思ったより時間もなくなおかつ細かい文章が書けなかった。
とりあえず次は早く更新できるよう善処します。
ちなみに主人公はごちうさのすべてのキャラにベタ惚れですみんなと同じだな
4月28日
「……お兄ちゃんおかあさん!はやく~」
チノがかなり前で走りながらこちらに手を振っている。
「………スーパーに買い物行くだけなのにあのテンション……」
俺が半分あきれた声で言うと、
「弘紀は買い物とかでもあんまりついていくって言わないわよね~(普通子供は買い物って聞いたらとびついてくるはずなのに……)」
母さんも少しあきれたような声で応える。
あきれてる対象が俺と違う気がするが……。まあ気のせいだろう。
「だってスーパー行っても特にほしいものないし」
「こ、弘紀~?お菓子とか、ジュースとか欲しいのあるでしょ…?」
「ん~、行けば買うけど別段欲しい、って言えるものは無いかなあ……そもそもお菓子の好き嫌いひどい方だから…」
「………(私もあの人もお菓子は何でも好きなのに…誰の血を継いだのかしら…)」
………声にでてるぞ。マイマザー。
もちろん声に出てるなんて言わないけど。
「おにいちゃああああん!おかあさああああん!おそいよーー!!」
あいつ…この短い間にさらに遠くへ走ったらしい。
チノがすごい遠くから大声で俺達を呼んでいる。
……チノってあんな大声出るのか……。
俺の知ってるチノは大きな声全然出ない少女だったんだけどなあ……。ていうかそろそろ走って追いかけないとまずい距離があいてしまっている。
「…母さん、あれ早く追っかけた方が良くない…?」
「…私もそう思ってたとこよ…追うわよ弘紀」
「イエス、マム!俺が先陣を切る!」
「任せたわ!」
母さんの言葉が終わるか終わらない辺りで俺は走り出した。チノとの距離はかなり長い。
しかも現在進行形でスーパーに進行中。
だが今回は人もそこまでいないし道が広い。
前みたいに途中で人ごみに紛れられてくそめんどくさいことにもならなそうだ。
「待てチノッッ!!!」
「またない!さらばっ!」
いやそんな満面の笑顔で逃げないでくれるかな!?
俺の方が圧倒的に速いといっても追いつくのにそれなりに時間かかるんだよ……。
暫しの時が経ち。
「…………ついたーーー!!」
チノが俺の目の前で歓声を上げている。
「……………はあ………はあ……あぢい………」
俺は完全にへばっていた。なんでこいつ俺の知らない道も知ってるんだ…。途中道じゃないとこ通ってたし……。
てかおかしくない?なんでチノはあまり疲れてなくて俺は倒れそうなの?当然だが体力は俺の方が多いはずなのに……速さも俺のが速いのに……。
あれか?子供の頃は疲れを感じないとかいうあれか?俺は心がもう青年だから疲れちゃうのか?
