~作り始めて数日後の夜~
「………どうしよう……」
こまった。すんごいこまった。
私、香風智乃はいま、こまっている。
さっきまでお兄ちゃんとパズルをつくっていたのだ。
4000ピースもあるんだから終わらないのは仕方ない。
まず2つのピースにであいをあげるのがむずかしい。
でもお兄ちゃんよりは私の方が早くピースとピースをくっつけてあげられる。
わたしのがパズルのさいのうあるんだなー……ってちがう!今考えるべきはそこじゃない。
目の前には途中までできたがバラバラになったパズル。いや、バラバラにしてしまった、かな…。
なぜこうなったのかというと、お兄ちゃんがのみものを取りにいって、私はままの部屋にもうふを取りにいったのだ。そしてもうふかかえて部屋に入ったところで、もうふをふんですべった。
おきあがったらパズルはみごとにバラバラになっていた。
はんぶんいじょうできてたのに……これはお兄ちゃんおこるかな………。
……こわくなってきた。こんなのはじめてだもん。
ど、どうにかしないと………いまから急いで組みなおす?あるていどまでは直せる……いやでもくずれる前まではもどせなさそう………。
このまましょうじきに謝る…?
…………おこられたらこわい。ふだん、全くおこらないお兄ちゃんだからよけいこわい。
おこらないかもってきたいもあるけどやっぱこわい。
……いっそ全部ばらして最初から……?
いみわかんない。きゃっか。
とりあえずできるとこは直そう、そうしよう
とりあえず近くのピースを手にとって、かたまりとしてのこっているとこにくっつくかためす。かたまり同士も合体できるかためす。
………ここだめだ。…………これもだめだ。……………ここは…合体でき…るけどピース足りない。
あしおとがする……お兄ちゃんもどってきちゃう!はやくしないと………!
あせればあせるほどピースが合わなくなる。
「あぁぁぁ………」
なさけない声がでちゃう。
「おいチノ~りんごジュースとオレンジジュースどっちがい……い……か…?」
みつかったぁ………。
「チノ…これは………?」
わわ………もういうしかない……
「もうふふんでころびまひた………ごめんなさい……」
お…おこられる………!!あきらかに冷たい目してたもん………!きゅっと目をつぶる。
「……んで、ケガはなかったか?」
……………え?おこんないの?
「…………え?」
「……いやえじゃなくて、ケガはしてないか?」
「………おこらないの?」
「別にわざとやったんじゃないんだし怒らないよ。」
………わたしは、ただぼーぜんとお兄ちゃんを見つめていた。
え?おこんないの?たしかにおこったとこ見たこと無いけど…パズルをバラバラにしちゃったんだよ……?
「でもわたし……がんばって作ってたパズルをバラバラに……」
「パズルはいくつでも作れるけど妹は1人しかいないじゃないか。確かにこれをまた組み直すのはちょっと大変かもだけど、チノがケガしてるかどうかが圧倒的に優先事項」
なんだろう……なんかうれしい。
「さて、作り直しますか!」
お兄ちゃんが笑って言ってくる。
「………うん!」
わたしも、ぜんりょくのえがおでこたえた。
「…さてチノ、これをまた組み直すわけだが……ここで1つ、チノに裏技を見せてやろうではないか」
え?パズルに裏技?そんなのあるの?
「なにそれ??」
「パズルのピース、1つ裏返して色の点を探してみ」
お兄ちゃんにいわれたように、ピースを裏返してよくみてみる。
「………あ、なんかあおの点がある!」
ピースの右側に、あおい点がたしかにあった。
「だろ?たぶん後3色あるはずだから、まず色別で分けてくれ」
「りょーかーい」
……20分後。
「…はぁ……はぁ……やっと……わけおわった……」
「……ここまで数多いと…分けるのも…一苦労だな…」
やっと4000ピースを4色にわけおわった。
「でもお兄ちゃん、わけてどうするの??」
わたしにはなんでわけたのかわからない。
「この方法はパズルを1つ1つあわせていくという楽しみを半分くらい奪っちゃうからな、遠慮してたんだが、組み直すとなると面倒だしこれ使っちゃってもいいかなって」
いやりゆうをおしえてちょうだいよ。
「実はこの4色、各色によって、ピースのはまる大体の位置が決まってるんだよ。青は右上、黄色は右下、緑は左上、赤が左下。まずこれだけでだいぶ探すのが楽になったろう?さらに、ピースによって点の位置が違うでしょ?点がピースの中央付近にあれば、パズル全体の中央付近、外側にあればパズルの外枠付近、ってことだ。こういう大規模なパズルで詰んだ時はかなり有用だからねこれ」
お兄ちゃんが少しどや顔で言ってくる。
でもたしかにすごい。お兄ちゃんはよくこんなやり方みつけたなあ………。
「お兄ちゃん、すごいね!よくこんなやりかたみつけたね!」
そこまで言ってきがついた。あれ??わたしのいえって……大きなパズルそんなにあったっけ?
