コードギアス 隻眼のリューネ   作:ろこりん

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皇暦2076年。神聖ブリタニア帝国による支配は呆気なく幕を閉じた。
ここは日本…もう、エリア11ではない。
名前を取り戻したのだ。
それから数十年の月日が流れた…

場所は日本。トウキョウのとある学園。



第1章〜出会い〜
1


俺は小さい頃、女の子ととある約束をした。

ちなみに、その女の子はとても可愛かったことを今でも覚えている。その頃の俺はなんてラッキーだったんだろう、なんてことはさておき。

約束の内容である。

「ねえ、わたし達で世界を変えようよ!」

唐突であった。

「え?そんなことできないよ」

俺は言った。

しかし、女の子は

「そんなこと、やってみないとわからないでしょ!」

「やるったってどうやってやるんだよ?」

「んー、それは…」

記憶の中の女の子は迷っている。本当は自分でもよくわかってなかったんじゃないか。

「大きくなったら考えるの!」

女の子が必死に導き出した結論がこれだった。

大きくなったら…かぁ…

 

 

 

あれから十年、俺はもうすっかり大きくなった。

しかし、あの約束は果たしていない。

女の子がその後に引っ越してしまったのだ。

彼女の名は…そう、たしか、リューネと言った。

元気だけど、それでいてお上品なとても良い娘だったし、それに可愛かった(二回目)

さて、そんな過去の嬉し恥ずかしい回想に浸っている俺だが、現在は悲しいことながら女の子に恵まれることなく、ジュニアハイスクール時代からの友人とグダグダとハイスクールライフを送っているわけだが。

「はぁ…モテたい」

思春期の男子にありがちと言われるつぶやきを漏らしてしまった。

これが現在の俺である。まぁ、平凡な男子高校生と思ってもらっていい。実際授業サボるだけの平凡な男子高校生だからな。

「おい、タクト、暇してんの?」

ジュニアハイスクール時代からの友人、ダイチが話しかけてきた。ここが屋上であり、風が吹き付けているから髪と制服は乱れている。

「まぁ、暇だけど」

一応本当のことを言っておく。

「なら、付き合えよ」

悪いが男の趣味はない。

「いやそーじゃなくてさ!ほら、ゲーセン」

「…うーん、仕方ねえな」

どちらにせよ暇であることには変わりはない。

渋々、でも暇つぶしには最適な駅の近くのゲーセンへと俺とダイチは向かう。ちなみに、学校では三限目の授業中だ。

 

 

そこで待っていたのは、近くの学校の不良組だった。

俺らも学校サボリの常習犯ではあるんだが…

「なーにサボってるんだァ?ガキどもは大人しく学校行ってろってんだよ」

そいつらのリーダー格が開口一番そう言った。

「おう、上等じゃねえか!てめえらボコせば何も言われる筋合いねえよなぁ?」

ダイチよ、言ってることが無茶苦茶だぞ。

「良いんだよ!お前もここで遊びたいだろ?」

否定はしない。

「相手は五人だぞ?勝てる見込みは?」

「無い!!」

そりゃそーだ。

これで勝てるなんて思うやつは頭のネジが一本とは言わず、三本くらい抜けて治しもせず引き出しに仕舞いっぱなしのやつに違いない。

やれやれと言った感じで俺も袖を捲る。

喧嘩は嫌いだ。

昔、あの女の子と遊んでいたように、お姫様ごっこがしたい。彼女がお姫様で俺が騎士。あー、楽しかったなー。

なんて思ってたら顔面に一発喰らった。チクショウ。

俺は怒りのままに殴り返す。

二対五の一方負け確定試合が幕を開けた。

 

 

結果が決まる前に店員が止めに入った。

その頃には両陣営共にほとんど力が尽きていた。

はぁ、情けない。

 

なんで俺がこんなになっているかと言うと、ジュニアハイスクール時代、一学年中盤から三学年の中盤までほとんど学校がめんどくさくて登校拒否してた。

理由はホントにめんどくさかったからとしか言えない。

それ以外は特にない。いじめられてもいなかった。

三学年の中盤、なんとか勇気を振り絞って校門前まで行ったら授業をサボっているダイチがいた。

ダイチとは三学年で同じクラスだったことをその時知った。

「よ、サボリくん、一緒に遊び行かね?」

これがダイチに掛けられた言葉の一言目だった。

「サボリは君もだろ?」

「いいんだよ、俺は。教師にも見離されてるからさ」

笑いながら言った。

笑い事じゃないのにな。その時の俺はそう思っていた。

しかし、ダイチとその日、夕暮れまで遊んで、帰った頃には明日も学校に行きたい、そんな気持ちが俺の中で芽生えていた。

それからは普通に登校できるようになった。

めんどくささのループから俺を救ってくれたのは、ダイチだった。だから俺は今もダイチに付いていく。それしかないんだ。

 

