感想でキャラとの関わりが薄いと頂きました。
私なりに原作を読んで、キャラの性格を把握して上手に表現しようと、小説を書いていくにつれ、改めて気付きました。
――私に……文才はないと!
――つ、疲れた。
ライが《
そこまで伸びた原因は、『装甲衣』の損傷。脇腹の損傷した部分が血で真っ赤に染まっていることに気付かれてしまい、リーズシャルテに説教を受けてしまったのだ。
説教は端的にまとめると、やっぱり無茶をしたな、貴様というやつは!である。
――それにしても、無茶をするな、か。
確かに、自分は無茶をすることが多いのかもしれない、いや、多いのだろう。自分の行動で他人を不安にさせるのならば、止めておいた方が賢明だ。前回の戦いも《サザーランド・ジーク》の確保の後、《ランスロット》との連戦を行った。
――でも……。
ライが
『この世界』にない、『あちらの世界』側から来た独りぼっちの自分に感じさせる懐かしさ。これまでの人々を犠牲にし、これからも人々を犠牲にしようとする憎悪。民を守り、敵を討つことを本懐とする
――すまない、リーズシャルテ。
やはり自分は嘘つきだ。言われた忠告を守れそうにないのだから。
自分は止めたい。
そこまで考えて、ライは頭を振った。
これから学園長に挨拶をしに行くのになんてことを考えている。軽く頭を振って、深みに嵌っていく思考を切り替える。強張る顔も両手で叩いて、和らげる。
「よし……」
道中、鏡で見た目を確認。
ライの服装は、学園に入ってきた際のコート姿ではない。黒い長ズボン、白いワイシャツと黒いネクタイの上にベストの姿は僅かな汚れも乱れもなく、一部の隙もなかった。脇には学園に入る前に買ったばかりの今日の新聞。腰に備えた二振りの
久しぶりに袖を通したためどうにも肩がこるが、問題はない。この服自体は嫌いではなく、寧ろ好んでいる。ろくな服装もなかったライに学園長が渡してくれたものだ。着ていくのならば乱れのない姿で、貰った以上は着なければならないと律儀に守るのがライという人間の特徴の一つだ。
この
馬鹿みたいに広がる整型庭園、道の先に広がる大きな噴水、よくできた絨毯のように刈り込まれた緑の芝生。バランスよく配置されたベンチはどれもピカピカで、その向こうに宮殿に見間違えるほど大きな校舎がある。これら全て、アティスマータ王国の未来を支えるだろう生徒たちへのストレスを溜めさせないための配慮だ。
ライもこの学園は好きだ。見た目は大きく違うが、かつて仮入学していた学園と雰囲気が似ており、穏やかな気分にさせてくれる。学園での生活を誰よりも大切にしていた『魔王』もここを好んでくれるだろう。
広々とした道に生徒たちを発見。学園の制服とは反対の暗い服装の人物に眉を上げる表情を作るが、ライだと気付くと目を弓にして声を掛けてくる。それに軽く手を上げて、返事を行なっていく。
『男』であるライがこの学園で溶け込むことができるのは、四年間の実績だけでなく、このような細かい努力を怠らない成果だ。……ライ本人からしたら、この方法であっているのか、時々悩んだりもしたが。
――まぶしい。
裏闘技場などの無法な場をしばらく転々としていたことから、学園と生徒たちの顔が妙にまぶしく見える。周囲で賑やかに交わされる会話には、屈託というものがない。
――学園長のお蔭だな。
新王国に名だたるアイングラム財閥の長女であるその人物は容姿も良く、人にも優しく、家柄も完璧という一見としたお嬢様なのだが、本性は楽しいこと大好きのお祭り人間だ。
そこが似ているのだ、あの学園の生徒会長に。外見は全く似ていない。だが、お祭り好きであること、人を見る目が優秀であることはとても似ている。彼女がいてくれるから、この学園は軍士官学校でありながら穏やかでいられるのだ。
校舎に入り、廊下を歩いていると、
「あ、ラーさん!」
前方から大きな声を上げた生徒を入れて三人組が近づいてくる。
凛々しい顔つきを持った蒼い髪の三年生のシャリス・バルトシフト。
栗色の髪で明るい雰囲気を持った二年生のティルファー・リルミット。
黒髪の物静かな印象を感じさせる一年生のノクト・リーフレット。
学年はひとつずつ違うが、幼馴染の三人組。学園では三人揃ってこう呼ばれている。
「
そういう問題!?とツッコミながら三人はライの前で停止する。
「そんなことより、ラーさん!お願い、一緒に来て!」
