SONIC THE IMMORTAL FANTASIA 作:トラちゃん
第1話
「ここだな…… 来たぞ、私だ」
色らしい色も、生気も、時間の流れも無い、不思議な空間に、彼は降り立った。
そこは、世界の全てから隔離されていた。
決められた者しか立ち入ることができないその空間では、左側にある際と、右側にある際から、鎖が一本ずつ、空間の中央に向かって伸びていた。
鎖の先端は、その者の両手に繋がれていた。
その鎖は、一人の者を拘束するために、彼が作り上げたものだった。
「そなたの声があまりにも強かったから……私も不安になってな」
彼は、傍らからは、まるで普通に会話しているように見えたが、相手は眠ったかのように、全く動かなかった。
声は聞こえているのかも知れなかったが、うなだれて返事すらできないようだった。
「…本当は、私は……永遠に、この鎖を解かないつもりだった。 そなたが犯した過ちは、この上なく酷いものであったからな」
彼は、手に持っていた、底光りする宝石が収められた杖を、鎖に向けた。
「…しかし、私にも慈悲というものは有る。 この機会を、一度きりだと思え」
宝石が、彼の周囲に光の渦を巻き起こした。
光が十分に集まると、彼は何かを唱え始めた。
すると、光が鎖へ勢いよく伸びていき、鎖を朽ちさせ始めた。
すぐに鈍い音がして、鎖が全て地に落ちた。
それまで拘束されていた者は、ひらりと地に降り立った。
「…目覚めたか。 どうだ、久しぶりに体を動かせるのは、気持ち良いだろう?」
「ええ、おかげさまで。 …彼は、元気にしていましたか」
「ああ。 今は、奴には友達も多い。 …そなたは、気に喰わんだろうがな」
「そうですか… そうですよね。 …何だか、悲しくなってきました」
鎖を解いた者は、彼に優しく声をかけた。
「分からなくもないな。 …さぞ寂しかっただろうな、少年よ」
「…ありがとうございます。 …僕は早く外に出ないといけません…… 案内していただけますか?」
少年に声をかけた者は、微笑んで彼の手をとった。
「無論、そのつもりだ。 …行くぞ」
…この瞬間を、『希望』と考えるのは、おそらく、この少年だけだろう……
…仕方ない。 闇からの声に耳を傾けるのは、私の仕事なのだから……
希望に満ち溢れた顔の少年を誘導しながら、彼は一人、そんな事を考えていた。
「見えてきたぞ。 …さあ、行くがよい」
彼が導くと、少年は笑顔で頷いて、去っていった。
一人残された彼には、少年がこう呟くのが、確かに聞こえた。
「僕の大切な人…… 待っててね、すぐにやるから」
どうも彼には、少年が歩いた後の道の傍らに生えている植物が、全て生気を失ったように見えて仕方がなかった。
「放たれた闇に……光は、どう向き合うのか、見物であるな」