疫病神うずまきトグロ   作:GGアライグマ

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木の葉新時代
終戦と川影選挙


 風の国の内戦終結。岩隠れと桃隠れの和睦。桃隠れ砂隠れの、霧隠れ雲隠れ戦線への本格参戦。

 戦況は徐々に木の葉連邦へと有利になっていき、1年後、とうとう第三次忍界大戦が終結した。

 

 和平に当たって様々な取り決めがなされた。各国の領土を大戦以前へ戻すこと。ミサイル攻撃の禁止。桃隠れが戦争で保有するに至った一尾、三尾、四尾、の再分配。大名に実権を戻すこと。闇市の禁止。軍備縮小。などなど。

 それらと並んで重要なのが、火影、並び桃隠れ里長の交代だった。霧隠れ、雲隠れともに、自分達に戦争責任があるとは認めなかった。

 

「和平に応じて欲しくば、お前達が戦争を起こしてしまった責任を取れ!」

 

 本当は、霧隠れも雲隠れも負ける戦をこれ以上続けたくなかった。しかし、見栄を重視する彼等にとって、敵国に罪を認めさせることが重要だった。雷影や水影が罪を認めれば、内乱が起こってしまう可能性すらあった。

 戦争を辞めたい木の葉同盟は、この要求を呑んだ。ヒルゼンにとって火影交代はさしたる問題でなかった。どころか、新しい世代なら平和を築けるかもしれない、なんて期待さえあった。トグロにとってはトップの変更は問題だ。まだ人材が揃っていない。しかし、名前だけ変えて裏で里を動かせばいい、と考えて受け入れた。

 

 また、木の葉連邦内だけで使われていた川影の名が、正式に他の国でも認められることになった。本来、五大国である火、風、土、雷、水、の里長以外は影を名乗ることを許されていなかった。しかし、木の葉に次ぐ強国となった桃隠れが、いつまでも木の葉の傘下という立場なのは不自然だった。というより、木の葉以外の里にとって、桃隠れの自治権が増してくれると、木の葉の横暴な振る舞いを防ぎやすいのでありがたかった。

 

 さて、世界で二強となった国のトップを決める日が近づく。

 二里とも、里内の全忍びによる直接選挙という方法をとった。立候補者、並びその支持者による演説が各地で行われるようになった。

 有力な候補者とその主な情報は以下の通りである。

 

 木の葉隠れ

 

 綱手

 木の葉の姫、綱手姫とも呼ばれる。忍びの神、とまで言われた初代火影千手柱間の孫。三代目火影ヒルゼンの直弟子でもある。木の葉隠れの始まりは、千手とうちはが手を結んだこととされる。しかし実際は、柱間の人柄と能力に惹かれた各部族が集まってできたようなものだった。柱間が亡くなって数十年経つが、40歳以上の者は柱間の輝きを鮮明に覚えている。その輝きを、綱手にも重ねて見ている。実際、綱手は非常に優れた忍びであり、木の葉の三忍と呼ばれる。人柄も、大雑把で酒と博打が好きなど、どことなく柱間に似ている。容姿もいい。40歳以上の忍びと独身男性に絶大な人気を誇る。問題は本人の帰属意識が桃隠れにあることか。

 

 自来也

 綱手と同じく三代目火影の直弟子にして、木の葉の三忍と呼ばれる。実力も人柄も申し分なし。綱手と違い、木の葉を離れたりせず、里と共に戦い続けたことが評価される。しかし、スケベで間が抜けたところがある。綱手ほどの求心力はない。

 

 大蛇丸

 綱手、自来也と同じく三代目火影の直弟子であり、木の葉の三忍と呼ばれる。戦闘能力は三忍で一番とも言われる。二代目火影扉間の意志を色濃く受け継ぐ。非情であり、オカマであり、ヘビをこよなく愛する。人体実験など黒い噂が耐えない。ダンゾウなど二代目火影を信奉する者からは信頼が厚い。

 

 波風ミナト

 自来也の弟子。戦闘能力は師に勝るとも劣らず。今大戦で一躍名を上げ”木の葉の黄色い閃光”と恐れられた。頭脳明晰で人柄も問題ない。容姿は紛うことなきイケメンである。23歳と若く、甘いところがあるが、逆にそれが女性の庇護欲をそそる。全世代のくの一と若い男性に人気。

 

 うちはフガク

 そろそろうちはにも栄光を、と立ち上がったうちはの若き当主。上忍の戦闘能力を持つが、五影としてはやや劣る。性格はやや過激なところがある。また、周りからの押しに弱い。うちは一族から人気。

