僕の妹うまるは美人で評判だ。
優しくて頭が良くあらゆる才能に恵まれている。
非のうちどころのない美人高校生。
老若男女に好かれる妹だ。
ーーとみんなは思っているらしい……。
「ただいまー」
うまるは家に帰ってくると美人高校生の面影が1ミリも見えない。
お菓子を食い荒らし。
ゴロゴロしながらゲームをし。
片付けを一切しない。
グータラな干物の妹ーー干物妹だ。
「ただいまー…」
そして、そんなうまるには双子の弟がいる。
「今帰ったのか『きまる』」
「ん…」
「あー、お帰りーキーちゃん」
「ん…」
うまるとは違って頭もそこまで良くは無く…むしろ悪い。
これといった才能にも恵まれていない。
見た目は暗く、口数も少なく、声を小さい。
そして、やや影が薄い。
だが、うまるの様に外と家での差は無い。
ーーが、うまる同様に縮む。
以前理由を聞いたら『姉ちゃんも縮んでるから』だそうだ。
「…おい、うまるパソコンばっかりしてないで夕飯食べろって!なんてかっこうしてんだ……」
「んー?ごはんー?」
うまるは寝返りながらこちらを向いた。
「うまるまとめサイトの巡回で忙しいからお兄ちゃん食べさせて」
「起きろ!!」
「えーじゃあキーちゃんお願い」
「嫌だよ…」
「ちぇー、じゃあ自分で食べるよ」
やれやれと起き上がり食卓に着く。
「「「頂きます」」」
うまるが今晩の夕飯のチャーハンをもっちゃもっちゃと食べ始める。
「このチャーハン冷めてるーー」
「お前が早く食べないからだ」
「火曜日はパンの日って決まってるじゃん」
「今日は月曜日だろ……」
「あー月曜かー…どうりで学校がダル…」
(はぁ、何で曜日も分かんないかな……)
「……って!げつようビェ!?」
うまるの口から飛び出た米粒が俺の顔にビチビチビチと、当たりへばりつく。
「ぶはぁ!?おま……!!何すんだよ!!」
「今日ジャンプーの発売日だった!!ジャンピースがめちゃめちゃいい所で終わってるの!!」
「へー」
「お願い、お兄ちゃんコンビニで買って来て!」
うまるは凄い笑顔で俺に言ってきた。
(いや、そんな笑顔で言われてもーー)
「やだよ、仕事で疲れてるんだぞ、こっちは」
「俺…「なーんーでー!!!」
「明日の朝買えばいいだろ!!」
「あのさぁ…「朝なんかにうまるが買いに行ったらみられちゃうじゃん!!」」
(いや、何がダメ何だよ……)
「うまるは学校じゃ『マンガは家で禁止されててジャンピースはよくわからなくて……あ、でもこのトナカイのキャラクター可愛い♡』って設定なの!!」
(めんどくせぇぇー!!)
「何でそんな設定してんだよ」
「うまるだって色々ひっこみがきかないんだよ」
(ひっこみがきかないって……)
「うまるの知らない所で噂がでかくなってさー、家では書庫で詩集を読んでる事になってるし」
「うち1DKなんだけど!!」
(何だよ書庫って……)
「あの…「とにかく今日はダメだ!!明日まで我慢しろ!!」」
俺は食器を片付ける為に台所に向かおうとするが後ろではうまるがぷくーーーーっと膨れている。
(ったく……きまるを見習って欲しいもんだ)
きまるは手伝いをする訳では無いが俺を困らせる事もしない大人しい奴だ。
「だから、あのさぁ…「やだやだやだやだ今日見たいー!!」」
(何ィィーーーー!?お前はどこぞの幼稚園児だ!?ベットの上でゴロゴロされながら駄々こねるな!)
(19歳の妹が「マンガが読みたい」と転がっている……。これは…まずい!!)
(俺の責任だ…!うまるが俺の家にやって来て1年……どんどんグータラでわがままになっている!!)
(このままでは社会に適応できない大人になってしまう!!しかし、なんで布団にくるまっている……)
(…あれ?いつもならこれくらいで言う事きいてくれんのに……ダダっ子方面は効果うすくなってきたかな?じゃあ次は……)
「お願いお兄ちゃん♡」
(フフフ、美妹バージョンで攻めてやるぜ!どうだ!お兄ちゃん!!)
「ダメだ」
(ガーーン)
(しっかり断らないとな)
「読みたい読みたい読みたい読みたい読みたぁーい!!!お兄ちゃん買ってきてぇーー!!」キーーーーン
(う……うるっさ〜〜〜〜)
「うまるの一生に1度のお願いだからーー!!後生うまるだからーー!!」
「だぁーーーーっ!!わかったよ!!近所迷惑だから黙れ!!」
(はぁ、結局か……「ツンツン」ん?)
ジャンプーを買いに行こうと靴を履いていると腰をつつかれた。見てみると縮んだ弟、干物弟だった。
「俺ジャンプー買ってるよ…」
「何故それを言わなかったーー!!」
「言おうとするのに喋らせてくれなかった…」
(すまん……だが、お前は声の音量が足りなさ過ぎる)
「それはごめんな…だけど、声はもう少し大きくしてくれ」
「ごめん…」
(暗く無ければうまるに似ていて顔も良いのに)
俺ときまるは部屋に戻りうまるにジャンプーを渡す。
「きまるが買ってた、ほら」
「わーーい!キーちゃんありがとー」
「いいよ別に…俺も読みたかったし…」
「うまる今回はたまたま、きまるが買って来てたけどお前は少し我慢する事をーーーー…」
「…ごめん…お兄ちゃん……」
(お、反省する気になったか…)
「今いい所だからちょっと静かにして」
「……」ブチッ
「ていうかポテチ買ってきてー」
「おまっ…!!いい加減にしろーーー!!」
〜次の日うまるの学校〜
「あれ!?うまるちゃん!?」
「目の下赤いけどどうしたの!?」
「うん…お兄ちゃんとケンカしちゃって……大丈夫だから気にしないで」
(気になる!!)
(一体何が!!)
(とんでもない兄貴だ!!)
とんでもない干物妹だ。
どうでした?感想など待ってマース