今回は準備編、椿季と倉橋のお話です。
明後日から定期試験いやだなぁ…
それでは、始まります!
6月に入り、梅雨ももうじきというこの時期は毎年恒例の行事がやってくる。6月7日は俺と椿季の誕生日なのだ、だが基本この日に父親は家にいた試しがなく、2人だけでお祝いすることも無いと俺は思うのだが、椿季は毎年この日にはケーキを買って2人で食べるのだ。
「今年はさ、みんなも呼んで誕生日やろうよ」
「えー、みんな来るか?人の誕生日会なんぞに」
「来てくれるよ、少なくとも、陽菜ちゃんとメグちゃん、凛花ちゃんと桃花ちゃんは来てくれるって」
「うわー、女子ばっかだな」
「そう思うなら、男子を呼んだら?、渚くんとかカルマくんなら来てくれるんじゃない?」
たしかに、あの2人なら来てくれそうだな、まあ、カルマを家に入れたら間違いなく、部屋のガサ入れが始まりそうだけど、
「それなら、クラスのSNSに誕生日パーティーの情報を流してみてはどうでしょうか?」
「「!?」」
誰だ?いまの声、どっかで聞いたことがある気がするんだが…
「私です、椿季さん、柊季さん」
携帯を見てみるとそこには私服姿の律が映し出されていた。
「みなさんとの情報共有を円滑にするため、アプリをみなさんのスマートフォンにインストールしてみました。モバイル律とお呼びください」
「律……俺の携帯何重にもセキュリティ掛けといたはずなんだけどな」
「はい、柊季さんの携帯にこれをインストールするのに大半の時間を要していまいました」
まあ、律はもともと軍事用に作られたらしいから俺ごときのセキュリティでは、破られてしまうのも頷けるんだけどな、まあなんでもありのこのクラスのことだから今更これくらいのことじゃ驚きもしないが…
「それで、なんの話だっけ」
「私が、SNSを用いて誕生日のことを皆さんに流します。それを見てもらって、来れる人を募ってみるのはどうでしょうか?」
「まあ、一人一人声かけるよりは楽だな」
「じゃあ、律、頼める?」
「はい、分かりました」
そう言って俺らの携帯の画面はいつもの画面に戻っていった。
「さて、じゃあ俺は部屋に戻って、ゲームするかな」
「えー、家事手伝ってよ」
「今日の当番椿季だろ」
「ここ最近雨で洗濯物たまってるから、買い物行ってきてよ」
「なんで俺が……」
俺はそう言ったものの、俺は明日買い物に行くつもりだったので
「わかった。行ってくる」
「妙に素直だね」
「買いたいもんがあるんだよ」
そういって俺は家を出て行った。
6月4日。私は陽菜ちゃんに電話をした。
「もしもし、陽菜ちゃん?」
「つっちゃん?どうしたの?」
「明日時間あるかな?」
「大丈夫だよ。でもなんで?」
「明日、柊季の誕生日プレゼントを買いに行くんだけど一緒にどうかなって?」
「えっ…」
陽菜ちゃんはちょっと戸惑ったように考え込んだ。
「私も買いに行きたいし、陽菜ちゃんも一緒なら楽しいかなって」
「でも…」
「それに、陽菜ちゃんがプレゼントとあげたらあいつもきっと喜ぶし」
「うーん…」
陽菜ちゃんはなかなか見目られずうんうんうなっていたので、私はちょっとからかうように言った。
「それにあいつ、鈍いから、陽菜ちゃんから積極的にアタックかけないとわからないと思うよ」
「うっ…」
「それにもしかしたらそれを機に二人の距離が縮まるかもしれないし…」
「なっ!…」
「もしかしたら告白とかも…」
「もう!つっちゃん楽しんでない?」
「あはは、ごめんごめん」
顔を真っ赤にしてる陽菜ちゃんが想像できる。
「だってー、陽菜ちゃんかわいんだもん!」
「つっちゃんそういうところ、さがっちそっくり」
「でもさ、せっかくだから、一緒に行かない?」
陽菜ちゃんはやっぱり少し考えていたが、
「うん。わかった。一緒に行こ」
