部屋に戻ったのは良いがやる事が無いな。
流石に二度寝はする気にはなれないし・・・・困った。
外に出てこの建物と隣接する建物の造りを見てこの幻想郷の文明は江戸時代末期から明治初期ぐらいを思わせる建物が多数だった。
何だか魔界と言い人里と言いタイムスリップした気分だよ、本当に。
某ドラマ見たいにコレラとか流行ったりしないよな?
まぁ、魔族がかかるとは思えないが人がそれこそころころと死なれたらたまったもんじゃない。
そう思って部屋を見て居たら小さな机のような物があった。
これならあれが出来るのでは無いだろうか?
机もどきをひっくり返して足と足の部分に魔法の糸を張り詰めた状態で規則正しく糸を敷く。
そう、作って居たのは琴もどきだ。
そうしてそれを縦にし、抱き抱えるようにして右手の親指と人差し指の間に魔法の糸を張る。
そのままこすって音の具合を調律する。
ヴァイオリン以外は初めてだがこれならいけそうだな。
そう思い音を奏でる。
水の流れのように滑らかに、しかしはっきりとした旋律が発される。
生前、黄金の王と騎士王が戦い勝利した時に流れた曲。
黄金で思い出したけど鎧どうしたんだろう?
そう思いながら曲は奏で続ける。
私には不相応な黄金の鎧もとい甲冑だった。
夢子とレイはお似合いですとしか言わなかった。
アレ売ればそこそこの金には成るだろう。
しかし、しっきーが折角くれた物で魔界の民からの献上された品だから売る訳にはいかないか。
それに服に術式まで刻む人たち(で、いいのか)が甲冑に何も仕掛けをしていないとは思えない。
下手な呪いとかかけられてないよな?
私以外が使用すると死ぬとか。大いにあり得る事だから困る。
まぁ、甲冑のサイズ的に私以外が着る事は出来ないか。
私、チビだもんな。自分で言ってて悲しく成って来たよ。
兎に角、演奏は続ける。
だって暇なんだもん。もんって、自分で言ってて無いわ~と思う。
「おーいアリア、飯が出来たぞ」
ん? もうそんな時間か。
と言うか三食もご馳走に成って良いのかよ。
「中々良い音色じゃないか、曲名は何と言うんだ?」
「ん? 騎士の誇り」
王が抜けて居るのは御愛嬌と言う奴だ。
生前とは違い此方では著作権も何も無いからな。色々と楽で良い。
自分で作った事に出来るしね。
「ふーん、騎士の誇り、ね」
?
何か含みのある物言いだな。
しかし、この江戸時代末期から明治初期時代と思われる此処に私が演奏した曲は出てはいない筈だが?
まぁ、良いけどよ。
広間に通され、御膳には三人分の食事が並んでいた。
呼びにきた妹紅とがどっこいしょとオヤジ臭い事を言いながら席に着いた。
残った御膳の前に座る。
いただきますの声が掛けられるが私はつい癖で祈りを捧げてしまう。
「アリア、それは何だ?」
言われて気が付き、苦笑いしながら魔界の神に祈りを捧げて食事を始める習慣がある事を説明する。
「悪魔にも神がいるのか」
意外な事だったのかミス上白沢が驚いた顔をしている。
ああ、いるよ。穏やかで何時ものほほ~んとしてて、母さんや私に相手にされないと専属のメイドに泣きつく神様が、とは流石に言えないので黙って置く事にする。
しっきーの名誉のためにも。
そう言えば日本は魔界と違いゆいつ神論では無く他神論と言う全ての物に神は宿ると言う考え方何だっけか?
