世界というものは残酷だ。
努力をすれば報われる、などという言葉も結局は妄言で。どんなに努力を重ねたとしても手が届かない時があって、どんなに血反吐を吐く思いをしたって見ることしか出来ない時がある。
あぁ、それだけならまだ諦められただろう。
努力すれば必ず報われるなど、そんな甘い世界である筈がない。
――だが。
自分より努力をしていない連中が、自分より堕落している連中が、何故夢に手が届いている?
何故を夢を見られる側にいる? それが、
――俺は許せない、この歪んだ世界が……。
「ー童ーき!!!」
ぼやけた視界の中、一つの声が聞こえた。瞼の裏からでも日差しによって視界はオレンジ色へと塗られていて、瞼を開くのも億劫になる。だが、そんな時間もすぐに終わった。
「
バシンッ!!! という音が自分の頭から鳴る。そう知覚したと思いきや、途端に痛覚が襲ってきた。
「いって……」
「天道暁月、お前何寝てんだ。今は授業中だぞ、ちゃんと起きて勉強しないか!!」
そう隣で癇癪を立てているのは三年C組の担任だ。禿げあがっている頭部は常に明かりを確保してくれることからLEDと影では呼ばれている教師だ。そんな我等がLEDはどうやら授業中に寝ていた俺に怒ったようで唾をまき散らしている。それを後ろの席から奪ったノートで防ぎながらLEDの手をみるとそこには丸められた教科書がにぎってあり、
「先生、教科書は生徒を殴るためにあるんじゃないですよ?」
「授業は寝るためにあるんじゃない!」
……正論だな。
どうもこのLEDは俺を目の敵にしている節があるのだ。何故だろう? 俺が何か……あ、寝てるからか。
「すいませんすいません、いびきでもしてましたか? これからはいびきしないように寝るんで」
「ふざけるな!! 授業中に寝るなと言っているんだ! もういい、お前は後ろで立っていろ!!」
LEDの言葉に従って席を立ち、教室の後ろへと行く。その際、後ろの席の奴にノートを返しておく。当然、後ろの奴は「うぇぇ」といって凄い嫌そうにしていたがそこはスルー。
教室の中からは俺を馬鹿にしたような笑い声が小さな音量ではあるが確かにあり、LEDも俺をみてニヤニヤしている。
そうして、今日の学校は終わった。
授業も全て終わった放課後、とある女子と喋っていた。
「あんた、懲りないね。あんだけ怒られててまだ寝るの?」
そう僅かに呆れたような、だが無表情に近い表情で問いかけてくるのは速水凛香。彼女は俺の数少ない友人で、とあることがきっかけで、こうして喋る仲になっている。
「寝る子は育つていうしな、俺はデカい男を目指してんだよ」
「……十分じゃない? 確か百七十五㎝くらいあるんでしょ」
無駄口を叩きながらも俺達が放課後、学校に残って何をしているのかというと、まあ凜香の所為なのだが。
「そういうお前こそなんでまた雑用押し付けられてんだよ……」
「……うるさい」
プイッ、という効果音が聞こえてきそうに顏を逸らす彼女の俺は溜息を吐きながらも押し付けられている雑用を手伝う。どうも、彼女はこういったことを押し付けられやすい性格で。口数がすくなく、感情を表に出さず、言い訳をしない。そんな性格が災いとなっている。
「このままじゃ成績落ちるんじゃねえの?」
「そういうあんただって寝てばかりじゃない」
「俺は大丈夫なんだよ。とりあえず高校卒業まではもう終わってるからな」
「……それホント?」
「おう、ホントだホント」
「なんで?」
「……ちょっとした事故でな。入院して数か月の間に暇だったから進めて、それが今じゃ高校卒業まで行った。それだけだよ」
その通り、俺は勉強という成績だけは良いのだ。だからLEDも文句を言えない、だから授業中の常識というものを利用して俺を吊し上げた。まあ、半分以上自業自得なのだが。
「ほい、終わった。そっちはどうだ?」
「もうすぐ終わる」
「んじゃ待ってるか」
そうやって彼女と俺の日常は過ぎて行ったのだが、少し後のこと。俺達はこの
「お前ら、E組行きだ」
……は? E組?
あれから数日後のことだった、LEDこと担任に呼び出された俺は放課後に職員室に赴くと、そこには既に凜香とLED居て。そして唐突に先程の言葉を言われた。
「っ……!?」
凜香も驚いているようで、目を見開いている。
俺はとりあえず、理由を聞いてみることにした。
「天道暁月、お前は授業中の素行がすこぶる悪い。速水凜香、お前は成績が著しく落ちている。だからお前らは転級だ。おめでとう、明日からお前らE組だ。」
そうして、俺達は翌日からE組。通称『エンドのE組』へと行くことになった。
今回は、新作を書いてみました。
僕の妄想が多分に含まれた物語なので、お気に召すかは分かりませんがどうぞよろしく。
最後に、速水は俺の嫁。