いやあ、歳ってとりたくないもんですね。
いつもなら10秒で考え終わることを2分かけて考える。
「……ちょっと……チノ……弘紀……はやすぎ……」
その間にやっと母さんが追いついてきた。
「遅いよ母さん。」
「おそいよおかーさん」
俺たちの非情な言葉に母さんは
「……あなたたちが変な道使うからでしょ…それにあんな道じゃないとこ、私の身体じゃ通れないわよ……」
と、息を切らしながら反論した。
「おかーさん、早くかいものいこうよ~」
「……はいはい、じゃあ買い物かご取ってきてちょうだい」
「はーい!」
チノが買い物かごを取りに走る。
「おいチノ、店の中で走っちゃ……あっ」
チノが石畳のでっぱりに足をひっかけた。たまらずチノはつんのめり、転ぶことを避けようとよろよろと前に進んでしまう。その先には…小さい女の子が。
「危ないっ!」
俺の叫び声で何かが変わるはずもなく。
チノとその女の子は見事に衝突した。
2人はもつれあって倒れ込む。
「おいチノ!大丈夫か!?」
すぐに駆け寄ってチノと女の子を起こし、とりあえずチノを見る。
…………あ。あかん。チノの目が潤んでる。間違いない。これ泣くやつや。
「………ぅ…ぁ…、うぅ………うぁぁぁ……っ」
幸いと言うべきか、チノは大声で泣くタイプではないので周りに迷惑はそこまでかかっていない。
チノは母さんに任せることにして、もう一人の女の子の状態を確認しないと。
そして俺はその女の子の方を向いた。
「……君、大丈夫?ケガはない?」
「……だいじょうぶ」
その女の子……金髪の髪がちょっとカールした幼い少女は少し震えた声でこたえた。
見た感じケガはなさそうだ。それよりも……
「えっと……君、見た感じ1人だけど、お母さんかお父さんは?」
そう。おそらく4歳かそこらであろう少女が、スーパーに1人でいることが気になった。もしかしたら…いやもしかしなくても迷子だろう。
そう思っていたら、予想外の答えが返ってきた。
「……おとーさんもおかーさんもおしごと」
「え、じゃあ1人でスーパー来たの?」
「……うん。よくきてる。家にいてもおもちゃあんまりないし」
「公園行かないの?スーパーいるよりそっちのが楽しくない?」
「べつに……ちやがいないとつまんないし……」
…………ん??ちや??ちやってもしかして千夜のことか…?
ってことはこのお嬢様ぽい金髪……
俺の頭の中で謎の既視感の正体が明らかになる。いや、でも違う可能性もゼロじゃないし……
「あ、俺の名前、弘紀。君の名前は?」
流れに少々無理やり感があったが、少女は気にすること無く答えてくれた。
「わたしの名前はきりましゃろよ」
予想通りの答え。つまりこの子はロリシャロということか。
「そっか、シャロちゃんか。こうして会ったのも何かの縁だ、今から買い物するんだけど一緒に来る?」
「……え?いいの?」
シャロは期待と疑いの混じった目を向けてきた。
「別にいいよね?母さん」
もうとっくにチノを泣きやませていた母さんに訊ねる。
「もちろんOKよ♪むしろ2人で行ってきなさい!お金はあげるから!」
………やべえ。母さんから明らかな悪意を感じる。この人幼稚園児2人に何求めてんだ……。
よくテレビで純愛もののドラマばっか見てるから相当恋愛ストーリー好きなのは察してたけどまさかここまでとは……。
とりあえず許可はおりたしシャロ=貧乏のはずだし何か買ってやるとしよう。
「う、うん……シャロちゃん、じゃあいく?」
「うん!行く!」
シャロは眩しい笑顔で俺にくっついてきた。
素直なシャロちゃんさいこおおおおおお!!
嫌。こんな子にバイト祭りとかさせたくない。養いたい。原作で千夜が言っていた「生活に困っても愛があれば大丈夫!な新妻」より「お金も愛もある新妻」で良いだろこんなん。てか父親も母親も仕事で忙しいってこの頃からなのか。
こんな可愛い子をほっとくなんて仕方がないんだけど俺が辛い。とにかく可愛い。
なんだろう……空からお迎えが来ている気がする……俺……消えるのか………?
今、香風弘紀は、この世界で生を謳歌しているといえるだろう!!幸せ……。
……夜になった。
俺は部屋でごろごろしている。
結局あの後、スーパー…の隣の雑貨屋で可愛い色ペンやらなんやら買ってあげた。親の金で。
終始楽しそうにしていたので良かったのだが、初対面で物を幼女に買い与えたとなるとシャロの親に怒られる可能性があったので、前から幼稚園で仲がいいということにするようシャロにはよく言っておいた。
無事にごまかせたかなあ……。
自分で稼げるようになったら何か買ってプレゼントしてもいいかもしれない。前世のネットでチラリと目にしたメロンパン型グッズ、あれを持ってったら面白そうだな。
のんびりとしていると、部屋にチノが入ってきた。
「おにいちゃん…」
ん?少し沈んだ雰囲気の声だな。買い物のとき何かあったのかな?
