聖剣伝説 Hunters of Mana   作:変種第二号

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新たなる悪夢へ

 

 

 

其処には、何も残されてはいなかった。

消し飛んだ月見草の花畑、跡形も無くなった大樹、吹き飛んだ館。

狩人たちの姿は既に無く、みな時の狭間へと還って行った。

上位者たちは僅かな残滓すらも残さず、完全に滅せられていた。

人形も車椅子も、全て余波で消し飛んでしまった。

この場に居るのは、仰向けに倒れ月を見上げる、力の殆どを使い果たし今にも息絶えんとする『狩人の上位者』のみ。

 

彼には『過去』が無い。

血の医療を受ける以前の記憶が、完全に抜け落ちているのだ。

あの人気の無い診療所、其処に残されていた過去に関する手掛かりは、明らかな自筆と判る走り書きのみ。

 

 

《『青ざめた血』を求めよ。狩りを全うするために》

 

 

何の為に『青ざめた血』を求めるのか、自分は何処から、何の為にヤーナムを訪れたのか。

考えるだけ無駄な事だと知ったのは、彼が上位者となってからの事だった。

 

『ローレンスたちの月の魔物』

嘗てこの場所で討ち果たした上位者は、他の上位者たちの多くと対立する関係に在った。

彼の上位者の目的は、他の上位者が『赤子』を得る事を阻止し、しかし同時に自らの『赤子』を得る事だったろうか。

事の真相こそ不明なものの、獣の排除を至上の命題とするゲールマンは、何故か月の魔物と盟を結んでいた。

或いは、結ばざるを得なかったのだろう。

彼の盟友たる、医療教会初代教区長ローレンスは血によって上位者たらんと思索し、飽くまでも人の叡智によって上位者の知啓を得んとするウィレームと道を違えた。

ゲールマンは否定も肯定もしなかったと思われるが、ローレンスが喚んだらしき月の魔物と盟を結んだという事は、そうせざるを得なかったという側面が在るのだろう。

 

月の魔物の力によって生み出された悪夢、狩人の夢は新たな狩人を補佐し獣狩りを助けるが、しかし最後には『目覚め』を強要する。

あたかも狩人が、月の魔物へと辿り着く事を阻止せんとするかの様に。

その役目を担っていたのがゲールマンだが、彼は夢からの解放を願っていた。

しかし月の魔物はそれを許さず、更にゲールマンが打倒されれば、今度は新たな狩人を助言者の座に据えんとしたのだ。

彼がそれを拒めたのは『3本の3本目』による効果。

彼自身が『赤子』の成り損ない、その残滓を取り込んでいたからだ。

メンシス、狂人たちの思想の一端に触れた彼は、しかしウィレームから聖歌隊、そしてメンシス学派へと脈々と受け継がれてきた人としての矜持を、確かに受け取った。

メンシスの狂気により構築された足掛かりを否定し、同時に崇め呼び掛け星空を見上げる聖歌隊の思想をも拒絶した彼は、飽くまでも自らの力によって『上位者狩り』を成し遂げる道を選んだ。

 

月の魔物にとって、狩人が彼の支配に抗うという事態は、完全な想定外だったのだろう。

目前の狩人が『上位者の赤子』になり掛けているという事実を悟った月の魔物は、すぐさま怒り狂った様に彼の殺害を図った。

しかし逆に、ローレンス、ゴースの遺子、メルゴーの乳母、ゲールマンさえも打倒した彼によって、月の魔物は呆気なく滅ぼされる事となる。

 

全ての上位者は『赤子』を失い、また求めている。

月の魔物もそうであったのだろうが、彼あるいは彼女が如何にして『赤子』を得ようとしていたのかは、結局のところ解らず仕舞いだ。

だが少なくとも『狩人』が赤子になる事など、決して求めてはいなかった。

或いは、ヤーナムに産まれた『落とし子』のいずれかは月の魔物によるものであったかもしれないが、それでさえも推測の域を出るものではない。

一方で月の魔物が、メンシスが見出した悪夢の『赤子』であるメルゴーを疎ましく思っていた事は、疑い様も無い事実だ。

何せそれを排除する為だけに『異邦の狩人』を仕立て上げる程なのだから。

 