 

気づくと近所の病院のベッドの上にいた。頬が痛む。

隣にはこれまた俺と同じくらい傷を負ったダイチがいた。ぐっすり眠っているようだ。

窓からはもう夕日が差し込んでいる。

もうあれから五時間くらい経ってしまったのだろうか。

窓の外を見ると夕日に照らされた江戸城が見える。あそこにはこの国の王族が住んでいるらしい。勿論俺とは全く持って縁もゆかりも無いひとたちなのだろうが。

ふと、思った。お姫様ごっこであの子が演じていたお姫様、って一体どんな人なのだろうかと。

ニュースにも姿を現したことのない、日本の権力者の見た目が急に気になってきた。

 

ここから近いし、少し行ってみるかな。

ダイチの方を見るが未だ目を覚ます予感はしない。

こいつには秘密にしておこう。

心に誓った。

 

 

「…思ったより距離あるな」

それが俺の口をついて出てきた言葉だった。

病院を抜け出してきて歩いてきたものの、江戸城は意外と遠かった。

しかし、あと少しで到着だと思うと止まることは出来ない。思いのまま俺は歩き続けた。

 

 

十分後、城壁の前に着いた。

それはいい。

しかし、

「ここ、登れんの?」

思わず声に出してしまった。

正面突破?そんなことできるわけがない。

正門には何人もの見張りがいて一歩でも俺のような無関係者が城に立ち入ろうとすれば、即刻射殺刺殺エトセトラだろう。

しかし、思ったからにはやり遂げるしかない。

お姫様に会う。

そうするしかない。

 

そう割とどうでもいいことに再び熱く決意していると、ガサガサ、と城壁近辺の草を踏む音が聞こえる。しかもこの音のリズム…

「走ってる…!?まさか、バレた!?逃げないとやばいか!?」

反射で低い姿勢を取る俺。

足音はこっちに向かってくる。

やべえ、これは。

お姫様に会いたいだけで死ぬなんてカッコ悪すぎる死に方だ。こんなんじゃ、天国でもモテないだろう。いや、地獄?

そんなことどうでもいい。今はとにかく逃げろーーーーー

と、そこで澄んだ女性の声がする。

「ねぇ、そこのあなた。何してるの?」

脊髄反射で背筋がビクッとなった。

できる限り知らんぷりを決め込み逃げに徹しようと思った。

しかし、またその人の声がする。

「ねえ、答えてよ。まさか、あなたも私を捕まえるつもりなの?」

どういう状況なんだ?

よくわからんが…逃げろ!!

もう低姿勢を崩し、とにかくダッシュだ!!

すると俺の隣に立っている木に…

ドォン!

という銃声に少し遅れて穴があいた。

思わずその場に固まってしまう。そして、座り込んでしまう。もう、立てねえ。逃げられねえ。さよなら世界。来世では恵まれた優等生にしてください。いや、割とガチで。

「何をやっているんだ?私を捕まえに来たのではないのか?」

さっきの女性の声だ。

捕まえる?なんのこった。

「何を惚けているの?そうやって油断させておいて私を城に戻すつもり?」

城に、戻す?

どういうことだ?

「とぼけないで!私がニホンの姫で、城から逃げ出してきたってこと知っててそこにいるんでしょ?」

は?俺の頭の上に疑問符が浮かぶ。

彼女は何を言いたいんだ?よくわからん。

「だから、私はこの国の姫!ここの住人!さ、捕まえてまたあの面倒臭いエブリデイ執務祭に戻せばいいわ!」

え?今、なんて?

「だーかーらー…」

彼女の言葉を聞く前に俺の口から言葉が出ていた。

「ひ、姫様!?なんですか!?!?」

「そ、そうだけど…?知っててここに来てるんじゃなかったの?」

「し、知りませんとも!あなたを捕まえるだなんて、滅相もない!!」

やっと…会えた。彼女がこの国の姫様だというのか。

美しい、なんて言葉で形容できないほどに美しい。

そしてその身に纏う白いドレスが彼女の美しさに更に華を添える。

「…あんた、変な奴ね」

言われちまったらしょうがねえ。本当のことだからさ。

「ホント、変な奴」

そう言って笑い出す姫様。

なんだか、元気で、それでいてお上品だ。昔、約束をしたあの女の子を彷彿とさせる。

「姫様ー!どこなのですかー!!」

男性の叫ぶ声が聞こえる。

「ここも直に奴らの手が及ぶわ。逃げましょう。街を案内して」

こういう時、なんて答えるか。あの女の子とやったお姫様ごっこで学んだ。

そう、たしかこう答えるんだ。

「了解しました。命の限り、貴女様に尽くします」

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