SONIC THE IMMORTAL FANTASIA 作:トラちゃん
The lull before the storm
「うわあああああああああああ!?」
唐突に叫んで目を覚ましたソニックは、自分の傍らに誰かがいたことに気づいた。
「大丈夫、ソニック? なんかうなされてるみたいだったから、心配して来ちゃったのよ」
心配そうにソニックの顔を見たのは、エミーだった。
彼女の顔を見て、彼の脳裏に、夢の中で見た、息をしなくなった仲間たちが浮かんだ。
「エミー…… な、何もなかった……よな………? テイルス達は無事か?」
「ちょ、ちょっと…何言ってんのよ? あ、まさか悪夢でも見たんじゃないでしょうね?」
「ぐ… そ、そう……だな。 ま、大した事じゃなかったから、別に気にしなくていいさ」
「本当に~?」
彼は、本当は、今すぐにでも、あの悪夢の恐怖を誰かにうち明けたかった。
しかし、それをしたところで、何になるというのかが彼にはよく分からなかったので、今はやめておく事にした。
「あ、それより、皆が今、丘の上でちょっとしたピクニックの準備をしてるのよ。 どう、ソニックも気晴らしに来てみない?」
「え…… 分かったよ。 すぐ行く。 皆には、待ってろって伝えてくれ」
「いいわよ。 じゃ、待ってるからね!」
適当にエミーを送り出してから、彼はしばしの間、考えこんでしまった。
…オレと同じくらいの歳の……
…駄目だ。 思い出せない……
…でも、思い出さないといけないんだな、きっと……
…いや、思い出したくない……
…思い出したら、きっと…皆には、もう会えないような気がして……
いろいろ考えたが、想いは募るばかりで、何も生み出さなかった。
仕方なく、彼はピクニックに向かうことにした。
ピクニックに行った彼は、案の定、エミーに振り回される事になった(物理)のだが、それでも楽しかった。
エミーたちと遊んでいると、嫌なことも何もかも、全て忘れてしまう。
彼女達は、まさに彼にとっての「オアシス」だったのだ。
帰り際、彼は奇妙な物を見つけた。
草が茂る中に、小さな石の柱が二本ほど立っていた。
どれも風雨にさらされて、彫ってある文字は読めなかった。
「あれ、なにこれ? ソニック、見覚えある?」
「…? 無いな。 塚…なのか、これは?」
並んで立っていて、サイズが塚らしかったので、どうやらそれらは塚のようだった。
ソニックは、その塚を調べてみる事にした。
根気よく文字を解読しようしていると、ついに読める文章を見つけた。
「えっと……『最愛の伴侶と、子供たちに感謝を』…? あとは…『子供たちよ、どうか私達の願いを叶えてくれ』、かな。 …何だろう? ねえ、ソニック… …ソニック?」
ソニックは、塚の一つに手を掛けたまま、動かなかった。
彼の目の焦点が合っていないように見えたので、テイルスは焦った。
「あ、あの…… 大丈夫、ソニック?」
「…そうか…、そうなんだな…」
「え? 何か言った?」
「え? あ、いや、なんか…その、悲劇的な死に方だったんだって、な」
「そうみたいだね。 可哀想だなぁ…… よし、供養してから帰ろうよ」
「そうだな。 その方が、この人たちも喜ぶぞ」
「軽く拝むぐらいしかできないけど、それでもやってあげようよ」
日暮れの中、二つの塚は、二人を微笑ましげに見ているように立っていた。
◆◆◆
「…いたな。 探したぞ……私も心配になってな」
「いらしてたんですね。 …それなら、仰ってくだされば良かったのに」
「いや、構わん。 だが、これだけは伝えたかった…」
「何をですか?」
「…私は、全ての闇を統率する使命を天上から課された者だ。 もちろん、そなたの闇も、私の手の上にある」
「…分かっていますよ」
「何かあれば、そなたの命は……今度こそ、本当に無いと思え。 私は、いつでもそなたを監視しているからな」
「知ってます。 …でも、何をしようが、今は僕の自由ですよ」
「全く……成長が止まった時から、そなたは変わっていないな。 頑固なところもな」
「とにかく、僕は行きます。 …邪魔しないでください」
「…好きにするがよい。 だが、決して先程の事を忘れるな」
「分かってますって……では、またいつか」
荒く言い残して、少年は去っていった。
少年は、最後まで冷静な様子を装っていた。
…しかし、本心は決して、そうではない。
冷静であるわけがない。
それを見破れるのは、今のところ、彼一人しかいなかった。
「…そろそろ、ヤツに挨拶する頃だな。 行くぞ、準備するがよい」
彼が声をあげると、どこから来たのか、浮遊する生物がたくさん彼の周りに集まってきた。
彼らは皆、体色が黒だった。
しかし、彼だけは違った。
例えて言うなら、宵闇と朝焼けの狭間の、哀しくも明るい色のような、薄い灰色だった。
「では、行こうか。 …ブラックアームズ、総員…出発だ」