「ライさん。私からもお願いします。あれは私たちの手に負えそうにありません」
「Yes.ライ先生が帰ってきたのは僥倖としかいいようがありません」
何事かと戸惑うがすぐに頭を切り替え、戦闘状態へ。
そんな彼女たちが手に負えないという存在、上位の
「……何だ、一体何を相手にしていた?」
ライの低い声に
『助けてください。――卒業生の遺物の撤去に!』
三人の口から綺麗に揃って出た言葉にライは
「――あ゛あ゛?」
自身ですら聞いたことのない声を喉から絞り上げた。
らしからぬ声に咳払いし、
「馬鹿馬鹿しい。撤去ぐらい自分たちでやれ」
ライは
遠ざかろうとする背中に
「いや、本当にお願いします!」
「ライさんしか解決できませんよ!」
「見捨てないでください!」
腰にへばりつくことで止めようとするが、未成年の少女三人の体重では鍛え上げられた足腰を持つライの行進を遅らせることしかできない。女性が持つ特有の柔らかさを感じるが、その程度で揺らぐライではなかった。
「何を撤去しろと?屋上のバンジー台か?それともオブジェか?」
「No.手形アートです。オブジェの後片付けは終了し、バンジーは壁についた赤いシミを消すだけです」
「あれか……確か二年前に私が提案したな。案はないか、と聞かれて適当に言ってしまった物が何故か採用された代物だ」
「そうです。当時、一年生だった私やセリスティアも協力しました。序盤は順調に行っていましたが、途中で三年生を中心とした『
当時の絵を思い出してシャリスが眉に皺を寄せた顔になる。ライも目にしたことがあり、言葉にすると……鉄風雷火が一番近いだろう。ちなみに勝手に進めた二年筆頭は現狂犬部隊隊長である。
「進んだ絵にキレた『
徹夜の疲労と深夜のテンションアップ、迫りくる学園祭期限のプレッシャーが超反応を起こしてしまったのだろう。『あちらの世界』の学園でも似たような生徒を見たことがある。
「Yes.学園祭に参加して拝見しましたが、あの絵を忘れることは無理でしょう。……絵に込められた、表現できない感情がありありと浮かんでました」
当時を思い出して、体を軽く震わせるノクト。彼女もよくそんな怪アートを描いた生徒がいる学園に入学したものだ。
「私も見て本当に驚いたよ。泣いている子なんて、泣き止んじゃうし。大人は赤色のインクは人間の血を使用しているんじゃないかって、迫力から呟いてたよ」
ティルファーも当時の感想を話すがいつも浮かべている明るい表情に力はない。
「……というかただ手形で構成された不気味な絵だろ?大きさも二
「Yes.ライ先生が不在の間にも片付けようとしたのですが、突如、撤去作業を行おうとした機竜が倒れまして」
「機竜の装甲には手の痕が浮かんでたらしいんですよー」
「そんな怪奇現象が起こって、片付けに二の足を踏んでしまいまして。ライさんに協力をしてもらいたいわけで……」
「なるほど、そういうことか……わかった。元を辿れば私の案が原因だ。引き受けるよ」
その言葉に
手には今日、発行された新聞が広げられている。アティスマータ王国で一の所が発行したもので、正しい情報を伝えるために裏で活動を行い、アーカディア帝国時代にかけられた圧力にも屈しなかったと噂されたほど。
大手財閥に赴いた取材記事、自国の軍事力について、五年前
突然止まったライに戸惑いながら、
「ヘイブルグ共和国で開催されていた非公式の闘技場が謎の崩壊……ですか?」
「あ、これ、結構騒ぎになったやつだ!新王国の貴族も何人かが、ここに行って帰ってこなかったって!」
「Yes.生徒の家族に関係者はいないと聞きました。……あの、ライ先生、これは」
ノクトの震えた声と共に、怯えをにじませた瞳を向けてくる。シャリスとティルファーも同じだ。三人ともライの事情を知っている。自分たちが見つめている相手が事件に大きく関わっていることにも気づいているのだ。
「――大丈夫だ。これを起こしたやつは倒した、だから安心しろ」
静かな、自信に満ちた言葉を吐いて、記事を叩く。彼女たちの不安を消し去るつもりで、強く。効果はあり、三人から怯えは消え、安堵の表情を浮かべる。
――この話題は続けるものじゃない。
新聞をたたみ脇に挟むとティルファーが沈んだ空気を吹き飛ばすように明るい声をライにかけた。
「そうだ!ラーさんと学園長との出会い、聞いてもいいですかー?」
