SONIC THE IMMORTAL FANTASIA 作:トラちゃん
「どうしようか。 僕たちだけでも十分できるんだけど。 ...手伝ってもらおうかな? ねえ、兄ちゃん」
「そうだな。 これだけ数がいたら、もっと凄いことになるぜ」
「じゃあ、そうしよう。 ...こいつらは、今まで兄ちゃんの力に頼りきりだったんだ。 だから、きっと大丈夫だよ」
「オマエの言うとおりだ。 ...始めるか、なあ」
「うん」
「さ、行ってこいよ。 オマエ達には、未練なら山ほどあるんじゃないか? オレ達が手伝ってやるからさ、消してこいよ...あの時の『記憶』を」
いきなり視界がぼやけてきて、シャドウ達は何も分からなくなった。
ただ、『どこかに飛ばされている』ということは、辛うじて分かった。
感覚がはっきりしない中、彼らは、あの兄弟の『記憶』を反芻していた。
...何もかもを、消す...
...記憶を操る能力と、心の一部を消す能力...
...だとすれば、今まで消されてきたものは、一体...
突如、閃光がきらめいて、彼らは今度こそ意識を失った。
彼らは、閃光が収まると同時に、自分の中の『何か』を奪われたように感じた。
そして、その『何か』と一緒に、少ないようで大きいものが、消された。
◆◇◆
あちこちで立ちこめる、煙と塵。
時折、銃声も聞こえた。
それに重なる悲鳴を数えると、かなりの数の者が殺されていることになる。
今もまた、近くでまた銃声が聞こえたということは、近くまで、奴ら___GUNの兵士___が迫ってきているということだ。
彼は少女の手を引きながら、ただひたすらに走っていた。
「近くまで、もうGUNの兵士が来てるみたい! 早くしないと、捕まるわ!」
「マリア...分かっているさ。 でも、どこに行けば...」
「この先に、私が知っている場所があるの。 そこに行けば、きっと大丈夫よ。 私が教えるから、そのとおりに進んで!」
「助かるんだな? 僕も、マリアも...」
「着いてみないと分からないわ... でも、必ず助かるわよ」
彼らがアークの中心部分に差し掛かったところで、兵士が数人飛び出してきた。
「いたぞ! 追え! 追うんだ!」
「マリア...!」
「構わないわ。 急いで!」
彼らは走りに走って、ついに兵士を振り切った。
彼らは、とある部屋の前で立ち止まった。
「マリア、大丈夫か? ...ここは?」
「ハァ...わ、私に任せて...! じゃあ、入るわよ」
部屋には筒状の格納機が数本と、レバーのついた機械がいくつかあった。
格納機には、見慣れない実験生物が入れられていた。
「マリア...何を...」
不意に、シャドウの上から筒状のカプセルが降りてきて、彼は中に入れられてしまった。
下を見下ろすと、宇宙空間が広がっていた。
そこでやっと、シャドウは正気に還った。
「な、これは...50年前の...! 止めろ、マリア! 離れるんだ!」
しかし、レバーを握っているマリアには聞こえず、代わりに銃声が響いてきた。
今の状況が、いくら『記憶』だからといって、彼は妥協などしなかった。
...大切な人が、また失われようとしている。
「マリア! マリア、レバーから手を離せ! マリア!!」
「...あの星に住む、全ての人たちに... ...を...!」
「マリアーッ!」
彼女がレバーを引いて、カプセルは投下される筈だったが、レバーが下がる寸前で、機械はストップした。
なぜなら...彼女もろとも、機械は銃弾に貫かれていたからだった。
すぐ側では、兵士がまだ銃を構えていた。
本当なら、自分はこの情景を見れなかった。
しかし今、はっきりと示された。
彼に気づいたのか、兵士が発砲してきたが、銃弾など、彼には痛くも痒くもなかった。
「な...、実験生物!? やめろ、来るな!」
「...マリアが、撃たれた...」
彼は、彼女の、まだ生気のある顔を見た。
その途端に、彼の中にやるべき事が鮮明に浮かび上がった。
...忘れていた。 マリアが望んだものは、希望などではない...
いつしか場所が切り替わり、彼はもといた所に戻ってきていた。
「...復讐だ」
「さすがはシャドウだな。 オレが『希望』なんか消さなくても、オマエは思い出す筈だったんだけどな」
「手を貸そう。 抹殺しなければ...生きる者全てを」
「決まりだな。 さあ、次は誰かな?」