「どうした?」
聞かなきゃ始まらない。
「…今日ね、めずらしくおにいちゃんがおかいものきてくれたからいっしょにおかいものしたかったの」
「………!」
「でもおにいちゃんすぐどっかいっちゃったし…おかいもののあとこうえんであそびたかったんだよ?」
うわああああああああああああすいませんすいませんすいませんすいませんすいません(´;ω;`)
ここまでドストレートに言われると心のダメージがハンパない。確かに今日はチノのことを放っておいてしまっていた。これは完全に俺が悪い。チノも誘っておくべきだったかな。いやそういう問題じゃないか。
「ごめんチノ……今度一緒にどこか行きたいところ行ってあげるので許してください……」
「ほんとに?ならゆるしてつかわすぞ♪」
さっきまでの沈んだ声が一転、嬉しそうな声に変わる。
機嫌直すのはやいなおい。
「ありがとうございます!姫!」
ここはとりあえずノっておこう。
「うむ、くるしゅーない」
チノは少し胸を張って精一杯えらそうに答える。
その年齢に不釣り合いな様子がなんだかおかしくて、俺は自然に笑っていた。
◇
7月14日
……俺は今、大きな屋敷の前に父さん(チノ父タカヒロであるby天の声)と立っていた。
父さんがインターホンで合い言葉のようなものを交わしている。
父さんが軍人なのは原作で知っている。任務をきっかけに無二の友人となった人のことも。
だからわかる。今来ている家にいるのは、おそらくリゼだ。
俺がチノの3つ上だから、リゼと俺は同い年ということになる。
おそらく父さんは俺とリゼを会わせるつもりなんだろう。
今回チノはきていない。チノは母さんとてぃっp…おじいちゃんとミュージカルを見に行っているらしい。俺は興味が全くないので父さんとリゼの家に行くことは大賛成だ。
そんなことを考えている間に、全自動の門が重い音をたてて開いていく。
「うわぁ……でっか……」
まず庭が広い。門から正面入り口までの距離が遠い。
真ん中あたりには噴水もある。
「あ……あの噴水浴びたい……あづい……」
今の気温は34度。前世の夏はずっと冷房ガンガンの部屋に引きこもっていたくらい暑いのは苦手だ。
なんで夏ってあるんですかね。暑いし汗で服が気持ち悪いし虫は多いし……。生きるのが辛くなる。
「弘紀、この街の夏の暑さに負けるようでは強い男にはなれないぞ。砂漠の戦場にいたときはこんなものではなかったぞ」
そりゃあ昼の砂漠の気温は40度なんて軽く超えるしね?俺はぜーーーったい砂漠なんて行かないから。
「砂漠なんて行けない…死んでしまう…」
そんなこんなで話してるうちに屋敷の中までやってきた。
中もバカみたいに広い。どこのダンジョンだよってくらい広い。
「うわぁ……迷いそう……」
「この屋敷、いくつかカラクリもあるから気をつけろよ」
……カラクリって何。それなんてフリー謎解きゲーム。
「う、うん。カラクリってどんなの?」
「隠し部屋や隠し階段、トラップルームとかだな」
「トラップルーム…?」
これが何かよくわからなかった。
「文字通りトラップが大量にあって、侵入者を誘い込んで捕まえる部屋だ。さすがにあいつも来客のときは電源切ってるだろうから気にするな」
うっわぁ……絶対入りたくないなそれ……。
捕まえる(生かしておくとは言ってない)部屋だろ……。
適当に話しているうちに、目的の部屋の前に着いたようで、父さんがリズムを刻んでノックした。
中から鍵の開く音がする。
「入るぞ」
扉を開けて部屋に入った。
部屋も広いな。シャ○トの室内背景みたいにだだっ広い部屋だ。
そして部屋の中央のソファに、
「よう、タカヒロ。ひさしぶり、ってほどでもないな。6日ぶり」
………マフィアのボスのような格好のリゼの父親がいた。
………あれ?リゼは?
