SONIC THE IMMORTAL FANTASIA 作:トラちゃん
「え? 闇が何だって? おい、シャドウ……聞いてるのか?」
二人が対峙する傍らで、流れに取り残されてしまったソニックとテイルスとエッグマンは、仕方がないので、戦いの行方を黙って見る事にした。
「ねえ、ソニック… その、なんとかエメラルドって、何だろうね?」
「……。 聞いたこと無いなぁ」
「確かに、ワシも知らん……と言いたいところじゃがな、ワシは残念ながら知っておるのじゃ」
「「え!?」」
「古文書に記してあったんでな。 あれは古代よりブラックアームズが護ってきたモノじゃ。 じゃが、あれの力を使える者は、ブラックアームズの中には…今まで、誰一人としていなかったらしい」
「じゃあ、なんでアイツは力を使えるんだ?」
「あれはな……清廉潔白な者しか持てない代物なんじゃと。 今までのブラックアームズは…分かるじゃろ、どいつもこいつも欲にまみれておったからのぉ」
「そうなんだぁ… じゃあ、あのコロナっていう人は、別に地球を攻めに来た訳じゃないんだね」
「そう……みたいだけど、あの力、半端じゃないぞ……!」
彼らが話している間に、戦闘はすでに始まっていた。
シャドウは、持ち前の技を次々と使っていたが、どれも、いつもより威力が弱かった。
「な、何故だ…… 力が出ない…」
「少しは分かったか? 私は、この宝石によって『全ての闇を統べる力』を与えられている。 よって、そなたの周りの『闇』を操れるのだ」
「だが、僕には『闇』など……」
その時、コロナがシャドウを狙って杖を構えた。
すると、シャドウの周りに、宙に浮かぶ鎖が展開し、彼は身動きがとれなくなってしまった。
鎖と彼の体との間はかなり空いていたが、それでも彼は全く動けなかった。
「貴様…何を……!」
「全てのモノにはな、必ず『光』と『闇』がある。 この空にも、地にも、風にも…… 当たり前だが、生けるもの全てにもある。 自分では無いと思っていても、必ず『闇』は存在しているのだ」
「貴様… まさか、僕の『闇』を……!」
「そうだ。 そなたの中の『闇』に命じ、『光』の動きを阻害させている。 …分かったか。 例え、どんなに『光』が強かろうと、『闇』は必ず眠っている。 …『光』が強ければ強いほど、『闇』も強いのだ」
彼は、その言葉の最後に、ちらっとソニックを見た。
彼の言葉が、なんだか自分に突き刺さるようで、ソニックは目をそらした。
「…分かった。 すまなかった、疑った僕も悪い」
「うむ、分かれば良いのだ。 …それはそうと、そなた達、困っているようだな」
「…!? 何で分かるんだ?」
コロナが空を昼の青空に戻しながら、こう言った。
「…最近、やけに『光』が弱くなっていると感じていたのだ。 ブラックエメラルドは、カオスエメラルドと対をなす存在だからな、守護者である私には何となく『光』の動きが分かるのだよ」
「へえ、対をなす存在かぁ…」
「そう。 だから、私達とカオスエメラルドの力を使える者は、あまり近寄りすぎてはいけない。 …磁石の同じ極を近づけすぎると、反発しあうのと同様に、近寄りすぎると弊害を起こしてしまう」
「ほう。 じゃったら、なぜキサマは今ここにいるのか?」
「今は非常事態だ。 『光』が弱まると、元に戻すのも、私の仕事だからな。 …『闇』など底が知れぬから、弱まる心配は無いのだよ」
ソニックは、頷いてから、コロナに話しだした。
「実はな、カオスエメラルドが……全部、消えちまったんだ。 跡形もなく、だ」
それを聞いて、コロナは一瞬顔をしかめた。
「左様か…… 私にも手伝えることはあるだろう。 カオスエメラルドを探しに行こうではないか」
「な、無くなったのに、どうやって探すんだよ!?」
「言ったであろう、私はブラックエメラルドの守護者であると。 …『光』の気配は薄々感じる。 それを頼りに探せばよい」
「そうか…… いいよな、テイルス?」
「勿論! なんか心強いし、助かるよ。 よろしくね、コロナ! 僕は、テイルスだよ」
コロナは、テイルスに握手されて、軽く笑った。
「…僕も同行しよう。 口うるさいエージェントが近くにいるからな」
「…ちょっと、誰が『口うるさい』ですって!? アンタ、さっき散々やられてたくせに、よく喋れるわね!」
空からルージュが降りてきて、シャドウの頭にキックをかまそうとしたが、間一髪のところで、シャドウが避けてしまった。
「…若い者は威勢が良いな。 良い事だ」
「オマエ、さっきからオレ達を若者扱いしてるけど、オマエはどのくらい生きてるんだよ?」
ソニックに問われて、コロナは しばし考えるような仕草をした。
「はて…… 私の生きてきた所は、そなた達の世界より時間の流れが速いから………ざっと、120年ほどかな?」
「ひゃ……120年!?」
「私はな、元々は、このブラックアームズの者と同じ、戦闘員だった。 しかし、ブラックドゥームが身に危機を感じて、戦闘員の中から優秀な者を一人選んで、この姿に改造したのだ。 よって、私は普通の者とは違う生き方をしている。 それに、時間の流れをさまよっていたから、歳も取らなくなってしまったのだ」
「な、なるほどな。 それで、オマエは……」
「なな、何じゃ、あれは!?」
彼らの会話の最中でエッグマンが声をあげたので、彼らは声のした方を振り向いた。
そして、空を見上げた。
「げ!? エッグマンのメカが、エッグマンがいないのに空を飛んでるじゃないか!?」
その通りに、空には夥しい数のエッグマン機が浮かんでいた。
「非常用モードなど付けとらんぞ! 何でじゃ!? ワシの可愛いメカ達がぁぁぁぁぁぁぁぁ………」
彼らが混乱している中で、コロナは一番冷静だった。
しかし、その表情には、どことなく陰りがあった。
「…コロナ?」
「ついに……始まったか」
「え? どうした?」
「あ、いや… その、あの機械どもは全て、何者かに乗っとられている。 早めに片付けないと、暴走するぞ」
「何じゃと!?」
コロナが杖を構えると、彼の周りにこれまた夥しい数の、ブラックアームズの戦闘員達が集まってきた。
「では、皆の者…… 任務だ。 あのメカを全て焼き払え」
コロナのいやに冷静な声に、エッグマンがすかさず反論した。
「やめんか! ワシのメカ達を破壊する気か!?」
「構わん。 …もう二度と使わなくなるかも知れんからな」
「今、何と……」
「急げ! シャドウ、そなたも手伝え。 あとは…」
彼はソニックにちらっと目を向けた。
そして、ソニックにしか聞こえないように、こう囁いた。
「そなたは… 何もしなくてよい」
「な、何でオレだけ!?」
「そなたを呼ぶ声に、耳を傾けていろ。 そして…… 決して惑わされるな」