疫病神うずまきトグロ   作:GGアライグマ

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第三次忍界大戦勃発

 木の葉が強大化したため、各里は容易に手が出せなくなり、一時の平和が訪れた。

 俺の組織もかっちり木の葉連邦に組み込まれた。が、一応東砂隠れや雨隠れと同等の自治権を手に入れた。武力と土地の豊かさを考えると妥当だと思う。

 この状態で、いつまでも山の集落や綱手の慈善団体と名乗っているわけにはいかない。正式に桃隠れの里と名乗ることにした。間が抜けている感じがするが、俺の里だと思えば、厳かさとかは無縁でいい。楽園っぽい名前で俺の理想郷のイメージにあっていると思う。

 

 名前に負けず、エッチは盛んだった。戦争による人口減を補うべく子作りを奨励したが、奨励しなくとも皆エッチは好きだと思う。戦争の悲しみを癒すために男女がお互いを求めたのもあった。1年後にはポコポコと赤ちゃんが産まれた。

 綱手が妊娠出産したのは大きな事件だった。綱手は川影を引退し、俺が後を引き継いだ。まあ元々俺が本当の代表だったからいいのだが。

 

 俺も複数人と関係を持った。おそらく3人俺の子が産まれた。おそらくと言うのは、父親不明の子が何人もいるからだ。

 俺は、乱交制を採用した。「戦いに生き残ったら親衛隊と付き合う権利をやる!」と言ってしまったので、自宅警備兵の恋愛を制限できなかった。あのイケメン共が本気になったら奇形の俺はどうなる? 俺は複数と関係を持ちたいが、反発をどう抑えればいい? と、いろいろ考えた結果、どうせなら開放してしまうことにした。

 気に入っている女が他の男と関係を持つことについては、その場面を想像してしまうと腹が立つが、気にしなければ気にならない。セックスし放題のための犠牲と考えれば納得できる。

 

 里の反応は悪くなかった。公的な場では非難してくるやつも、周りに人がいなくなればコソッと「ちょっと女の子紹介してくれよ」「長袖くんとやらせてください。ご主人様」なんて言ってくるのだった。

 綱手も、逆ハーレム攻めをやったら一回で認めてくれた。もともと遊び人だったからこういうノリは理解できるらしい。というより、逆ハーレム攻めをする前から、酒に酔った勢いで長袖や釜倉を押し倒しているとの噂は聞いていたが。

 

 なお、綱手の赤ちゃんの父親は今のところ不明である。大多数と関係を持っていたから本人にも分からないらしい。「あえて言うなら皆の子だ!」。綱手は胸を張って言った。綱手は面食いだが、この里には雪一族筆頭にイケメンが多いから、性獣になるにはよかっただろう。俺もイケメンに変化して10回くらいやらせてもらった。肉付きがよくて気持ちよかった。

 

 こんな状態なので「赤ちゃんは皆の赤ちゃん」「皆家族」という制度も作った。もともと孤児にはそういう制度を採用していたので、彼等は当然という反応だった。木の葉からは愚痴愚痴言われたが、内政干渉の一言で突っぱねた。

 

 さて、当然だが、エッチばかりしていたわけではない。

 強国を目指して、農夫は土地を耕し、戦闘員は訓練に明け暮れる。木の葉、雨、桃、東砂隠れの合同訓練は何度も行った。俺は体術が苦手なのでヒザシに柔拳を叩き込んでもらった。他、クシナの九尾制御の特訓に付き合ったり、親衛隊警備隊の修行を見たり、綱手の仙術の修行に付き合ったり、いろいろやった。

 

 なお、綱手、クシナ、サソリはなし崩し的に桃隠れの忍びとなった。有名どころ以外にも何人か抜け忍がいたが、同盟4里内での移動については基本的に不問となった。

 

 捕虜の青年団は、半年教育してから、4人を除き東砂隠れに返した。その4人は、俺の部下にしたカルラと夜叉丸、それとサソリの部下になったハンマとバキである。青年団のボスは思ったより人望が厚く、選挙で東砂隠れの風影になってしまった。よって返すというよりかっこくよく凱旋してもらった。

 第一ダム及び水路の砂側の管理役は、カルラと夜叉丸を選んだ。2人とも真面目で苦情にも丁寧に対応でき、見た目もいい。砂側の不満を抑えるには都合がよかった。サソリは「風影を殺した俺が上に立っては外聞が悪い」と言って現場で働くことを選んだ。安値でも真面目に任務をこなし、暇な時はせっせと傀儡を作っている。

 

 暁は相変わらず紛争地に行っては不戦を訴えている。ただ、資金めぐりに困っており、徐々にうちの里に働きに来ることが多くなった。というのも、強引な対話で四方八方にケンカを売っているやつらに、依頼を出す国がないからだ。俺も小南が来るという条件以外では仕事を与えていない。弥彦と長門は勝手に演説を始めて同士を募るからいい迷惑だ。住民から苦情が山ほど来る。俺は定期的に小南を呼び寄せ、住民の苦情を伝え、扇動がひどい時には謝らせている。かわいそうだが、健気な彼女を見るのはいい。

 

 そうして木の葉連邦発足から2年が経った。

 他の五大国で、同盟や合併などきな臭い動きが出始める。国境付近の小競り合いが再度熱を帯びてきた。

 緊張感が高まる中、同盟四里による中忍試験が始まった。今試験は同盟軍の力を他里へ知らしめるために、いつもより大規模なものとなった。

 桃隠れも、木の葉に命じられるままに多くの実力ある忍びを受験させた。そのうち、クシナ、竹、釜倉、夜叉丸、ハンマ、が本戦出場を決めた。もともと中忍になる実力があったが、俺が試験に消極的だから参加させていないだけのような連中だった。