俺の思い違いなのかな?普通に俺をここに連れてきただけ?
「おい、お前の娘はどこ行ったんだ」
と思ったのもつかの間、父さんがリゼを探して周りを見回す。やっぱ俺とリゼを会わせるつもりだったか。
「ああ、いるぞ。俺の後ろに」
そう言ってリゼ父はソファの後ろに声をかける。
「おいリゼ、隠れてないで、顔くらい出せ」
無言タイム。直後にリゼ父が小さくため息をついたところをみると、全力で首を横にふるかなにかして拒否ったんだろう。
………あれ?でもリゼってそんな性格じゃなかったような……。
「…お前と同い年の子が来てるんだよ。誰かと遊びたいって言ってただろう」
リゼ父がどうにかしてリゼを前に出そうとする。
またしばしの無言タイムがあり、
俺から見てソファの左側からそろそろと小さな顔が出てきた。
「……っと、……の……」
何か言っているようだが、全然聞き取れない。
目を合わせると、びくっと震えてまた後ろに引っ込んでしまった。
原作でのあのかっこいいキャラはどこにいってしまったのだろうか。
みんなの憧れリゼ先輩の片鱗も見えない。
…あっ、また出てきた。今度はしっかりソファに座る。
見た目はちゃんとリゼしてた。
濃いめの紫色の髪は結んでおらず、腰の長さまでまっすぐのびている。
服も、まだお嬢様らしさに溢れた服装だ。
「…えっと……りぜ…です…」
少し俯き気味に、リゼが自己紹介してくる。
声も知っている声より若干高い。
…………可愛すぎじゃない!?
これがどうなってあの原作のリゼになるの!?これがいわゆるギャップ萌えってやつですか?なんか意味違う気がするけども!反則だよ…この世界にきて何回目の驚きなのだろう……。
原作の高校生リゼも大好きだけどこの控えめなリゼも可愛い。このキャラは全く予想していなかっただけにショック(歓喜)もデカい。
「……弘紀?どうした?」
しまった。驚きが大きすぎて半放心状態だった。
「…お、俺の名前は弘紀です。よろしくね」
とりあえず差し支えない程度の返答をしておく。
「……お前の息子、妙に大人びてるな」
リゼ父が少々驚いたような声を出す。
「そりゃあ俺の息子だからな」
「理由になってねえぞタカヒロ」
「親がどれだけしっかりした大人かで子供の性格も変わるだろ」
「ほぅ…タカヒロ…言ってくれるじゃないか…」
「……事実だろう」
「………勝負だ。どちらがより優れた親か」
「いいだろう。受けて立つ」
「いつものA射撃場に行くぞ」
「おう。弘紀、父さんちょっと戦ってくるから遊んでていいぞ」
「リゼ、お前も弘紀君と遊んできなさい」
………えぇ?いきなりですか?
この人達どっちも心は子供じゃねえか……。
「はーい」
「…うん」
まあ俺はリゼと親交を深められるならよし。
今のリゼなら二人きりは嫌がるかと思ったが、意外なことに普通に返事をした。
俺達の返事を聞いた子供な親2人はすぐに部屋を出ていった。
「……リゼちゃん、何しよっか」
いやぁ~困った。こいつに何の遊びを振ればいいんだ…。女の子と遊んだことなんてほぼ皆無の俺の貧弱なバリエーションでは全然思いつかない。
「……しゃげきごっこ?」
…おいちょっと待て。俺と同い年の幼稚園児から射撃とかいう物騒な言葉が出てきた気がするんだが気のせいかな?
