D.Gray-man~罪人の執行者~   作:ほにゃー

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第四夜 破壊の救済者

地下空間を歩き続けながらウィルは外へ出る道を探していた。

 

「何処だ?早く、アレン達と合流しないといけないのに……」

 

そう呟きながら歩いてると何処からか、歌が聞こえて来る。

 

ウィルはその歌が何処から聞こえて来るのか気になり、歌が聞こえて来る場所を探す。

 

砂だらけの開けた場所に着くと、丁度アレンが左腕で石柱を掴み、開けた場所の石柱を破壊してた。

 

その時破壊した破片が、人形と一緒に居た女の子に落ちようとしていた。

 

ウィルは銃を抜き、その石を破壊する。

 

「ウィル!」

 

「ふぅ……で、アレン。これはどういう状況だ?神田はボロボロだし、その女の子の姿からして、どうみても人間じゃないよな」

 

「それは僕も聞きたいところです。事情があるなら、教えて下さい。女の子相手に理由なしで戦えませんよ」

 

アレンがそう尋ねると、少女は語り出した。

 

イノセンスを入れた人形は少女、ララであり、その傍にいた男は昔、この町、マテールに捨てられた子供だったそうだ。

 

子供だったグゾルとララが出会って八十年。

 

グゾルはもうすぐ死ぬことが分かっており、ララはグゾルが死ぬその時まで一緒に居させてくれと言った。

 

グゾルが死んだら、その後はイノセンスを渡すとも言った。

 

「ダメだ」

 

そんな彼女の願いを拒絶したのは神田だった。

 

あのLEVEL2のアクマの能力“写し紙”とは、相手の姿を写し取る能力で、それによりトマになりすましてるアクマに気付かず、不意を突かれやられたそうだ。

 

「その老人が死ぬまで待てだと?俺達はイノセンスを守りに来たんだ。今すぐその人形から心臓を取れ!」

 

神田は少女の願いを聞き入れず、アレンに容赦ない残酷なことを指示する。

 

「…………取れません。僕は……取りたくない」

 

アレンがそう言うと、神田は枕代わりにされていた、アレンの団服を投げつける。

 

「そいつは、怪我人の枕にするもんじゃねぇ!エクソシストが着るもんだ!」

 

そう言い、神田は自分の団服を羽織り、アレンの横を通る。

 

「犠牲があるから、救いがあるんだよ……新人」

 

神田は六幻をララに向け、グゾルはララを守るように抱きしめる。

 

「なら、僕が犠牲になればいいですか?」

 

アレンは神田の前に立ち言う。

 

「ただ二人は自分達が望む最期を迎えたいだけです。僕があのアクマを破壊すれば問題ないでしょ?犠牲ばかりで勝つ戦争なんて虚しいだけです」

 

その瞬間、神田はアレンを殴る。

 

怪我してる身で殴ったため、神田もその場に膝を着く。

 

「とんだ甘さだな……可哀想なら他人の為に自分を切売りするってか?…………テメェに大事なもんはねぇのかよ!?」

 

神田が怒鳴るように聞く。

 

「……大事な物は昔失くした。可哀想とかそんなキレイな理由じゃない。ただ自分がそういうトコを見たくないだけ。僕はちっぽけな人間だから、世界とか大きな物より目の前の事に心が移る。切り捨てたくない。守れるなら守りたいんだ!」

 

アレンが真っ直ぐに自分の想いを神田に言う。

 

「だとよ、ユウ」

 

ウィルはアレンに手を貸し、ユウにも手を貸して言う。

 

「犠牲があるからこその救い。その意見には激しく同感だ。ましてや、今は戦争中。甘いことを言ってる暇はない」

 

「なら「でもよ」

 

ウィルはユウを見ながら、そして優しい笑みを浮かべる。

 

「俺は犠牲になる人間も救いたい。犠牲になっても、せめてその人の心は救いたい。それが俺の考えだ。一人と手負いのエクソシストがいるが、俺達三人ならあのアクマぐらい倒せる。やろうぜ」

 

ウィルがそう言うと、アレンは嬉しそうにし、神田はフン!と鼻を鳴らしそっぽを向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、グゾルとララの体を銀色の爪が貫く。

 

三人が気付いたときには、二人は砂の中へと引きずり込む。

 

「これがイノセンスかぁ~」

 

砂の中からアクマが現れ、そのアクマの手にはイノセンスを取られ物言わぬ人形になったララと死に掛けてるグゾルが居た。

 

アクマはイノセンスを珍しそうに眺め、笑う。

 

その瞬間、そこら一帯を禍々しい殺気に包まれた。

 

その殺気を放っているのはアレンで、アレンの左腕の対アクマ武器が変形していた。

 

「返せよ、イノセンス…………返せ」

 

「ウォ……ウォーカー殿の腕が………」

 

その光景に目を覚ましたトマが怯えていた。

 

「作り変えるつもりだ」

 

神田はトマの問いに答えた。

 

寄生型のエクソシストは感情の変化によって、対アクマ武器が武器の形状を変形させるケースがある。

 

だが、今のアレンの左腕は、アレンの殺気を形にしてるようだった。

 

するとアレンはまだ武器の形状が完成してないのに、アクマに飛び掛かった。

 