不治の病の治療法を求め、古き医療の街ヤーナムに訪れた異邦の旅人。

そんなものは、初めから存在しなかったのだ。

本当に外部からの来訪者を捕らえて仕立て上げたのか、元からのヤーナムの民を用いたのかは今や知りようもない。

だが、過去など最早存在しないも同然という事だけは確かだ。

 

肉体としては、成人を迎える直前といった年頃の男性。

血の医療を求め、異境からの来訪者の絶えないヤーナムとしては珍しくもない、短く刈られた東洋系の黒髪と同じく黒い瞳。

言葉に訛りの無い事から、昔からヤーナムで用いられているものと同じ言語を話していた事は確かだ。

だがそれが、如何程に価値の在る情報となろうか。

ヤーナムには故知れぬ孤児や浮浪者など、それこそ掃いて捨てる程に居るのだから。

その内の1人が消えたとて、誰が気に留めようものか。

縦しんば家族が居たとて、ヤーナムの民ならば例外なく血に酔っているだろう。

あの過去最悪とも言われた『獣狩りの夜』に正気を保っているとは考え難い。

過去はもう、取り返しの付かない時間の中に埋没してしまった。

月の魔物に目を付けられた時点で、全ては手遅れだったのだ。

 

上位者となった理由は、半ば意地を貫いた結果の様なものだ。

ゲールマンの寝言、偶然にあれを聞いてからというもの、彼を狩人の夢から解放する事は自身の中での決定事項だった。

ガスコインとその家族、正気を失ったヘンリック、狩人狩りアイリーンの悲劇。

ヨセフカの診療所にて行われていた医療教会関係者による凶行、獣に身を窶した男が語った言葉、オドン教会で目にしたアリアンナの末路。

実験棟の惨状、時計塔のマリアの結末、漁村の虐殺、ビルゲンワースの非道。

何もかもが気に入らなかった。

 

医療教会もビルゲンワースも、既に実質的な崩壊を迎えていたが、それはヤーナムの街を道連れにしたものであって決して喜ばしいものではない。

未だ活動を続けるメンシス学派に至っては、初めてヤハグルの隠し街に導かれた時から、その遺志を打ち砕かんと決めていた。

居並ぶ死体に鞭打つのではなく、彼等の造り上げた悪夢そのものを否定してみせんと。

そして悪夢の主を狩る事で、その決意は果たされた。

聖杯の奥深く、古の民トゥメルの女王であるヤーナムの遺志をも殺す事で、彼女の悪夢を終わりにできたのではとも考えている。

そしてゲールマンを解放する事で、彼の目的は殆どが果たされた。

『上位者狩り』など、初めから物の序でだったのだ。

ゲールマンが解放された後、月より降り立ち彼に抱擁を与えんとした月の魔物。

彼が『上位者狩り』の事を思い出したのは、その時になってからだ。

 

失笑した。

この期に及んでノコノコと姿を現し、自身を新たな助言者に仕立て上げようとする月の魔物。

危機感など全く無く、現状を理解してもいない。

こんな存在が偉大なる者、アメンドーズ等とは比較にならない程に格上の上位者、恐らくは亡きゴースと並ぶローレンス達の月の魔物とは。

全く、笑わせる。

 

狩りの中で笑った事など無かった。

血と脂、毒と炎、爆発と硝煙、狂気と恐怖。

それら全てが溢れ返り、地上の地獄を造り上げる『獣狩りの夜』に、正気を以って笑う者など居はしない。

血に酔い、獣の病に蝕まれた者達だけが、狩りと血の喜びに快哉の声を上げるのだ。

だがこの時は、この時だけは、腹の底から込み上げる嗤いを抑える事ができなかった。

 

