレーミング。
電加合成樹脂と電動コイルの芯をサクラダイト合成繊維で覆った人工筋肉であり、アクチュエーターに使用。それ自体が発電機の役目となることもあって従来のシリンダーモーター駆動を遥かに凌ぐ高出力・高機動を実現……だったか。
そのマッスルフレーミングを
マッスルフレーミングの技術そのものは、『あちらの世界』で嚮団が設計したもので、コスト面と整備面の問題で中止となっていた代物だ。計画のために《蒼月》と《ランスロット・クラブ・クリーナー》を強化するために組み込んだけど。
性能は確かに上がって第九世代どころか第十世代に踏み込んだが、乗り手を選ぶ機体になってしまった。まぁ、それぐらいしないと第九世代の二機は相手に出来なかったわけだが。
閑話休題。
『
五年前、正確にいうと『血濡れの革命』が起こる半年前ぐらいに僕は『
今思えば惜しかったな。あの扉が機能していれば、『黄昏の間』を通って世界中に存在する遺跡へと移動できたのに。……それにもしかしたら、『あちらの世界』に戻ることができたかもしれないし。
目覚めた僕は最初棺桶のような物に入っていた。恐らく、コールドスリープのような機能を持っていたのだろう。遺跡の中にあった建造物の風化具合から数百年は軽く立っていたから。
何故そんな場所に眠っていたのかは、分からない。『あちらの世界』から『こちらの世界』に来た経緯が思い出せないのだ。残っている記憶の最後は、世界中の憎悪を受け止めた『魔王』の
寝床の隣には、『あちらの世界』の愛機、《月下・先行試作型》と《ランスロット・クラブ》を模した
二機を見た時は大変だった。頭の中に聞いたことも見たこともない情報が頭痛と共にわんさかと頭の中に湧き出てきたからな!
情報は全て
『
まぁいい。それはまぁ良しとしよう。問題として僕は、また寝ている間にナニカサレテシマッタヨウダ。これで三回目だ。最初はバトレーによる『あちらの世界』の現代に関する知識の刷り込みと薬物による肉体強化。二回目は嚮団によるギアス因子の人体実験。勝手に自分の体を弄繰り回されるんだ。たまったもんじゃない。
そうやって憤る時間すら僕にはなかった。起動したばかりの『
彼らの姿を見て『この世界』が『あちらの世界』の遥か遠い未来という考えは、すぐに打ち消された。『
どうして『
そのまま咄嗟に《月下》を纏って交戦。《
突然、襲い掛かってきた《月下》に『
不意を衝く形で『
回転刃刀で操縦者を切り刻んでも、機関砲を接射しても、輻射波動を叩き込んでも沈黙することはなかった。……輻射波動は存外効いたのか、再生するのに時間はかかっていた。サザーランド・ジーク戦からも内部まで損傷が激しすぎる場合、再生するのに時間がかかるのが解る。
そんな在りえない現象は、全ての『
ギアス伝導回路。
マッスルフレーミングに織り込まれたサクラダイト合成繊維によって形成されたある種の
……なんだか、相当オカルトな話になってきた。書いてる僕自身ですら頭が痛くなってきている。だが、事実そうなっているのだから仕方がない。仕方がないのだ!
よくわからないがとんでもなく巨大なエネルギータンクから破壊、再生、強化、全てに活用できる万能エネルギーを引き出すという感じで理解している。
万能エネルギーといってもピンとこないかもしれないため詳しく説明する。
引き出された力は何ものにも染まってない無色の力。
炎のように熱くもなく、氷のように冷たくもなく、光のように眩しくもない、ただの力。その力に個性という色を加えていくのが、神装《
僕がそのエネルギーを活用して行ったことを例として書く。
『弾丸』とイメージすると指鉄砲でやると力が指先に集中し発射。
『軽い』とイメージするとその力が流れている『
『飛んでいく』とイメージすると剣風を合わせて斬撃波となる。
『加速』とイメージすると高速移動。または、弾速の強化。連射速度の倍増。
『認識』とイメージすると機体の知覚強化。
『破壊力』とイメージして剣を振るうと刀身に纏って破壊力を上げる。銃砲の場合は、弾丸の威力を上げる。
こうして並べてみると汎用性が高すぎる。
一見、万能だが欠点もある。
それは、操縦者の僕にとんでもないほどの負担がかかるのだ。そもそも、《蒼月》や《ランスロット・クラブ・クリーナー》は十分に速いし、威力もあるのだ。
ここまでするのは『
色を加えなくても、ギアス伝導回路から流れてくる力はただでさえ、神装機竜に匹敵する『
拳の一撃で二枚重ねのブレイズルミナスを突き破り、《クラブ》を大破寸前まで追い込んだのだ。本来防御用の《
試しに無人の
機動性も上昇して、第七世代と第四世代の
ルルーシュ、
『
《月下》と《クラブ》にも装備されているため強化型、《蒼月》と《ランスロット・クラブ・クリーナー》で『回復』というイメージを加えながらやってみた。
