夏休みの一番の話、普久間島編ようやく次から始まります。
その前に今回はロヴロと渚の話ですね。
短いですがよろしくお願いします。
殺せんせー暗殺計画を成功させる為にE組のみんなは夏休みなのにもかかわらず旧校舎で訓練をしていた。生徒達は浮いている風船を離れたところから撃っていてそれをビッチ先生は気楽そうに見物していた。
「まぁまぁガキ共、汗水流してご苦労なことねぇ」
「ビッチ先生も訓練しろよ。射撃やナイフは俺等と大差ないだろーにさ」
三村の言葉を聞いたビッチ先生は鼻で笑いながら上から目線で言ってきた。
「大人はズルいのよ。あんた達の作戦に乗じてオイシイとこだけ持っていくわ」
ビッチ先生はそう言うと高笑いしていたがある人物の一言にそれも無くなった。
「ほほう、偉いもんだなイリーナ」
その声を聞いた瞬間、ビッチ先生は体をビクッと振るわせて恐る恐る振り向くと其処にはビッチ先生の師匠、ロヴロが立っていた。
「夏休みの特別講師にお呼びした、今回の作戦にプロの視点からアドバイスをくれる」
「一日休めば指や腕は殺しを忘れる、落第が嫌ならさっさと着替えろ!!」
「へ、ヘイ喜んで!」
ビッチ先生はそう言うと急いで校舎に向かって行った。
ロヴロはビッチ先生を見送ると作戦の書類に目を落とす。
「先に約束の8本の触手を破壊し、間髪入れずクラス全員の一斉射撃で仕留める、それは分かるがこの一番最初の精神攻撃というのは何だ?」
ロヴロの質問に渚が答えた。
「動揺させて動きを落とすんです。殺気を伴わない攻撃に殺せんせー脆いから。」
前原も続けて言った。
「この前殺せんせーエロ本拾い読みしてたんすよ。口止めにアイス一本もらったけど……今時中学生がアイス一本で口止めできるわけねぇだろ!!」
「「「「クラス全員で散々にいびってやるぜ!!!」」」」
「残酷な暗殺方法だな」
ロヴロは悪どい笑みを浮かべている中学生に対し心底そう思う。
「しかし、肝心なのはとどめを刺す最後の射撃。正確なタイミングと狙いが不可欠だ…」
「不安か?このクラスの射撃能力は」
烏間はロヴロにそう言うとロヴロは首を横に振った。
「いや、特にあの3人は素晴らしい」
そう言いロヴロは3人の生徒に目を向ける。
「千葉龍之介は空間計算に長けている。遠距離射撃では並ぶ者のない狙撃手だ。速水凛香は手先の正確さと動体視力のバランスが良く動く標的をしとめることに優れた兵士。嵯峨柊季は高い身体能力を生かし、中距離、近距離における銃撃を交えた戦闘ではトップだ」
「なるほどな…他の者もよいレベルに纏まっている、短期間によく見いだし育てたものだ。彼らなら十分可能性がある」
すると、ロヴロの近くに椿季が近づく。
「ロヴロさん」
「ああ、君か、気配や殺気が少しは抑えられるようになったみたいだな」
「ええ、ロヴロさんに言われてから気にするようにしてます」
「うむ、いい心がけだ。殺気を操れるようになるのは殺し屋の基本だからな、それでなんかようか」
ロヴロがそう聞くと、椿季が気になっていたことを聞く。
「ビッチ先生…じゃなくてイリーナ先生をこの学校に斡旋したのはロヴロさんて聞いてますけど、今回の南の島にも誰かを送るんですか?」
「いいや、今回はプロは送らん、殺せんせーはにおいに敏感、特に君たち以外の部外者のにおいをかぎ分ける、よって一度送った殺し屋は使えない上、困ったことも重なってな……」
「困ったこと?」
矢田が聞き返していう。
「残りの手持ちで有望だった殺し屋数名がなぜか突然連絡がつかなくなった。というわけで今回は殺し屋は送らないということだ」
「なるほど…」
「おい」
話し込んでいる椿季に向かって柊季が椿季の頭に軽く拳を当てる。
「話ばかりしてないで、お前も練習しろ」
「ごめん、ごめん。でも前のイトナ君の時みたいに誰かに邪魔されたくないからさ」
「まあ、それもそうだけど」
そんな双子の会話を見てロヴロはふと思った。
(なるほど…双子の暗殺者か、それにこの二人…)
「君たち二人に一つアドバイスをあげよう」
「アドバイスですか?」
柊季はそう聞き返すと、ロヴロは話を続ける。
「さっきそっちの子には言ったが、暗殺者にとって気配や殺気をコントロールするのは基本だ」
「はい」
「他人に殺気を悟られたくないとき、殺気を他人の気配に紛れ込ます術を身に着けとくといい、君達ならそれをうまく使うことができるだろう」
「殺気を紛れ込ます…」
嵯峨姉弟が考えている姿をしばらく見ていたが、その後ロブロは何も言わず射撃訓練のアドバイスに移った。
不破は先ほどから遠距離の射撃訓練をしていたが的になかなか当たらなかった。
「うーん、おっかしいなぁ…」
するとその様子を見ていたロヴロが言う。
「君、立て膝を止めて、あぐらで撃ってみろ」
「あぐら、ですか?」
不破はそう言われてあぐらで銃を構え、引き金を引く。
「あ、当たった」
「安定しただろ、人によっては立て膝よりあぐらで撃つ方が向いている」
「なるほど、さすが本職」
すると今度は竹林にアドバイスする。
「君は呼吸が合わせずらそうだな、無理をせず自分に合わせた撃ち方をするといい」
「あ、はい」
そう言ってロヴロは次から次へと気づいた点を言っていく。
「あのロヴロさん、一つ聞いてもいいですか?」
渚はロヴロに近づきそう言う。
「・・・!」
「ロヴロさんが知っている中で一番優れた殺し屋の中で一番優れた殺し屋ってどんな人なんですか」
ロヴロはそう言う渚を見て思った。
(よくよく見れば素質がある、フフフおまけに…)
「興味があるのか、殺し屋の世界に」
「いやそう言うわけじゃ…」
「最高の殺し屋、そう呼べるのはこの地球上にたった一人。この業界にはよくあることだが彼の本名は誰も知らない、ただ一言のあだ名で呼ばれている。曰く「死神」と…」
「死神…」
「フフッ、ありふれた仇名だろ?だが我々の業界では「死神」といえば唯一絶対彼を指す。神出鬼没、冷酷無比数々の屍を積み重ね、死そのものと呼ばれるに至った男、君たちがこのまま殺しあぐねていればいつかは奴が姿を現すだろう」
(そんな人が…これはいよいよ南の島のチャンスは逃せない!!)
そんなことを考えている深刻な表情の渚を見て、ロヴロは言う。
「それでは、少年。君には必殺技を授けよう」
「必殺技?」
「そうだ、プロの殺し屋が教える必殺技だ」
そして、南の島の暗殺ツアーが幕を開ける!