抱擁を拒絶され、驚いた様に飛び退いた月の魔物。

奴がその腕を振り上げるや否や間合いを詰め、その顔面に開いた虚の様な空洞にエヴェリンの銃口を突き込み、引き金を引く。

銃声と絶叫、降り掛かる血飛沫。

その瞬間、自分は確かに血に酔っていたと、狩人は反芻する。

続けて虚に右腕を突き込み、脳か別の臓器かも判然としない内臓を握り潰し、そのまま引き摺り出した際の悲鳴と血飛沫も、言葉では表せない程に甘美で香しいものだった。

これが狩りなのだ、血の悦びなのだと、初めて理解した瞬間だった。

 

後の事は、特筆するだけの事でもない。

ノコギリ槍の効果が薄いと判断するや否や、彼はゲールマンとの闘いに用いた後、放り出してあった『千景』を拾い抜刀。

呪われた赤い長刀と化した血刀を振るい、月の魔物を『解体』した。

そして、彼は上位者となったのだ。

 

それからはずっと、機会を窺ってきた。

狩りを全うする機会を、獣の病の根源を滅する機会を。

最早ヤーナムは手遅れだが、それでもこの世界は人間のものだ。

断じて上位者の遊び場などではなく、孵卵の場でもない。

獣が人の内に潜むからといって、それを徒に呼び起こされる事も、根本から否定される事もあってはならない。

 

そして何より、彼は自身の属する協約『連盟』の目的を忘れてはいなかった。

カレル文字『淀み』が囁く『連盟』の使命。

人の淀みの根源『虫』の根絶、狩りの夜に蠢く汚物全てを殺戮すべし。

『連盟』の長『獣喰らいヴァルトール』の主張に、彼は心から賛同した。

穢れた獣、気色悪いナメクジ、頭のイカれた医療者共、何もかもうんざり。

だからこそ、みな殺し尽くす。

その殺戮への甘い誘惑は、主張の正当さからも彼を惹き付けて止まなかった。

程なくして、その身には『淀み』が刻まれ、彼は次元の壁を超えてまで、あらゆる並行世界のヤーナムに於ける殺戮に加担した。

医療教会、メンシス学派、ビルゲンワース、獣、上位者、狂った狩人。

何もかもを殺し、膨大な数の『虫』を踏み潰してきた。

 

一方で、殺し尽くせないと判断したからこそ、血族狩りに『カインハースト』への道を教える事なく、招待状も王冠もヘムウィックから湖面へと投げ入れたのだ。

穢れた血族、その女王を殺すには、当時の力ではどうしても至らなかった。

カインハーストの力を得る為だけに跪き、臣下の礼を執っておきながら、彼の頭には穢れた血族を滅ぼす事しか無かった。

彼の穢れた血族が、ヤーナムで獣を狩る狩人たちに何をしていたのか、それを知った瞬間から揺ぐ事の無い決意だった。

血の女王『アンナリーゼ』

彼女を封じていたローゲリウスを、そうとは知らずに滅ぼしてしまったのは彼自身だ。

だからこそ血族狩りアルフレートが、万が一にもアンナリーゼに接触する事が無い様、幻視の王冠と招待状を湖へと捨てたのだ。

アンナリーゼを最早誰も誑かせない様、永劫に亘る孤牢鉄面の虜とする為に。

 

だが、最早問題は無いだろう。

現実のアンナリーゼは、既に時代に取り残された落伍者だ。

人々が科学の力を研鑽した末に星を飛び出し、既に上位者たちの領域をも自らの力のみで以って侵し始めたこの時代に、穢れた血族に何の力が在ろうものか。

あらゆる干渉を防ぐ障壁を纏い音の速さを超えて空を引き裂く兵器が地空を跋扈し、暴力の塊が動く山となって地を踏み荒らし海を引き裂き、空に浮かぶ城塞が光で以って全てを消し去る。

人が自らの叡智で以ってこれ程の力を得るなど、如何なる上位者であろうと予想し得たものではないだろう。

結局、彼等もまた落伍者に過ぎなかったのだ。

 

上位者が既に滅ぼされた以上、アンナリーゼが『血の赤子』を身籠る可能性は最早無い。

だが健在だったとして、今の世に彼等の出る幕は無いだろう。

彼女に残された道は、このまま不死者として無為な時間を生き続けるか、或いは死への一縷の望みを託して人が撒いた地上の毒に蝕まれるかの2つだけだ。

 