 

 志村ダンゾウ

 三代目火影と共に長く木の葉を支えてきた。里が次期火影の話題に盛り上がる中、「わしの名が聞こえんのう」と寂しそうに呟いたところ、ヒルゼンに「老世代は潔く去るべし。そう言ったのはお主ではないか。お主は棄権すると皆に伝えておいたぞ」と言われてしまった。ダンゾウは酷く怒ったという。多くの部下から人気、というより絶対的な命令を下し、票を集めることができる。

 

 うちはオビト

 木の葉の上忍。今大戦の終盤に奇跡的な復活を遂げ、人が変わったように高い戦闘能力を手に入れた。若きうちはのホープ。老人に世話をするのが趣味で、老世代から人気がある。しかし、いかんせん14歳では若すぎる。思想も甘さや怖さを見せる。

 

 

 桃隠れ

 

 綱手

 ほぼ最初期から孤児院の経営に関わり、桃隠れ創設時には里長となった。彼女が「私に投票しろ」と言ったらほぼ全員が彼女に投票するくらいの人気がある。問題は木の葉の一部が火影への就任を望んでいることか。

 

 うずまきクシナ

 九尾の人柱力であり、多重影分身の術によって多くの一般人を救ってきた。戦闘ではトグロとコンビを組むことが多く、今大戦でも重要な局面で多く活躍した。”赤い血潮のハバネロ”、”トマト”などの異名を持つ。戦闘能力、人柄ともに問題ない。容姿もいい。ただ、頭が悪い。本人もトグロの仕事っぷりを見て、自分に川影は無理だと思っている。全世代に人気がある。

 

 小南

 トグロの最初の仲間の1人。主に桃隠れと同盟各国の橋渡し的活躍をした。戦闘能力は並みの上忍程度。人柄、容姿ともに素晴らしい。”天使様”の愛称で親しまれる。頭はいいが、まだ若さがある。暁など比較的最近他国から入ってきた忍びに人気がある。

 

 サソリ

 桃隠れの遊撃隊隊長。今大戦ではトグロ、綱手に並ぶ活躍をした。”赤砂のサソリ”の名で恐れられる。抜群の頭脳と高い戦闘能力を誇る。思想はおそらく問題ないが、一般人には理解できないところがある。容姿がよく、女性人気が高い。幼い少年からの尊敬も厚い。問題は本人が「絶対に川影になどならん」と公言していることか。

 

 

 選挙の前に、綱手の扱いをどうするかという問題があった。綱手本人は桃隠れに帰属しているつもりでいる。しかし木の葉の一番人気は綱手である。このままでは、川影でありながら火影になってしまう可能性があった。

 

「絶対に私を選ぶな! 火影になってもすぐさま破棄するぞ!」

 

 綱手は繁華街で演説をした。木の葉の忍びは「そんなこと言わないでー!」「姫ェ!」「わしらを見捨てるのか!」となかなか諦めなかった。

 実は、ヒルゼンも綱手に帰ってきて欲しいと思っていた。よってそんな状況を放置していた。

 ダンゾウも、綱手が戻ってくること自体には賛成だった。しかし、今は綱手の周りにいる人間がいけなかった。

 桃隠れは大きくなりすぎた。うずまきトグロ、長門、うずまきクシナ、サソリ、アラレ。彼等は"桃の五鬼"と呼ばれ、全員が五影に近い力を持つとされる。実際、トグロは現風影を捕らえたことがあるし、アラレもほぼ単独で土影に勝っている。火影になった綱手が、桃隠れの忍びを重鎮に据える可能性は高い。そうなると、今の木の葉の実力者が政権から一掃されてしまう。それはダンゾウには認められなかった。

 

「我々も、千手の威光から独り立ちする時期に来ているのではないか? 綱手を川影とし、両国の同盟を一層強固にすることこそが、未来の木の葉の繁栄につながるのではないか?」

 

 ダンゾウはそう言ってヒルゼンを諭した。ヒルゼンは悩んだが、結局は泣く泣く受け入れた。

 

 綱手を桃隠れの忍びとし、火影選挙に彼女を選ぶことは無効とする。

 

 選挙前に両里で合意がなされた。綱手は70%の圧倒的投票率で川影に再任した。

 なお他は、クシナ8%、サソリ8%、小南4%、空海10%(無効票)だった。




アラレはイタチ並みの才能があってなお且つガイ並みに健康です。実はギャグ補正がなくともめちゃんこ強いのでした。

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