「……ん?何だって?」
「…射撃ごっこ。」
聞き間違いじゃなかった。こういうとこはやっぱリゼなのかな…?
「いいけど……どうやってやるの?」
まさか家の中で撃ちまくるわけじゃない…よね…?
「……だいじょうぶ。ついてきて」
リゼはそう言って歩きだした。射撃しても大丈夫な場所に行くのだろう。確かにこれだけ広い屋敷ならどこかしら遊べる場所もあるだろう。
……歩くこと数分。家の中で数分ってなに。
庭ででもやるのかと思っていた俺の予想は外れ、今俺はさっきとは別の建物にいた。
そこは実弾は撃てないが反動がそこそこ強く見た目がそのままの銃、強化ガスガンが右側の棚に揃えてあり、左側にはなにやらよくわからない機械がある。そして正面には広いが一般立ち入り禁止となっている芝生が広がり、芝生の両サイドの壁には筒のようなものが見えている。前世でもこんな場所知らんわ。
「……えっと、リゼちゃん…ここは?」
聞くと、リゼは少し自慢気に教えてくれた。
「ここはクレー射撃場よ。きめられた数のまとをどれだけはやくうちおとせるかをきそうの」
なるほど、つまりこれで遊ぶということか。
「つまり、これで勝負しようってこと?」
「そーいうこと」
……ああ。勝負好きなとこもやっぱリゼだ。
なんか今日一番安心した(笑)。
「リゼちゃん、ルールは?」
「えっと、さきに100個おとした方がかち!武器はなにつかってもいいよ!」
100個とはまた随分と多いな……
何でもいいと言っていたのでとりあえず銃の性能を確かめる。どの銃も連射力はほぼ同じようで、おもちゃ仕様の毎秒2~3発だった。音も本物を再現しようとはしているが、おもちゃの音だ。見た目はリアルなのにな…。あ、でも威力はガスガンなだけあって強いな。
銃の心得はゲームでしかないので、普通にハンドガンを手に取る。チラとリゼを見ると、
……自分の身長くらいあるスナイパーライフルを手入れしていた。
え。リゼちゃんなあにそれ。リゼちゃんそんな強そうな銃使えるなんて聞いてない。
「武器はえらんだ?」
なんか最初のときよりえらく元気になったな。
あれか。特定のことだと性格変わるやつか。
「うん、とりあえずこれでやるよ」
軽くハンドガンを持ち上げて示す。
「うん、じゃあ、はじめよっか!
………ゲーム、スタート!」
クレーがエリア内を飛び交い始める。
乾いた、(おもちゃの)銃声とクレーが破壊される音が射撃場に響き渡った。
…………数分が経った。
スコア表には俺が48、リゼが57と出ている。
…やばい。折り返し地点でこの差はやばい。
撃ってる数は俺の方が圧倒的に多い。
リロードの速さも装填数もこっちが上だ。
リゼの精度がすごすぎるのだ。
とても幼稚園児とは思えない腕だ。さすが軍人の娘………あっ、でも俺も軍人の息子じゃん。元だけど。
とにかくこのままでは普通に負けてしまう。
何か手は………。
「リゼちゃん!武器は何使ってもいいんだよね?」
おもちゃとはいえそれなりに大きい銃声に負けぬよう叫ぶ。
「なにつかってもいいよ~!」
リゼも叫んで返してくる。そしてまたクレーを1つ撃ち抜いた。
おそらく…今の俺が勝つには、この方法しかない!たぶん次の日腕痛めてるだろうけど……
俺は、手を伸ばし、
………もう一つ、ハンドガンを取った。
前世俺がゲーセンでやっていたスタイルはデュアルスタイルだった。友達少なかったから、ひとりで200円入れてプレイする人だった。楽しかったが正直辛かった。
にやけそうになる唇を意志力で押しとどめ、俺は容赦なく引き金を引いていく。さっきとは比べものにならないスピードでクレーを破壊していく。
大人気ないとか言いたければ言え。リゼはこの年にして前世の射撃なら余裕で世界に立てるレベルの腕だ。本気を出さないと勝てない。
きっとリゼは驚いているだろう。だが俺には振り返って確認する余裕なんてなかった。
間に合え………!間に合ってくれ……!