「バカ!まだ武器が!」

 

神田が叫ぶが、次の瞬間、アレンの武器は完成していた。

 

今までの鉤爪の様な腕ではなく、まるで何かを撃ち出す大砲の様な形をしていた。

 

その銃口と思われる場所からは杭の様な弾が飛び出し、アクマを襲う。

 

アレンは一通り辺りに撃ちまくると、積み重なった杭の上に立つ。

 

だが、アクマは砂を写し取っていたらしく、アレンの攻撃は聞いていなかった。

 

アレンは再び銃口をアクアに向けるが、アクマの方が速く、アクマはアレンを攻撃する。

 

咄嗟にアレンはそれを躱すと、アクマはアレンに近づき、アレンを捕まえ体内に入れる。

 

「ケケッ!捕まえた捕まえた!お前はもうだめだ!さて、何回刺したら死ぬかな~?」

 

アクマは爪を槍の様にすると、そのままアレンを取り込んだ腹部を何回もメッタ刺しにする。

 

「ウォーカー殿!?」

 

「安心しろ、トマ」

 

ウィルはアクマを見つめながら言う。

 

「まだ、アイツの殺気は死んでない」

 

その言葉の通り、腹部を突き刺していると、ガキィ!と音がする。

 

すると、アレンが砂の中から飛び出し、左腕で槍を受け止めていた。

 

そして、そのまま槍をへし折る。

 

「槍が!?」

 

アクマが驚いてる間にアレンは再び左腕の形状を変え、今度は剣のようにし、アクマを斬る。

 

すると、アクマの写し紙が剥がれ、生身が現れる。

 

「砂の皮膚が!?」

 

「写し取る時間はやらない。これで終わらせる!」

 

左腕を銃へと帰ると、嵐の様な怒涛の攻撃をアクマにぶつける。

 

「グゾルはララを愛していた…………許さない!」

 

アクマはアレンの左腕で防御するも、徐々に腕を削って行く。

 

「何でだ!同じ腕なのに……負けそうになってんだよ!」

 

例え同じ武器であってもそれを完全に使いこなせるのはエクソシスト、適合者のみ。

 

エクソシストとシンクロ率が高ければ高いほどその力は強くなる。

 

その為、アクマは今負けそうになっていた。

 

だが、アレンが血を吐き、左腕の武器が消え、元の真っ赤な腕に戻る。

 

「もらった!」

 

アクマはボロボロの腕でアレンを襲う。

 

それを受け止めたのは神田だった。

 

「神田…!?」

 

「この……バカもやしが!土壇場でヘバッてんじゃねぇよ!あの二人を守るって言ったのはテメェだろ!お前みたいな甘い奴は嫌いだが、言ったことを守らない奴はもっと嫌いだ!」

 

「………結局嫌いなんじゃないですか。大丈夫、ちょっと休憩しただけです」

 

「……いちいちムカつく奴だ」

 

「だが悪くないな」

 

ウィルは銃口を向け、一発撃つ。

 

弾丸はアクマに向かうが、破壊はせず、そのままアクマの体内に留まる。

 

「こんな豆粒で壊せると思った……が!?な、なんだ!?体が……!」

 

ウィルのイノセンスは相手の体に撃ち込むと、イノセンスの力を流し込み、内側から破壊すること出来る。

 

それを利用し、自身の体内に弾を撃ち込んでアクマの血のウイルスを浄化することも出来る。

 

イノセンスの力に犯されるアクマを見て、神田はアクマの腕を斬り飛ばす。

 

「「消し飛べ!」」

 

そして、二人同時に攻撃を放ち、アクマは消滅した。

 

その光景を見て、ウィルは思わず笑い、倒れる二人を見る。

 

「………いいコンビになりそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、イノセンスをララに入れると、ララは動き出したが、五百年動いていたララではなく、ただ動き、歌うだけの人形だった。

 

グゾルが死に、それでもララは歌い続けた。

 

神田は現地の病院に入院し、アレンとウィルは監視と護衛のララの見張りをしていた。

 

「おい、何寝てんだ。ちゃんと見張ってろ?」

 

退院した神田がやって来て、階段に座る。

 

「全治五ヶ月の人が何でここにいるんですか?」

 

アレンは顔を伏せたまま聞く。

 

「治った。…………俺はこのまま次の任務に行く。お前はウィルと一緒に本部にイノセンスを届けに行け」

 

「…………分かりました」

 

「………辛いなら止めてこい。あれはもうララじゃないんだろ?」

 

「約束なんです。ララを壊すのはグゾルさんじゃないと………」

 

「甘いな、お前は。俺達は救済者じゃない。破壊者だ」

 

「……………わかってますよ。でも、それでも僕は」

 

その瞬間、風に乗って聞こえていた歌が聞こえなくなった。

 

ララの元に行くと、ララは止まっていた。

 

アレンはララに近づく。

 

『ありがとう。壊れるまで歌わせてくれて。約束守れたわ』

 

アレンには確かにララの声が聞こえた。

 

そして、アレンは動かない人形になったララを抱き、泣いた。

 

「神田、ウィル……………僕は、それでも誰かを救える破壊者になりたいです」

 

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