「む、私も聞きたいな。学園長とライさんはかなり親しそうな間柄だからな」
「Yes.私も前から関心を持っていました」
話す。いろいろと歩きながら。
学園長であるレリィ・アイングラムとライの出会い、何故ライがこの学園にいるようになったことを。
「――五年ぐらい前か、私は「ちょっと待ってください」……なんだ、シャリス。いきなり話の腰を折って」
話にぶった切ったシャリスの顔は驚きに染まっていた。同じく、ティルファーとノクトもライの顔を見て似たような表情を浮かべている。
「いやいや、ライさん。今、五年っておっしゃいましたよね?」
「いったが?」
「えーと、ラーさん。今、何歳?」
「Yes.正直にお願いします。ええ、正確に」
「いきなりなんだ。歳、歳、確か……」
顎に人差し指と親指を当て、思い出す。
――確か、『あちらの世界』の最後の記憶だと……。
自分はかの魔王と同い年、つまりは十八歳だったはずだ。『この世界』で目覚めるまでの記憶はないため『あちらの世界』でどれ程の時を過ごし、どれ程の時を『この世界』で過ごして眠りについたのかは分からないため正確な年齢は解らない。確実に言えるのは、『この世界』で活動して五年となるため――
「二十三だ。最低でもそれくらい歳をとっている」
『嘘だっ!』
答えられた言葉に
「えっ、マジ!?二十三!」
「年上だとは解っていたが、五つも上なのか……!」
「No.驚きです。いえ、冗談かもしれませんが、しかし……」
三人が仲良くわけもわからない戦慄をしている中、ライは呆れていた。何故自分の歳にここまで大きく反応するのか。
「ちょっと待て、
「あ、あはは~、私は二十歳だと思っていたな~。ちなみに理由は顔」
「私は……二十一ほど。理由は顔です」
「Yes.十九歳だと……やっぱり、私も顔です」
乾いた笑い、頬をかく視線を逸らす、など個性的な仕草をしながらの答え合わせだった。理由として挙げられた顔に軽く触れる。自分の容姿の変化など分かりにくいものだ。彼女たちからは、実年齢よりも若く見られている。体に投与された薬物か、『この世界』で行われた細工により、老化が遅いという考えが浮かんだ。
彼女たちにどう反応すればよいのかわからないライはため息を吐くことで一先ず収める。
「……話を戻すぞ。
「サバイバルですか?」
「今年入学したノクトは知らないけど、ラーさんは凄いよ」
「合宿の際、山道の上手な歩き方や、
「母に鍛えられた成果だ……。けど、そんな生活の中、不覚にも熱を出してしまった。薬を買おうとしても金はない、朦朧とした意識で私は
『財宝っ!?』
ライの目覚めた遺跡には金、銀、宝石といった高価なもの、
遺跡の構造は蟻の巣に近く、ライが眠りについていた場所、
「適当に価値のありそうなものを持って街に向かったよ。《クラブ》を使用して」
「あの……ライさん、それって」
「ああ、体調不良の状態でただでさえ、負担のかかる《クラブ》を使用したんだ。みるみる体力が削れていき、何度墜落しようとしたか。ようやく街について薬を取り扱っている店を探そうと
「よく生きてましたね……」
驚愕と呆れの顔を浮かべたノクト。彼女が扱う汎用機竜《ドレイク》は探知能力を持っている。精度を上げるには、強い集中力が必要だ。それを目の前の人物は熱を出したまま、街一個の範囲で使用したのだ。死んでいてもおかしくない。
「そう言わないでくれ、あの時は本当に熱で頭がおかしくなっていたから。探索している途中、助けて、と声を拾ってな。声を辿ると
「じゃあ、それが……!?」
「ああ、アイングラム一家だよ」
『おお~~!』
目を輝かせ、
「すごい!すごいよ、ラーさん!かっこいい!」
「病の身を押して囚われの人たちを救う。まさに
「Yes.学園長にとってライ先生は恩人だったのですね。この一件から、学園長との出会いが始まった……うらやましい」
キャーキャーと口々に出す
しかし、
「そんなものじゃないよ。熱で記憶が曖昧なんだが……救出する際、囚われていたアイングラム家の別荘の壁に大きな穴を複数空けてしまうわ。意識も朦朧としていたから、乱暴な闘い方になってしまい、一家を怖がらせてしまうわ。強盗を全員倒した後、限界を迎えて無様に倒れるわ。持っていた財宝から強盗の仲間だと見られて、軍に突き出されそうになるわ。……本当にスマートじゃなかったよ」
