「えっと、ここが黒の教団本部でいいのか?」
突如現れた青年に、一同は唖然とする。
一瞬でリナリーを救出し、コムリンⅡの頭上を取る素早さ。
只者ではない。
誰もがそう思った。
「こらぁぁぁ!僕のリナリーに振れるなぁぁぁぁぁぁぁ!」
このシスコン以外は。
「あ、こいつはすまない。とっさに助けちまった」
「い、いえ!」
リナリーは慌てながら言う。
男は誰もがイケメンと言うだろう顔立ちで、物腰も柔らかだった。
『手術だぁ!』
コムリンⅡが腕を伸ばし襲い掛かるが、男は攻撃を躱し、コムリンⅡを降りて、リーバーたちの近くまで下がる。
「ここにいな。俺が片付ける」
そう言って、リナリーを男は優しくおろし、コムリンⅡと対峙する。
「行くぞ“
その瞬間、男が穿いていた靴が光が輝き、騎士の足部分の鎧の様な形になる。
そして、目にも止まらぬ速さで、コムリンⅡを蹴り、破壊する。
「うん?」
だがコアは破壊されておらずコムリンⅡはまだ立ち上がる。
『私は………コムリンⅡ。エクソシストを………強くする……のが役……目。その女エクソシストは……マッチョに……する………』
「女はマッチョより、ちょっと華奢な方がいいんだよ。少なくとも後ろにいる彼女は、あのままの姿で充分。俺の好みだ」
男の発言にリナリーは顔を赤くし、俯き、コムイはなんか怒り狂ってた。
「おい!誰か知らんが、そいつの中にはコアがある!それを破壊しない限りそいつは自己修復を続ける!コアを破壊するんだ!」
リーバーが男に助言を出す。
「無駄だよ!リーバー君!コムリンⅡの生命線ともいえるコアは常に移動し、場所を変える!そう簡単には壊せないよ!さぁ、コムリンⅡ!リナリーを口説く悪い虫を、その男を倒すんだ!」
コムリンⅡは、男をリナリーの強化手術の妨げになると判断し、攻撃を仕掛ける。
「常に移動してるね。なら、全て破壊すればいいな」
そう言うと男はコムリンⅡの攻撃を受け止め、そのまま蹴り上げる。
「食らえ!騎武蹴撃技 参ノ技“剣脚葬塵”!」
下から足を振り上げる様にコムリンⅡに蹴りを叩き込む。
すると、コムリンⅡは内側から弾ける様な音を出し、そして、そのまま動かなくなる。
「今の技は表面より内部へのダメージがデカイ技。衝撃が内部に伝わり、そのまま中で破裂するように衝撃が広がり、内部を破壊しつくす。コアが移動していても、内部に広がる衝撃を叩き込まれたら終わりだろ」
コムリンⅡはそのまま、ガラガラと音を立て、装甲が崩れてゆき、その光景にコムイはショックを受けていた。
その後、科学班はコムリンⅡが二度と復活しないように丁寧にバラし、廃棄処分に出した後、壊れた教団内部を修復していた。
ウィルは自室のベットに寝かされ、ティアに看病され、アレンはコムリンⅡの襲撃で部屋が無くなったので今は科学班の部屋にあるソファーに寝かされてる。
アレンは頭に濡れタオルを置かれた拍子に、起き上がり、看病していたリナリーを驚かせていた。
「リナリー?」
「アレン君、大丈夫?ごめんね、兄さんの所為で」
「僕は大丈夫です。リナリーも無事みたいですし、良かったです」
「あ、そうだ。言い忘れたけど、お帰りなさい、アレン君」
笑って言う、リナリーにアレンは思わず顔を赤くする。
すると―――
「目が覚めたか!」
先程の青年が現れる。
「貴方はさっきの………」
リナリーは彼の登場に思わず、顔を赤くしたが、アレンは違った。
その顔は驚きと喜びに満ちていた。
「レイ兄!」
「久しぶりだな、マイブラザー!」
「レイ=ハーゼン=シュトゥルクだ。よろしくな」
そう言い、レイは笑う。
何とか修復できた食堂で、レイはウィルたちに挨拶をする。
「レイ兄は僕の兄弟子で、二年前に、師匠に言われて、教団本部に向かったんです」
「二年前?」
「俺、凄い方向音痴なんだ。だからここに来るのに二年ぐらい掛かっちまったんだよ」
そう言って笑うレイに、一同は唖然とする。
「ま、ともかくよろしくな」
レイはもう一度笑い、言う。
こうして黒の教団は新たなエクソシストを一人迎え入れた。