「……………」
「……………」
……………99:100。
「かったーーーー!!」
「……負けたぁ…」
……………負けたぁ………。
リロードに時間かかりすぎた…ふつうに考えれば2つ分リロードすれば時間倍だもんな…馬鹿だ…。
幼稚園児に負けたって結構ショックだな……。
いや幼稚園児の腕じゃなかった。腕じゃなかったんだ(泣)。
「………こうきくん、このゲームやったことあるの…?」
リゼがおそるおそる聞いてくる。そりゃ初心者(リゼ視点)がこんなプレイしたら驚くよね。
「このゲーム自体は初めてだけど、銃自体は扱ったことあるからね」
ゲーセンの反動ない軽い銃な、と心の中で呟いた。
そもそも実銃なんて前世で持ってたら即逮捕ですわ。
ちなみに木組みの街があるこの国は銃の所持がOKだ。
何故ならこの国、この世界は警察がいるにはいるのだがあまり機能していない。テロも世界中結構な頻度で起こっている。そのため自己防衛なんたらで銃の所持が年齢関係なく認められている。使用も犯罪目的でなければ自由なので、リゼのように小さい頃から銃が扱える子供もいる。はず。そうでもないと負けた事実を受け入れられぬ。もちろん銃はラビットハウスにもあるらしいが、俺はまだ見たことがない。いつかタカヒロ君は俺に銃を教えてくれるんだろうか。
「……でも…、二丁拳銃なんて私もまだできないのに……」
いや違うぞ。これしかやったことないだけなんだよ。
「大丈夫、俺はこれ以外はできないから」
笑ってそう告げると、リゼはまた少し安心した、はにかんだ笑顔を浮かべた。こういう台詞をその辺のJKに言おうものなら「そんなことないよ~○○君は何でもできるでしょ~」とかつまらない世辞が返ってくるのだが、やはり素直な幼女は隠せないんですね。そこがまたいいですねうん。
……こんな(幼女だけど)美しい笑顔を見るとほんとにお嬢様だなあと思う。今のところは。いつからこの子はレーションとか食べ始めるようになるんだろうか………。いつから「あーっはっはっはwww全部撃ち抜いてやったよwwww」とか言うようになるんだろうか……。
「………こうきくん、おなかすかない?」
「ん?ん~……まあすかなくもないな」
「なにそれ~……えっと………おやつ食べない?わたしの部屋にいろいろあるの」
女の子からのお誘いは断るわけにはいかないな。
「食べる食べる、おじゃましま~す」
「はーい、おじゃまされま~す」
ちょっとまてなんでそのネタ知ってるんだ。
いや知ってるわけがない。偶然だよな。ビビった……。
俺とリゼは銃を片付け、壊しまくったクレーの片付けは専用のロボットに任せ(操作はリゼが全てやった)、屋敷の方へ戻っていった。
途中、もう1つの射撃場の近くを通ったとき中から高らかな笑い声と発狂気味の叫び声が聞こえてきたが2人とも全力スルーしたのは内緒だ。
気づいたら家に帰ってきていた。父さんに聞いたらリゼの部屋で2人とも爆睡していたらしい。疲れていたのか……。
ほんと、睡魔だけは制御できないなぁ……。子供の睡眠欲は恐ろしく強くて、全然逆らうことができない。
夜9時に寝るなんて、俺からすればありえない話だが、実際9時にベッドに入るとすぐ眠ってしまう。
今も起きたけど……、すでに眠い。あー早く完徹ゲームできるようになりてぇ………おやすみぃ……。
次回、書ききれなかったあの子と誰も知らないとある人。