『連盟』の目的は果たした。

『虫』の根絶は成らずとも、その根源を討ち果たす事はできた。

時間こそ掛かったものの、全ての上位者を滅ぼす事ができたのだ。

人の身を超越したからこそ無制限に『狩人呼びの鐘』を使用し、更に狩人としての自らの力を際限なく振るえるまでに上位者として成熟したからこそ果たせた、多くの狩人にとっての悲願。

時間も次元の壁をも超えて、あらゆる世界から狩人を呼んだこの戦いこそが、彼が上位者となった最大の目的だった。

それを果たした今、自身も力を使い果たし息絶えようとしている事など、彼にとっては些末事に過ぎなかった。

だからこそ仰向けに寝転んだまま、感慨深く青い月を見上げていたのだ。

だと、いうのに。

 

 

「成程、それが貴公の目的か……いや、気付かなかったよ。やはり私は、無為な夜を歩み過ぎた様だ」

 

 

狩人の目が、大きく見開かれる。

仰向けに倒れる彼の、マスクと狩帽子に覆われた顔。

僅かに露出した目元を覗き込む、鉄面を被った金髪の女性。

此処に居る筈の無い、その女性の名は。

 

 

「否……教会の仇である事だけは、偽りなき事実だったか……フフフ……やられたよ。大したものだな、貴公」

 

 

穢れた血族の女王、アンナリーゼ。

身を起こし掛けた狩人の鼻先を、その細く白い指で優し気に制する。

 

 

「何故此処に、とでも言いたげだな。簡単な事だ、狩人よ。現の肉体が滅びて尚、あの瞳狂いどもが如何にして儀式を続けたか……忘れた訳ではあるまい」

 

 

狩人は思い到り、愕然とした。

この女は、メンシスの狂人どもと同じ事をしたのだ。

 

 

「人の技術の進歩とは恐ろしいものだな。古き者である私達には想像も付かない……いや、凄まじい毒であったよ。不死であったこの身でさえ、人が撒き散らす毒の前には無力だった。だからこそ『私の悪夢』を造り出す事を思い付いたというものだが」

 

 

何がおかしいのか、くつくつと小さな笑いを零すアンナリーゼに、狩人は震える腕で左腕を持ち上げる。

其処に握られた銃、エヴェリンにはまだ2発の銃弾が残されている筈だ。

だがアンナリーゼは、愉快そうに言葉を続ける。

 

 

「止めておきたまえ、貴公。最早、身体を動かす事さえ儘ならぬのだろう? 貴公が戮した上位者たちの怨念、行き場の無いそれが、この場には渦巻いている。貴公にとっては毒である筈だ」

 

 

言いつつ、アンナリーゼは月に身を投げ出さんとするかの様に、宙へと腕を広げてみせた。

まるで、その場に在る何かを抱擁せんばかりに。

 

 

「そして……それこそが、私の求めていたものだ」

 

 

次の瞬間に起こった事を、狩人は理解できなかった。

アンナリーゼの目と鼻の先に、赤黒い穴が開いたのだ。

穴の中からは黄色く淀んだ液体が溢れ返り、下方の地面を徐々に汚してゆく。

膿、湯気を上げる大量の膿だ。

その穴に、狩人は見覚えが在った。

あれはメンシスの化け物、死体の塊が出てきた穴ではなかったか。

 

 

「フフ……驚いているな? この穴こそが、私に残された最後の希望。我が穢れた血族の望みを叶える、新たなる旅路の始まりとなる門」

 

 

言いつつ、アンナリーゼは躊躇う事なく、膿が溢れ返る穴へとその右手を差し入れる。

 

 

「厳密には上位者ではないが、それに近しい存在は異なる世界にも居る……ビルゲンワースの研究でも解っていた事だ。悪夢も、血の穢れも、この世界だけに拘る必要はない。異なる世界、異なる理の下で、新たなる悪夢と穢れを見出せば良いだけの事」

 

 

