SONIC THE IMMORTAL FANTASIA 作:トラちゃん
コロナは、以前とは様変わりしてしまったレイヴンに、驚きを隠しきれなかった。
彼は、左目に眼帯をつけていたし、身体のあちこちの部分が、金属質の補助具に入れ替わっていた。
つまり、彼は義手や義足を__片方の手や足だけだが__身に付けていた。
「な、何があったのだ...?」
「コロナ様、驚かないでくださいよ。 覚えていないんですか? 僕は、あなたに封印される前に、兄ちゃんとちょっとしたいさかいがあって、かなり身体を損傷していました。 ですが、あなたは...僕の身体を蘇生してくれて、僕は無傷のまま、封印された」
コロナが、思い出したように言った。
「そうだったな...ん? 待て、私はその時に、そなたの能力も共に封印した... しかし、そなたは今、昔の姿に戻っている。 という事は...」
「そう、その通りですよ」
レイヴンは、兄に近づいて、手を握った。
ソニックは、少し驚いたような表情を見せた。
しかし...その表情も、苦痛の表情に変わってしまった。
「止めろ... レイヴン、止めてくれ...! オレはまだ...」
「兄ちゃん。 目を覚ましてよ... 今の兄ちゃんのいるところや、接してる者は、本当なら兄ちゃんが全て消さなきゃいけなかったんだよ?」
「嘘だ... 絶対に違う! こいつらは、オレの大事な...」
エミーが、慌ててまくし立てた。
「そうよ! アンタなんかに、ソニックは渡さないわよ! ...こんなこと言うのも、変な感じなんだけど」
「ソニックは、絶対にボク達のヒーローなんだ! あんな筈ないよ!」
「みんな...」
「納得がいかん。 貴様は単なる偽善者に過ぎないのではないか?」
「アンタに好き勝手はさせないわよ! アタシ達がいる限りね」
皆の強い声を聞いて、ソニックは思わず泣きそうになった。
「そうだ... なあ、レイヴン。 オレは、オマエの兄かもしれない。 だけどな、オレには今の生活が一番合ってる。 オマエには悪いが...ずっとオマエは我慢してくれてたから、この世界は平和でいられたんだよ。 だから...」
「兄ちゃん... やっぱり、兄ちゃんの力は健在だね。 それでこそ、兄ちゃんだよ」
「レイヴン...!」
誰もが、この事象の平和な終わりを予感した。
だが、そうはいかなかった。 ...いくはずが無かった。
「兄ちゃんの力、思い出してもいいんじゃない? 戻ってきてよ」
「れ、レイヴン...何を...」
ソニックは、最後まで言葉を発せずに、気絶したように倒れてしまった。
仲間達が、慌てて駆け寄った。
しかし、彼は目を覚まさない。
...まるで、記憶を塗り替えているかのように、動かなかった。
「兄ちゃん... 思い出して。 僕らの記憶を」
しばらくして、ソニックがおもむろに立ち上がった。
「...ソニック! 大丈夫?」
仲間を振り返った彼の目は、今まで一度も見たことのないような、冷たい光を宿していた。
「近寄るな」
「...! そなた...」
そして、彼はレイヴンを優しく抱きしめてやった。
まるで、あの日のように。
「兄ちゃん...! おかえり。 待ってたよ...」
「長いこと忘れてて、悪かったな... オレの、大事な弟なのにな」
彼らは、嬉し涙さえ流していた。
「ううん、気にしてないよ... 兄ちゃん...」
「じゃあ、オレ達には、やることがあったよな?」
「うん。 忘れてないよ」
二人は、今や何の繋がりも無くなってしまった『仲間』達に向き直って、言った。
「何もかもを、消さないとな。 なあ、レイヴン?」
「うん。 さあ、やろっか、兄ちゃん」
コロナが、最後に思い出したように呟いた。
「彼の...ソニックの能力はな、『心の一部を消す能力』だ」