息抜きです。許してください。
もしもフェンリルが問題児たちと一緒に呼ばれたら
ある時、ホームで一人だらだらしていたフェンリル。ふと机の上を見ると、いつの間にか手紙が置いてあった。宛名は自分。はて、このようなものは、見覚えがない。しかし自分宛となれば、見ない訳にはいかないだろう。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を世界の全てを捨てて、我らの箱庭に来られたし。』
「いや、望まな
その瞬間、フェンリルは4000m上空に投げ出された。
「いやぁ、綺麗な景色だな。」
現実逃避をしながら、ふと周りを見ると、少年少女が同じく、落下している。レージングで引き寄せ、ルーンを唱える。
「イサ、スリザズ」
イサは遅延。スリザズは進展の阻害。少し違う気もするが、本人がどう解釈するかが問題だ。アンサズで炎が出せる位なのだから、問題ないだろう。
ルーンのお陰か、徐々に落下速度が落ち、一先ず安心出来る速度に落ちたところで、魔術的な、膜のようなクッションに気付く。湖に落ちる前に、ドローミを木に巻き付け、利用することで、地面に着地する。
「あんまり意味なかったかぁ。」
自分のしたことはあまり意味がなかった気がしてならない。あるならば、濡れるか濡れないか。そう思うと何だか落ち込んでくる。
すると、ショートヘアーの少女が礼を言う。
「ありがとう。」
「ん、ああ。気にすんな。それに、あんまり意味なかったみたいだし。」
「?」
少女はよくわからない、という顔をしていた。すると、お嬢様風少女と、金髪少年の会話が聞こえる。
「信じられないわ!問答無用で引きずり込んだ挙げ句に、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ!場合によっちゃその場でゲームオーバーだぞ、これ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ。」
「いえ、石の中に呼び出されたら動けないでしょう?」
「俺は問題ない。」
「そう、身勝手ね。」
なんか仲が良さそうだ、と考えながら、ふと茂みからの視線に気付く。
「まず間違いないだろうが、一応確認しておくぞ?もしかしてお前たちにも変な手紙が?」
「そうだけど、まず"お前"って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後気をつけて。それで、猫を抱えている貴女は?」
「春日部耀。以下同文」
などと、和気あいあい?と自己紹介している中、フェンリルは茂みを見つめる。すると、茂みの人物と目が合ったのを感じ、微笑みかける。しかし、すぐに目を逸らされてしまった。
「それで、貴方は?」
「…。」
「聞いてるの?」
身長差があるためか、肘の辺りを軽く叩かれ、自分のことだとようやく気付く。
「ああ、すまない。自己紹介か?俺はフェンリル。ファミリーネームはない。次は君の番だな。出てきて自己紹介でもしたらどうだ?」
茂みに向かって声をかける。がさがさと、枝がゆれ、葉が擦れる音がする。しかし、まだ出てこない。
「仕方ないか。」
そう言って、大口真神に手をかける。すると
「や、やだなぁ御四人様。そんな狼みたいな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼は天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じて、ここは一つお話を聞いて頂けたら嬉しいでございますよ?」
その問いに対して
「断る。」
「却下。」
「お断りします。」
「やだね。」
「アハッ。取り付く島もございませんね。」
つづきません。