まあまだやることがあるんでそれをやっちゃわないと…
でも久しぶりに休みなのでゆっくりしますw
今日は前原の後編ですね。
楽しんでいただけたら幸いです。
作戦決行の日。その日もやはり雨だった。
カタカタカタカタッ、カシャッ。
「ふぅー。こんなもんかな」
「柊季。準備終わった?」
「ああ、椿季は?」
「まあ、私は準備することは無いからね」
「よし、じゃあいくか」
そう言って俺らは傘を差して家を出た。
その日の放課後、とあるオープンカフェに標的の二人はいた。
「おまえ、いい店知ってんじゃん」
「うん、コーヒーがおいしいんだ」
そう言って雨なのに外でお茶しているのは、瀬尾智也と土屋果穂
二人は楽しく談笑していた。
「それにしてもこの雨見てると昨日のことを思い出すな」
「ああ、前原のこと」
「雨に濡れて泥だらけになって惨めだったなって」
瀬尾は大声で笑いながら、土屋と話している。
「だ、そうですけど、前原君今の心境は?」
「うっせぇぞ、柊季」
「それにしても、まさか瀬尾盗聴されているとは夢にも思ってないだろうな」
「おまえ、盗聴器なんてどうやって仕掛けたんだよ」
「企業秘密だ」
そうやって、杉野、前原とそんなやり取りをしていると、その大声で話している二人組に近づく人影が二つ。
「すみません、奥の席に座りたいので、その足を引っ込めてもらってもいいですかのぉ」
「はぁ?」
瀬尾は自分の足を見て文句を言いながらも渋々どいた。
隣の席へとゆっくりと座る老夫婦を見て、瀬尾は言う。
「ったく、老いぼれがこんな店に来んじゃねーよ」
「だめだよー、聞こえるからー」
二人の大きな笑い声が盗聴器からまた漏れていた。
「お年寄りに優しくしようなんて今の時代小学生でもわかることだぞ」
「しょうがねーよ、あいつら、弱い立場の人間なんか目に入らないからさ」
「それにしても、すげーな菅谷。あの二人渚と茅野にはには見えねーよ」
俺も双眼鏡でその様子を見ていたが、言われなければわからないほどのクオリティーだ。
「前に殺せんせーにやった時は騙せなかったけれど、あいつらならあの程度でも充分だろ」
「みたいだな」
ちなみに菅谷は変装担当、見張り連絡担当が杉野である。
「それにしてもあの声は本当に老夫婦に聞こえるな」
「ああ、渚も茅野もやるな」
「いや、あの声は二人じゃないぞ」
「「えっ?」」
杉野と菅谷が訳が分からないという顔をする中二人の横から声がした。
「そりゃあ私のことかい?」
「うわ!嵯峨さん!!」
杉野はびっくりした声で言った。
「えへへ、私そういうの得意だから」
「渚と茅野に小型スピーカー取り付けて椿季に声やってもらった」
「そう言うの得意って、どうしたらそんなスキルが身につくの?」
「ふふふっ、企業秘密」
声、作戦立案担当は椿季。
「しかし、よく向かいの家に上がれたな」
「ああ、それなら、矢田と陽菜乃が抑えてるらしいぞ、ビッチ先生に教わった交渉テクでどうにかするって」
((((((陽菜乃??))))))
ここにいる全員がそう思ったが、今この場で深く追及すると作戦に支障が出かねないので今は避けた。
「よし、茅野がトイレに行ったぞ、お二人さん出番だ」
「「了解」」
3年E組のスナイパーコンビ。速水と千葉がライフルを構える。
「よし今だ」
渚が頼んだサラダをひっくり返して奴らがそちらに注意が向いてるうちに奥田さん特製の「ビクトリアフォール」なる下剤を奴らのコーヒーの中へとぶち込む。それにしてもビクトリアフォールって、奥田さん、ネーミングセンスは皆無だな。
奴らは渚への罵倒が一通り済むとコーヒーを一口飲んだ。するとすぐに効果はあったらしくおなかを抱えてトイレに行く。
「茅野?標的がそっち行ったけど、今どんな状態?」
「うん?今32羽目だよ」
茅野は千羽鶴を追っているらしく、今何羽目かを報告してきた。聞いてるのはそこじゃないのだけど、まあ、外から騒がしい声が聞こえたから成功しているのだろう。
しばらくすると、ここのトイレを諦めたらしく、奴らは我先にとカフェから出てきた。
「あ、出てきた」
「杉野」
「OK、前原そっち言ったよ」
「了解」
数分後、住宅街を雨の中爆走してくる二人組が前原達から見える。
「あいつら、プライド高いからなぁ、そこらの民家でトイレを借りるという発想はねーんだよ」
「プライドっていうのもこういう時は邪魔なもんだねー」
「じゃあそのプライドをサクッと殺りますか」
そういって、E組の中でもナイフ術の得意な三人磯貝、前原、岡野が民家に生えていた木の枝を大量に切り落とす。
そしてその枝は見事に走ってきた二人にヒットした。
「ひっどい何コレ!ずぶ濡れ!ひゃああ!毛虫!」
「誰だこんな……ってやっぱこんなことよりトイレだ!」
そういって、瀬尾は走り出した。
「あ、ちょっと待て瀬尾!!」
そういって、土屋も走りだし二人は消えていった。
「ははは、状況も把握する余裕もないか」
「どうだうまくいったか?」
「おう、杉野!ばっちりだ」
俺らも前原達と合流する。
「うまくやったようだな」
「ああ」
「まあ、少しはすっきりとしたでしょう」
殺せんせーも雨合羽を着てやってきた。
「汚れた姿で大慌てでトイレに駆け込む。彼らにとってはずいぶんな屈辱でしょう」
「俺はもう少しやりたかったけどな」
「柊季はやり過ぎなんだよ」
椿季が怖い目でこっちを見ている。
「柊季は何やる気だったんだ」
「え?ちょっと警察のシステムをハッキングして、コンビニの前にある信号機を15分ほど赤にしたままにしておこうかと……」
「やりすぎだな」
「うん」
杉野と渚があきれて俺のことを見る。
「えーっとなんつーか、ありがとなここまで話を大きくれて」
「でもどうですか、前原君、君はまだ自分が弱いものを平気でいじめる人間だと思いますか?」
前原はクラスのみんなを見て言った。
「ここにいるみんなを見たらそんなことできないや、みんなそれぞれ俺が持ってないようないいところがあって、それを生かすことができる。そんなのパッと見じゃ、わかんないし」
「そういうことです。これで君はこの先弱者を簡単にさげすむことは無いでしょ?」
「殺せんせーはいろんなものを通して、いろんなことを教えてくれますね」
「ヌルフフフ、当然ですよ、椿季さん」
そんな話をしていると雨が止んだ。
「さて、雨もやんだし帰るとするか」
そういって俺は家のほうに向かって歩きだしたんだが、
「ちょっと待てよ柊季。なんか忘れてない?」
「?」
俺は気付く。向こうでは女子の話題の中心が倉橋であることに
「ちょっとみんな、落ち着こうね?」
「問答無用」
「修学旅行で話さなかった分、たっぷりゲロってもらおうか」
「はははっ…」
俺も言えたことじゃないけど、みんなこういう話大好きだよなぁ…
「さて、どう言い訳をしたものか」
俺はそんなことを必死に考えるのだった。
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