万全の体調ではないという理由があるにも関わらず、ライは自分自身を嘲笑した。
「特に……強盗たちも元々は、私が追っている『獲物』に襲われ、逃亡した軍人たち。逃げる金欲しさにアイングラム一家を襲ったらしい。――それが一番きつかった」
軍人が犯罪者に墜ちた元凶が
そんなライの背中に衝撃が走った。見れば、ティルファーに背を叩かれていた。
「ラーさん、考え過ぎ。どうしてそんなネガティブ思考になっちゃうのかなぁ」
その目には、どこか呆れの色が見えていた。
「Yes.ライ先生は、深く考えなくてもよいことを深く考え過ぎる欠点があります。ティルファーのように軽い感じでよろしいかと思います」
「ちょっとノクト。それどういうことー」
ノクトの言葉にティルファーが半目で睨みつける中、シャリスが口を開く。
「まぁまぁ、二人とも。ライさんの性格は今に始まったことじゃない。この二年間でよく知っている。――自分が評価されることにものすごく慣れていないだけだ。そのせいで、一々自分にマイナス評価をつけようとする」
シャリスの言葉に二人も深く頷く。
「ライさん。確かにマイナス点は存在しますが結果を見てください、結果を。貴方は自分が病気の身であるにも関わらず、襲われていたアイングラム一家を無事に助けた。それでいいじゃないですか」
「うん、最悪の状況にならなかった。それでいいじゃないですか」
「Yes.今、ライさんは学園長とも良い関係を築けています。結果から見たら、良しと言えますからいいんですよ」
突きつけられた言葉にライは目を閉じ、少し震えた声を出した。
「……それでいいのかな?」
『それでいいんですよ!』
と息のあったトリプルプレーの声が放たれた。
「……うん、ならそうしよう。――話の続きだが、倒れた私はアイングラム家で看病された。持っていた財宝も現金に換えてもらうなどしてもらい、だいぶ助けられた。ついでに、『落とし物』について尋ね、当時のアーカディア帝国のロードガリアにそれらしき物があると教えられた。で、これからロードガリアに行くらしく、目的地まで護衛として雇われた」
「それが、今も続いて学園で働くことに?」
「いや、違う。ロードガリアで別れて、クーデターが起こった約一年後に学園長と再会、現在に至るわけだ」
「なるほど、教えていただきありがとうございます」
「ラーさんと学園長の出会いって出来過ぎた物語みたい!」
「Yes.ご都合主義ですね」
思い思いの感想を聞き、ライは照れ臭そうに頬をかいた。
「さて、
そんな三人を置いて、歯切れの悪い口調で声が出した。
「――怒った女性を鎮めるにはどうしたらいい?」
歩を進めながら、
「あのーラーさん。何したの?」
「心当たりとして……大体、三日の外出の延長を置手紙一枚で済ませたこと。すぐに行くと
「それです。もう間違いなくそれですよ。ライさん」
「Yes.女性は待ち合わせにうるさいものです。特に学園長は商人。約束ごとには、うるさいはずです」
「――助けてくれる?」
『無理です』
「――デスヨネー」
と観念し、ライは扉を開いた。
「ところで手形アートの件、なぜ私に任せようと考えた?発案者以外にも理由はあるのか?」
「その……ライさんは、百戦錬磨の方ですし、そういうオカルト系に強いと思いまして」
「それにラーさん。幽霊とかに詳しいでしょ?ほら、雪女とか、鬼とかの話をしてくれるから除霊方法も知ってると思って」
「Yes.さらにライ先生のお母さまは十代半ばで巨大な百足を竹槍という大自然の武装で退治したと聞きました。つまりライ先生はエクソシストの家系であり、まさに適任です」
「……ノクト、それはエクソシストではない。怪物殺しとごっちゃになっているぞ。そもそも誰から聞いたその話?」
「親衛隊の先輩方です。酔わせた際に聞かせてくれたと」
「あいつら……」
ライってお酒にあまり強くありませんよね?確か、四聖剣と飲み会した際、匂いで倒れたような感じでしたが。
それとライの容姿は殆ど変わっておりません。(つまりは皆さんのロスカラをプレイした当時のイメージと変わらず)
改めて言わせてもらいます。この作品は展開が遅いです。
物語の骨は出来上がっていますが、私の文才のなさで肉付けに時間を使ってしまいます。ルクスが登場するまで最低でも二話かかり、読者の皆様に大変待たせることを先に謝罪させてください。