White Glint stratos 空駆る白き閃光 作:人類種の天敵
ーーー???ーーー
唸る駆動音
『やめて!もうっ……止めて!!』
いつも俺を支えてくれた彼女の声を聞きながら口元が綻ぶ
『貴方はもう戦わなくていいの!だからっ……!!』
返事の代わりに、機体のカメラアイを蒼く煌めかせるーーコンソールから『Link』という文字が浮き出、激痛が奔る
「ーーーッ!!!……………!!!」
大声を喚き散らしたいが、肝心の声帯が、今までの戦いの代償を物語るかのように一声も発せぬままカヒュー……ヒュー…ヒューと掠れた呼吸音だけが木霊する。声を荒げる代わりに目の前の機体を睨み付ける
空中を浮く青い機体。ランク1 オッツダルヴァの機体 ステイシス
『やめて……お願いだから………もう………』
彼女の声が響き、ふと、脳裏に走馬灯のようなものが浮かぶ
ーーー伝説だと謂れ、そして自らの羽をもがれた日
ーーーボロボロの体で無様に生き延びた先で自分を救った恩人の彼女に出逢った日
ーーー保護された場所で、新たな翼を手に入れた日。鴉の飛翔を誓った日
ーーーそして出会う。己が羽ばたく翼で一体何を守るのかと問う英雄に
ーーー地に堕ちた戦争にて幾多の同胞達を斬り伏せ、鴉殺しの名を冠した女騎士に
ーーー4機の敵に囲まれながらも、辛くも生き延びた日、涙ぐむ彼女と、愛し合った日
ーーー時には敵として、時には味方として戦場を駆け巡った戦友に……別れを告げた日
もしかすると俺は……死ぬか……
走馬灯を思い浮かべる理由を思いつき、フッと笑う
それがどうした?彼女を護れるのならば、喜んでその運命を受け容れよう。砂漠の英雄が受け容れろと言ったように、この人生に終止符を打とう………だが
『再起動………だと!?バカな……こんなネクストがあり得るのか!?おい!お前もボケっとしてないでホワイトグリントを援護をしろ!!ステイシスが仕掛けてくるぞっ!!!』
それはなにも、抗わないわけではない……
最後のレイヴンとして。彼女を護る為にボロボロの翼を広げよう。もう一度 もう一度あの大空へ飛び立とう
『ガッ…!…メインブースターが故障だとッッッ!!??オーバードブースト中に……っ!!!この超高速度の中で当てたというのかッ!!?』
『………貴方も…ジョシュアも……どうして………』
耳をつんざくオーバードブーストを用いた超高速戦闘の最中、彼女の声だけが鮮明に聞こえる。だから彼女の言葉を、どうしての続きを。それだけを聞こえないフリをした
ふと、彼女と過ごした幾つもの夜が浮かぶ
腕の中で愛らしい笑顔を浮かべ、首に手を回して唇と唇を重ねる、至福の口付けが
『おのれッ!………狙ったかぁッ!!ホワイトグリントォォォッ!!!!』
ああ、狙ったとも。さあ、お休みの時間だ。愛してるよ。フィオナ
ブースターを破壊され、推力の低下した機体の上空で、白い機体を中心に緑色の粒子が凝縮されたーーーーーーー
ズゥゥゥゥゥゥゥン……カアォォォォッッッ!!!!!!!!!
現代 一月某日
「おはよー!カッラスー!!」
「ああ、大声と共に俺に抱きつくな。鬱陶しい」
朝から煩い声と共に体に受けた衝撃をいなしつつ、俺の首に手を回してしがみついている女を無表情で引っぺがす
「ぶーぶー、連れないなー!カラスはー」
「お前の相手は面倒くさいからだ」
パッパッと肩を払い、無表情に歩く
「………本当に、連れないな……」
「なにか言ったか」
「なーんにもー?んっふふー」
今度は俺の手を取って自分の胸に押しつける幼馴染に、ため息を零す
「やめろ。周りの視線が面倒だ」
「んもー、本当にカラスは面倒が嫌いだね」
チラッと横目で幼馴染を見る。身長は自分より低い160近くぐらい。まあ、自分の身長が180もあるので当たり前か
「当然だ、お前と一緒にいると目立つから嫌だ」
「えー?カラスが目立たないわけ無いよー、だってーーー」
嫌そうに呟く俺の声にそう返して俺の顔へ手を近づける。ジト目で睨みながら顔を遠ざけるが、むふふ〜とニヤけながら爪先立ちで背伸びまでして俺の前髪を掴む
「日本人のくせにカラスの髪は真っ白だからねー。これで目立たないってどーゆことさ」
口を手のひらで隠して笑う幼馴染に
「知るか」
とだけ言う。何時もの事だ
ーーー俺の名前は鴉白 零。先ほどこいつが言った通り俺の髪の毛は真っ白だ。こんな髪の毛だから小さい頃から良くチンピラに絡まれた、まあ。その度に全てを薙ぎ払ってきたが
ーーー小鳥遊 陽菜。昔バカに虐められていたところを通り過ぎたらバカのリーダー格が俺のところに突っかかってきたから虐めてる奴ら共々叩きのめした。その際、何を勘違いしたか……名前の如く産まれたばかりの雛のように俺に懐いた。簡単に言えば、俺の後ろについてくるようになった
「あー、そう言えばカラスー。私ねー、IS学園にスカウトされたんだー」
突然呟いた陽菜に、そうか。とだけ言う
「離ればなれだね………」
「ああ」
それだけで会話は終了。生憎、俺にとってこいつは昔から俺の後ろをついてくる物好きとしか考えていない。こいつは違うらしいが……それに俺は、誰にも言えない秘密があるからだ
ーーー転生 簡単に言えばそう。しかし、再び若い体を持った俺の中に生まれたものは虚無感だった………理由は簡単だ。この世界は、平和過ぎる……この思いを他人に言えば、お前はバカかと言われた。それは何故か?