確かそうだった筈だ。生前の知識ではあるが此方でも間違いは無いだろう。
幻想郷と言う地名に今の所でて来た姓は日本語だったわけだし。
「こちらに神は居ないのか?」
気に成るので聞いて見る。
昨日説明された話からするに此処は神様が住まう土地である事も予測していた。
「いるぞ、秋の神様が2柱に厄病神が1柱いる。他にもたくさんいはするんだが人と交流深いのは大体その3柱だけだ」
そうなのか。因みに厄病神はその人に起こる災いを変わりに受けてくれる自己犠牲心おおせいな神様だ。〇〇八幡宮とつく場所は全て厄神様の分社である。
また、一部の八幡宮では源氏と平氏との合戦で有名な的を射るシーンの的を射った人物。あれ誰だっけ? とにかくその人物が合戦前にお参りに来て必勝祈願をかけたと言う逸話が残っており、その地方では勝負事の神としても信仰されている。
弓だけに矢除けの札を売られてもいた筈だ。
かくいう私自身も現人神と珍しい人種ではあるんだがな。
あれ? 魔族と言うのは妖怪にカテゴリーされるから現妖神と言った方が妥当か。
半神半妖の魔神な訳だしな。
ややこしくなるから言わないけど。
「そうだ、この後あきゅ、お前に礼を言いたいと言った奴が来るそうだ」
「構わないがミス上白沢は良いのか?」
「私としては何も問題ない、と言うか私も慧音で構わないぞ」
「では慧音と呼ばせて頂こう」
そう言いつつ食事を進める。
どうでも良いが気を使ってなのか私の御膳にはフォークと箸が置かれていた。
昨日はついつい意地に成ってフォークを使わなかったがそれで食べられないんじゃ意味が無い事に気が付きフォークを使って食事をする事にした。
慧音の手伝いをしていたら音色が届いた。
とても穏やかな音色だ。
聞こえてくるのはアリアが居る部屋から。
流れる水を思わせる滑らかで穏やかな音に隠れて、しかし、しっかりと主張する強い意志を感じる物だった。
聞いてて思ったがあいつって楽器か何か持ってたけか?
あいつの持ち物全て慧音が管理している筈なんだが・・・・・。
琴に近い音をしている。
慧音の家に琴何て無かった筈なんだが?
「おい慧音、琴でも買ったのか?」
話しかけるが返事が返ってこない。
「おい慧音」
肩に手を乗せて揺さぶると慧音はようやく気がついた。
「あ、ああ、すまない妹紅。聞きいっててな」
気持はわからなくもない。
私も何時までも聞いていたいと思う程だ。
「で、何だ?」
「だから慧音って琴持ってたっけ?」
「いや、持っていないぞ?」
「じゃああいつは何で音を出してんだ?」
すると慧音が良く分からんがちょうど朝食の支度が出来たので呼ぶ序に見てくれば良いと言う話に成った。
そうするかとアリアが居る部屋へと向かう。
一応ノックをして入るとそこには机を抱きかかえるようにして演奏するアリアの姿があった。
あれは・・・・糸か?
何処から出したんだ? あんな糸慧音の家に置いて無かった筈だ。
もしかしたらこいつの能力に関係しているのかも知れない。
糸も立派な武器に成る。内心穏やかでは無いがアリアは「そうか」と言うと机を元に戻し糸を消して此方に来た。
敵意を全く感じさせないアリアの雰囲気に毒牙を抜かれた気分に成る。
油断はできないが・・・・・警戒する必要は無いか。
会って1日と短くはあるがそんな不意打ちをするような人物では無いのを十分に理解したからな。
あれだけの曲なのだ。曲名位ついてそうだが。そう言った意味も含めてアリアに聞いて見たら。
「騎士の誇り」と返って来た。
成程「
音にはその者の魂の形が現れる物だと聞く。
アレがアリアの本質なのだろう。全く、本当に悪魔か? 人間くさ過ぎだぞ。
囲炉裏を囲んで慧音の隣に座り込んだ時にアリアに気がつかれないように耳打ちした。
会わせても問題ないと。
ただし万が一、億が一の可能性も考慮して二人で万全の態勢を取ってから、だが。