オーディンの猛攻の中、フェンリルは足掻くが少しずつ身体に切り傷を負う。
「クソっ!いい加減にしろ!」
ドローミとレージングで縛ろうとするが弾かれる。足元の水を跳ねあげるが、効果はなく、すぐさま槍を向けてきたので、炎を吐き壁をつくる。視界が炎で埋め尽くされるなか、声が聞こえる。
「穿て。グングニル。」
炎の中から槍が飛び出し腹に刺さる。
「っ!ぐあぁ!」
炎が弱まり、人影が見える。腹に刺さった槍は光の粒子となり消え去り、オーディンの右手に現れる。
「終いだ、死ぬがいい。」
容赦なくを突き刺す。はずだったが原点回帰により、獣となったフェンリルの皮膚に弾かれる。
「イサ。」
しかし、オーディンの口から紡がれたルーンにより捕縛される。
「足掻くな。死を受け入れろ。」
『なんでてめぇに指図されなきゃいけねえんだよ。』
ルーンの捕縛を力ずくで少しずつ壊していく。
『俺にも大切な人が、守りたい人がいるんだ!てめぇ何かに殺される訳にはいかないんだよ!』
「なんだと?」
『独りぼっちの苦しみから救ってくれた!初めて寂しさをくれた!ただの孤独に意味をくれた!俺のことを…愛してくれた!だから…』
ルーンを壊し、オーディンに襲いかかる。
『ここで死ぬわけにはいかないんだよ!』
オーディンを爪で引っ掻く。3本の切り傷がオーディンに走るが致命傷にはなり得ない。
「なぜ、殺さなかった。」
オーディンは傷口を押さえながら問う。
『ここでお前を殺したら、また昔と同じだ。俺は変わりたいんだ。』
その答えにオーディンは片方だけの目を丸くする。そして、何かを悟ったように小さく微笑む。
「いいだろう、この場では引いてやる。」
『んあ?』
思わず真の抜けた声をあげる。
「ただし、貴様の抑止力として私は存在する。貴様が過ちを犯すなら、容赦はしないぞ。」
『なあ、それって…。』
「私に見せてくれ、変わったお前を。」
そういってオーディンは背を向ける。オーディンの背中が白くぼやけてくる。きっと元の場所に、万屋に戻るのだろう。その前に
『見てろよ!あっと言わせてやるからな!』
すると、オーディンは手をあげて答えた気がした。
目を覚ますと泉に半身浸かっている状態だった。フェンリルが目を覚ましたことに気付いたのか、店員が声をかけてきた。
「大丈夫?というか人格かわってないわよね?」
「大丈夫だ。心配かけたか?」
「まあ、それなりにね。」
安心したのか、軽口を叩く店員。
「服がびしょびしょだ。買っていくとするかな。」
そういって服を選ぶことにしたフェンリル。その顔に憂いはなく、清々しい顔をしていた。
見てろよ、じじい。
その呟きは誰にも聞こえなかった。
ホームに戻り、ヘスティアに事情を説明する。勝手に動いたことをしかられたが、それでも無事でよかったとフェンリルに泣きつく。そんなヘスティアを愛しく思いながら、ステイタスに変化がないか見てもらうことにした。
フェンリル Lv3
力 unknown
耐久 unknown
器用 C:750
俊敏 SS:2861
魔力 SS:2006
発展アビリティ
『狩猟本能』
本能的に弱点がわかる。レベルが上げれば詳細にわかる。
『生存本能』
実力差がわかる。レベルが上げれば詳細にわかる。
『ルーン』
ルーン魔術が使える。
魔法
『レージング』
先天性
レージングという鉄鎖を使役する。
『ドローミ』
先天性
ドローミというレージングの2倍の強度を誇る鉄鎖を使役する。
『グングニル』
後天性
グングニルを呼び出す。
『狼骸』
後天性
元の世界の自らの骸を召喚し、魔力で使役する。
鮮度が良ければ良いほど強力。代わりに魔力消費量が上がる。
「な、なんだい?これは?」
「いや、身に覚えのあるものから無いものまで…。」
どうやらオーディンはとんでもないものを渡してくれたようだ。