あまり変わり映えしませんが、楽しんでいただけたら幸いです。
あれから数日クラスにも慣れたのだが、
「やっぱり、この山道だけは怠いな…」
俺は不平不満をこぼす。
「それにしても、柊季この学校来てから問題行動起こすことは少なくなったよね」
「まあ、イライラすることも少なくなったしな、やな奴の顔見なくて済むし」
「どんだけ前のクラスが嫌いなのよ」
「別にクラス全員が嫌いなわけじゃない」
「ふーん」
椿季は話を続ける。
「あと、イタズラも少なくなったよね」
「イタズラ?少なくなったか?」
「えーっ、だってこの学校来てイタズラしてないでしょ、前は誰かどうかにしょっちゅうちょっかいを」
(言えない…職員室に忍び込んでは、殺せんせーのジェラートやらお菓子やらをカルマと食べてるなんて)
「ん?どうかした?」
「いや、なんでもねー」
ばれないようにしよう、そう思うのだった。
「カルマ、今日一時間目なんだったっけ?」
「えー。数学?」
「「理科だよ」」
クラス委員の磯貝と片岡がツッコミを入れる。
そこに椿季がやってきた。
「今日はお菓子から着色料を取り出す実験て言ってたでしょ。何のために昨日おかし買いに行ったのよ」
「あーそれ、そういうことだったんだ」
「まったく、先行ってるからね」
そう言って椿季は先に行ってしまった。
「嵯峨さんもすっかりクラスに打ち解けたね」
「ああ、最近は倉橋や片岡、速水、矢田と仲がいいらしい。家帰ってよく話が出てくる」
「へー」
「カルマ君、柊季君。もう授業始まるよ。なに流れでサボろうとしてるの」
「はは、渚、するどいね」
「いやもう、教室にいるの僕たちだけだから」
俺とカルマは重い腰を上げてしぶしぶ理科室に向かうのだった。
「はい、これをこうしてこうやって、はい色が出ましたね。これにてお菓子から着色料を取り出す実験はこれにて終了。あ、余ったお菓子は先生が回収しておきます」
先生は机の上に置いてあったお菓子をマッハで回収する。
「えー、それ、俺たちの金で買ったやつだぞ」
「そだーそだー」
杉野に便乗して俺も反論する。
「給料日前だからって授業でお菓子を調達してやがる」
「地球を破壊する奴がどうして給料で生活してるのよ」
片岡の意見はもっともだと俺は思った。
「それにしても先生が買ったお菓子のヘリが最近早い気がするのですよ、誰か知りませんか?」
なぜ俺を見る業、お前もだろ。
じーっとこっちを見ている椿季の目線は気にしない。
そんな様々な視線と俺が葛藤しているとき、一人の生徒が殺せんせーの前へ来る。
その生徒は奥田愛美。普段から目立たず、大人しい生徒だ。
「あ、あの、先生、毒です飲んでください」
…………ドンッ
クラス全員がこける。
(おいおい、毒を毒といって渡す奴がいるか)
「ずいぶんと正直な暗殺ですね奥田さん」
ほら、思わず殺せんせーも反応に困っちゃっているよ
「わ、わたし、不意打ちとか得意じゃなくて、でも化学は得意なんで真心こめて作りました」
「真心こめて、毒薬ねー」
考えただけでもぞっとする。
「それは、それは、いただきます」
そういって、試験管に入った薬品を飲み干す。
「ここ、これは」
えっきいてるのか?
すると、殺せんせーに角が生えた。
角、だ、と、
「これは水酸化ナトリウムですね。人間には有毒ですが先生には効きません」
「後二本ですね」
今度はどうなるんだ…
「にゅうっ」
羽が生えた。
羽生えたーーー
「これは酢酸タリウムの味ですね」
薬品の味がわかるのかよ!
「それでは、ラスト…ウアッ」
まさか遂に効いているのか、三角フラスコに一つだけ入ってたし、
「……」
真顔になったぞおい、
「てか先生の真顔薄ッ!」
「顔文字みてーだな」
三村と岡島の指摘通り、五秒で書けそうな顔になってるぞ、まあもともと五秒で描けそうな顔してるけど
「先生のことは嫌いでも、暗殺のことは嫌いにならないでください」
どうした急に
「最後は王水ですね、どれも先生の顔色を変える程度です」
「そうですか…」
薬品で顔色変わるんだ…あ、渚またメモしてる。
「それとね、奥田さん安全管理上生徒一人で毒を作ることは見過ごせません。なので、放課後時間がったら一緒に先生を殺す毒薬を作りましょう」
「は、はい」
え、先生を殺す毒薬を先生と作るの?