「…いえに大きなパズルないよね?どうやってやりかたみつけたの?」
「……え?…ああ、それは本屋さんで本を見てるときに、たまたまね」
あっ、そうなのね。
「まあそれより、パズル作ろっか!お兄ちゃん本気出しちゃうぞ!」
お兄ちゃんが少し早口で、えがおで言う。
「うん!」
わたしもまたえがおでかえし、ピースを手に持った。
………数日後。
「…………できたーーーっ!!!」
「がんばった!よくがんばった、チノ!」
「お兄ちゃんの本気すごかったよ!」
「チノもナイスなパズル力だったぞ!」
ぶじ、わたしたちのパズルが完成した。
なお、わたしたちふたりだけのちからではない。
とちゅう、おかあさんもおとうさんもおじいちゃんもてつだってくれた。
いまはおかあさんがいる。
「弘紀もチノもよくやったわ~♪お母さんも大満足♪」
「お母さん活躍してたっけ……」
うーん……してなかったきがする。
「細かいことはいいの!気にしたら負けよ、弘紀」
「お、おお………」
お兄ちゃんがにがわらいする。
「それじゃ、お母さんはごはん作ってくるわね~♪今日はパズル完成祝いに、何でも好きなものを作ってあげるわよ♪」
「やったあ!!うれしい!わたしははんばーぐがいいなあ!」
「じゃあ俺はチーズonハンバーグで」
え、おん?なにそのあとだしずるい!
「なにそれいいな!わたしもそれがいい!」
「はいはい、2人ともチーズ乗せハンバーグね、お母さんに任せなさい♪」
「任せた」
「おねがいしまーす!」
「任されました~♪」
お母さんはキッチンへと向かっていった。
「いやぁ~……疲れたなあ……」
お兄ちゃんが寝転がりながら言う。
「でもたのしかったな~」
わたしもお兄ちゃんのとなりに寝転がって言う。
「こんなに頭使ったの久しぶりだ……」
「これ、作ったはいいけどどこにかざるの?」
ふと思ったことをきいてみる。
「ん?ああ、お父さんが、カウンターの左に飾ってくれるってさ」
「わたしたちのパズルがおみせにでるんだね~」
「そうだな~」
「ん……眠くなって来ちゃったよお兄ちゃん……」
「寝るなよもうすぐごはんだぞ…ふあ~ぁ…」
ああ…ねむい……さからえない……
わたしはそのまままぶたをとじ、ゆめのせかいへと向かっていった。
◇
………チノ、寝ちゃったか。
まあ連日暇さえあればパズルだったもんなあ。
よくこの小ささでここまで頑張ったものだ。
実際俺は後3日はかかると思っていたから、チノの頑張りは予想を超えていた。
俺は気にしないと言ったが、やっぱ多少の罪悪感はあったのかもな………。
てか俺がチノに怒るとでも思ったのだろうか。
………怒れるわけないじゃん!?
ここにいるの誰だと思ってるの?大天使香風智乃さんですよ?宗教愛好会ファンクラブできまくりのあのチノさんですよ!その可愛い顔で全てが溶かされるわ!!
とりあえず、近くの毛布をつかんでかけてやる。
その際、ちょっと頬に触れる。
………ほんと、ゆきうさぎみたいな柔らかさだな、こいつ。
ただひたすらにあどけない(幼女なのだから当然だが)チノの寝顔は、破壊力53万ごときでは到底表せるレベルじゃないほどにかわいい。
そういや前世の小説でかわいいは正義と言ったニートがいたな。ほんとその通りだわ。
反則。守りたい、この寝顔。
……さて、俺はお母さんの手伝いでもしてこよっかな。
立ち上がろうとして、右手が妙に動かないことに気づく。
チノ………人の手掴んだまま寝てんじゃねえよ……
そっとはずそうとしたが、かなりがっちりつかんでやがる。取れねえ。下手に力加えたら痛いだろうしなあ…(過保護?)
ああ…動けねえ。詰んだ。
もう寝るしか無いじゃん……俺も眠いし……まあ…全世界の難民にボコられる気がするけど……許せよ。悪いのは俺じゃない。手をはなしてくれないチノなんだ。
俺は近くにあったというか上に乗ってた自分の毛布をかぶり、そのまま眠りについた。
平和だなぁ……平和……
非常に申し訳ないですが、受験が近いので
次の更新は2月後半、早くて中旬くらいになりそうです。申し訳ありません。
次回は、2つのミニエピソードをお送りします。
また新しい2人の幼女が………