女尊男卑ーー何年か前に、IS インフィニット・ストラトス呼ばれる女性にしか動かせない兵器が登場した。当時はあまり注目されなかったが、後に「白騎士事件」と呼ばれる。これは、たった一機のISが、日本に向けて発射された2341発のミサイルを全て撃墜した後で、この白騎士を撃墜、もしくは捕縛しようとした世界各国の戦闘機や戦艦などが、逆に返り討ちにされた。と言うものだ。この事からISは既存の兵器を遥かに上回っており。かつ、このISは女性にしか動かせないため。世界の情勢は一変した。女の地位が、男より上になったのだ
「まあ、やりようによれば殺れない事はないが……」
「なんか言ったー?カーラスー」
「いや、何でもない」
だが、確かに殺りようによれば殺れない事はない。ネクストと同じようにISも無敵ではない。ただ、シールドバリアと絶対防御が有るだけ。機体にこっそり細工するのも良い、ISを展開する前に超長距離から狙撃するのも良い。一般人を、ターゲットの友人を、もしくは重要な立ち位置に立つ関係者をーー。その他諸々を詐称し。故意に近づき、一瞬で無力化させる。それだけで死ぬのだから。そして、この世界においては、それが最強などと謂れるのだから。笑わせる
(まだノーマルの方が手こずるな)
それを思えば、この世界のISという技術はどう贔屓目に見ようが圧倒的に下だ。ホワイトグリント時代で言えばテクノクラート社以下だ。周りがレーザーやら浪漫を撃つのに対してあの機体はロケットしか造れない。企業価値など一切ない、ゴミだ………が、この世界のISに一発でも当たれば、搭乗者含めて一撃死だろう
(まだテクノクラート社員の方が優秀だな。そう言えば)
「……何故お前はIS学園に行くんだ」
ふと思いついてそう呟く
「えー?それはね!零がISに乗りたくてうずうずしてた時があったからだよ!」
は?
「だから私がISに乗ってビュンビュンって飛べばー零も私の事をー。み、見てくれんじゃないかなって…ボソボソ///」
「下らん。ISに乗っている時点でな」
無駄な時間だったか。俺はそう結論付けて学校へ歩くスピードを速める
「あー!待ってよー!カラスー!!」
今日は学校側から強制的に緊急登校のような形で集められている
「もー!!カラスってばー!!」
ああ、この世界は本当に平和過ぎて、生きているだけで苦しい。俺にとっては、この平和が、苦痛だ
羽が無いだけでこんなにも苦しいなんてな……俺はもう、リンクスでも……ましてや、レイヴンですらも、無いというわけだ
今の俺は、真に羽をもがれた鴉と言うわけだ
彼女を守るため、ラインアーク唯一のリンクスとして……ジョシュアを殺した際に継いだホワイトグリントとして戦っていたあの頃の俺にとって、今の俺は……死んでいるも同然か………
フッと笑って歩み続ける。この後、自らの目を疑う事になろうとも知らずに瞳の奥に虚無感だけを募らせて……
生ける屍と化した俺は、ノーマルAC、そしてネクストに次ぐ。新たな翼を手に入れる
自らが脆いと称した兵器に
だが、翼をもがれた鴉は、それでもなお空に生を求める。空高く飛ぶことに焦がれる
そして翼を得た時に思い知るのだーーー
ーー自分は、確かにレイヴンなのだとーー
とりあえず乙は水没。穴は紙。同じタッグで対決する赤い狐と緑の狸とウィン・Dand我らが兄貴ロイ先輩の方が遥かに強すぎる
あいつらはぶっちゃけFA最大のネタコンビ。ネタでしか無い。苦戦とか論外。まだダンの方が強いって………思ったけど同じ乙でも真改・照美の方が強い。やっぱライールがダメなのか?それとも場所と空中斬りの真改さんが強すぎるのか、あ、うん。それだ。それしかねえや。あのミッションで真改に何度撃墜されたことか……orz