そう言って明日の場所と時間を伝え、私たちは電話を切った。
そして翌日。つっちゃんと椚ヶ丘駅前で待ち合わせをした。
「ごめん。お待たせ」
「ううん、全然」
「柊季をまくのに思ったより時間かかっちゃって」
「さがっちは今日何してんの?」
「帰りにいろいろ頼んだけど、それが済んだら家でダラダラしてるんじゃない?」
「なんとなく目に浮かぶよ」
さがっち結構インドア派だよなぁといいながら倉橋も苦笑いする。
「まあ、休みの日は結構出かけてるけどね。平日は学校から帰ってきてたら部屋にこもってパソコンいじってるかな」
そんな話をしながら私たちはいつも来ているショッピングセンターに来た。
「ここって……」
「私がいつも来ているところだけど…来たことなかった?」
「ううん。前に来たことある」
そこは、前に椿季が風邪の日に倉橋が柊季と来たショッピングセンターだった。
「よし、じゃあ。レッツ、ゴー」
そう言って私は陽菜ちゃんと買い物を始めた。
そして一時間後。
「うーん……わからないんだよなぁ」
毎年何がいいのかって結構悩むんだよね……
「ふふっ」
「陽菜ちゃんどうしたの?」
「いや、つっちゃん、真剣だし、つっちゃんがさがっちのこと好きっていう莉桜ちゃんのいうこともわかるなぁと思って」
「うーん。そうかなぁ」
私は別にそんな感情はないんだけどなぁ
「でも、変な意味なしに、さがっちとつっちゃんって仲いいよね?」
「まあ、そうかもしれないね。なんでかな」
(私たち姉弟はいろんなことを二人でやらなきゃならなかったから、確かに普通の姉弟より一緒にいる時間は長かったっていうのもあるし、双子だからっていうのもあるのかな…)
そんなことを考えていると、私は聞かれてもいないけどふと言葉が出てしまった。
「でも、私にとって家族は特別なの、柊季も喧嘩早くて、いい加減なこと多いけどそれでも変なとこ真面目で正義感強くて、お父さんもめったに帰ってこないけど、いつも私たちのことを気にかけてくれてて、そんな人達がいるから今の私があるんだと思う」
そんな私の話を聞いてた陽菜ちゃんはぽかんとした顔をしている。
「ごめん、なんか変な話しちゃった」
「ううん。やっぱりつっちゃんってすごいなぁって思った。大人っぽくて、かっこいい」
「そ、そういうことは柊季に言ってあげた方がいいよ」
私はその言葉で昨日と同じように陽菜ちゃんが赤くなるかなと思ったのだが、陽菜ちゃんは逆に笑っていた。
「どうしたの?陽菜ちゃん?」
「やっぱり、つっちゃんはさがっちと姉弟なんだね」
「ん?どういうこと?」
陽菜ちゃんの言っていることがわからない。
「さがっちってうそをつくとき、腕を組むって教えてくれたでしょ」
「うん………」
「つっちゃん、今さっきひじに手を添えて、腕を組むような体制したよね」
「そ、そうかな……」
私はそう言ったが、確かにそんな体制をした。無意識に…
「それに、椿季がその体制するときも何かごまかしてるんだぜって前にさがっちいってたから」
うーっ、あいつ…
たしかにさっきの言葉はかっこいいって言われたことが何となく恥ずかしくて、話題をそらそうとしたけど…
すると今度は、陽菜ちゃんが少し得意げに、
「私だって、ビッチ先生の話を桃花ちゃんと聞いて、そう言う仕草には敏感になったんだから」
「うっ…」
私は思わず目線をそらす。すると、陽菜ちゃんはくすくす笑って言った。
「照れてる、つっちゃんもかわいいなぁ」
「ああ、もう」
「えへへ、昨日のお返し」
私は何か空気を変えたくて(というか、若干自棄になって)
「もう、この話おしまい!早くプレゼント選ばなきゃ!」
「はーい」
陽菜ちゃんはそう言いながら、上機嫌でプレゼントを選ぶのだった。
感想誤字訂正よろしくお願いします。