ちなみに《月下》と《クラブ》では、《
これは後に調べてみて、操縦者が身に纏っている鎧に秘密があった。
僕が『
《月下》と《クラブ》を操縦する際には、『装衣』で十分問題ない。しかし、《蒼月》と《ランスロット・クラブ・クリーナー》いやギアス伝導回路を発動した『
五年前の『血濡れの革命』の際、『
彼らの鎧、便宜上として『
調べるために脱がせようとしたが、重量が殺人級にあり、凡そ人間の自力では脱着は不可能。《月下》を操作して試みたが、鎧そのものが体に縫いついていることがわかった。思い切って割って中身を見ようとしたが外気に触れた途端、崩れてしまった。
脊髄部分に幾つかのコードを『
閑話休題。
不死身の『
契約なしに
名前を付けるとしたら『ザ・ゼロ』。
神羅万象を無に還す力。
持続時間は約一秒。
《クラブ》に伝わる僕の『ザ・ゼロ』を、《無頼》にぶつけることに成功し、ギアス伝導回路の機能を停止させた。
だが、それで終わりというわけではない。
ギアス伝導回路が停止しても、本来の動力となっていた
一撃を受けて《無頼》は今度こそ本当に停止したのだ。
それを見て、『
それから――
と筆を更に進めようとしたその時だ。屋上の扉が小さく動いた。
開いた隙間から顔を出すのは学園の制服姿の少女。二つのリボンでまとめられた桜色の髪が揺れる下、眠たそうな目がライに向けられた。
「どうした、フィルフィ・アイングラム。生憎と手持ちに菓子類はないぞ。それとも何か、暇なのか?」
という言葉に、彼女、フィルフィは眉をひそめながら近づいてくる。
「暇じゃないよ。それと私、そこまで食い意地はってない」
「なるほど。私が学園の皆に配ろうと時間をかけて作った菓子をつまみ食いするのは、食い意地がないといえるのか。……どう思う、フィルフィ・アイングラム?」
「……ごめんなさい。嘘つきました」
「素直でよろしい。自分の
「暇じゃない。それなら、ここにいるライさんだって暇みたいなもの」
「ああ、私は暇だ。暇だからその暇な時間を有効に使おうと思って日記を書いている。脇腹の肉を抉られてな。その時の血で前の物をダメにしてしまったものでな」
くっくと笑うライとは反対に、フィルフィはその顔を不安に染めた。
「……大丈夫、なの?」
「問題ない。幼少から傷の治りは人並みより上だ。それに体に細工を施されてな。おかげでより速く回復するようになった」
立ち上がり脇腹をパンパンと叩くが、フィルフィの顔色に変化はなかった。
「無理、しないで」
「む?」
「ライさんが傷ついたら学園の皆が悲しむ。特にお姉ちゃん、もっと悲しむ」
「……」
不安の表情を消さないフィルフィの頭にライは手を置いた。動かさず、軽い力で頭を圧する。手から頭に伝わる熱は身に宿る活力が健在であることを教える。
「すまない。かえって不安にさせてしまったな。大丈夫、私は生きている。不安になる必要などない」
「……うん」
「よし」
頷きと共に小さな、確かな返事にライも頷き、手を離す。
顔を上げたフィルフィの顔には、不安の色は残らず消えていた。
それにライは再び頷き、
「それで?暇じゃないとしたらどうしてここに?」
「あ、うん。ライさんが帰ったきたこと、お姉ちゃんが聞いてね。呼んで――」
フィルフィの珍しい長台詞は途中で止められた。
彼女の声を突如轟いた爆発音がかき消していったのだ。
二人の間に生まれていた穏やかな雰囲気は消し飛び、体から先ほどとは真逆の剣呑な雰囲気が生まれる。現れた異変は武術を学んだ二人の体を反射で切り替えさせたのだ。
ライは即座に腰の
フィルフィも同じく爆心地を見て力を抜き、軽いため息を吐いていた。
黒煙が上がる場所、学園敷地内の端にある大きめの一戸建て。そこは、
下の広場から爆発を耳にした生徒の騒ぎが聞こえる。
『さっきの爆発音、何!?襲撃!?』
『こっちから聞こえたわ!あそこ……ってなんだ
『なんだ
『屋根は残っているわね。異臭もしないし、窓が壊れただけのようね』
『なら今回はレベル3か。殿下は……まぁ、毎度のことだ無事だろう』
『そう言えばライ先生、帰ってきてるって話あったよね。もしかしたら、あそこに……!?』
『怪我をしてるかもしれないわ!すぐに助けないと!』
『ええ!待っててくださいライ先生!今すぐ、私たちの手厚い看護を!』
どたどたと大勢の学生が足音を鳴らして、爆心地に向かっていくのをライとフィルフィはどこか呆れた様子で見つめていた。
「あー、フィルフィ」
「うん。お姉ちゃんには遅れるって伝えとく」
「……感謝する」
そう言ってライは日記をザックに仕舞い、背中に背負って扉に向かって行った。
読了ありがとうございます。
次はライの『悪夢』の設定などを……。