 

 さて、この中忍試験。他里へ力を示すことで戦争抑止につなげるという名目があるが、試験に要人が集まることで、他里にとってはむしろ狙い目となる。実際、2年前に砂隠れは本戦の日にダムに攻撃を仕掛けてきた。

 今回も、このタイミングでの襲撃はありえた。が、俺達はそれを逆手に取ることにした。一般向けには俺や綱手が試験の観戦に行ったと言い、それが他の五大国に伝わるのを望みつつ、本当は国境付近で待機した。東砂隠れと西砂隠れの国境沿いは俺と東風影が、岩隠れと雨隠れの国境沿いは半蔵が部隊のトップになった。木の葉の忍びも多数国境沿いに移動した。

 

 結果、予想通り来た。西砂隠れと岩隠れが二方面から同時に。岩隠れ方面の情報はカツユを通してサソリから聞いた。

 こちらの戦闘は、仙術で怪力を倍増させた綱手が、準備していた大量のミサイル型の巨木を投げたことから始まった。10キロメートル近くある大遠投だった。敵は風で木の勢いを弛め、大量の砂でついには受け止めた。だが、これも想定内だ。

 

 木遁、挿し木の術。

 

 巨木には木遁分身を乗せていた。その分身が砂の内側に木の根を伸ばし、中にいる人間を串刺しにした。

 

「散れ! 固まるとさっきのが来るぞ!」

 

 これに対し、敵の西風影は部隊を細かく別けた。

 

「どおおっ、せいっ!」

 

 しかし、綱手は構わずミサイルを次々投げていく。距離があるので向こうが動けば左右の座標は逸れるが、その度にミサイルに乗っている分身の俺が角度をズラすので問題なかった。

 敵は次々と串刺し、またはミサイルに内蔵された多量の起爆札で爆散していった。被害を受けたのは下忍より中忍や上忍の方が多かった。距離があるので、チャクラの小さい下忍は白眼をもってしても見えにくいからだ。

 

 見知らぬ戦術による先制攻撃、上忍の死亡、情報と違って俺と綱手がいたこと、は西砂隠れに大きな混乱をもたらした。早々に逃げ出すものや裏切るものが出て、西砂隠れは本来の力を出せず蹂躙されていった。情報伝達ミスか、よく分からないタイミングで一尾が出てきたが、やはりミサイルと木遁のコンボによって数秒で捕獲され、餓者髑髏の餌となった。エビゾウが一尾救出に動いたが、日向ヒザシによって阻まれた。チヨの傀儡はカルラの風で吹き飛ばし、毒クナイは砂の壁で防御した。

 混戦状態に入ると、ミサイルは使えなくなった。徐々にこちらにも死者が出始めた。しかしまだまだこちらが有利だった。

 不意に、撤退を促す信号弾が上がった。有利な側が撤退するという不思議な合図だ。敵は罠かと思い、迂闊には動けない。

 そんな中、東風影が叫んだ。

 

「双方戦いを止めよ! これ以上同胞を殺すのは心苦しい! ここは、風影同士の一対一で勝負を着けないか! 受けるなら2時間以内に使者を出せ!」

 

 そして俺達は退いていった。

 

 この策は東風影自ら提案したものだった。もし西風影が乗ってきて、一対一で勝って、敵を降伏させることができれば大きな利益になる。西風影が死んでも敵の大部分が降伏しなかった場合でも、烏合の集と化した砂隠れの弱さはよく理解しているところだ。西風影が話に乗らずとも、同胞意識を呼び戻すことで、敵の決死の覚悟を奪うことができる。距離を取ることで再びミサイル攻撃も可能となる。

 問題は一対一で東風影が敗れた場合だ。俺達は砂側の土地を明け渡し、戦力は川の国まで撤退することになるだろう。無理にごねるよりそちらの方が被害は少ないと思われる。

 

 とかく、風影の勝敗次第で天と地の差が出てしまう策なのだ。俺は、相性の問題もあってこの男をあまり強いとは思えないので、不安だった。しかしカルラと綱手は東風影の味方をした。カルラは愛ゆえ、綱手は博打好きゆえ。結局俺も折れて、この策を認めた。

 

 さて、約束の二時間まで悠長に待っている訳には行かなかった。こちらは戦況が有利だが、岩隠れ方面は不利との情報が出た。さらに、こちらに戦いに呼応するように、霧隠れと雲隠れまで動き出したらしい。忍界大戦の再開と言ってよかった。

 

「こちらは私に任せていただきたい。川影殿は雨隠れの増援に」

 

 悩んだが、東風影の言葉通り雨隠れに向かうことにした。もし東風影が一騎討ちに勝てば、俺がいなくとも西砂隠れを制圧できるだろうし、負ければ俺がいても撤退することになるからだ。一騎討ちを拒む可能性は、かなり低い。戦況がこちらに有利とか、実際に同胞意識があるとか、いろいろ理由はあるが、一番は影というのはプライドが高いからだ。

 桃隠れの戦力は一斉に雨隠れへ移動を始めた。戦力と威嚇と情報収集のために一応俺の木遁分身を3人残しておいた。

 

 例によってあまり速く動いてもバテててしまっては意味がない。移動速度は中忍が十分着いてこれる程度とした。


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