アンナリーゼの身が、徐々に穴へと呑み込まれてゆく。

そして、その身が完全に飲まれる寸前に彼女は振り返り、狩人へと別れの言葉を投げ掛けた。

 

 

「さらばだ、月の香りの狩人よ……カインハーストの名誉のあらんことを」

 

 

その言葉を最後に、アンナリーゼの姿は消えて失せる。

穴もまた急速に萎み、大量の膿だけを残して消え失せた。

残されたのは、今にも息絶えんとする狩人のみ。

 

彼は身を起こした。

数分もの時間を掛け、震える脚で漸く立ち上がると、身体を引き摺る様にして館の跡地へと向かう。

幾度も転びながら館の残骸へと辿り着き、その瓦礫を少しずつ取り除き始めた。

そうして作業を続けること暫し、彼は漸く目的の物を見付け出す。

 

それは、人の頭蓋だった。

完全に砕けてしまった物も在るには在るが、それでも夥しい数の頭蓋が瓦礫に埋もれていた。

勿論、唯の頭蓋でなど在ろう筈もない。

一様に頭頂部から抉り込む様にして割れたそれらは、内部に青白く瞬く怪しい光を湛えているのだ。

医療教会の関係者は、これを聖遺物の一種として崇め、こう呼んでいた。

『狂人の智慧』或いは『上位者の叡智』と。

 

彼は震える拳を振り上げ、頭蓋目掛けて振り下ろした。

百を超えるそれら全てに対し、幾度も幾度も。

頭蓋が砕け、光が放たれるその度に、失われた上位者としての力がその身の内に戻る事を、彼は実感していた。

戦いの前とは比べ様も無い程に微々たるものではあるものの、目的を果たすには充分な力。

殆ど全ての頭蓋を砕いた後、彼は確りと地に足を付けて立ち上がる。

 

これからすべき事は何か。

解り切った事だ。

アンナリーゼを追い、滅ぼす。

だが、自身だけでそれが可能だろうか。

穴を超える事に力を使えば、その後に上位者としての力は大して残るまい。

だからといって、持て余すには危険に過ぎる力はこの身に残る。

使い途など無く、ただ危険なばかりの力。

これをどうしたものか。

 

彼は大樹の残滓、僅かに残った根を見遣る。

そして、思い出した。

 

そうだ、自分は何を思って上位者になったのか。

生まれてしまった数多の犠牲を受け入れられなかったからこそ、どうしても納得できなかったからこそ、成り行きとはいえ決着を付ける為に上位者となったのではなかったか。

今の自分には、持て余すだけの力が在る。

上位者もどきと戦うには不足でも、人の身には余る願いを叶えるだけの力が。

穴を超え、その願いを為せば、最早上位者としての力は名残程度にしか残るまい。

唯の人間、狩人としての自分だけが残される。

望外だ、幸運以外の何ものでもあるまい。

ならば、それを選ばぬ未来など在り得ない。

 

夢を想い、心に文字を描く。

『淀み』ではなく、純粋なる狩人としての心象。

『狩り』のカレル文字。

 

果たして、再び開いた穴が、狩人の夢の全てを呑み込んだ。

穴に呑まれる寸前、彼の周囲に見えた影は、決して幻覚などではなかった。

無数の狩人、獣、崩れ落ちた筈の工房、悪夢の風景。

滅ぼし、滅ぼされ、失われた筈の全てが、其処に在った。

そして全てが、穴へと呑み込まれる。

 

 

 

 

 

『狩人の夢』を、今度こそ。

悪夢も何もかもを丸ごと呑み込んで、新たな世界で、今度こそ。

狩人の願いは、確かに叶った。

異界の悪夢という、他の何かを犠牲とする形で。

 

 

 

 

 

『マナ』の加護によって成り立ち。

『女神』の慈愛に満たされた世界。

『獣の病』など在ろう筈もない地。

 

 

 

『獣狩りの夜』が、また始まった。

 

 

 




【一方その頃、人の世】


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 ≡≡≡ ヘ〇ノ        ヘ且ノ <ウアアアアアアアアアッ!(悲鳴)
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