こうして、波乱の毒薬試飲会は終わった。
そして、次の日
「出来ました!理論的にはこれが一番だって、殺せんせー言ってました」
「奥田、みせて」
「はい、どうぞ、嵯峨君」
ふーん。見た目は普通。とはいっても毒々しい色してるのには間違えない。
「殺せんせー毒薬の保存方法まで書いてあって手厚いなー」
「でもどうして、こんなことを」
「きっと、殺せんせーは私を応援してくれているんです。国語なんてわからなくても私の長所を伸ばせばいいって」
噂をすると殺せんせーが教室に入ってきた。
「ほら、奥田さん殺せんせー来たよ」
「あ、渡してきますね」
奥田さんは殺せんせーに駆け寄る。
「先生、出来ました」
「さすがです、それでは」
そう言って殺せんせーは奥田さんからもらった毒を飲む。
「ありがとう奥田さん、先生はこれで新たなステージへ進めそうです」
「・・・え、それはどういう」
すると、先生の体はみるみる変化し、ついに!
「ふうっ・・・」
と、溶けた・・・。教卓の上で溶けてるよこの人じゃなかった、このタコ。
「君に作ってもらったのはね。先生の細胞を活性化させ流動性を高めるため薬なんです」
そういうと、先生は座っていた片岡の机の中に入り込む。
「液状ゆえにどんな隙間にも入り込むことができる、しかもスピードはそのままに!」
そして、先生は天井・床の隙間、机の中と次から次へと飛び移る。
「さー殺って見なさい。今の先生についてこれる人はね」
「そんなとこに潜り込まれたら狙いなんかつけられねーよ」
「なんだこのはぐれメ〇ル」
「奥田!何とかして!」
「だましたんですか、殺せんせー!?」
そういうと、先生は天井に張り付きながら言った。
「奥田さん、暗殺には人をだます国語力も必要ですよ」
「えっ・・・」
「どんなに優れた毒であっても、今回のように馬鹿正直に渡したのでは標的に利用されるだけです」
「渚君、君ならどうしますか?」
「えーっと、先生の好きな甘いジュースで毒を割るとか、かな」
「椿季さん、あなたなら、どうしますか?」
「先生にお菓子のプレゼントといいつつ毒を混ぜる、とかでしょうか」
(それ、前のバレンタインデーに俺に塩がたっぷり入ったチョコでやったよな…)
「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある、言葉を巧みにする必要がある。その上手な盛り方に必要なのが国語力なのです」
「国語力・・・」
「そう君の理科の力を生かすためにも、多くの人にわかってもらうため、毒を渡す交互力を鍛えてください」
「は、はい!」
殺せんせーの力の前では、猛毒を持った生徒もただの生徒になってしまう。
「やっぱり、暗殺以前の問題だよね」
「まったくだ」
「あはは…」
かるまと俺のセリフに渚は苦笑いした。
その日の家での出来事
俺は自分の部屋で〇ケモンをやっていると、部屋の扉が勢いよく開いた。
「ちょっと!柊季!私のケーキ食べたでしょ」
(うっ、そういや昨日あいつが買い物に行っている間に食べてたっけ)
「しらねーよ」
「嘘!すっごく楽しみにしてたのにー!」
(くそ、なかなかひかない。どうしよう・・・そうだ!国語力!椿季をもだます国語力を…)
「そうだ!父さん!父さんが食べたんじゃね?甘いもの好きだし・・・」
「分かった…」
そういうと、椿季は俺の部屋を出て行った。
(ふーっ、助かった・・・)
と思ったのもつかの間
ドンッ
再び俺の部屋が勢いよく開き、そこにはバットを持った椿季がいた。
「!?」
「二つ、教えといてあげる。一つ、昨日お父さんは海外に行っててそもそも日本にいません」
椿季はバットを振り上げる。
「もう一つ、柊季は嘘をつくとき腕を組んで目をそらすんだよ」
「そ、そんなこと」
すると椿季は満面の笑みでバットを振り下ろす
「私のケーキ!!!」
「おいバカ、やめろ」
こうして、俺と椿季の生死をかけた鬼ごっこが始まったのだった。